「勉強会」カテゴリーアーカイブ

12月の語りクラス

「知らん間にもう12月や~」
秋の気温が高かったからか、今年は多くの人がそんな風に感じている師走の訪れではないでしょうか。
この日の私は”12月は車の量が多い上に道路工事も多くて渋滞しがち”ということを家を出てから実感…赤信号を上目遣いで確認しながら遅刻の報告の電話の最後、ざわめきの向こうのヤンさんの「気いつけて来てや~」という声にハッとして、前の車との距離に余裕を持ち直しました(バックミラーにグイグイ車間距離を詰めてくる前のめり運転のおばはんがうつっていたことでしょう…)

そんな私のドタバタをよそに、12月の語りクラスはなごやかに始まっておりました(なんとか1話目の途中から合流、お話の途中にごめんなさい<(_ _)>)

手遊び
「かきねのかきねの」

語り
長靴をはいたねこ 『語りの森昔話集6』/ 語りの森
小さなからす / 語りの森H.P.
松の木のお伊勢まいり 『日本の昔話4』/ 福音館書店
鉄のハンス / 語りの森H.P.

ヤンさんの語り
かしこいモリ― 『おはなしのろうそく1』/東京子ども図書館

「初級クラス」と「中級クラス」が合体して「語りクラス」となってから”自分の語りの課題を語った後で共有する”ということが課題になりました。そのことが私自身にとってはとても難しく感じていました。お話を選んで覚えて語るだけで精一杯な自分、まだ語りながら聞き手の立場に立って聞けていない自分、お話への理解、言葉ひとつひとつへの理解が十分でない自分。理由はわかっても、わかるとできるは違うんですよね。
それが今回、「鉄のハンス」を語った方の語り&ご自身の課題と、それに対するヤンさんの講評を聞かせていただいて”こういうことかぁ”と!落ちた気がしました。
このお話をどんな風に語りたいと思っておられたかが、語り方と一致していてうなずける!そしてそのチャレンジに対してもっとこうしたらいいという講評がしっくりハマる。なるほどなるほど!
はい、学びを糧にまたお話選びから始めまーす(‘ω’)ノ

次回の語りクラスは2月18日(火)です
ノート式 次回p.21~です

皆様、メリークリスマス&良いお年を~~~❤

 

 

11月の再話クラス

ここ数日は風が強い日が多くて、寒い寒いと思っていたら今日は風もなく、空は晴れていてそんなに寒いと感じません。
この変化がつらい今日この頃ですが、11月の再話クラスの日はみなさん久しぶりの再話の勉強でうれしそうでした。
わたしも、とても楽しかったです。

再検討「押船」『妙好人伝』 完成!
再検討「イグサずきん」『イギリス民話集』河野一郎/編訳 岩波書店 完成!
再検討「狩人と三人の友だち」『ソビエト昔話選』宮川やすえ/編著 三省堂 修正ののち完成!
新作「貧乏神と福の神」『日本昔話記録7香川県佐柳島志々島昔話集』柳田國男/編集 武田明/採録 三省堂

再検討の3話は、何度も勉強会で検討した話ばかりで、わたしの印象ではそれぞれに違った理由で再話が難しい話でした。
ですが、今回でどの話も完成までこぎつけるという快挙!
原話からずいぶんと形が変わった話もありますが、❝言葉は変わってもいい。テーマは変えてはいけない❞ということを勉強できたと思います。
分かりやすく、聞きやすい言葉で再話すること、原則にして最重要だと思います。
そして新作の「貧乏神と福の神」ですが、前々から貧乏神の話をたくさん読んでこられて、実際覚えておられる方がまたしても新たな貧乏神の話の原話をえらばれたので、今度はどんな貧乏神なのか楽しみでした。
勉強会の前には、各自が原話を読んでそれぞれが再話案を考えてくるのですが、わたしは原話を読んでみてどう意味を受け取ったらいいのかわからない個所がありました。
それらのことから、個人的にとてもこの話の再話に興味を持っていました(*^_^*)
今までの勉強会でも言われていましたが、貧乏神と福の神は紙一重で、話によって貧乏させてのちの金持ちにさせるいきさつがいろいろあります。
貧乏神が貧乏をさせたことを申し訳ないと思う話もあれば、役目を果たしたから去っていったり福の神に転じたりして、どれも最後は金持ちになります。
どちらのパターンにもとれる原話ならば、原話通りに再話するといいというのにたいへん納得しました。
今日から12月でもうすぐ年末とお正月ですね。
これからの時期にぴったりの昔話でした。

