「勉強会」カテゴリーアーカイブ

4月の初級クラス

春というより初夏を思わすような陽気の中、新年度初回の初級クラスが開催されました。
残念ながらヤンさんは欠席でしたので講評は無しでしたが、語る予定でなかった方々も飛び入り参加して、それぞれの方々の感想や質問などの時間を共有しました。

手遊び ハンバーグ

ハンバーグ ハンバーグ モグモグモグモグ ハンバーグ
ピーマン ピーマン モグモグモグモグ ピーマン
パンの耳 パンの耳 モグモグモグモグ パンの耳
スープ スープ モグモグモグモグ スープ
シータケ シータケ モグモグモグモグ シータケ

1.世界の果ての井戸 /  語りの森昔話集5 ももたろう/  語りの森

練習不足で皆さんの前で語るに至らないとおっしゃっていましたが、語りの間、膝に置いておられたテキストは「お守り」で終わりました。他の方の語りを聞くと、自分が選んだお話よりも素敵に思えるとの事。
確かに昔話は知れば知るほどいいお話がいっぱいで、時に自分が選んだ話とは向かい合いすぎて「隣の芝生は青い」現象が起こる事もあるのかもしれないなと思いました。
これは「かえるの王様」の類話で、それよりも内容がやわらかく(王様→お母さん)短めなので小さい子にも向くとの事。

2.主人と召使い /  語りの森HP外国の昔話 こちら→

旧ソビエト連邦の構成国だった頃のアルメ二アのお話なので、お金の単位がルーブルになっているとの事。歴史を感じますね。
日頃から、語りの森HPのおはなしひろば こちら→
をお嬢さんとよく聞かれていて、お嬢さんが好きな話で覚えられたとのこと。
親子で語りを楽しんだ後、そのお話について感じた事を言い合う豊かな時間、いいですね!
語りの中で怒るシーンが何度か出て来るのですが、後でご自分で聴くとコワすぎる、キツすぎると感じるとの事。
語り手さんはとても良く通るいいお声で一気に語られる。これは笑い話なので、本番では聞き手が笑う「間」を大切にすれば良いのではとTさんよりアドバイス。

3.みつけ鳥 /  語るためのグリム童話3/  小峰書店

ラジオで聞いて好きになり、選んだお話。1話目の「かめのピクニック」よりも覚えるのに時間がかかったのは、単にお話の長さの違いでしょうか。
お話の中に3回の同じくり返しがあるが、言葉が違う事に意味はあるのか疑問に感じながらも、テキスト通り覚えられたとの事。
Tさんより、3回のくり返しは同じにしても良い場合が多々あるが、話によってはちゃんと意味があって言葉を変えている。ヤンさんの再話の中から比べてみると良い。

4.三人兄弟 /  語るためのグリム童話6/  小峰書店

入門講座でひと月かけて選び、覚えたお話。働く事の尊さ、美しさがあるお話が好きで、このお話は三兄弟が仲が良いところが特に好き。将来に夢を持てないような子ども達にこういうお話を通して伝えていけたらいいと思われているとの事。
2話目に語りたいお話の候補が、この日聞かれた中にあったようですよ。読んだ時よりも、聞き手になってその魅力に気づくお話ってありますよね♪

5.くるみ割りのケイト /  おはなしのろうそく10 /  東京子ども図書館

練習量が前半に偏りがちになってしまっているのが、実際に語ってみるとよくわかるとの事。これって皆さんあるあるだと思います。
この語り手さんが最近ペーチカで語った「七羽のからす」について、洗礼など宗教的な事が理解しにくく、ご自分が語るのはどうかなと思っているとのお話に、Tさんが熱くこのお話の良さを語ってくださいました。ヤンさんもHPの井戸端会議で語った時の実体験や、洗礼についても書いておられます。 こちら→
ヤンさんの日記のように、子どもの反応からお話の深さ、そして子どもの能力の高さを目の当たりにする、そんな日々が早く戻ってきますように~

6.三つのオレンジ /  語りの森昔話集5 ももたろう/  語りの森

これを語って下さった大先輩は、他の方々に温かく、時に熱くコメントを下さって、ご自身の語りについては何もおっしゃらないままでした。(突っ込むべきでした!)
でもその後、ご自身がまず語りを「聞く体験」をそれこそ様々なサークルでたくさんされた事、そこから語りの森で学びを深められ、ご自身で色々と「気づく事」によって「今がある」という貴重なお話を聞かせていただきました。

最後になりましたが、今期より初級クラスの報告をさせていただく事になりましたフルーツです。よろしくお願い致します。
個人的には今回の一番の学びは、常にいつでも語れる話を用意しておく事の大切さです。今回のような突然語れるチャンスを逃さないために!

