「勉強会」カテゴリーアーカイブ

研究クラス🐦🐓🐤

ここしばらく蒸し暑い日々が続いていますが、みなさんお元気ですか?
もう、へとへとな感じもしますが、研究クラスの報告をさせていただきます。
本年度1回目の研究クラスは、オンラインで行われました。
研究クラスに入って、今回が最初のレポート発表となるウーカーさんが選んだ話はグリム童話の「フィッチャーの鳥」です。
最初だから、研究発表はたいへんだろうなと思っていましたが、事前に送られてきたレポートが全部で33枚!
どんだけ~~!(古い?)
ほんまに初めてかいなと思う大量のレポートでございました。
オンライン授業だから事前にデータでもらったんですが、それが本当によかったですよ。
最近は、字を読むのに時間がかかる上に老眼鏡をかけても読んでいるうちに目の疲れがひどくてもう…_| ̄|○
それはレポートのせいではなくて個人的な事情ですから、ウーカーさん気にしないでね。
しっかりしたレポートが読みがいがあり勉強になりました。

「フィッチャーの鳥」KHM46(初版~) 話型ATU311妹に救われる
この話を選ばれた理由は「違和感」だといっておられました。
何に対して違和感があるのか、それを見つけるのはとても難しいと思います。
だから、いろんな類話に当たってみられました。
この話にとても似た内容のグリム童話があります。
「盗賊のお婿さん」KHM40 話型ATU955盗賊のお婿さん
ここで、ATU番号の違いを見てください。
「フィッチャーの鳥」の311番は魔法昔話に分類されています。
魔法と押さえておいてくださいね。
「盗賊のお婿さん」は955番です。
これは、ノベラ(現実的説話)に分類されます。
魔法ではありません。現実的説話ということは、伝説に近いということです。
それでですね、「フィッチャーの鳥」に出て来る悪者(敵対者)は、〝魔術師〟です。
魔法使いじゃないんですね。
魔法使いならば異界の存在です。
やまんばとか、鬼とか、悪魔とかと同じですが、じゃあ魔術師って同じ感じがしますかね?
なんかしっくりきませんね。
魔術師っていうのは人間にちかいですよね?
ミスターマリックも、超魔術とか言ってませんでしたか?
今回の勉強会では、ウーカーさんが最初に感じられた違和感が、魔術師が異界の者なのか現実世界の者なのかという具体的な疑問に変わり、ヤンさんは、この話が昔話と伝説のまん中あたりに位置し、その微妙なところが違和感につながったのではないかと言われました。
なるほどなとしっくりきました。
ですから、これは本格昔話の中の魔法昔話であるということは押さえながら、語り手が〝魔術師〟をどう位置付けて語るかを決めればいいということが分かりました。
話の設定が微妙だから微妙に語る(笑)、というのは聞き手には分かりにくいしごまかしているのといっしょですからね。

他にもいろんな類話と話型のことを調べておられました。
だから、レポートが大作なのは納得です。
毎回思うんですが、研究クラスのレポートって「売れるんちゃう?!」と思うんですが、クラスのみなさん、どう思う?(笑)
何でもお金に換算してしまうのは、会計係が長いせいか、節約主婦の習性か、代々続く貧乏人のDNAか分かりませんが、とにかくそれらがすべて備わっているわたしのたわごとと思ってください。
研究クラスは、それくらいすごいことをやっているんじゃないかと毎回思います(^_^)
次回の担当はかぶちゃん!
タイトルが決まったら連絡しておくれ!
待ってま~す(*^^)v

6月初級クラス自主トレ会

初級講座はお休みになったのですが、語りとおはなし談議をしましょう!という声が上がり、8人の参加がありました。呼びかけ人Kさんありがとうございます。

1.うりひめの話 『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

2.ヘンゼルとグレーテル 『子供に語るグリムの昔話3』こぐま社

3.ろばの数 『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

4.仙人のおしえ 『日本の昔話5 ねずみのもちつき/小澤俊夫再話』福音館書店

偶然にもバランスの取れたプログラムとなったのでは?!語りの後は、おはなし(語り)との出会いについて、好きなおはなしについてなど、それぞれ話しました。みなさんと「おはなしを語ること」を通して繋がる時間は、聞くのも、語るのも、話し合うのも、ほんとうに楽しいです。ある方は、これまでに関わってこなかった「お話し好き人種の方々」と表現されていて、その通り!といわんばかりの笑いがおきました(^^♪

