西予市講演会 その2 まなびあん

愛媛県西予市の卯之町に、図書館があります。正式の名前は、図書交流館です。
愛称は、まなびあん
その呼び名どおりあたたかで親しみのある雰囲気の図書館です。
2019年に新築されました。

こちらが外観。車が停まっている奥が玄関です。
雨模様でちょっと暗いね。

 

中へ入ってみましょう。

キッズルームや、授乳室もあります。
ゆったりとソファーでくつろぐこともできます。

こちらが図書室です。
吹き抜けです!ほっとします。
地元の木材を使った、ぬくもりのある内装です。

このむこうが階段。上っていくと・・・

 

おはなしの部屋です。

 

こちらは学習室。
見下ろすと・・

 

午前10時から午後8時まで開館しています。
詳しくは、まなびあんのホームぺージからどうぞ⇒こちら

講演は多目的ホールで行われました。
感染対策のため机の間隔を開けていましたが、ふつうなら100台以上の机が並ぶと思います。
当日は、一番後ろの席まで、いっぱいの参加で、とても熱心に聞いてくださいました。

「西予市読書推進活動グループ研修」ということで、ふだんから学校等でおはなし会をされている方々が中心に参加されていました。
こんな遠いところでも仲間がいるのだなあと、当然のことを実感できて、ちょっと感動。

わたしの話のテーマは「子どもたちに語りの世界を」です。

前半は、語り(素話)が子どもの想像力を育むことをお話しました。
かつて子どもからもらった絵がないから自由に想像できて楽しいという言葉を伝えたいと思ってお話した次第。
「七羽のからす」(『おはなしのろうそく10』東京子ども図書館)
「あなのはなし」(『おはなしのろうそく4』)
「命のろうそく」(語りの森HP⇒こちら
を語って、子どもたちがどんなふうに話を聞くのかを、具体的に示しました。

後半は、昔話から学ぶ
昔話が、人から人へ対面で伝えられてきたこと、それで、語りの場が語り手の愛情と聞き手の信頼とで成り立ってきたことをお話しました。
そして、読書ボランティアとして、物語を子どもに伝えるとき、その場を、いろりばたのような愛と信頼の場にしたいと、いっつもいってることをお話しました。
語ったのは、
「ねずみのもちつき」(語りの森HP⇒こちら
「酋長カイレ」(『語りの森昔話集2ねむりねっこ』⇒こちら

質疑応答の時間が25分あったんだけど、みなさんとっても活発に的確な質問をしてくださいました。
これをきっかけに、語りを志すかたがおひとりでも生まれたら嬉しいなと思いました。

反省:いつもなんだけど、ちゃんと原稿を作って行ってるのに、話し始めると、言いたいことが次々あふれてきて、時間切れになってしまったT_T

はい、きょうはここまで。
次回は卯之町散策~

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昨日忘れてたおはなしひろばを更新
「せんりょうばこ」
ひとつ何かするとひとつ忘れる!
あかん、あかん。がんばろ!

 

あったかペーチカ

6月7日(火)

雪の降る夜は 楽しいペチカ~♪
ペチカもえろよ お話しましょ~♪
むかしむかしよ もえろよペチカ~♪

みんなで声を合わせて歌うのって、素敵だなと純粋に思いました。
心がほっこり温まりました。「ペチカ」はやっぱりいいですね~

おはなしのプログラム
1.「心臓がからだの中にない巨人」 おはなしのろうそく22
2.「わたしがテピンギー」 同名絵本
3.「さきぼそガラスの神」 語りの森HP
4.「地獄へ行った吉兵衛さん」 『語りの森昔話集2 ねむりねっこ』語りの森
5.「むずかしい遺産分け」 語りの森HP
6.「ヨーナスの馬」 語りの森HP
7.「つぐみひげの王さま」 『語るためのグリム童話3』小峰書店
8.「ひなどりとねこ」 『子どもに聞かせる世界の民話』 実業之日本社

「地獄へ行った吉兵衛さん」を語られた方が「来年のことを言えば鬼が笑う」ということわざについて、ある新聞に載っていたと教えてくれました。
ポケモンのことわざ大百科という記事で、未来を見通せる「キルリア」が出てきて、子どもたちにも分かりやすく紹介されていました。
ほかにも、松岡享子さんが語られた「ひなどりとねこ」はとても感動したというお話や、小学校での朝学おはなし会で、途中チャイムが鳴っても、まるでチャイムが鳴っていないかのように、おはなしを進めるという手腕をお持ちの方のお話も聞けました。

