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赤ずきんちゃんのルーツ ミニレクチャー

大人のおはなし会のテーマを「おおかみ」にしようかって話になって、じゃあ「赤ずきん」かなあって言い合って、でもグリムならみんな知ってるし、ペローの「赤ずきん」はどうかな、ってことになったんですよ。

ペローさんは、グリムさんより100年以上前の生まれの詩人でね、宮廷のお姫さまたちのために昔話を再話しています。ざっくり言えば。(ざっくり過ぎる~笑)

その再話のなかに「赤ずきん」もあって、ストーリーは、赤ずきんがおおかみに食べられる衝撃的な場面で終わってるの。

語るなら再話しなくちゃってことで、ヤンの出番になったんだけど。
再話するなら、原話をもうちょっと深く調べなくては。
と、いつものごとく、ちまちまと調べていった。

で、調べたことをミニレクチャーします。

7月6日(日)あったかペーチカ(10:15~)の後12:30~13:30。
無料です。
あったかペーチカのついでにご参加ください。

内容は

@狼に食べられて終わりの「赤ずきん」は、ペローだけではない。口伝えでけっこう語られていた。
じゃあ、どんなふうに語ったんだろ?こわいやん?

@グリムは、ペローを参考にしたんだけど、狩人がおおかみを殺すってのは、グリムが考えたの?
狼のお腹から助け出されるのは、「おおかみと七匹のこやぎ」のパクリ!?

@もとの「赤ずきん」は、赤ずきんをかぶっていなかった?
いつからかぶせたんやろ。

@もとの「赤ずきん」はどんな話だったんだろ。
赤ずきんは、狼に食べられるだけの存在でもないし、狩人に助けてもらうだけの存在でもない。自力で逃げだす勇気と主体性を持った女の子だった?

****************

今日のホームページ更新は《外国の昔話》「歌うふくろ」
語ってくださいね~

京都府南部、梅雨が明けて、まだ6月とは思えない猛暑、激暑です。
みなさま、熱中症にご注意ください!

 

 

語法クラス 2回目

近畿地方はすでに梅雨が明けました!
去年より三週間くらい早いそうで、びっくりです。
もう夏本番が来ると思うと、すでに暑さに負けそうです💦
第二回目の語法クラスの報告をします~

まず、宿題の答え合わせというか解説から。
みんなの宿題をまとめて資料を作ってくださいました。
それをみながら解説をしてもらい、昔話の一次元性についての良い復習ができました。

文法指摘をする昔話は、自分の持ちネタの中から選ぶことになっています。
なぜなら、この語法クラスの勉強自体が、自分の語りに生かすためなので、自分の持ちネタの中で語法を見つければ即語りに生かせるということなのです。
全く、おっしゃる通りでございます。
大事なところ、大事なアイテムがわかるとそこをしっかり語ろうと思って語るし、間の取り方もわかろうというものです。

今回のお勉強は、昔話の平面性についてでした。
『昔話の語法』小澤俊夫/福音館書店 第四章二「平面性」P210~P219
語りの森HP昔話の語法 平面性 図形的に語る~無時間性
わたしは、自慢ではないけれど、昔話大学の基礎コースから数えて今年で17年も語法を学んでいます。
これだけながくやっていても〝分かっています〟と言えないのでまったくつらいところです。
❝継続することに意味がある❞と開き直って焦りも何にもございませんが、今回は無時間性の所でちょっと躓き感がありまして、やっぱりまだまだ分かってないなと思った次第です。

時間の感覚がない無時間性と、時間を節約してストーリーを先に進めること、「浦島太郎」のような話の場合の解釈の仕方、とか分からないと思って質問したら、説明しているうちに何を言っているのかわからなくなってまとまりませんでした(笑)
でも、ヤンさんに話によるのでひとつひとつを考えていくようにと教えてもらい、まったくそのとおり、話によるよなあ~と納得しました。
語法にしろ、メッセージにしろ、ひとつの話についていろいろ調べたり考えたりするその時間が語り手にとって大事で、その過程でもっとその話を好きになったとしたら、その話は自分の宝物で、語りにも厚みや奥行きが現れるんじゃないかな、なんて思いました。

今回の宿題は、平面性の五つの特徴を自分の持ちネタの中から見つけてくること。
そして、語りの森HP昔話の語法の抽象性を読んでくることです。
お部屋の関係で次回は10月になりますが、宿題の締め切りは7月末!
勉強したことを忘れないうちにやらなければ~~(;’∀’)

6月の語りクラス

 

