はじまりの話💫

《外国の昔話》に新しいコーナーを設けました。
〈はじまりの話〉です。
〈動物たちの話〉〈まほうの話〉〈人間たちの話〉〈おかしな話〉のあとに〈はじまりの話〉というバナーを入れたので、そこをポチっとしてみてください。⇒こちら
すると、「はじまり話リスト」のページが開きます。⇒こちら

すると、まずは台湾の「太陽を射る」が掲載されています。どうして月が生まれたかという話です。
つづいて、アラスカの「ワタリガラスが星と月と太陽を盗んだ話」があります。空に星と月と太陽が生まれたわけが語られます。
次にインドの「月のうさぎ」が載っています。
「月のうさぎ」は、お月さまでうさぎがお餅をついている話のもとになった話です。このうさぎは、お釈迦様の前世のすがたです。

というわけで、この世が生まれたころ、地球に人が住み始めたころのことを物語る話を集めています。世界じゅうの民族が、そんな原初の話を持っています。
人びとのとても豊かな想像の翼を感じます。

日本じゅう、世界じゅうに、貴重な美しい物語がちりばめられています。
この世での時間が許される限り、届けていきたいと思います。
願わくば、みなさんの手で次の人たちへ語り継いでくださいますように。

 

貧乏神大会

11月30日の日曜日、素晴らしく良いお天気の中、語りの森総会・貧乏神大会が行われました。
2019年までは、毎年行っていた語りの森総会ですが、コロナになってからは開催しませんでした。
しばらくやらないとなるとエネルギーがチャージできてきて、再開しようかという気持ちになってきました。
そんなところへ、貧乏神のおはなしにはまっていた方がたくさん読んで勉強されていて、またそれに興味を持った人や共感した人がいて、ヤンさんがたくさんの貧乏神の話を再話してくださって、「もうこれは貧乏神大会やな」という話になったのが、いつかのあったかペーチカの会のことでした。
そして、やるとなったら近隣の方々にも声をかけまして、当日はたくさんの方に来ていただきました。
はじめに、いつものようにみんなで「アンパンマンのマーチ」を元気よく歌って始めました。
そしていよいよお話会の始まりです。
プログラムは、以下のとおりです。

1 びんぼうこびと(ウクライナ) 『おはなしのろうそく26』 東京子ども図書館
2 貧乏神の土産(山梨)  『甲州昔話集』 土橋里木(再話)
3 腹を立てた貧乏神(山口)  『語りの森昔話集6』 村上郁
4 貧乏神(兵庫)  語りの森ホームページ 《昔話雑学》→こちら
5 貧乏神(岩手)  『日本の昔話5』 おざわとしお
6 なまけ神(山梨)  語りの森ホームページ 《昔話雑学》→こちら
7 相撲をとる貧乏の神(福島)『おはなしおばさんのおはなし春夏秋冬』藤田浩子
8 貧乏神と福の神(香川) 『香川県佐柳島・志々島昔話集』 武田明(再話)
9 貧乏神とかた袖(広島)  語りの森ホームページ 《昔話雑学》→こちら
10 貧乏神(宮崎)  語りの森ホームページ 《昔話雑学》→こちら
11 貧乏神(東京)  語りの森ホームページ 《日本の昔話》→こちら
12 びんぼう神の小僧(新潟)  『雪の夜に語りつぐ』 笠原政雄(再話)
13 貧乏神(兵庫)  『語りつぎたい日本の昔話5』 小澤俊夫
14 腹を立てた貧乏神(山口)  『語りの森昔話集6』 村上郁
15 貧乏神(鹿児島)  語りの森ホームページ 《昔話雑学》→こちら
16 何がこわい(京都)  『石のカヌー』 昔ばなし大学再話コース
17 貧乏神(岩手)  『日本の昔話5』 おざわとしお
18 なまけ神(山梨)  語りの森ホームページ 《昔話雑学》→こちら
19 なんにもないさん(ロマ)  『世界のメルヒェン図書館6』 小澤俊夫
20 福の神と貧乏神(リトアニア)  『世界の民話33』(再話)
21 東風夜雨(中国)  語りの森ホームページ 《外国の昔話》→こちら
あの子ものがたり(広島)  『広島県の民話』 日本児童文学者協会