次回の勉強会はZOOM開催です。
そしてわたしは当番!
頑張ります~~(^O^)/

11月のプライベートレッスン

暖かい日と寒い日が交互にきて、気温差がとてもつらい今日この頃。
今日は冷たい風がぴゅうぴゅう吹いていて、寒いほうの番ですっかり着ぶくれしています。

11月のプライベートレッスンは、日常語の語りでした。
「うばすて山」 『日本の昔話2したきりすずめ』おざわとしお再話 福音館書店
60才になった母親を山に捨てに行かなくてはならないのだけれども、できずに隠しておいた母親が、国難を救うというよく知られているお話です。
つまりわたしも昔なら捨てられているのね。
そういう厳しい食糧事情と社会だったんだなと、この話を聞くと思います。

受講者さんは、大人のためのお話会で語るためにテキストを日常語に変えて語られました。
親を山に捨てるというショッキングな内容で始まりますが、日常語になって親しみやすくなっている分、内容はしっかり押さえながらもショック度は緩められて、続く本編の謎解きのほうにすっと心が向かえると思いました。
五寸角の杉の角材、五尺の長さ、が話の中に出で来るのですが、実際に何センチなのかを分かっておいて語ったほうがいいということでした。
語り手がふんわりとしかつかんでいなかったら、イメージが弱いから聞き手にもはっきり伝わるはずがないからですね。
実際に聞き手に示して教えるというのではなくて、語り手のイメージをはっきり確かなものにしておくということでしょう。
なるほどです。
「うばすて山」、最後はたくさんの褒美をもらって、母親と一緒に暮らせることになって、ハッピーエンドで言うことなしのいい話でした(*^_^*)

11月の語りクラス

少し間があきました。ヤンさんが復帰されましたので、4ヶ月ぶり講評ありの語りクラスです。

手遊び 「くーるぽん」

ねずみ経『子どもに語る日本の昔話2』こぐま社

こぶたのリコション語りの森昔話集4/おもちホイコラショ』語りの森

ホットケーキ『おはなしのろうそく18』東京子ども図書館

貧乏神『新しい日本の語り5』藤原ツヂ子語り/ 日本民話の会編/ 悠書館 より再話

森の家『語るためのグリム童話7』小峰書店

ヤンさん あなのはなし 『おはなしのろうそく4』東京子ども図書館

語法からおはなしを理解する、語法を頼りに語りを工夫する、語法が大事!というところに話が行きました。語法の勉強会は幕を降ろしましたが、勉強する機会がなくなるのは心許ない。そこで、新たに語法のクラスを開くことをヤンさんが提案してくれました。受講者が自分で取り組むクラスです。昔話の語法を理解し、浸透させることで、自分で判断していく力を培っていきます。語りもテキスト選びも再話にも、その力が活きてきます。語法クラス?!の参加が楽しみです(^^)

今回の講評で印象に残ったことは、‘しかけ’です。「こぶたのリコション」の冒頭で、地名ヴーヴレと聞いたときに「そんなところあるの?」と聞き手の気を引く。つまり、ちょっとかわった所の話と思わせるということ。知らない場所だからと説明的にフランスのヴーヴレとしてしまうと、その効果が弱まるのです。そういう事を意図して、ヤンさんは再話されているそうです。そうか~言葉によって心の動きが変わってきますもんね。全身で聞いている子ども達の感性を、ちょんと刺激するに留まる。高度な内容ですが納得しました。

最後に『ノート式』語りの力p14~p18を読みました。「あなのはなし」を例にとって書かれています。ありえない物を思い描く力、先を予想する力、もともと持っているものを、語りが引き出します。ふだんから語りを聞くことで、人間にとって最も大切な能力の一つである想像力が育まれます。…おはなしに聞き入っている子どもは、どの子もこれ以上にないほど聡明な瞳をしています。(一部抜粋)

今週、2年生のおはなし会があって仲間が「ジャックと豆の木」を語ってくれました。子ども達がおはなしをみんなで共有しながら、内側を生き生きと躍動させている姿がありました。自分が語っている時とは違って余裕があるので、隅々まで子ども達の様子を感じることができました。瞳や表情すべて、ときどき私の顔を見てくれる子もいたり。子ども達に教えてもらう大事な時間です。勉強と実践を重ねて、「おはなし会」のあるべき姿を想像して、よりよく自分で創造していけたらいいなぁと思いました。

次回は12/10(火)です。

おはなし入門講座 第二回

先週火曜日にありました、おはなしサークルききみみずきん主催の「おはなし入門講座 第二回」の報告です。

今年の参加者は6名、ききみみずきんが主催になってからは初めて男性の参加者もおられます!
1回目はできなかったということで、今回は参加者の自己紹介から始まりました。住んでいる地域のおはなしサークルに所属されている方、図書館で開催している大人のおはなし会に参加している方、子どもが幼稚園や学校でおはなしを聞いているので自分も語りたい、絵本が好きだが語りにも挑戦したいなど、みなさんのおはなしに対する思いも話してくれました😊

