高校生が絵本を📖

高校の保育課程での絵本の読み聞かせ、2回目です。
3年生だから、もうみんな大人ですね。進路の決まっている人もたくさんいるし。
なかには、保育、看護の学校に進む人もいる。
いいなあ。みんなキラキラしている。

はじめにレクチャー。

子どもに絵本を読むときに大切なこと
1、自分の心を動かした本を選ぶこと。
2、子どもに寄り添うこと。子供の成長とか、気持ちとか。
3、本の全てを見せること。しかし、本の世界からはみ出してはいけない。

絵本の読み方
これは、上記3を受けて、本の持ち方やページの開き方、表紙から裏表紙まで全部みせるとか、実際的なことね。
書いてないことまで言ったり、変に演技するのは、NG。これ、はみ出してるのね。

そのあと、1週間で選んできた本を読んでもらったの。
男女合わせて18人。
おもしろかったよ~

みんな、ドキドキする~って言いながら、とっても真面目に、っていうか、誠実に読んでくれて、その本の良さがとっても伝わってきて、よかった。
『おこだでませんように』なんか、男子が読んだんだけど、思わずしいんとなってしまった。

きょうは、高校の学校図書館所蔵の絵本から選んでもらったんだけど、次回は公共図書館で選んでくるのが宿題。
高校所蔵のは、かなり厳選してあるので、そこから選ぶことで、よい絵本の基準が少しはできたかなと、期待してます。

小学生のときに私のおはなしを聞いたって女子がいて、懐かしがってたよ。
覚えててくれてうれしかった。

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今日はHP更新。《外国の昔話》
アメリカインディアンの「とうもろこしおばさん」なんだけど、ちょっと季節はずれ???

 

 

10月度 中級クラス

初級クラスに続き、約8か月ぶりに中級クラスが再開されました!初級クラスで5年間勉強し、進級した私たち5名も加わり、また見学に来られた方もおり、14名での勉強会となりました。

長期休暇でおはなしを温めてこられたのでしょう。すべて15分以上の本格的昔話ばかりで、聞きごたえたっぷりでした。主人公もテーマも国も違うからでしょうか、飽きることなく、おはなしの世界を存分に楽しむことができました。では、報告です。

①まほうの馬 『まほうの馬』/岩波書店

・以前はテキスト通りに覚えたそうですが、今回は語りにくい部分にかなり手を入れられての発表でした。

・何度も登場する「うつくしいエレーナひめ」ですが、『うつくしい』を一部省かれました。「うるわしのエレーナひめ」と訳されている場合もありますが、ロシアの昔話にはよく出てきます。これは「うつくしいエレーナひめ」で一つの言葉(名前)であり、毎回だとしつこく感じるかもしれませんが、削除しなくてもいいのでは、と提案がありました。

また、「おとぎばなしにでもでてこないような、どんなふででもかきあらわせないような」という文言があり、削除されたのですが、これもロシアの昔話特有の言い文句なので、残したほうがいいそうです。

・最後にうつくしいエレーナひめが「ほら、おとうさま、わたしのおむこさんがみつかりました」という言葉は感情をおさえて語りましょう。盛り上がって、ついエレーナひめになって語ってしまう気持ち、分かります。私も好きな場面では、興奮気味に自分の気持ちを押し付けてしまうことがあります。が、語り手は一歩引き冷静になって語る、聞き手が自分のイメージで楽しむことが大切、なんですよね。

②マリアの子 『語るためのグリム童話1』/小峰書店

「子どもに語る グリム童話」では三位一体など、難しい言葉が出てくるので、こちらのテキストを選ばれたそうです。しっかり言葉が入り、情景もイメージできて、おはなしに引き込まれた素敵な語りでした。

あけてはいけないと言われた十三番めのとびらをあけてしまう、女の子。聖母マリアに聞かれても「あけていない」と言うばかりです。言いつけを守らず、うそをついた女の子は下界の荒れ野に捨てられ、口もきけなくされてしまいます。

