オンライン日常語入門講座

9月から全5回でオンラインで「日常語による語り入門講座」が始まりました。
5回のカリキュラムは以下の通りです。

第1回目は、初めて顔を合わせる方もおられるので簡単な自己紹介から始まりました。
今回の参加者は5人で、まず伝承の語りについて勉強しました。
事前にヤンさんから送ってもらって伝承の語りを宿題でみんな聞いていました
いろいろな地方の言葉で語られる昔話を聞いたうえで、現在わたしたちが昔話を語るという行為をするのに至った歴史を勉強しました
その二つのあいだで何が起こって何が違うのか、言葉が違う以外に何がどう違うのかを勉強し、そのうえでこれからやろうとしている日常語による語りとは何か、日常語とはどう定義したらいいのかを勉強しました。

宿題は、『ノート式おはなし講座』の語りノートの☆13自分のことばの履歴をやってくること。
次回はその発表をみなさんにやってもらいます。
最初の関門と言いますか結構悩むところですね。
ふだんなにげなく言葉をしゃべっているから、宿題だからと「あなたはいつ誰に影響を受けて今のことばになったのか?」と聞かれましても、そんなこと考えていませんからね、普通は(笑)
そして、その今しゃべっている言葉を自分が昔話を語るときの言葉と決めるのか、それとは違う思い入れのある言葉(例えば親が使っていた言葉とか)に決めるのか、日常語のテキストを作るために決めないといけません。
一か月のあいだにみなさんどんなふうに考えてこられるのかなあ。
どうかがんばってください。
楽しみにしています(^_^)

昔話の解釈ー昔話に登場する人と物3🦄

マックス・リュティ『昔話の本質』報告
第7章昔話に登場する人と物 つづき

昔話の主人公は美しい、ということでしたね。覚えていますか?
魔法昔話で有名なのが竜退治の話ですが、竜にさらわれるお姫さまは最高に美しいんですね。

竜とお姫さまの組み合わせは、昔話だけでなく、神話でもなじみ深いものです。
ギリシャ神話のペルセウスとアンドロメダがあげられています。
ギリシャの英雄ペルセウスは、メドゥーサ(見る物を石にする怪物)の首を切って帰る途中、怪物のいけにえに定められていたアンドロメダを助けて結婚します。
この怪物は、海獣ティアマトで、竜ではありませんけれどね。

さて、その美しさについてですが、もっとも美しいもの、もっとも高いもの、もっとも貴いものは、偶然おびやかされるのではなくて、本来おびやかされる運命にあると、リュティさんは言います。
しかも、外からだけでなく、内からもおびやかされるんだというのです。たとえば、お姫さまの体中に蛇がすんでいたりするのですね。

例として、ロシアの昔話「皇帝の息子シーラとその不思議な援助者白いシャツのイワシカ」が紹介されています。

王さまの娘が、頭が六つある竜とねんごろになっているんだけど、王子シーラはそのお姫さまと結婚します。白いシャツのイワシカは、シーラに、お姫さまをむちで打つように助言します。このむち打ちが最初の清めです。
つぎに、イワシカが竜と戦って六つの頭を切り落としてやっつける。
それでもまだお姫さまは完全にのろいを解かれていないのです。
結婚して一年たつと、イワシカは、お姫さまを剣でまっぷたつにします。すると、お姫さまのお腹の中からありとあらゆるへびがはい出して来ます。それを焼き殺し、命の水でお姫さまを生き返らせます。やっとお姫さまは救われます。

「旅の仲間」(こちら⇒)のお姫さまも、トロルとねんごろになっていて、いじわるですよね。そののろいを解くためには、トロルをやっつけるだけではだめで、お姫さまをむちで打ち、ミルクのお風呂でごしごし洗ってトロルの皮をぬぐい落さなければなりません。

竜は、私たちの外部にいるばかりでなく、内部にもいる。
ほんとうに救われるためには、自分自身から解放されなくてはならないのです。

昔話はくっきりした印象を与える事物によって内面の出来事を描いているのである。昔話の聞き手は、目に見える事物を通して心の真実のすがたを理解する。昔話は、外面的な意味においてではなく、内面的な意味において真実なのである。