月に一度のペーチカの集まりは、心に栄養が補給されますね~

次回のペーチカは7月3日(日)10:15~です。

西予市講演会 その1

愛媛県西予市の図書館にお招きいただきました。

その報告なんですけどね、まずは地理的なことお話しますね。
西予市のかたがたが京田辺市をご存じないように、日本国じゅう知らない所って多々ありますよね。特に、合併で市町村名が変わっちゃって、余計に「当たりをつける」のも難しくなった。
西予の予は伊予の国の予。だからかつての伊予の国の西部ですね。
山あり海ありの自然豊かなところで、ジオパーク(地質遺産)に認定されています。その自然と人々が共存している土地です。

生まれてから今まで、いわゆるベッドタウンに暮らしている根無し草のわたしには、土地の人々との交流(といってもほんのわずかでしたが)が、とっても刺激になりました。
地域愛がうらやましかったです。

さてさて、コロナ後初めての遠出です。
旅はしょっちゅうしてますが、こんなに久しぶりなのは初めてで、どきどきでした。しかもまだコロナ終息してないし。

娘「防護服着て行きや」
わたし「うん。両手にシュッシュ持って」

あさ8時半、JRの最寄り駅から出発して、新幹線で岡山へ。岡山から特急に乗り換えて予讃線で松山。乗り換えて卯之町。「うのまち」と読みます。
15時過ぎに到着しました。
「坊ちゃん」で有名な松山から特急で約1時間です。

感覚としては、大阪までの在来線以外は、感染対策がしっかりしていて、恐れることはありませんでした。

座席はずっと海側をとっていたので、ほんと久しぶりに海を見てうれしかった~

あ、それからね、岡山からの特急、アンパンマン列車やったんですよ~
旅の初めから、ひとり盛り上がりました\(0^◇^0)/
ご紹介~

それで、子ども用の座席がこれ!

アンパンマンのマーチは、語りの森総会の歌でもあります。
できるだけ早い時期に、総会で歌いたいです。

あ、そうそう、講演で「七羽のからす」についてお話したんですけどね。
主人公がガラスの山の前で、自分の指を切り落としてカギ穴に差し込むことの象徴的な意味。
自分が兄さんたちを見つけ出して呪いを解いてあげなければと決心して、世界の果てまで旅をしますよね。太陽や月に脅かされたけど、親切な援助者の星に出会って、ひな鳥の骨(ガラスの山の戸を開くかぎ)をもらいます。
そのキ―をなくしてしまう。
大事なものをなくす経験はだれにもあります。特に子どもには。
だから、子どもたちは、この時の娘の焦りと絶望を知っています。
「どうすればいいでしょう」
この時、主人公は、思いがけない行動に出ます。自分の指を切ってキーにするのです。
リアルに情景を見ている、というか、主人公になり切っている子どもは、ハッとしますね。時には自分の指をにぎりしめたりします。
子どもは、この自己犠牲の行動を物語のなかで体験するのです。
とてもとても大事な経験です。
ここまでは講演の内容。

あとで気がついたんだけど、「七羽のからす」の主人公とアンパンマン、おんなじだと思いません?
自分の頭をちぎって、おなかのすいた人にあげる。自己犠牲ですよね。
じつは、やなせたかしさんが、最初にアンパンマンを世に問うた時、大人からの批判が相次いで、本が売れなかったんだって。頭をちぎるのが残酷だからって。
ところが!
子どもが絶大な支持をしたんだって!
それで続編が出て、シリーズが出て、アニメになって~~~

子どもは本当のことを知っている。

ああ、総会でアンパンマンのマーチ、歌いたいよ~
やなせたかしさんは、高知県出身で、それでJR四国ではアンパンマン列車を走らせてるのです。
高知にはやなせたかし記念館もあります。行ってみたいなあ。

はい、今日はここまで。次回に続く~

 

 

ホームズ君🕵️‍♂️ 切りたくもなし

和尚さんが檀家から梨をひとつもらって、それを3人の小僧さんに分けてやります。ひとつしかないから、一番上手に歌を詠んだ者にやるっていうんですね。ただ、歌に条件があって、下の句は「切りたくもあり切りたくもなし」。その上の句を作れっていうんです。

それで小僧さんたちが詠んだ上の句は、こんなのです。
小僧1 うぐいすが踏みちらしたる梅の枝 切りたくもあり切りたくもなし
小僧2 すずり箱長きにあまる筆の軸 切りたくもあり切りたくもなし
小僧3 梨ひとつくれぬ坊主の生首を 切りたくもあり切りたくもなし

和尚さんは腹を立てて、梨を投げつけます。小僧3はそれをキャッチして食べちゃったって話。

話型名は「切りたくもなし」。分布は全国に広がっているそうです。
笑い話の中の狂歌話のひとつです。
狂歌っていうのは、滑稽や社会風刺を詠んだ和歌のこと。
和歌をめぐって風刺したり笑いをとる小咄です。

