「勉強会」カテゴリーアーカイブ

3月の中級クラス

暑さ寒さも彼岸まで、春はすぐそこまで来てますね。年度末ですし、たくさんの紙と布を整理して、新しい季節をすっきり迎えたいと思う今日この頃です。

【手あそび】   

たんたんたん ぽぽ たんたんたん ぽぽ たんぽぽたんぽぽ たんたんたん

【語り】

おはなしのだいすきな王さま 『山の上の火』岩波書店

アリョーヌシカとイワーヌシカ 『まほうの馬』岩波書店

さるとかにのもち争い(日常語) 『語りの森昔話集4』語りの森

舌切りすずめ(日常語) 『語りの森昔話集4』語りの森

むかでの医者むかえ   語りの森HP

ヤンさん 鬼のひとり娘    語りの森HP

おはなしのだいすきな王さま テキストに少し手を加えて語られました。お百姓の何度も繰り返されるセリフを同じにしすぎると、それに答える王さまのセリフが何だったか、語り手自身が分からなくなり、王さまの言葉を間違える。王さまがイライラしてくる様子、その王さまの言葉のエスカレートする事を活かす。王さまが困りだすのがおもしろい、王さまの答え方の方に集中して語る。また、テキストの文によっては、はっきり耳に届けずに言う必要がある場合、飲み込むように語る。

アリョーヌシカとイワーヌシカ 弟と姉さんの掛け合いの詩の部分、このおはなしの重要な部分になるので、練習の中で語り方を考えていくとよい。「こういう風に聞き手に受け取ってほしい」という工夫をする。

さるとかにのもち争い さるが木に登って餅を食べていて、『そうしてるうちに、木の枝が折れて、ふくろから、おもちが落ちてきました。』という場面がどうなってるのかイメージがしづらいとのことでした。司書さんでもある中級メンバーの方が、国会図書館の検索で原話をその場で見てくれました!『木の枝にかけていた袋』と原話に記述。わー!とみなさんで納得して、分かってよかった~と解決しました。なので、そのように言葉を加えられました。原話の確認は大事ですね。

舌切りすずめ 何年も前に、他のテキストで覚えたおはなしだったそうですが、すっかり忘れてしまったので、混ざって困ることもなく、覚えられたとのことでした。「したきりすずめ~どっこどこ~ちゅんちゅん」を歌にされていました。

むかでの医者むかえ 語られたHさんは、遠方にしばらく行かれるという事で、クラスでの語り納めとなりました。目の前のことに時間を使って、気持ちゆったりと行ってきてください!

ヤンさんの「鬼のひとり娘」、大元はたった三行のはなしとのこと!サカタシズコさんという方がお父さんから聞いた話。お父さんは狂言を見るのがお好きだったそうで、その「首引(くびひき)」を娘さんに話したものだそうです。そして、娘のシズコさんがお孫さんに語ったものだそうです。おはなしは個人的なもの、それが始まりだったりするんですね。お父さんが狂言を見て、シズコさんに話したのは100年くらい前のことでしょうか。そんな繋がりがあって、一つの昔話を聞いているんだと思うと、私たちは伝承の途中にいるってことが、はっきり分かりますね。一人で百年語ることはできませんが、そうやって思いが繋がって、下の世代へと語り継がれるんだなと嬉しくなりました。ヤンさんの見ている景色が少し見えた気がしました。

中級クラスの報告を1年半ほどさせて頂きましたが、振り返りがとても勉強になりました。フルーツさんからもお知らせがありましたが、来年度から、初級クラスと中級クラスは合同となり「語りクラス」となります。初回は4/9㈫です。事前に秘密基地をひらいて、エントリーされているお話の出典をチェックし、テキスト持参の上での参加となります。みなさまお忘れなきを。どんな学びの会になるか、どんな新しい出会いがあるか、楽しみです。フルーツさんと交代で報告をしていきますので、よろしくお願いします(^^♪

「ろばの子」の語法 感想2🖨️

ご報告が遅れてごめんなさい!
つづきで~す(*^▽^*)

Dさん
今回のろばの子のおはなしの中にも語法が沢山、入っていました。
聞き手がイメージしやすく、聴きやすく、そして語りやすくするために使われていることを教わりました。
このおはなしはろばの子が生まれたときの両親の言葉の極端な違いをいいながら、投げ出さないで大切に育てようと言っているのだと思いました。そして父親の言葉どおりな結末に、いいえ、それ以上な幸せを手に入れたろばの子に満足出来るんだと思います。
周りの人たちは、なみのろばの子として扱おうとしましたが、ろばの子は自尊心を持っていました。
そして王さまは外見だけで判断しないで本人のいうことを聞ける人物だったので良かったと思いました。
ろばの皮を焼くことは若者がこれから前へ進めるように過去のしがらみみたいなものから断ち切れるようにと、自分が全部責任を持って引き受けたという気持ちで盛大に燃やしたのではないかと思いました。
こんな大人がたくさん、いてくれたらいいなぁと思います。