先週火曜にありました、語りクラスの報告です。

👐手遊び 『じゃがいもほりにいこ♪』
じゃがいも ほりにいこ~ 花さか ひらいた~✋ はさみで ちょんぎるぞ~✌
えっさかほいさか じゃんけんポン👊

語り
➀「かしこいモリー」 『おはなしのろうそく17』東京子ども図書館
➁「うろこ玉」 『語りの森HP』
➂「トレディチーノとオオカミ」 『語りのメソッド イタリアの民話をたずねて』三弥井書店
➃「だればいちばん兄さんか」 『子どもに語るモンゴルの昔話」こぐま社
➄「靴をはきつぶしたお姫さま」 『語りの森HP』

ヤンさんの語り
「おおかみときつね」 『語るためのグリム童話4』小峰書店
小学4年生向け、「ごんぎつね」/新美南吉作を学習するときに「きつね」をテーマで語られるそうです。
弱い立場のきつねが強いおおかみに勝つ。確かに子どもたちの世界でも同じような状況がありますね。
私もこのおはなしを覚えたのですが、まだ一度も子どもたちに語っておらず、語りたくなりました。

さて、今回は全てのおはなしで「テキストに手をいれる」が話題にあがりました。
手をいれるべきか、また入れるならどのように、どの言葉を変えて、付け足せば
聞き手がよりイメージできるのか。

例えば、「かしこいモリー」でモリーが大男の家に戻る場面が3回繰り返されますが
少しずつ言葉が違います。
➀もどっていって、大男の家にしのびこみ、、ベッドの下にもぐりこみました
➁大男のうちへ出かけ、中にしのびこみ、またベッドの下にかくれました
➂大男の家にもどり、ベッドの下にかくれました

語り手の立場なら同じ言葉に揃えたくなりますが、
同じ言葉で繰り返すと、どの場面か分からなくなることがある。
言葉が違うことで、今はこの場面を語っているとはっきり分かる。

また、テキスト通りに覚えて、初めて不備が自分で分かるようになる。
語り歴5年未満の初級クラスでは、「テキスト通りに覚える」のが基本と言われていましたね。

では、手をいれたほうが 良いのほうがよい例
※「かしこいモリー」で王さまがモリーにいう場面
むすこの嫁にしてやるがなあ ⇒ むすこと結婚させてやるがなあ
このおはなしは低学年向けであり、嫁にしてやるという意味が理解できない子どもがいる。

※「うろこ玉」でねこが加えていたうろこ玉を川に落とした場面
川の中をくまなく探しましたが ⇒ 川の中を隅々まで探しましたが
動物のくまが頭に浮かんでしまう。

テキストに手をいれるのは、聞き手(語り手)がきっちりとイメージできる(おはなしについてこれる)ために入れるべきであって、単に覚えにくいからという理由だけでいれるものではないということを再認識した勉強会でした。

次回は、7月8日(火)です。

最後におはなし会の報告です。この勉強会の前に1年生朝学習のおはなし会にいってきました。
♪オルゴール
🕯ひとり、ふたり、さんにんのこども
📚ふしぎなナイフ
♪オルゴール

4月のクラスでヤンさんにアドバイスをいただいたおはなしを語ってきました。
3人の子どもを思い切り演じ、少し笑われましたが(笑)、3人いるんだとイメージはしてもらえたと感じました。
途中からは子どもとやりとりしながら楽しく語れたのですが、最後の場面で

ジェニィ とけいが、ひとつ、ふたつ、みっつなりました。 「何時かな?」
子ども  ・・・???
ジェニィ 三時です。  「何の時間かな?」
子ども  「おやつ!」
ジェニィ そうおやつの時間です。

とけいを立てて語らなかったのが原因でしょうか。来週にもう一つのクラスで語る予定ですので意識して語ってきます。

5月の再話クラス

道を歩いていると、きれいなバラをよく見かけます。
バラのあるおうち、あこがれますね。
自分では全く手が出ないし、チャレンジする気力もありませんので、よけいによそのおうちのバラがまぶしく美しいです。
再話クラスの報告をします(^^♪

再検討「笛吹峠」『鈴木サツ全昔話集』鈴木サツ/語り 小澤俊夫・他/編者 鈴木サツ全昔話集刊行会
これは継子話です。
そしてとても悲しい内容です。

継子話を語ろうとするなら、語られた時代とその背景、それが今と違っているかどうかなどを特に注意しないといけないでしょう。
ですがそれも、誰に語るのかを明確にすることでクリアできる場合もあります。
❝この話をだれに語るか❞を先にはっきりと決めておけば、あるていど再話の形が決められますし、実際語れることになる可能性もあります。
継子話に限らず、どの話の再話でも誰に語るのかを決めるのは大事ですが、グリム童話も版のちがいで実母が継母に変わったように、時代が許容する範囲というのがまずあります。
それとあわせて、話のテーマが継子以外にあるのかどうか、どのくらいの年齢の子どもに語るのか、あるいは大人に語るのかなどを考えることは、継子話では特に重要だということになりました。