次回は5月10日(火)です(^^)

 

3月のプライベートレッスン

桜も菜の花も、いろんな花が咲き出しましたね。
まさに春!な感じです🌷
3月のプライベートレッスンの報告です(^^♪

1日目
日常語のテキストに変える
「めしを食わないよめさん」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』語りの森
2日目
語り
「仁王と賀王」『日本の昔話2』福音館書店
3日目
日常語のテキストに変える
「とほう」語りの森HP日本の昔話 → こちら

「めしを食わないよめさん」では、よめさんが正体を現した後は鬼になるわけですが、元はよめさんだから女の鬼なんだろうなあとわたしはなんとな~く今まで思っていました。
受講者さんは〝鬼ばば〟ではないかと考えられていて、そのことが話題になりました。
鬼ばばと聞くと、やまんばと同一な感じがします。
じゃあ、鬼の女とやまんばは一緒でしょうか?ということです。
そんなの考えたことがありませんでしたので、興味深く聞かせてもらいました。
昔話というのは、聞き手のどのような解釈も許容しますから、不正解はないわけです。
ですから、受講者さんは〝鬼ばば〟で、再話者のヤンさんは鬼の女とやまんばは別物だろうと解釈したので原話のとおり〝鬼〟にした。
どちらも正解ということです。
わたしは、考えたこともなかったことを知れて、これまたオッケイ?(笑)
要は、どこまで突き詰めてイメージをしっかりしたものにしておくか、ということでしょうかね。
漫然と読んでいたらスルーしてしまう。
痛いところを突かれた気持ちでした。
次はどんな話について勉強できるか、楽しみです(*^▽^*)

3月の中級クラス🌷

急に暖かくなりましたね。
昼間は暑いくらいの時もあり、半袖短パンの人も見かけました!
寒暖の差の激しさにビックリです( ゚Д゚)
3月の中級クラスの報告です。

「鬼とあんころもち」『子どもに贈る昔ばなし14鬼とあんころもち』小澤昔ばなし研究所
「山の上の火」『山の上の火』岩波書店
「長ぐつをはいたねこ」『完訳ペロー童話集』岩波書店
「こびとのおくりもの」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』語りの森
「三つのオレンジ」『語りの森昔話集5ももたろう』語りの森
「三本の金髪を持った悪魔」『語るためのグリム童話2』小峰書店
ヤンさんの語り
「なまくらトック」『おはなしのろうそく3』東京子ども図書館

今回は、どこかのお話会に行ったような、そんな感じになりました。
中級クラスはベテランばっかりとはいえ、どんな時もありますからね(笑)
でも今回、わたしは最初から最後まで、心の中でも、実際にも、相槌を打ちながら聞いておりました。
語り手さん、それぞれの個性が楽しめました(^_^)
ありがたや、ありがたや。
「三本の金髪を持った悪魔」のところで、悪魔の金髪はどんなふうに生えているのかという話題になりました。
三本しかないのか説は、悪魔が母親に頭のしらみを取ってもらうので髪の毛はたくさん生えているはずだということになり、削除されました。
全部が金髪説は、金髪であることに貴重だとか魔法の力があるのではないかということで削除され、何色か分からないけれども金髪以外の髪の毛の中に金髪が混ざって生えているんだろうということで落ち着きました。
悪魔の金髪にふしぎな力があるから王さまもとって来いと言ったんじゃないか、母親はしらみを取りながらそのまばらな金髪を探して抜いたんだろうと思います。
わたしも、タイトルからだと金髪が三本だけのようにも取れるのではっきりしませんでしたが、今回話題に出た〝ブラウンか何かの色のボウボウの髪の毛の中に白髪のように金髪が混じっている〟説で納得できました!
来月はまたどんな勉強会か、楽しみです(*^▽^*)

3月の日常語クラス

駅の改札の壁に、「ご卒業おめでとう」っていう手書きのポスターが出ていました。
桜の花を形どった飾り付きです🌸
そうそう、そんな季節ですね。
駅員さん、忙しいのに駅を利用する人たちのために心を込めてはるんやなとうれしくなりました。
次は、「入学おめでとう」のポスターを期待しております(^_^)

金曜日に三か月ぶりの日常語クラスがありましたので報告します。
語りで確認
「河童の薬」『日本の昔話3』福音館書店
「かちかち山」『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』語りの森
ヤンさん「ねずみのもちつき」 語りの森HP → こちら
テキストの検討
「花さかじいさん」『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』語りの森
「産神さまの運定め」『日本の昔話2』福音館書店
「ラ・レアールの修道院長」『語りの森昔話集5ももたろう』語りの森
「和尚おかわり」『日本の昔話1』福音館書店