しかし、王子に拾われ、結婚し、おきさきとなります。子どもを三人産みますが、その度に聖母マリアが現れ、「とびらをあけたか」と聞かれます。が、今回も三回とも「あけていない」とうそをつき、聖母マリアに産まれた子どもを連れ去られてしまいます。口がきけないため、大臣や王子に説明することができず、おきさきが子どもを食べたと疑われ、火あぶりの刑にされます。しかし、火が燃え始めたとき、ついに「とびらをあけた」と正直に答えます。

「おおマリアさま、わたしはとびらをあけました」と言う前に『おきさきの心のなかに強い後悔の気持ちがわきおこり、死ぬ前に白状しようと思いました』と書いていますが、「なぜ白状したか?」は聞き手自身が考えればいいので、削除しましょう、とのアドバイスでした。

嘘を一度もついたことがない人はいないのでないでしょうか。正直に言わなければいけないのに、白状できない気持ち。小学校の高学年で語られるそうですが、子ども達がどんな反応をするか気になります。Kさん、また機会があれば教えてくださいね。

③ドシュマンとドゥースト 『子どもに語る アジアの昔話2』/こぐま社

・イランのおはなしです。タイトルを言ってから、ドゥーストとドシュマンの意味を説明されましたが、余計なことは言わず、ドシュマンは「敵」、ドゥーストは「友」と辞書的な意味を言うだけでいいそうです。

・耳で聞いているので、登場人物が複数名出てくる場面は、誰が言った言葉か分かるように会話文の前に主語をもってきましょう。

例えば、小屋の中でライオン、トラ、オオカミ、キツネが会話する場面があるのですが、

「〇〇〇」とキツネがいった。 → キツネが「〇〇〇」といった。

になります。誰が言った言葉か分かる場面では、主語を言う必要もありません。

・このおはなしの前半は二人で旅をし、後半は「隣の爺譚」型でドシュマンの話としてストーリーが進んでいきますが、

◎ドシュマンは、ドゥーストの幸せな生活がうらやましくて、自分も同じ幸運を得ようと・・・

◎べつのひみつを聞き出し、ドゥーストにおとらず金持ちになれるかもしれない・・・

◎まもなく、ドゥーストがいったとおり、・・・

のように、ドゥーストという言葉が度々出てくるので省きましょう。

・一文に行動が多く書かれており、聞き手はイメージしづらく、語り手は息が続かない文が沢山あります。その場合は二文に分けるといいでしょう。

例えば、Yさんが語りにくかった一文

「ドゥーストは、金貨をポケットにつめられるだけつめて、すぐ馬に乗り、近くの村まで行って、朝になるのを待った」

→「ドゥーストは、金貨をポケットにつめこんだ。そして、馬で近くの村まで行って、朝になるのを待った。」

自分のレパートリーである、「小石投げの名人 タオ・カム」や「マカトのたから貝」(どちらも同じアジアの昔話に集録)にも語りにくい長い一文が多くありますが、このように手を加えればいいのだと勉強になりました。

④シン・シン・ヤンドンマ 『語りの森昔話集』

ブータンの昔話で、シンポという妖怪が出てきます。前半は「大工と鬼六」のような名前当てのおはなしです。後半はシンポに捕らえられたシン・シン・ヤンドンマが、知恵をいかして逃れ、また、他に捕らえられていた人々も逃がしてやり、最後は領主の三人目の息子と結婚します。

久々の語りで、活舌が悪いことを気にされていました。子ども達があまり耳にしない言葉、「わたりどり」や「シンポ」ははっきりと発音しましょう。練習のときからマスクをして、活舌を意識するといいですね。

☆五分次郎 『語りの森HP』(ヤンさんの語り)

日常語での語りで、味付けの違うハンバーグを食べたあと、和菓子のデザートを食べたようなほっこりした気分なりました。

初級クラスでは、なんとなく語りにくかったけれど、どのように変えればいいか分かりませんでした。もしくわ、どうしても語りにくい部分はヤンさんに変えてもらっていましたが、中級では自分で変える作業をするのです。口にのらない言葉、例えばはらっぱ→野原、ごてん→お城と言い換えたり、不要な接続詞や文は削除し、足りないところは付け足す、文の前後を逆にして分かりやすくしたり、三回の繰り返しは同じ言葉でそろえる、などなどです。そして、自分だけのテキストができるのです!