休会されていた方もお一人、久々に復活参加されました。ほぼ毎月、クラスのメンバーで顔を合わせるのが当たり前のようになっていますね。対面よりzoomの方が顔面アップで近くに感じますが、この度、同じ空間で会える嬉しさをしみじみ感じました。「おはなしは五感で聞くもの」まさにその感覚を思い出しました。そして、家で練習したものを聞いてもらって、また自分のものにすること。本番さながらの程よい緊張と、リハーサルとして少しは間違えてもいい安心感がある、優しい聞き手のみなさんとの大事な語りの場です。自信を持って語れるレベルまでにして来るのは大事ですね。誤解のないように☆

ヤンさんが安心して戻ってこられるまで、みなさん待っておりますよ~!パソコン作業で、お疲れではないでしょうか!?さまざまなzoomレッスンなども整えていただき、ヤンさん、スタッフの方々には感謝に尽きます(^^)/簡単ですが、報告でした。

次回は7月13日(火)、自主トレ会の予定です。

6月度 中級クラス☂

先月に引き続き、6月度の中級クラスもzoomでの勉強会となりました。

前回同様、「さあ始めましょう」といきたいところですが、発表予定のNさんの声が聞こえず・・・お顔は見えていますし、こちらからの声は聞こえるようですが、肝心のNさんの声が小さすぎて聞こえないトラブル発生。音量設定が低いだけかと思うのですが、原因が分からず・・・結局最後まで声が出ず、発表もできませんでした(´;ω;`)次回までに解決して、「パティルの水牛」を聞かせてくださいね!

前回は6話の発表で盛り沢山過ぎたため、今回は4話の予定でしたが、急遽Nさんもなくなったので、3話だけの発表となりました。時間的余裕があり、皆さんの意見もお聞きするとことができました。では、報告です。

(語り)

①がちょう番の娘 『語るためのグリム童話5』/小峰書店

勉強会では全員の語りが終わってから、一人ずつ講評をしてくれるのですが、ヤンさんはまず「言い訳どうぞ~」と聞いてくれます。Nさん、個人的に大変なことがあり、練習不足で覚えきれなかったそうです。日々の生活の中で介護や子育てなど諸事情があるでしょう。人それぞれ大変なこともあるかと思いますが、語る時間は現実逃避して、自分のために、ひいては子ども達のために練習しましょう。

練習をしているときは集中して、自分もおはなしの世界に入れますよね。私は毎年胃カメラを受けるとき、苦痛から少しでも逃れたくて、おはなしを心の中で語っています。そうすると、時間が経つのが早く、我慢できます・・・ジミーさん的に言うと、そんなことはどうでもよい。(笑)

本題に戻ります。の町には、大きな暗い門があって、お姫さまは、朝に夕にその門を通って、がちょうたちを野原へ連れて行くのでした』

ストーリーの中にある説明文ですので、そのことを意識して語りましょう。また、「大きな暗い門」、がちょう番の娘が通るたびに話しかける、ファラダの首が打ちつけられている重要な門ですが、皆さんはどんな門を想像していますか?

「グリム童話 メルヘン街道(グリム兄弟が書いた童話の足跡をだどれる全長約600kmの街道)」と検索してみてください。ブレーメンの音楽隊やオオカミと七ひきの子ヤギが舞台の街並み、まりを抱えたかえる、いばら姫やラプンツェルの古城などが画像で確認できます。

また、語るためのグリム童話シリーズ(小峰書店)の挿絵を手掛けた、『オットー・ウベローデ グリム童話全挿絵集/古今社』も参照し、イメージを膨らませてみましょう。

『ガチョウ番の娘は、ストーブから出され、お姫さまの着る着物を着せられました。その美しさは、まばゆいばかりでした。』

この場面は正体が現れた、自分のあるべき姿に戻った瞬間ですので、心を込めて語りましょう。

年とった王さまが腰元に「それはおまえのことだ。おまえは自分に対して裁きを言い渡したのだ。その通りにしてやろう」の言葉は、怒りを込めて語ると残虐的になるので、淡々と語るほうがいいとのアドバイスでした。ヤンさんは悲しみを込めているそうです。