昔話はうそ話、ファンタジーですよね。現実そのものは伝えていません。現実は伝えていないけれども、真実は伝えているのです。

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ところで、《外国の昔話》にUPした「牛の子イワン」こちら⇒は、お姫さまの出てこない竜退治の話ですよ~

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今日のおはなしひろばは、インドネシアの昔話「山とヤマアラシ」
ねずみの婿探しのインドネシア版です。

 

 

9月 初級講座報告

会場が使用できない状況でしたので、初級クラスとしては初めてのオンライン勉強会となりました。4月の初級講座以来、ヤンさん自身がみなさんと会えていなかったこともあり、思い切ってオンライン勉強会をして頂きました!パソコンを前にして語るのは難しい、どこを見ればよいかわからない、変に雑念がわく、対面より緊張しない、いや緊張する!などなど、人によって色々感じる事があるかと思います。画面越しではありますが、マスク無しでみなさんにお会いできる点では、ありがたいツールですね。

 

1.うりひめの話『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

2.かめのピクニック『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

3.三枚のお札『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

4.ねこのしっぽ『おもちホイコラショ/語りの森昔話集4』語りの森

5.しんぺいとうざ『しんぺいとうざ/語りの森昔話集3』語りの森

6.油取り『しんぺいとうざ/語りの森昔話集3』語りの森

 

ヤンさんの語り アリョーヌシカとイワーヌシカ 『まほうの馬 A・トルストイ文』岩波書店

 

ヤンさんからのアドバイス

ちょっとした時にそばにいる子どもたちに語る場合

子どもが反応して声をだしてくるので、それにしっかり応えてあげて、最後まで語ること。語り手には語る責任がある。そうやって語っていくことで、こなれてくる。

練習について

昔話は耳で聞かれてきたもので、言葉と言葉の繋がりがある、言葉による文学。テキストを覚える時、なんでこの言葉なのかを考えると良い。全部覚えてしまったら、そこからが出発。練習練習、また練習。ウォーキングしてても、掃除してても、料理してても、声に出してぶつぶつ練習。テキストを身体に入れる。そうすると、おはなしが自分のものになり、モティーフなどが理解できるようになる。そのおはなしの風景に自然と入れるようになる。また、自分の実際の経験も重なる。これから先も、この覚えた話から得られるものがあると感じられる。

→おはなしの練習

笑い話 ねこのしっぽ

連鎖譚で、みんなで最後に笑う話。ねこは善悪の両方を持ち合わせたトリックスターの存在。笑って許されるのが昔話で、「えー!おかしい~!」と思われるような語り方をする。

→トリックスター    →笑い話

怖い話 油取り

怖い話を求めている子、本当に怖がってしまう子、子どもに合わせてどんな風にでも語れるようにするのは良い。最後には、夢だった!となるから。本気で語ると怖いから、怖がらせて楽しめる話として語る。

→怖い話

オンラインで聞く楽しいおはなし会でした。みなさんの姿に私も元気づけられて、モチベーションも上がりました。増えた自分の時間をどのように使うか。なんのために、なにを、どれくらいするか、自分で決めて取り組むことの再確認ができましたように感じます。今のうちに、おはなしのレパートリーを増やしつつ、お話を育てるための勉強会を続けたいですね。

次回は10/12(火)の予定です

間違うたあ💦

二百十日もすぎ、台風シーズンではあるものの、そこはかとなく秋を感じる今日この頃。
ツクツクホーシは最後の歌を聴かせ。
こおろぎ、すずむし、かねたたきが鳴き始め。
おばあさんは、暑さを逃れて、ひと息ついている。

10~11月に図書館主催の絵本読み聞かせ入門講座がある。
あ、もう締め切ってるよ。
感染予防のため、定員10人。
ひとりひとりの絵本体験を大切に、すすめたい。

5回分のレジュメを担当の司書さんに送った。
おっと、間違って、講義原稿を送りそうになった。
これ、パソコンの怖いとこやね。
けど、だいじょうぶ、すぐに気が付いて、正しいファイルを送った。