中級クラスでは発表された方から、手を加えたテキストのコピーをもらえます。そのテキストを見ながら勉強しますが、家に帰ってからもこの人はこんな風に手を加えている、と新たな発見や復習もできます(^^♪

次回中級クラスは11月24日(火)、商工会館にて9時~12時です。場所と時間がいつもと違いますので、間違えないようお気をつけください。

昔話の解釈ー七羽の烏6👩👩👩👩👩👩

マックス・リュティ『昔話の解釈』を読む

第1章七羽の烏

なかなか進まへんねえ(笑)
ちょっと急ぎの仕事が入ってね。やっと今日送り出したから、次の仕事の締め切りまでにがんばらなくてはヾ(•ω•`)o

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グリム童話KHM49「六羽の白鳥」とアンデルセンの「野の白鳥」と、口承資料にある類話の三つを比較しています。
口承資料は、スウェーデン生まれでホルシュタイン地方に暮らした74歳になるベント夫人というかたの語りです。リュティさんは、部分的に引用してるだけなので、全文が読みたい。でも、翻訳されたものはどんなに探しても見つからなかったです。残念!

ラストの呪いが解ける直前の場面です。

ベント夫人
王妃は編みに編んだ。荷車の上に乗せられ、その車に罪人用のろばがつけられたときも編んでいたし、車が動き出した時もなお編んでいた。王妃はシャツを全部たずさえていた。町の外れで王妃は焼き殺されることになっていた。そこへ行く途中も王妃は残った袖を編み続けていた。

アンデルセン「野の白鳥」
みすぼらしい馬が王妃の乗った車を引いていた。王妃は粗い麻布の上っ張りを着せられていた。その長いみごとな髪はバラバラになって美しい顔の回りに垂れていた。ほおは死人のように真っ青で、唇がかすかに動いていた。でも指は緑の糸を編み続けていた。死に赴く道すがらも王妃は、手を着けた仕事をやめはしなかった。十枚のチョッキが足もとに置いてあった。今は十一枚目のチョッキを編んでいるところだった。

アンデルセンはかなり書き込んでいますね。
これを、リュティさんは、詳しい描写が、なんと押しつけがましく、弱々しく聞こえることかと言っています。ベント夫人の簡潔で力強い語り口に対して、この大作家(アンデルセン)の言葉がなんとうつろに響くことかと言います。
ベント夫人の語りは、妹の心の苦しみ、自分自身との闘い、疑いと惑いについては一言も触れていないけれど、「編む」という言葉の積み重ねの中に、耐えがたいほどに高められる内面的緊張が表れています。
昔話では、基本動詞を使って行動をあらわす。そして、その行動に内面があらわれるのです。

つぎは、いよいよ火あぶりにされる場面です。

ベント夫人
お妃は一言も口をきかないで、編み続け、とうとう袖を仕上げた。ちょうどそのとき薪に火がつけられた。すると11羽の白鳥がお妃の周りに下りてきて、お妃の膝の上にとまったように見えた。「妹や、さあ、お話し」と、白鳥たちが言った。

グリム「六羽の白鳥」
薪の山の上に立たされ、いよいよ火がつけられるその時、お妃は空を見上げました。すると、六羽の白鳥がこちらへ飛んでくるのが見えました。お妃の心は喜びでいっぱいになり、「ああ、神さま、これで苦しい時が終わりますように」と、心の中でいいました。

グリムでは、妹の内面描写があります。
ベント夫人は、兄たちが助けに飛んでくるときの妹の喜びは語っていません。事柄だけを述べています。
リュティさんは、この場面のグリムの語りを文飾だと批判しています。昔話的でないのです。

とまあこんな感じで、昔話の再話って難しいですね。

次回は、「七羽の烏」にもどって、妹が指を切る場面を考えます。

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今週は日本の昔話を更新しましたよ~

秋の贈り物、おすそわけ~

もひとつ

ふふふ、もうひとつ

ありがと~~~

 