ストーリーは長くて重いです。最後まで緊張感を持って語る必要がありますので、言葉は間違えず、寝ても言えるようにしましょう。

ヤンさんの経験からは、男の子主導ではなく、女の子がしっかりしたクラスなら5年生の3学期からでも語れるとのことです。

②ヘンゼルとグレーテル 『語るためのグリム童話1』/小峰書店

ジェニィが語りました。言葉は入っていましたが、完成度の低い語りでした。全体的に淡々となり、盛り上がりもなく、音読のような感じだったかと思います。これでは子ども達の心に響きませんね。

このおはなしは一回目は小石を拾い、道に落として、無事家にたどり着き、2回目はパンを道にまき、小鳥が食べてしまって道が分からず、お菓子の家にたどりつきます。繰り返しではありませんので、同じ言葉にはなっていません。

例えば、子ども達は目を覚ましていて⇔子ども達は起きていて、親たちが寝てしまうと⇔親たちが眠ってしまうと、もう夜になっていて⇔もう夜で、細かな言葉も気になり、自分の中でどんな風に語ればいいのか分からないまま発表してしまいました。

ヤンさんからのアドバイスとして、急いで正解を求めようとせず、色んな言い方で練習をするとよい、何度も練習しているうちに、自分の中でこれだ!と決まってくるそうです。勉強会で語るときは、このレベルまで持ってきてください、と先月も言われていたのに・・・

語っていて楽しい要素が沢山あるのに、細かな言葉にとらわれて、私自身が楽しめていませんでした。

③ヤギとライオン 『子どもに聞かせる世界の民話』/実業之日本社

「ほら、こんな歌ですよ」や「おいしい肉って何のことかわかりますか。」とあるように、聞き手と語り手の間で楽しむおはなしですね。聞かせようとは思わず、肩の力を抜いて語るといいそうです。ただし、ヤギとライオンの立場が逆転していくことを意識することが大切です。

最初のライオンの歌は、ヤギが聞いて怖い(暗い)イメージで歌ってみましょう。一番最後は「ものすごい早口で歌いつづけました」となっていますので、早口で一気に、歌い終わったあとは息が「ハアハア」と出てしまっても構わないそうです。

語り方のアドバイスとして、最初から最後まで同じリズムではなく、まとまりで捉えましょう。例えば、冒頭の場面、

①ある日、ヤギが夕立にあってずぶぬれになりました。②頭からも角からも雨がざあざあたれています。

③ライオンが窓からずぶぬれのヤギを見ました。ライオンはヤギに、

②は①の文を説明しているので、間を短くし、続けて語るほうがいいです。逆に③は場面が変わるので、少し間をとるといいでしょう。

2年生に語られる予定だそうで、2年ならストーリーは理解できるので、テンポよく語りましょう。学年を変えて語ってみると、感じ方の違いがよく分かるそうです。その学年で一番うけたときの語り方を覚えておくといいですね。

個人的な都合で、来月からのブログはジミーさんにバトンタッチさせてもらいます。約3年間、拙い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。

明日は「語りの森のzoomによる語りの会・日常語の巻」がありますね。日常語の語り、聞いているとほんわかした気持ちになります。楽しみです♪

オンライン「白雪姫」感想文📝

第15回昔話の語法オンライン勉強会「白雪姫」の報告をジミーさんがしてくれましたね。こちら⇒

ババ・ヤガーの語法勉強会では、ご参加くださった方に、たいてい感想文を出していただきます。
次回に向けて反省するためです。あ、わたしが反省するのね。
で、今回はオンラインだったので、メールで感想をいただきました。
あまりにたくさんあるので、少しだけ、一部分抜粋でご紹介しますね。