ね! すごい数でしょう!!
日本の貧乏神だけでなく、世界の貧乏神もあります。
再話と書いてあるのは、勉強会や、勉強会を経たメンバーが原話から再話した話です。

いろいろな貧乏神がいて、そして日本と外国に同じような貧乏神の話があるんです。
2時間にわたるノンストップのお話会でしたが、あっという間というか、飽きないというか、同じ話も入っているのにすべてが違う話として楽しめるというなんとも幸せな時間でした。
お話会の最後には、本の紹介と共に、幼いころに戦争を体験された語り手さんが、広島で原爆の落ちた日のことをお話ししてくださいました。
今年は昭和100年、そして戦後80年の節目の年です。
長年いっしょに勉強してきた仲間の語り手さんに、今回原爆の日のことをお話していただき、改めて考えさせてもらってよかったと思います。
実際に目にしたことを語ってもらうということはこんなにも人の心をつかむのだとよくわかりました。

お話会のあとは、交流会でした。
お弁当を食べながら、ワイワイガヤガヤの時間です。
いつも勉強会でお会いしている人びと、こういう時でないとめったに会えない人びと、お話会の感想や日ごろの活動、日々の生活のことまで、お話は尽きません。
それでも時間は過ぎて行く。
いつまでもしゃべっていたいけれども、遠くから来ておられる方もおられますし、晩御飯の用意もしなくてはなりません。
15時に終了・撤収・解散となりました。

準備から当日の役割担当まで、たくさんの仲間の方にお手伝いいただきました。
イスならべなどはそれこそ来ている方全員でやっていただきました。
みなさん、本当にありがとうございました。
すべての設定をしてから開場するのではなく、来てくださる方といっしょに入っていっしょに設定をする人使いの荒い、いやいや、参加者が一体となっておこなう語りの森総会でした。
みなさん、お疲れさまでした~~

おきてばんばのつ〜らみろ

「おはなし会はじまりまーす」と呼びかけて回るのですが、1年生の女の子2人が一緒に回ってくれました。11/29(土)図書館のおはなし会は子ども9人、大人7人でした。

手遊び どんぐりころちゃん

おはなし「三枚のお札」『日本昔話百選』稲田浩二・和子/講談社

絵本「おやさいめしあがれ」視覚デザイン研究所/作 髙原美和/絵

絵本「ばばばあちゃんのやきいもたいかい」さとうわきこ/作 福音館書店

絵本「これは、わにです。」ヒース・マッケンジー/絵 岩崎書店

絵本「よくみると…」shimizu/作・絵  Gakken

手遊び さよならあんころもち

秋も終わりの頃ですね〜。みなさん栗やサツマイモはたくさん食べましたか〜?「三枚のお札」で栗拾いに行った小僧さんは、誘われるがまま、おにばばの家にあがってしまいました。雨だれの音が「おきてばんばのつ〜らみろ」と小僧さんに警告します。そこの緊張感がたまりません!走って逃げて、最終的に豆粒程に小さくなったおにばばを、和尚さんがお餅にはさんでパクッ、ガリッ。「はーこわかった」で子どもたちからは「ながいー!」の声。そうなんです、おはなし会時間は残り半分に差し掛かっていました。小さい子も少し大きい子もみんなよく聞けました。最後の2冊の絵本、見る事をばっちり楽しむ絵本ですね!子どもたちは、食い入るように見てました。あれこれ声もあがって楽しみました。最後、あんころもちを作って締めるのがお決まりですが、常連の女の子が「あきたー作らへん」となると小さな子も真似して同意(笑)そして、子どもは誰一人あんころもちを作らないという事態になり、ちょっと面白かったです😂明日から12月ですし、だんだん寒くなるけど、みんなおはなし会に遊びにきてね〜!