「かちかち山」は、おばあさんが殺されてしまってしかもばば汁にされてしまうという、内容としてはきつい部分がありますので、語り手さんは自分の素のトーンより一段上げて、軽めで明るめに語ることを意識されたそうです。
聞かせてもらって、それは大成功だったと思います。
うさぎが、「たぬきさん、たぬきさん、やけどはどうや?」って聞くところなんか、声を出して笑いました。
わたしもこの話覚えます~~
覚えたい!と思う程の面白さでした(^o^)/

ヤンさんが語ってくれた「ねずみのもちつき」は愛媛県の昔話です。
お正月のおもちをつくために小豆を買いに行きます。
まず小豆を買いに行くのはなぜかというと、この地方はお雑煮にあんこのおもちを入れるからだそうです。
場所が変わると食べ物も随分違うんですね。
びっくりしました。
日常語の語りっていうのは、聞いているとほっこりします。
味が出るというか、優しい感じに聞こえて癒されるというか…
やっぱり日常語による語りは、聞いていて楽しいです。
次回も楽しみです(*^▽^*)

3月 初級講座報告

2月は逃げていきました。やりたい事たくさんありますね。考えたい事たくさんありますね。去る3月は初級クラスでスタートしました。(もう一週間も前のことか…!)

手遊び う~めにうぐいす たけのこすいせん おひさまかがやくさんじょのじょ♪

1.さるの裁判 『ももたろう/語りの森昔話集5』語りの森

話のすじがおもしろくて、覚えようと思った。引っかかったところは、繋ぎ言葉。(ところが、けれども)自分の言葉に変わってしまって、覚えにくかった。

ヤンさん…この文章では、この言葉、こうきたら、こう、というものがある。ここは何で『けれども』なのか?と、考えてみると覚えられる。納得させるといい。語りが始まれば間違えても気にしない。間違えてリズムが変わって動揺してしまうと、伝えるべき大事な言葉を飛ばしてしまう。最後のさるの会話文「これで元どおりだ」が抜けていたが、これは大事な言葉。

2.老犬ズルタン 『語るためのグリム3』小峰書店

初めて読んだ時に、ズルタンを撃ち殺すというショッキングな事に身につまされた。定年退職を迎える人の境遇に重なる。また、主人のズルタンへの悲哀を思ったり、ズルタンの機微(表面上では分かりにくい心の微妙な動き)を感じ取った上での主人の言葉を思った。そして、ここでのオオカミはよき友、悪者ではないところが、オオカミ=悪者としてのキャラクターイメージが変わっていいいなと思った。

ヤンさん…自分がおはなしをどう受け止めるかは大事。自分の人生と重ね合わせて解釈することも大事。だけど、「役に立たなくなったから撃ち殺す」という事は、象徴的な話としてよくある事。ブレーメンの音楽隊もそう。農場などを営む主人と番犬。自然の脅威から生活を守る事の出来なくなった番犬はいらない、という大きな前提。動物と人間の関係を表している。オオカミのイメージについて、昔話雑学に詳しく書いてある。→ おおかみは悪者?

三匹の子ブタ、赤ずきん、七匹の子やぎでは、おおかみは悪者として出てくる。有名になって広く知られる話となっているが、その他で出てくるオオカミはマヌケな存在、ヨーロッパなどでは、ずる賢いきつねにオオカミがだまされる話が多い。

思い込みがあるかもしれないと思って、調べたり、考えなおしたりすると語りがまた変わってくる。語り方について、P68の真ん中、オオカミが「心配するな、…あすの朝早く、お前の主人は干し草狩りに出かける。そのとき、小さな子どももつれていくだろう。…おまえはそのそばに寝そべって子どもの番をしているふりをしろ。そしたら、おれがその子どもをさらってやろう。…おれがその子をはなしたら、その子を連れて帰るがいい…親たちはおまえに感謝するだろう。」この部分は、こうして、こうする、こうしたら、こうする、というふうに、教えるように語り、聞き手がその段取りを覚えていられるように語る。p70.3行目「ところでズルタン、わしが、おまえの主人の太ったひつじを一頭もらっても、目をつむっててくれるだろうな。…」何でオオカミがズルタンを助けたか、が分かる大事なところ。聞き手の納得感が変わってくる。そう考えていくと最後、オオカミのマヌケさが笑えてくる。