Aさま
今回はおはなしおばさんとして、「聞いている子どもの気持ち」について言われた事が心に残りました。

°耳で聞いて理解できなかったら、子どもはお話から出ていってしまう。
°実母と継母
親と子の葛藤
子は親を乗り越えないといけない
°子どもはすごい!
奇跡を信じる
°子どもが聞き逃さない文章
°エピソードの孤立を図で説明して下さったのが、わかりやすかったです。
何度でも失敗する。その時は目の前のことを精一杯する。

それで、いいねんで!
最後は幸せになるねんで! ←お話おばさんとしての役目だと言われた事が一番印象に残りました。
長々と書いてしまいましたが、子どもたちにお話を聞いてもらっている身として、今以上に大切に丁寧に選び語っていきたいと思いました。

Bさま
白雪姫のおはなしで一番いい味を出しているのはもしかしてわるい女王なのでは、と感じました。

3回も変装&小細工~七つの山を越えて~がんばっとるな~
わるものの行動が必死で真剣で、最後までおもしろかったです。“白雪姫は人類の歴史の根本的な骨組みを語っている”んですねー

Cさま
〈昔話は、主人公の幸せに向かって一直線に進む〉

頭でない所にジィ〜ンと響いてきました。
『失敗にみえることも、実はハッピーエンドに向かう過程のひとつ。だから大丈夫◎』と、わたし自身が励まされた思いがしました。
主人公を〈否定せず、丸ごと肯定する〉……これ以上のエールがほかにあるでしょうか!?
幸せになるための〈肝〉を〝昔話〟は深いところに忍ばせていて、聞き手の心境に応じてそっと手渡してくれていたんだ……!
そして、いにしえより数えきれないほど多くの人々の思いや願いを〈昔話〉という形で、今、自分たちが受け取っているのだ……と思ったら、なんだかものすごく大きな後ろ楯を得たような安心した気持ちになりました。
この贈り物を子どもたちと分かち合うために、自分に出来る準備をもっとしていきたいなと思いました。

Dさま
今回なるほどと思ったのは、白雪姫が小人を見ておどろいたのは、小人におどろいたのではないというところ。

昔話の語法を知らなければ、違う解釈をするかもしれない箇所ですよね。先生の例えも情景がよく理解できて面白かったです(^^)
昔話の語法を知れば知るほど、きちんと「子ども」というものを知らない大人が、大人の感覚でお話の大切な部分を変えてしまう罪深さについて考えてしまいます。
子どもの時のピュアで真っ直ぐな感受性を、どうして覚えたまま大人になれないのでしょうね。
そしてそんな子ども達の前で語る時、私のお話への想いが伝わるんだと思うと、一話一話大切に、しっかり練習して臨まないといけないと改めて感じました。

Eさま
おはなし広場の「白雪姫」を聞いたとき、どんどんおはなしに引き込まれたのですが、(自分の中の白雪姫、絵本の記憶だと思います💦は面白いものではなかったのですが)、その理由が今日の勉強会でよく分かりました。昔話は「人生そのもの」ですが、白雪姫は特にそのことを象徴しているからなんですね。
私は女の子が主人公のおはなしを語りたいと思うことが少ないのですが、白雪姫はぜひ語りたいと思いました。


Fさま
とても面白く新鮮で目から鱗でした と同時に余りにも知らない事だらけで私の文庫活動なんて何だったんだろうと恥ずかしく穴があったら入りたい…

只のお遊びに毛が生えただけもの 私の独りよがりでした。多いに反省していますあの当時の子供たちに謝りたい
と前置きはこれくらいにして 少しずつ学ばせて頂きます
今まで疑問に思ってきたことが成程と納得する部分がたくさんありました
何故おばあさんが子供を欲しがるとすぐに子供が生まれたり 赤ちゃんだったのにすぐに成長する
いいタイミングでほしいものが手に入る 人が現れる等など
物語も自己満足で読んだり いい加減だったなーと

きりがないのでこの辺で(❤´艸`❤)

オンラインの良さは、居ながらにしてお互いの顔が見えること。
「終わったらもう家にいて嬉しかった」という感想(?)も何通かありましたよ(笑)
ZOOMがうまくできてうれしかったというのもありましたO(∩_∩)O
今回は、京都、大阪、奈良、香川、埼玉から同好の士が集まりました。このご縁もめっちゃうれしいですね。