優雅なのか、お下品なのか、よく分からないけど、おもしろいなあ。
「梨」だから、「切りたくもなし」って、しゃれね。

この小僧さんが詠んだ上の句、ほかの類話にどんなのがあるか調べてみました~
(ひまやね~)

小僧1 十五夜の月にかかりし松の枝
小僧2 寺入りの文庫にあまる筆の軸
小僧3 梨ひとつくれぬ坊主の細首を
山梨県の話

小僧1 月隠す庭の小松の細枝を
小僧2 すずり箱や入りかぬる筆の柄を
小僧3 梨ひとつ惜しむ和尚の生首を
大分県の話

豆腐屋の小僧 今朝とうに豆腐半丁買いにきて
筆屋の小僧 今朝とうに筆を一本買いに来て、筆の毛先が長すぎて
寺の小僧 梨ひとつ惜しむ坊さまの生首を
愛媛県の話

などなどなど。
小僧がふたりしかいない場合とか、和尚さんが小僧3をほめて梨をやるとか、いろんなバリエーションがあります。
ほぼ共通してるのは、松とか梅とか風流なもの筆の軸和尚さんの首、です。

なんで、こんなことを話題にしてるかというとね、先日の再話入門講座で、出雲の「切りたくもなし」が原話として出てね、その狂歌の意味が分かんない~
こんなのです。
小僧1 鶯に踏みにじられた梅の枝
小僧2 父親にけさでもろうた筆の軸
小僧3 梨一つ惜しむ和尚のそっ首を

小僧2が分からない~
けさでもろうた???

「けさで」の意味。
1案 和歌だから、古語を使っていると考えて「け(消)さで」⇒「消さないで」
う~ん、意味不明やね。それに、小僧1「踏みにじられた」は古語なら「踏みにじられし」となるはず。つまり、小僧たちは古語ではなく口語を使っている。
2案 口語なら、地の文を含めぜんぶが土地言葉で語られていることから、「けさで」も土地言葉、つまり方言かもしれない。だれか出雲の土地言葉を教えておくれ~
3案 類話的に見て、筆の軸が長くてじゃまになるって言っていますね。それって、ヒントにならないかな?????
4案 研究者が語り手から聞き取るときに、聞き間違えた。または、書き写すときに書き間違えた。~笑笑笑

と、ヤンの推理は、八方ふさがりです。
ホームズ君、教えておくれ!

さてさてこの原話を持って来てくださったFさんは、どない解決するのでしょうか~?
楽しみ~

再話って、けっこうこういうことがあるんですね。
それで時間がかかるし、しかも、結局は完成できなかったりもするのです。

でも、「切りたくもなし」、いい再話ができて語れたらいいのにな~
楽しみです\(@^0^@)/

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きょうのHP更新は外国の昔話。
ハンガリーの「ヤーノシュと天までとどく木」
高学年向きの長~いはなしです。

 

 

 

 

5月のプライベートレッスン

最近、日中は真夏の気温の日が続いています。
でも朝晩は寒いと感じるこの気温差がね~~( ;∀;)
今月のプライベートレッスンの報告をします。

1日目
語り
「七羽のからす」『おはなしのろうそく10』東京子ども図書館
テキストを日常語になおす
「一休さんの大きな話」 語りの森HP日本の昔話 → こちら
2日目
テキストを日常語になおす
「聞き耳」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』語りの森

共通語のテキストを日常語になおすときに、丁寧な敬語をつかっている台詞をどうすべきかという質問がでました。
受講者さんは「丁寧なままでおいておくか、丁寧ではなくなるけれども自分の言葉になおすか、決めかねる」という感じであったと思います。
選択肢は、
話全体を自分の言葉に変える(丁寧ではなくなる)
敬語を使うべき立場の人の台詞だからそのまま生かす
自分がその立場だったらしゃべるであろう自分の丁寧な言葉にする
の3つですね。
そしてそれはどれを選んでもよいそうです。
どれを選ぶかを自分で決めるということは、話の解釈と自分の言葉とをよ~く考えて決めるということでしょうね。
話によって最適と思う言葉を選ぶのはとても難しい。

聞いていて、自分では日常語のテキストに変えることを慣れてきたなと思っていましたが、は~~、やっぱり時々雷に打たれるような(笑)「すんませ~ん、ぬけてました~~」と反省しました。
休んだら気が抜ける。
回し車をまわすハムスター?!(笑)
そんなにかわいいか! と、突っ込まれそうですが、勉強し続けないといけないなと思ったのでした。
また、どんな気付きを得られるか、来月も楽しみです(*^▽^*)