Eさん
お話のみごとさに驚きました!(語法って凄い!)今回もまた心揺さぶられました!思いだすたびに心があたたかくなります!子供達は主人公になってお話の世界を旅する、いろんなことを思いながら、感じながら、幸せにむかって一直線に進んでいく!子供達にとって王様の存在は幸せなことでしょう!そして今回新たに王女様の存在の大切さを教えていただきました!(感動!)この2人の存在がどれほど子供達にとって幸せなことかと思うと嬉しくてなりません!そしてろばの子を語れる私達もこのうえない幸せだと感じました!

Fさん
ろばの子、色んな解釈が広がっていくおはなしでした。語法の勉強会は久しぶりの参加でしたが、おはなし会の体験を思い起こして、語法が自分に浸透するような時間になりました。だいぶ時間がたってから感想を書いていますが、他のテキストや本を読んで比較したことで、後からじわじわと気が付いたことです。昔ばなしには、語法による隠された仕掛けがあって、聞き手がクリアなイメージを持って聞いていく事ができることを再認識しました(すぐ忘れるので)。目で見て読む文章は、抽象表現から具体表現へ、言い換え表現、時間を戻しての回想、他にも色々な技法で表現されて、作者の仕掛けによって読み手の感情の動きがあり、目の情報で自分のイメージを助けながら楽しんでいく読み物です。昔話で心情描写がほとんどない事においては、感情を引き起こすのは聞き手自身になる、受け身のままではいられないところに、愛ある育みがあると思うと感無量です。…キーボードを打つ手を止めて、遠い昔の人々、民族たち、地球の歴史に思いをはせてしまいました。昔ばなしの語法が、世界中の昔話に共通してみられるなんて本当にすごいことですね。人間の普遍性に感動します。自分の型を作っていく、人格形成の部分、そのことに昔話は深く関わるのだと思いました。「ろばの子」の本質については、判断せずにそのまま受けとめるだけにとどまり、今後関連付けてひらめきがやってくることを待ちたいと思います。一つ考えていることは、『昔話は外見ですべてを語る』と言われたことです。今後「ろばの子」を語る時がやってきたら、子どもたちにも教えてもらうことになれば嬉しいです。ヤンさんの体験やご自身の言葉によって、昔話の力を解明していく楽しさを与えていただき感謝です。ありがとうございました。また、自分の気持ちや考えを感想でアウトプットさせてもらって学びの整理ができ、思いがけずすっきりしました。今後も語法の勉強会を楽しみにしております。

いかがでしたか?
感想をお寄せくださった方々、ありがとうございました。
ブログを読んでくださる方たちと共有できていたら嬉しいです。
感想をまとめるのは、めんどうですが、まとめることで、ふり返ることができますね。
ふり返ると、忘れていることや、また、あらたな発見があります。

来年度は語法勉強会の回数が減ります。
どうぞ、積極的にご参加くださいね。

今回の「ろばの子」の勉強会は、録画を見ることができますよ。
おんでまんどくらぶ(⇒こちら)で、ぜひ見てくださいね~

 

 

3月の初級クラス

「奈良のお水取りが終わるまでは、まだまだ寒さが続く」とよく亡き母が言っていた言葉通り、朝から冷たい雨が降る日、3ヶ月ぶりに初級クラスが行われました。

手遊び・つくしんぼう
ぽっと出た ぽっと出た つくしんぼう
ぽっと出た ぽっと出た つくしんぼう
ちょうちょが 飛んで 春ですね

<語り>
1.がちょうはくちょう/『おはなしのろうそく27』/東京子ども図書館
2.ものをいうたまご/『語りの森昔話集4』/語りの森
3.佐渡の白つばき/『語りの森昔話集5』/語りの森
4.三匹の名付け親/『語りの森昔話集3』/語りの森
5.豆まきの由来/『奈良の民話1』/村上郁再話・京阪奈情報教育出版
<ヤンさんの語り>
6.鬼のひとり娘/村上郁再話
7.がちょうはくちょう/『おはなしのろうそく27』/東京子ども図書館