改めてそういう視点でこの原話を見てみて、考えようということになりました。
いやあ、有意義な内容であったと思います。

新作「星占いのお百姓」(原題:星占いの農夫)『カルヴィーノ イタリア民話集上』河島英昭/編訳 岩波書店
なんと、新作ですが今回だけで完成しました!
快挙!!
主語の統一の話題が出ました。
基本的には主語は変えませんが、姫が結婚して妃になるような場合は混乱が生じるわけではないしむしろ変わるほうが自然です。
場面によって変えた場合でも、同一人物であると分かるのならばオッケイです。
この再話の場合の主語の変化は、同一人物だと分かるし、補う言葉も入って配慮されているのでこれでいいということでした。
話を生かすために主語を変えるのも一つの工夫のうちなのだとお勉強できました(*^_^*)

新作「熊のフアニート」『エスピノーサ スペイン民話集』三原幸久/編訳 岩波書店
今回の勉強会で、担当の人も、その場のみんなも、今までになく「う~~ん」と身をよじってどうしたらいいかと考えた話ではないでしょうか(笑)
この話は、巻末の〝民話の比較のための注〟によると〝世界中での分布は現在類話数二千話を超え、「シンデレラ」に次ぐ広い分布をもつ昔話〟だそうです。
AT301「奪われた三人の王女」の類話の中の、異常誕生型で、地下に下りていって王女を助けます。
ですが、構造上に欠陥があり、矛盾の生じる箇所もあるので、この二点を考えると再話はしづらいという結果になってしまいます。
でも、話としては面白いので、身をよじって「う~~ん」と悩むわけです。
原話選びについての学びになったということで終わるというのもありですが、一味違うのがヤンさんの勉強会というか、あっさり終わってしまわないで他の道を見つけるのがヤンさん流というか。
再話の勉強のためにあえてこの二点を乗り越えるような大修繕をし、欠けているところは作ってこようということになりました。
これは喜んでいいと同時に苦しみの始まりでは?!
たくさんある類話を参考にして、次回までに各自が筋の通る、矛盾のないストーリーを作ってくることになりました。
ないものを入れる箇所についてはまさに作るですね。
ふつうは原話を大事にして、必要最小限でしか作るということはしないのですが、この話を練習台にしてあえて作ることにチャレンジしてそれを勉強にしようという、最後にふさわしい課題と言えましょう。
ああ、出来るかな~~(ちょっと遠い目…)
でもね、ここまで長いこと語法や再話を勉強してきました。
みんな、いっしょだからやってこられたと思うんです。
だから、応用編みたいな感じで、みんなで難しい課題に向き合う気持ちで頑張ろうと思います(^O^)/

5月の語りクラス

新緑の美しい頃、そろそろ気温が夏日を超える?という日
5月の語りクラスが行われました。

手遊び
「たけのこ めだした」

語り
1. 「マカトのたから貝」/『子どもに語るアジアの昔話2』/こぐま社
2. 「百鳥衣(バイニャオイー)」/『世界の女の子の昔話』/偕成社
3. 「馬の首」/『おはなしのろうそく29』/東京子ども図書館
4. 「とびじいさん」/北欧の民話より再話/岩崎美術社
5. 「かえる女房」/語りの森HP こちら➡

ヤンさんの語り
「ルンペンシュティルツヘェン」/『語るためのグリム3』/小峰書店

語るためのテキストをどこから、そしてどんなお話を選ぶのか。
その目的は色々あります。
すぐにでも覚えて語りたい場合、『語りの森昔話集』『語りの森HP』から選ぶのが間違いないと私は確信しています。その他からのテキストの場合、気になるところが出て来て、多少なりとも手を入れる必要がある場合があります。再話や日常語にする、学びのために選ぶテキストもあります。

いつも思う事は、お話は本当に世界中にたくさん、たくさんある!
この中から、自分のレパートリーになっていくお話はほんの一握り。
お話探しの旅はまだまだ始まったばかりで、右往左往。
その楽しい事、でも果てしない事。
だから、お仲間の皆さんが様々な理由で選ばれたお話を聞かせてもらい、そのお話について語り合える場は興味深く、ありがたいです♪
また、がんばってお話を探します~(#^^#)

次回は6月10日(火)です