11月の大人のためのおはなし会

冬の寒さにやっと身体が慣れてきました。風邪も流行っているみたいですので、睡眠をしっかりとって、温かくして過ごしたいですね。大人のためのおはなし会は、3名の常連さんが来てくれました。

テーマ〈猿〉

絵本 「おさるがおふねをかきました」 まど・みちお/詩  東貞美/絵  国土社

おはなし 「猿婿」日本の昔話1 おざわとしお/再話  福音館書店

絵本「ぽっかぽかだいすきおさるさん」福田幸広/文・写真 ポプラ社

絵本「おさる日記」和田誠/文 村上康成/絵 偕成社

手遊び さるかにかきジャンケン

絵本 「さる・るるる」五味太郎/作 絵本館

おはなし「さるかに合戦」語りの森昔話集4/おもちホイコラショ  語りの森

絵本「さるさるおさる」乾栄里子/作 髙畠那生/絵 金の星社

おはなし「さるの海岸見物」語りの森昔話集2/ねむりねっこ 語りの森

猿のありのままの姿や性質、人間が感じてきたさるの本質が詰まったプログラムとなりました。「かわいいな〜」と「猿はやっぱり猿だな〜」という両面を堪能しました。自然に近い村里では、猿と人間は近しい関係であったことを昔話からも感じました。また、町中に出た猿と横断歩道を渡った事を思い出した参加者さんの話も飛び出しました。綺麗な毛並、穏やかな猿だったそうで、食べ物が豊富にあると動物も人間も争わずに暮らせるな〜と言われていたのが印象的でした。昔は、動物と人間とのほどよい関係が保たれ、親から子へ継承されていたからよかったのですが、村里が無くなったり、限界集落が増えることで、人間を知らないお腹を空かせた動物達が町へ出てきています。お互いに「大変だー!」とびっくりしている状況です。新しい関係を作ることができるだろうか?と思いを巡らせました。猿のことをもっと知りたくなりましたし、人間は本当に猿から進化したのだろうか?!と疑問も湧きました。姿は似てますが、中身が全然違います。でも、最近は(いや、ずっと)人間も凶暴化していて猿らしい一面を露出しているなとも思います。おはなしを純粋に楽しみつつ、テーマを決めたプログラムだからこそ、撒いた種が深く根付くんですね。充足した余韻を数日経っても味わうことが出来ています。子ども達にもこんなふうに手渡したいです。

さて来月は、12/19(金)テーマは〈音楽〉です。楽しみですね〜。みなさま、ぜひ遊びに来てくださいね☺️

おはなし入門講座 第3回

たいへん遅くなりましたが、ききみみずきんより、11月18日「おはなし入門講座」第3回のご報告です。

 

今回は、「どうやっておぼえるの?」

おはなしの覚え方と語り方がテーマでした。

講座の内容に入る前に、前回の宿題、受講者それぞれが選んだおはなしのテキストのコピーを提出しました。そのお話を選んだ理由も聞かせていただきましたが、皆さん思い入れや魅力を語ってくださり、今から来月の発表が楽しみになりました。

さて、講座第三回はヤンさんの語り「三びきの子ブタ」から始まりました。石井桃子訳『イギリスとアイルランドの昔話』(福音館書店)のテキストです。最初と二番目の子ブタがオオカミに食べられてしまったり、三番目の子ブタがオオカミを食べてしまう結末など、みんなが知っているお話との違いを話し合いましたが、これがイギリスに伝わるオリジナルの昔話であることを聞きました。昔話の一見残酷に思えるストーリーが実はそれこそが子どもに必要なものであることなど、昔話の魅力の一端に触れて、いよいよ覚え方に入っていきます。

まず最初にすることは、ストーリーをおぼえる

①全体を声に出して何回か読む

この時、ただ文字を追うのではなく、場面をイメージしながら読みます。物語が映画を見ているかのように脳裏に再現できるまで読みましょう。この時に築いたイメージが、覚えるときにも、そして何より、語るときに重要なカギになってきます。おろそかにしてはいけないと改めて思いました。