おわび
感想の中で、「白雪姫」は2版ですでに継母ではないかというご指摘をいただきました。
そうなのです。勘違いしてたのです。訂正します。
初版は実母です。グリム兄弟は、批判を受けて2版から継母にしました。
ごめんなさい。

おわびのしるしに、白雪姫はどうやって生き返ったかについて書いときます(笑)
2~7版は、棺を担いでいた召し使いがやぶに足を取られてよろめきます。その拍子にりんごが姫の喉から飛び出して、生き返りますね。
(ディズニーアニメでは王子のキスで生き返りますがね。)
初版は、こうです。
召使たちは、いつもいつも棺を担いで王子のあとをついて歩かなくてはならなかった。腹を立てた召使たちは、棺を開けて「こんな死んだ娘のために、おれたちは一日じゅうこき使われるんだ」といって、白雪姫の背中をげんこでゴツンとなぐるんです。すると、りんごのかけらが口から飛び出して、生き返る。

グリム童話の各版は、初版、2版、7版が日本語に翻訳されています。
他の話も比較すると面白いです。

感想をお寄せくださった皆様、ありがとうございました。
次に向けての原動力になりました。
次は8月24日「がちょう番の娘」、がんばりますq(≧▽≦q)

 

 

第15回昔話の語法オンライン勉強会「白雪姫」

こんにちは。6月だというのに気温30度の日もあり、真夏なみの暑さに家の中では山下清画伯のような格好でおります。
気温の話は置いといて、さっそく昔話の語法勉強会の報告です(^^♪

「白雪姫」の話は子どものころから知っていましたが、昔話大学を受講するころからグリム童話を真剣に読むようになって、自分の知る話とグリム童話の「白雪姫」がずいぶん違うことが分かりました。
語法勉強会は当然グリム童話の「白雪姫」ですから、まず違いを書いておきますね。
☆女王は実母のこと
一般に知られているのは、女王が継母で魔女なんじゃないでしょうか。でもグリム童話の初版と2版は実母です。2版の時に批判があったのでそれ以降は継母になっています。
☆七人のこびとのこと
グリム童話では各自に名前がありません。これは、7人だけれども昔話の語法的にはひとくくりに考えるからです。絵本やアニメは目で見ますが、語りを聞くときは耳だけですから各自に個性があるとややこしくて聞いていて分かりにくくなります。こびとが登場する場面では、ほかにもっと大事なことがあり、そちらに注目しなくてはなりません。
☆毒リンゴだけではないこと
白雪姫が殺されるのは1回ではなくて、毒リンゴの前に2回あります。1回目は絹のひも、2回目は毒のくし、そして3回目が毒リンゴです。凶器がクレッシェンドしています(笑) 語法通りです。

さて、上記を踏まえたうえで、今回の勉強会の中でジミーが勝手に選んだ(笑)超々大事なところだけのピックアップです。

「白雪姫」は、実母が子どもを殺そうとする壮絶な話というとらえ方をするのではなく、リュティ先生によると〝子どもの側からこの話をみる〟と理解しやすいです。
つまり、子どもにとって母とはいつもいつも優しい存在ではありませんよね。時には怖い存在ですし、理不尽なことを言ったりされたりする存在でもあります。子どもはいつかそういう母に向き合い、乗り越えなければならないわけです。
白雪姫の実母は、その理不尽な母の頂点に立っています。なんせ、自分が〝雪のように白く、血のように赤く、黒檀のように黒い髪の子ども〟が欲しいと思ってその通りになったのに、その子が7歳になったら殺そうとするんですから。こんな理不尽はありません。だから、最後には罰を受けなければなりません。自分を殺そうとする存在ですから、いなくならなければ身の安全は保障されないわけです。これが、ざっくりした「白雪姫」の全体像です。