第2回目のテーマは「おはなしの選び方」です。

まずはヤンさんの語りから。  
  ①「かきねの戸」 『語りの森昔話集1 おんちょろちょろ』
  ②「命のろうそく」 『語りの森昔話集6 プレッツェモリーナ』

この2話はテーマ、語り方、雰囲気も違います。
前回の宿題はたくさんのおはなしを読んでくることでしたが、沢山のおはなしの中からどうやって選べばよいのでしょうか。
適当に選んで覚えたとしても、聞き手に響く語りはできません。考えて選ぶ必要があります。

おはなしの場は 語り手 ⇔ 聞き手 ⇔ おはなし(テキスト)の3つの要素から成り立っています。
この3つの視点から詳しく説明がありました。

➊語り手の視点から
◎自分の好きなおはなし
 その時「なぜ自分が好きなのか」を考えましょう。それは、自分を知ることに繋がります。
 語るためには何度も繰り返し言い続け、覚える必要があります。情熱を持ち続けて練習するには、好きでなければ難しいですね。
 短くて覚えやすいから、という理由で選ぶのはやめましょう。短い=覚えやすいでは決してありません、逆に長い=覚えにくいでもありません。

 また、サークルの先輩からの勧めで選ぶのもやめたほうがよいでしょう。先輩はおそらく悪気はなく、親切心から「こればいいよ」とアドバイスをされたのだと思います。
その人にとって、その時の聞き手にとって良かったのでしょう。では、自分にも当てはまるかといえば、そうではないのです。勧められたおはなしを自分自身が読んで、語りたいと思えたなら問題ありません。

◎誰かに聞かせたいおはなし
「こんなおもしろいおはなしがあった」と思わず言いたくなる、我が子に読んであげたら喜ぶだろうな、という気持ちです。

➋聞き手の視点から
◎子どもであれ、大人であれ、聞き手が求めているおはなし
 誰に語るのか決めて選びましょう。子どもの場合は、その時の成長段階に合ったおはなしを選びが大切です。
  例)「あはのはなし」『おはなしのろうそく4』・・・幼稚園児向き 
    「六人男、世界をのし歩く」『子どもに語るグリムの昔話2』・・・小学4年生向き
どちらも、冒険に出る ⇒ 危機が発生 ⇒ 仲間が増える ⇒ 安全(幸せ)に暮らす、という同じ構図ですが対象年齢は異なります。
では、求めているおはなしとは?を知るには、聞き手を知ることです。語りの場がある人は、おはなし会が始まる10分前には会場に行き、子供たちと会話をし、親しくなりましょう。

➌おはなしの視点から
◎内容(結末)が満足できるもの
 つまり、主人公が幸せになることです。聞き手は自分が主人公になって聞くからです。
ただし、「つる女房」『日本の昔話5』のように、ハッピーエンドで終わらないおはなしもあります。これはわびさびが分かる年齢に語りましょう。

◎文章が聞いて分かりやすく書かれていること
 ➀筋が無駄を省いて単純で、幸せな結末に向かって、早いスピードで一直線にストーリーが進む。
 ➁登場人物が少ない。
 ➂情景描写と心理描写が少ない。
  例)森 ⇒ どんな森であるかの説明はない。  
    怖くなった ⇒ 手が小刻みに震え、背筋が凍るようなのような表現はない。
聞き手自身が想像して楽しむためには、細かな描写があるとストーリーについていけなくなります。「読んで楽しい」と「耳で聞いて楽しい」は異なります。

初めておはなしを語る人、もしくわ経験の浅い人、語りの場を持っていない人は➀語り手の視点、つまり好きなおはなしを選びましょう。

※選びの手順
➀黙読
➁好きなおはなしを音読 ⇒読みにくいおはなしは外しましょう。歌がでてくるおはなしもたくさんありますが、歌が苦手の場合はやめましょう。
➂本文と奥付をコピーする ⇒奥付は本の最後のページにあります。著者、画家、発行、出版社名などが書かれたものです。
➃コピーが何話か貯まったら、その中から1話を選ぶ

受講者の方々、
宿題は語りたいおはなしを1話選んで、2部コピーをするです。1部は自分用、もう1部は提出用です。奥付のコピーもお忘れなく。

講座が終わってから、メンバー一同が口にするのは「初心忘れるべからず、毎回本当に勉強になる」です。入門講座はおはなしを始める方を対象にしていますが、現在進行中で語りをされている方が聞いてもためになる講座であり、語りを経験したからこそ、講座の内容がよく理解できると強く感じます。

次回は「おはなしの覚え方」です。インフルエンザなどが流行る時期になりますが、全員が参加できますように❤️