3.ありとこおろぎ 『おんちょろちょろ/語りの森昔話集1』語りの森

色んな話にチャレンジしようと思って選んだ累積譚。覚えて、通してみたら、意外なところでつまずく自分に驚いた。累積部分はリズムで覚えていけたが、こおろぎが今対している相手が誰なのかが分からなくなることが頻発した。(ブタ、ココヤシ、からす、めんどり、蔵、ねずみ、雌牛)なぜ?と考えたら、イメージが出来ていなかったことに気が付いた。以前ヤンさんに聞いた「イメージは背中に背負う」という言葉が腑に落ちたので、そこから練習しかない。また、言葉を間違えたが、言い直さずに語れた。

ヤンさん…語りについては、つな、毛、を立てること。何かわかるように。また、イメージをばちっと作っておくと、累積セリフの後も戻ってこられる。そして、イメージは背負う。人の顔見て、目の前に描くのは難しいから背負う。語りながら見えている。どうしても言葉の暗記に偏りがちだが、自分の中で自然とイメージする、見えてくる。聞き手はイメージしか受け取っていない。イメージがはっきりしていない語りは聞き手の中でぼんやりする。

4.七羽のカラス 『おはなしのろうそく10』東京子ども図書館

前の人の語りに引きずられた。練習していて、気になる言葉が出てきた。同じ人を言うのに、違う言葉がテキストででてくる。女の子、娘、妹。思いついたまま言うような語りになった。舌が回らなくなってきたことも自分で分かる。舌の運動をして気を付けたい。

ヤンさん…覚える時にはテキスト通り覚える。語りだしたら言葉が変わってしまっても、聞き手にはわからない。(変わっても支障のない言葉)そして、最後までストーリーを語る。それが出来ていた。私はお風呂で早口言葉の練習をしている。良い滑舌を保つために、舌の筋肉、口の周りの筋肉を鍛える。

5.ならずのナツメ 『読みがたり大阪のむかし話』日本標準

聞いたことがあった話。子どもが小学生の時、学校から借りてきた本。大阪弁の男言葉が馴染めず、そのままは嫌だなと思いながら…。「なにをいうたりまんねん。このナツメは、やれまへんな。…実も拾うことなりまへんで。」河内の国石川村の話。(現在の南河内郡河南町・富田林市の東隣)ネイティブではないので、難しいが、覚えたいと思った。老人クラブで語る予定。ナツメは懐かしいものという感じ。

ヤンさん…土地言葉と男言葉のテキスト。この場合なら「このナツメはあげられへん。」と、自分で決めて語ると良い。結局は日常語の勉強が必要になる。

この話は弘法さん伝説で、全国にたくさんある。(真心には報酬を、意地悪には罰を)子どもと家庭のための奈良の民話1(奈良の民話を語りつぐ会/村上郁再話)にも、弘法大師のはなし載せている。弘法清水、二度実るくり、弘法さんがくれたお茶、弘法さんとちまき、戦火の弘法大師。

6.足折れつばめ 『子どもに語る日本の昔話3』こぐま社

緊張して、つまってしまったところもあり、うまく語れなかった。小さな大工が家を建てる所はおもしろいところで、たったったったーと語った。

ヤンさん…なめらかな語りで、おもしろかった。せっかくの勉強だから、この場を利用してほしい。子どもの前での語りは?語り手:子どもに語る時は図々しくできる。 それなら、子どもたちと楽しんでみて。みんなの意見:誰でも緊張はする、間違えてもいい、良く見せようと思わない、石と綿と木のイメージで語る、胸のリンパを流す!

ヤンさん 酋長カイレ『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

癒しのおはなしの時でした。対面で、語り手のおはなしを全身で感じて味わう時、みんなの心が触れ合い重なる時。さまざまな芸術表現がありますが、おはなし会はその一つの形。この非日常を色んな人と空間的に共有することの大切さを肌で感じますし、おはなし会は、子どもにも大人にも必要な精神の糧となるのだと思います。そういえば、人間の日常も誰かのおはなしで溢れてますね…。世間話、新聞記事、ニュース、ドラマ、CMでさえ物語仕立てです。「さあ、自分の物語(人生)はどんなおはなしにしよう?」本質を含む良いおはなしを、語り手の全部を通して聞くおはなし会、そこにはもう愛しかないじゃないですか!?(笑)

そして、こうしたらいいかも、こんな練習してるよ、子どもの反応はこうだったなど、みなさんで気軽に話し合える場があることが、とてもありがたいことだなと思います。毎回、みなさんのおはなしに対する熱意に尊敬の念を抱きつつ、ひたすら集中して五感をフル活用して、書きとめることをしてきましたが、私の初級講座報告は今回で最後でした。報告のおかげで、私自身勉強をさせてもらいました。色んな出典を手にして読む機会もたくさん頂きましたし、おはなしの世界が少し広がりました。ありがとうございました。新メンバーさんお二人も加わり、今後も楽しみな初級クラスですね。

次回は4/12㈫です。