②あらすじを書く

元のテキストを見ないで書き出してみましょう。テキストと照らし合わせて、抜けている部分や思い違いをしている部分をチェックします。

③意味段落に分ける

小学校の国語の授業でやった、あれです。意味段落の目安として、

1.場面が変わったとき

2.時間が経過したとき

3.登場人物の出入りがあるとき

があげられます。みんなで「三びきの子ブタ」の段落分けをやってみました。エピソードがきちんと三回繰り返され、出てくるモチーフの順序も定まっていて、形の整ったおはなしだということがよくわかりました。

さて、いよいよ覚えていきます。

一日に一段落ごとおぼえる

段落をさらに一度に覚えられる長さで数行ずつに分けて、しっかり大きな声を出して繰り返し読みましょう。自分の声を耳から聞くことで覚えられますし、大切にしたいのは言葉のリズムを感じ取ること。よいおはなしは心地よいリズムを持っているのです。

イメージしながらおぼえる

細かいイメージを深めながら覚えていきます。実際に見たり、体験したことをイメージするのもよいでしょう。語り手のイメージがそっくりそのまま聴き手に伝わるわけではありませんが、語り手の発する言葉にリアリティを与えます。これは、私はストーリーテリングに出会ってから実感するようになりましたが、お芝居でも、スピーチでも、国会答弁でも、話す人が言葉にどれだけの思いを込めているか、伝わり方が全く違います。イメージすること、これがストーリーテリングの肝といっていいと思います。

一つの段落を完全におぼえてから、次の段落に移る

意味段落で覚えることで、自然に語りの間も生まれます。そして、大事なポイントが、次の日は前の日に覚えた段落を復習しないこと。それを繰り返すと、初めに覚えた段落の練習ばかり重なり、後に覚えた分と練習量が変わることで、イメージの深み、ひいては語りの厚みに差が出てしまいます。結末が尻すぼみになってしまっては、どんなハッピーエンドも台無しです。これはその後いくら長く続けてもその蓄積は変わることがありませんから、おはなしのバランスは永遠に失われてしまいます。こわいですね!

すべての段落をおぼえたら、初めて最初から最後まで語ってみる

すると、当然ですがたくさん忘れているところがあります。そこはテキストを見て修正し、必要に応じて重点的に練習します。

最初から最後まで覚えたら、以降は日常的に語って練習します。家事や散歩をしながらでも、ぶつぶつぶつぶつ語って、自分の口に耳に、お話をなじませてしまうのです。ヤンさんはよく「寝ていても語れるように」とおっしゃるのですが、そこまでいけば、もうそのおはなしは、あなたのものです。

もっと早く覚える方法はないのか?と思いますが、時間をかけて、じっくりお話を付き合うことが大事です。そして、聞かせたい人に語って、反応が得られれば、おはなしは立体化します。

物語を耳から聞いて想像して楽しみたいという普遍的な欲求があるのではとヤンさんはいいます。古代エジプトの昔話に、現代にも伝わる昔話の類話があるとか。スマホ全盛の時代ですが、子どもは今も昔も変わっていません。子どもたちはおはなしが好きです。その想像力も、純粋さも、正義感も失われてはいません。子どもたちに、よいおはなしを届けて、よりよい未来につなげていきたいと思います。

最後に語り方のポイントを。

上手に語ろうとしない

話しなれない口調や声色を使ったり、大げさに演技したりせずに、気取らず、自然体で語りましょう。聴き手は語り手を見に来ているのではなく、おはなしを楽しみに来ています。語り手は前面に出すぎてはいけません。聴き手に、物語を手渡すのみです。

最後まで語る

語り始めたら、忘れようとも間違おうとも、とにかく結末まで語ること。語りは、聴き手への「おもてなし」です。責任をもって、お話を終わらせてください。言葉が出てこないときは、自分のイメージから言葉を絞り出して、先に進む。ここでもイメージが助けてくれます。おはなしの力を信じることです。結末に向かって、主人公が連れて行ってくれると信じて、語りましょう。

今回も主催側である私たちにとっても有意義な講座となりました。

受講生の皆さまには、会場の変更によるご不便をおかけしましたこと、また資料配布に不手際がありましたことお詫び申し上げます。

次回12月16日はいよいよ最終回、実際に語る発表会です

楽しいおはなし会になると思います!どうぞ皆さん、かぜなどおめしになりませんように!