<講評>  語り手  ヤンさん
1.ヤンさんが同じ話を最後に語って下さって、子ども達に語ることで変化していったヤンさんのテキストと比べて学ぶことができました。
テキストを変える理由①聞き手の年齢に合わせて、理解できる言葉に変えたり付け加えたりする。②聞き手が自分のイメージの中で「見る」であろう順番に言葉を入れ替える。
聞き手である子どもの反応を語りながら「観る」ためには、寝ていても語れるくらいまで練習を重ねること!
子ども達と親しくなることで”お話を語り手と楽しむ味方”にしてしまうと、とても語りやすくなる。
人としての関わりを持っていく事を前提として語りの時間を持つと、語り手も聞き手も育っていく。
2.ネガティブな言葉が気になることがある。→子どもが怖がっている様子がわかったら、声を少し明るくしたり、目線を送って安心してもらう。
3.日常語に変えたテキストに関しては、テキストと語りの言葉の違いを細かく記入してあるので、より良いテキストにするのに役立てて欲しい。
4.この話を語るジミーさんより:3匹で話す箇所は昔話の法則からも外れていて難しいが、そこがこの話のおもしろいところでもある。
誰が言っているセリフかは確信を持って再話している。そこを自分で決めていくことで、語り方が定まってくるはず。
5.わかりにくい言葉、難しい言葉がいくつもある場合、少々わからない言葉があってもそこを乗り切って聞ける聞き手なら大丈夫。聞き手の年齢に合わせて大人用、子ども用と言葉を変えたテキストを持っておくと良い。日常語のテキストは語る程に変わっていく場合があり、それがもともとのテキストからかけ離れていかないように、常に基準にすることが大事。

来月からは中級クラスと一緒になり『語りクラス』になります。
初級クラスとして、このメンバーでの学びはこの日で終わりになりますが、今後は経験豊富な中級の皆さんとご一緒できること、学びの内容がより深まることを皆さん楽しみにしているご様子でした。
2年間、初級クラスの報告を担当させていただき、つたない報告で至らないことも多かったかと思いますが、大変勉強になりました。ありがとうございました。

次回、語りクラスは4月9日(火)です。
事前に秘密基地をチェックなさって、語られる方々のテキストのご用意を各自お願い致します。

 

「ろばの子」の語法 感想1🖨️

ご報告がとってもおそくなりました<(_ _)>

オンラインの語法勉強の報告をジミーさんがしてくださいましたね。⇒こちら
参加したかたの感想が届いていますので、ご紹介しますね。
みなさま、それぞれの視点からの熱い想いが伝わってきます。

Aさん
最初「ろばの子」を読んだ時、正直この話の良さがあまりわかりませんでした。その後、語法に照らし合わせて解釈していくうちに、主人公の内面の葛藤を表す、ある意味数少ない話ではないかと思いました。
そして、子どもの自尊感情を育てるのは周りの大人であり環境であること、それがあれば、難しいと思われることも克服することができる、愛され必要とされて育つことの大切さ。

その後、自分の外見を知ることで傷つくものの、その事実をもきちんと受け入れて「なみのろばの子じゃない」と主張していく強さ。

お姫様の前でろばの皮を脱ぐシーンで、嵐の「モンスター」という歌の「見かけじゃなくて 心を抱いて」というフレーズを思い出しました。欲しいのは、探していたのは自分の本質を理解して愛してくれる唯一の人、その人の前ではろばの皮を脱ぐ必要があった。

お姫様の父親である王様はろばの子に、人として一番大事なのはその人の心で、本人に何の責任もないこと(この場合はろばとして生まれたこと)からは自由になって良いということを教えてくれた存在なのではないのかなと。

こういう話こそ、思春期の子どもや大人達が「自分のストーリー」として、細かい描写のない「語り」で聞いて欲しい話ですね。

Bさん
「おひめさまの視点で見てみる」から「ろばの子の視点で見る」ことでストーリーがくっきりクリアに捉えられスッキリしました。誰の視点で描かれているかを意識することでストーリーに必要な道が浮かび上がる感じでしょうか。レパートリーのおはなしについてももう一度誰の視点なのか意識してみたいと思いました。

「ろばの子がなぜまたろばの皮を着たのか」について
P10 1行目飛び起きてろばの皮を着ようとしました‥ぼくはなんとかして ここから逃げださなければならない」と書かれている所から ろばの子はおひめさまの前で気持ち昂ってか、お姫さまの愛を通して自信を深めてか、皮を脱いでみたもののまだそのまま他の人の前に出る勇気はなく、朝になると夢から覚めるようにまた自信が揺らぎ、ろばの皮を着たのではないかと思います。
P10 6行目 王様に「ここにいなさい。おまえはそんなにも美しい若者だ‥」と大きな父性で受け止め社会的にも認めてもらってむき身の自分でいることに自信が持てたのだと思います。

今回も語法を通して昔話の愛の深さに感動しました。脇役に冷たいのもストーリーをクリアにする重要なポイントなんですよね。視点に気をつけたいと思います。ありがとうございました。