次に3回の繰り返し、(絹のひも、毒のくし、毒リンゴで殺される)場面です。なんで3回もおんなじ失敗をするのか? 〝白雪姫は馬鹿なのか〟という説があったそうですが、リュティ先生は昔話の語法でそれを否定されました。この3回の繰り返しは、それぞれのエピソードが孤立的に語られることによって、それぞれ別物であります。それぞれのエピソードに連続性はないのです。同一犯による連続殺人ではないのです。女王も、それぞれ変装が違います。絹のひもの時は行商人のばあさん、毒のくしの時はまずしいばあさん、毒リンゴの時は年とった百姓女です。昔話では外観を変えればそれは別人という法則があります。いや、笑うところではなくて本当にそうなんです。だから、経験知がないのではなくて、1回1回が白雪姫にとっては新たな経験です。そして、白雪姫はこびとにその都度〝だれもうちの中に入れてはいけない〟と言われているので抵抗します。一生懸命言いつけを守ってけなげです。でも、とびらを開けて買ってしまうんです。欲しいから。この気持ち、よ~~く分かります。分かりますよね! ね!!(もうええって)
そして、3回目には本当に死んでしまいます。頑張ったのに残念です。が、やがて王子があらわれて白雪姫を生き返らせてくれます。あ、キスなんかしませんよ。たまたま、喉につかえていた毒リンゴが取れたんです。王子は大喜びで城に連れて帰って結婚します。昔話は主人公の幸せのために一直線に進みますから、語法通りに白雪姫は幸せになります。こんなにうまいこと行っていいのか? というのは愚問ですね。いいんですよね、昔話だから。

でも、白雪姫は3回も失敗を繰り返し、一度死んだからこそこの幸せがあったのだと読むこともできます。そうしましたら、やっぱりこの話は感動巨編ですね。
そうじゃありませんか? 死ぬような経験を乗り越えて幸せになるんですよ。言い換えると、どんなに苦しいことがあっても、最後に幸せになるのが昔話である! もう、王子さまでも王さまでもどんどん出て来てほしい気持ちになりますよね。
そして、悪者は最後はいなくならなければなりません。

あと、語るときに意識するべきなのは、いくつも出て来る一致です。狩人が白雪姫を逃がしてほっとした時にちょうど目の前にいのししの子がかけてくる場面、白雪姫が女王に殺された後に7人の小人が帰って来る。そして、留守の間に重大な事件が起こる不在のモチーフは、ストーリーを前に進めるための重要な役割を担っているということ。

他にもヤンさんの講義ではいろいろな語法の説明がありましたが書ききれません。最後に、ジミーが勝手に決めた(笑)ヤンさんの講義の今回の肝、「白雪姫」は何を語っているのか? について書いておきます。先にも少し書いたとおり、白雪姫は3回失敗しますが、その時々で精いっぱいの対処をします。目の前のことに精いっぱい対処してそれが失敗に終わったとしても、あとで考えるとそれは幸せへの過程であったことがわかることがあります。失敗だと思っていたことが、時間がたってみるとプラスに変換していたということがあります。その場合、その失敗があったからこそ今の幸せにつながった、失敗は必然だったということです。結果オーライです。カッコよく言うと、昔話は実人生や人類の歴史の根本的な骨組みを語っているということです。どうです? 一気に格調高くなりましたね?! まあ、格調高くてもなくてもどっちでも好きな方でいいと思うんですが、語るときはこのことを忘れずにいたいと思います。

わたしはこの話を語りますが、子どもたちはおおかたが3回の繰り返し部分の内容は知らないようで興味を持つようです。反対に、冒頭の実母であるところは特に反応はなくてすんなり聞いています。冒頭は聞き手も設定を頭に思い浮かべなければならないから、そんなことは気にかけてないかのようです。
今回語法勉強会でこの話の語法を押さえられ、とてもよかったです。今まで意識していなかった個所をいろいろ考えられるようになりました。話の長短は関係ありませんが、とはいえ長い話はまず滑らかに滞りなく語らなければならないのでそれに初めはとらわれがちです。でも、その先が本当は長い道のりなんですよね。今回勉強させてもらって、またその長い道のりを少しずつ歩いて行けそうです。

きれいにまとまったところで、報告を終わります(`・ω・´)ゞ
今後の昔話の語法勉強会は、夏にオンラインで「がちょう番の娘」、冬に対面とオンラインで「お月お星」、中止になった対面の「白雪姫」がいつできるかな~という予定です。またみなさんといっしょに勉強できる日を楽しみにしております(^o^)/