 

高校生に絵本📖

今年も、高校の保育の授業で、絵本の講義に行ってきましたよ~
いつもは1学期なんだけど、今年はコロナ禍の関係で2学期になりました。

昨日はレクチャーと、何冊か読んで、「読んでもらう体験」をしてもらいました。

レクチャーは、絵本とは芸術である、子どもにはホンモノを提供しなくてはならない、というところから話しました。
絵本っていうのは、物語(文学)と絵画とが一体となったもの。文学も絵画も芸術ですよね。子ども向きだからといって、いいかげんに作ってはいけないし、実際、よい絵本はたくさんありますね。

よい、子どもの文学の条件は、
1、人生を肯定的にとらえていること
2、主人公と一体となって主人公の体験を追体験できる力を持っていること
3、結末が満足できること
これが、幼い子どもの育ちにとって、よい文学の条件だと思うのね。

絵は、物語をより詳しく、豊かに、拡大し、補うものであってほしい。

そんな話をした後で読んだのが、以下の本です。
コロナ対策で机を離して座っているので、いつもの親密感がなくて寂しかったけど。それでも、幼い子と同じようなキラキラした瞳で聞いてくれましたよ。

1、『ぐりとぐら』 なかがわりえこ・おおむらゆりこ 福音館書店
2、『はらぺこあおむし』 エリック・カール作/もりひさし訳 偕成社
3、『おにぎり』 平山栄三 福音館書店
4、『かあさん、だいすき』 シャーロット・ゾロトウ文/シャーロット・ヴォーク絵/松井るり子訳/徳間書店
5、『いない いない ばあ』 松谷みよ子 童心社
6、『ばいばい』 まついのりこ 偕成社
7、『よあけ』 ユリ・シュルヴィッツ作/瀬田貞二訳 福音館書店
8、『とらっくとらっくとらっく』 渡辺茂男文/山本忠敬絵 福音館書店
9、『やさいのおなか』 きうちかつ  福音館書店
10、『もこ もこもこ』 谷川俊太郎文/元永定正絵 文研出版

来週は生徒たちがお好みの一冊を持ってきて、読んでくれます。
楽しみ~~~

 

10月のおはなし会🌰

10月12日(月)
幼稚園4歳児 ラス
ろうそくぱっ
おはなし「三匹のくま」『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』村上再話
ろうそくぱっ

今年度2回目。まだ2回目なのに、なんて上手に楽しそうに聞いてくれるんでしょ。
子どもたち、嬉しくて仕方がないんですね。
わたし「はい、おしまい」
子ども「おもしろかった~」
さようならをした瞬間、ひとりの子が抱きついてきて、それを合図にわらわらと子どもたちが抱きついて来て、窒息しそうになった(@^0^)
あ、コロナやしね、内緒よ。ここだけの話ね(笑)
帰宅後の手洗い洗濯。長く続けるために、がんばろ~

園長先生の、子どもは今を逃してはいけないという時期があるんですという言葉が、心に深くしみこみました。
小学生だって同じだと思うんだけど、学校ではどうして言葉と心の教育は後回しになるんだろう。

10月15日(木)
幼稚園5歳児 1クラスずつ2回
ろうそくぱっ
三枚のお札
ろうそくぱっ

さすが年長さんですね~
きちんと並べた椅子に、おりこうさんにちゃんと座っていました。
小学生みたいやなあと思いました。
それでも後ろの列の子は横から顔を出したり、ちょっと立ち上がったりして、一生懸命見て(聴いて?)いました。
絶対はずさない「三枚のお札」なんだけど、前回が半年ぶりだったし、座り方もソーシャルでスタンスだし、わたしはマスクだし、最初は少し緊張しました。
でも、鬼婆が出現するころには、いつもとおんなじ(^∀^●)
約10分の熱演(笑)を2回は、窒息しそうになった(@^0^)

今月はおはなし会はこれでおしまい。
なんだか寂しいけれど、それでも報告ができるようになって嬉しいな。