Cさん

語法を一つ一つ確認しながらみていくとストーリーがクリアになり、改めていい話だなと思いました

*欠如した存在のろばの子が成長していく過程で、リュートだけができたことは大事なことで、そのおかげで王女さまと結婚できたこと
*主人公中心にストーリーが進む中で王女の存在ががどれほどたいせつかが見えてくる
*初めて皮を脱いだのが王女様の前で、自分を認めたのが王女様である・・・充足される
欠如しているものは必ず充足されることがより明確にわかりました

王子が皮を脱ぐ場面も考えました
心を許せる王女の前なら皮を脱ぐことができたと思うのですが、朝になると部屋の外(外界)へはありのままの自分をさらけだすことができず、また皮をかぶってしまう
それは成長過程の行きつ戻りつの中の自信のない部分の現れと感じました
最後に王様が皮を燃やしてしまった後、ここから逃げ出したいという不安な王子に対して王様が「ここにいなさい」といいましたが、人生の大先輩からの大丈夫だと背中を押してくれる言葉に王子は力をもらって、覚悟を決め、また大人として大きく成長できたのではないでしょうか

語法と繋がる考えなのかどうかもわかりませんが、また教えていただければと思います

つづく~

2月のプライベートレッスン

こんにちは。
ドラマの見過ぎで目が疲れていて涙目なのかと思っていたら鼻もムズムズしていて、どうやら花粉症がやってきたようです。
今年は飛散量が多いそうで恐ろしい(-_-;)
2月のプライベートレッスンの報告です。

1日目
再話
「貧乏神」
原話『新しい日本の語り5藤原ツヂ子の語り』日本民話の会 悠書館
貧乏神の話をずっと追いかけておられる、その新作です。
なんと、藤原ツヂ子さんの音声が残っております!
語りの森HPでもリンクを張っている〝東アジア民話データベース〟で聞くことができます(^O^)
東アジア民話データベース → こちら
トップページ → 日本各地の民話を聞いてみよう → 東京 → 藤原ツヂ子さんの語り
一番最初に「貧乏神」が出ています。
再話するときに音声を聞けるというのはめったにないパターンで貴重ですね。
原話の語り手さんの語られた話を本を編集した民話の会のかたがどういうふうに読む文章に変えられたかが分かりますし、それをもとにこんどは耳で聞いて分かりやすいテキストにするという作業をされたわけです。
語り手であるからできる作業ですし、やらなければならない作業だと思います。
とても勉強になりました。
参加者さんが貧乏神の話を全国から探しておられることも、すでに研究のようになっているんじゃないでしょうか?
原話をたくさん読むことはとても力がつくんですが自分はそれができていなくて、見習わなくてはと思いました。

2日目

テキストを日常語になおす
「舌切りすずめ」『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』村上郁再話 語りの森
小学校の低学年と幼児さんに語るために、助詞をあえて抜かない個所をのこして、日常語のテキストになおしたそうです。
わたしも、幼稚園で日常語で語って「あ! 意味が分からないんだ」と思ったことがありました。
標準語だと分かるんでしょうが、地元でも小さい子は単語が違って分からないことがあるようです。
この「舌切りすずめ」は、すずめの名前が〝たろう〟なんですよ。
いろんな「舌切りすずめ」があって面白いですね。
語り
「マカトのたから貝」『子どもに語るアジアの昔話2』松岡享子訳 こぐま社
これ、わたしなんですが、4年生に語る予定です。
おはなしを始めたころに覚えて3年ほど語り、その後15年くらい語っていませんでした。
話を戻そうとテキストを読んでみたら、そのころは見えなかったものが見えてきたといいますか、手も足も出なかったであろうことができるようになったといいますか、テキストを整理する箇所を見つけましたのでいったん自分でやってみて覚え、ヤンさんにチェックしてもらいました。
その結果、より語りやすく聞きやすいテキストができてうれしいです。
昔話の語法の勉強を続けていてよかったと思う瞬間でした!

3日目

語り
「鉄のハンス」『子どもに語るグリムの昔話5』佐々梨代子・野村泫訳 こぐま社
去年の11月の中級クラスで他のかたがこの話を語られて、その時の講評と今回のプライベートレッスンの勉強で、わたしは語りもしないのにとても「鉄のハンス」を理解したような気になっています(笑)
ああ、語る当てもないのに覚えたい~~
でも、長い話だし、ほかに覚えないといけないのと、戻さないといけない話がある~~(´;ω;`)
みたいな気持ちを感じております。
語り手アルアルですね。
若い時みたいに力技で覚えられない自分の頭が恨めしいです。
語り手のみなさん、若いうちにたくさん覚えておいたほうがいいよ!
最後は愚痴になっちゃってすいません。
とはいえ、継続することが大事だしそれが難しいですよね。
細く長く続けられるように頑張るのがいいんだと思います。
では、また~~(^O^)/