つぎの瞬間!
間違うたあw(゚Д゚)w
講義原稿を削除したo((⊙﹏⊙))o.
どこや~Σ(っ °Д °;)っ
あらへん~(((φ(◎ロ◎;)φ)))
USBにもごみ箱にも、跡形もなかった○| ̄|_ =3

夫「「間違いはだれにでもある」と、高校のときの数学の先生がいうとった。」
わたし(いつのはなしや・・・)

はい、いちから作りなおします。

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今日は日本の昔話「化け物を飲みこんだ話」
350年ほど昔、京都市内に本屋があってね、昔は、本屋って本を売るだけじゃなくて本を作ってたのよ。そこで作られた本の中に見つけたおはなし。
ふっる~~

 

 

8月のプライベートレッスン

夏が急に秋になったかのような朝晩の気温になりましたね。
ほんとうにこれで夏が終わったのか、外出自粛で夏らしいイベントが何もなく今年も過ぎたので、何ともメリハリのない夏でした。
そんな夏の終わりのプライベートレッスンは4人のかたが申し込まれました。

1人目さん
再話「ふしぎな子ねこ」『新装世界の民話14ロートリンゲン』ぎょうせい
7月にも再話のプライベートレッスンをされています。
その時のテキストをさらに練り直してこられました。
最終的におはなしの題は「白い小ねこ」になりました。
原話の前半部分を相当カットする大手術を必要としていましたが、見事に手術成功といったところです。
わたしも、覚えたいと思ったかわいいお話にまとまりました。
再話はほんとうに難しいけれど勉強になりますし楽しいです。
となりで見ている者が楽しいというのも申し訳ないのですが…。

2人目さん

語り「勇敢な娘」語りの森HP外国の昔話こちら
話型はATU956B「家にひとりでいた賢い少女が強盗たちを殺す」です。
これだけで勇ましいかんじがしますね(笑)
話型名になっている内容はおはなしの前半部分で、後半は『おはなしのろうそく』に所収の「金の髪」のような内容になります。
主人公が馬に乗って「パタタ、パタタ…」と走っていく場面が印象的な話ですね。
「勇敢な娘」は、この後半に重きを置いた話ですのでそれを踏まえて語るのがいいそうです。

3人目さん

語り2話
「ホットケーキ」『おはなしのろうそく18』東京子ども図書館
プライベートレッスンでこのおはなしを語るのは辛いものがありますが、がんばって語ってくださいました。
おみごと、あっぱれ!
勉強会でもこの話を大人の前で語るのは反応が薄いからやりにくいですもんね。
勉強したい気持ちが素晴らしいし、ヤンさんのアドバイスにたくさんのものをつかんでくださったと思います。
「なら梨とり」『おはなしのろうそく6』東京子ども図書館
語りかたと同時にお話会のプログラムのことを質問されていました。
お話会といってもいろいろあります。
図書館のお話会、小学校の授業のお話会、朝学習の短時間のお話会、それぞれのパターンで「なら梨とり」をどう生かしていくかの話が聞けました。

4人目さん

語り(日常語)「さかべっとうの浄土」『語りの森昔話集2ねむりねっこ』
テキストを日常語になおす「うりひめの話」『語りの森昔話集2ねむりねっこ』

4日目は残念ながら同席できなかったのでどんなことがあったのか書けません( ;∀;)
いっしょにいて聞いているだけで勉強になるのですが、用事があって参加できず残念でした。

今回のように、短い話ですと1時間で2話ということもできました。
主婦感覚でいうと2話もできてお得な感じですよね(笑)
プライベートレッスンはこんな使い方もできますので、ご遠慮なくご相談くださいね。
9月の申し込みを受け付け中です。
詳しくは秘密基地の日程を確認してくださいね。

コロナの緊急事態宣言、どうなるんでしょうね?!
感染者数は少~し減ってきていますが、このまま減り続けてくれるのでしょうか?
そうであることを祈っております。