ふかいことをおもしろく📖

図書館でふと手に取った一冊、井上ひさしの『創作の原点 ふかいことをおもしろく』PHP研究所
井上ひさしさんといえば、「ひょっこりひょうたん島」。子どものころ、父の週刊誌をとばし読みしていて、この人の連載記事を読んでは笑っていたのを思い出します。
小説家にして劇作家です。

標題の『創作の原点 ふかいことをおもしろく』は、インタビューをもとにまとめたもの。とっても読みやすかったです。
でね、この歳になったから心に響く言葉もあった。
たとえば、

明日命が終わるにしても
今日やることはある

自分が使いこなせる言葉で
ものを考えることが大切

「それ、わかりませんので教えてください」
と無知のふりをして聞き返せばいい
やっぱり無知が一番かしこいのです

井上ひさしさんが、座右の銘にしていた言葉
むずかしいことをやさしく、
やさしいことを深く、
深いことを面白く
は有名ですね。

それが語りと再話にもぴったり当てはまると気づいて、うれしくなりました。

かつて昔話の語り手は、人生や自然や命のありかたといったむずかしいことを、子や孫にやさしい言葉でやさしく語ったのね。
再話者は、資料に記録されているそのやさしい言葉を深く読み取り聞き取って、人間が伝えてきた大切なことをくみ取る。
その深いことを、たのしくおもしろい語りにして次の世代に伝えるのが語り手の仕事。

今日やれることを精いっぱいやっていこうと思えた本でした。

 

 

 

次の話は「三匹の…」🐷🐭

昨日から急に寒くなりました。
今まで暖かかったから寒さがこたえる~~
でも先週の土曜日のお話会の日はまだまだ過ごしやすい日で図書館もたくさんの人が本を借りに来ていました。
お話会の参加者は、子ども10人、大人10人。

手遊び く~るぽん
おはなし 「三びきの子ブタ」『イギリスとアイルランドの昔話』福音館書店
おはなし 「三匹のネズミ」『小さなおはなし集4』おはなしかご
絵本 『うし』内田麟太郎/詩 高畠純/絵 アリス館
絵本 『みちくさ』さとうわきこ/作 偕成社
絵本 『なにをたべたかわかる?』長新太/作 絵本館
絵本 『どんなくるまにのるでしょう?』鈴木まもる/作 小峰書店
手遊び さよならあんころもち

この日はまずウーカーさんが、「三びきの子ブタ」を語られました。
終わったらヤンさんにバトンタッチして、ヤンさんが「次の話は、〝さんびきの~~〟なんやと思う?」って言ったんです。
わたしは、「え! 三匹が続くの? 「三びきのくま」しか思いつかんけど…」と思っていたら、子どもらも何やら「ほかにさんびきってあるのぉ~」とか言ってました。
で、おはなしは「三匹のネズミ」だったんですけど、どんな話かというと、超々短い話でびっくりして笑いました。
おまけとも言えない話ですが、そうか、こういう風にプログラムの中に入れると楽しいプログラムになるというか、プログラムに動きができるというか、どう言ったらいいかわかりませんがコツのようなものを教えてもらった気持ちでした。
続く絵本の『うし』も人を食ったようなというか、ナンセンスなんですけどちょっと聞き手の期待をはぐらかすというか、「だから何!?」と突っ込まずにはいられないような絵本で流れが面白い!
これが今日のヤンさんワールドなのかと、スタッフだということを忘れてお話会のお客になっていました。
まあ、わたしはいつもそうなんですが(笑)

11月の語りクラス

少し間があきました。ヤンさんが復帰されましたので、4ヶ月ぶり講評ありの語りクラスです。

手遊び 「くーるぽん」

ねずみ経『子どもに語る日本の昔話2』こぐま社

こぶたのリコション語りの森昔話集4/おもちホイコラショ』語りの森

ホットケーキ『おはなしのろうそく18』東京子ども図書館

貧乏神『新しい日本の語り5』藤原ツヂ子語り/ 日本民話の会編/ 悠書館 より再話

森の家『語るためのグリム童話7』小峰書店

ヤンさん あなのはなし 『おはなしのろうそく4』東京子ども図書館

語法からおはなしを理解する、語法を頼りに語りを工夫する、語法が大事!というところに話が行きました。語法の勉強会は幕を降ろしましたが、勉強する機会がなくなるのは心許ない。そこで、新たに語法のクラスを開くことをヤンさんが提案してくれました。受講者が自分で取り組むクラスです。昔話の語法を理解し、浸透させることで、自分で判断していく力を培っていきます。語りもテキスト選びも再話にも、その力が活きてきます。語法クラス?!の参加が楽しみです(^^)

今回の講評で印象に残ったことは、‘しかけ’です。「こぶたのリコション」の冒頭で、地名ヴーヴレと聞いたときに「そんなところあるの?」と聞き手の気を引く。つまり、ちょっとかわった所の話と思わせるということ。知らない場所だからと説明的にフランスのヴーヴレとしてしまうと、その効果が弱まるのです。そういう事を意図して、ヤンさんは再話されているそうです。そうか~言葉によって心の動きが変わってきますもんね。全身で聞いている子ども達の感性を、ちょんと刺激するに留まる。高度な内容ですが納得しました。

最後に『ノート式』語りの力p14~p18を読みました。「あなのはなし」を例にとって書かれています。ありえない物を思い描く力、先を予想する力、もともと持っているものを、語りが引き出します。ふだんから語りを聞くことで、人間にとって最も大切な能力の一つである想像力が育まれます。…おはなしに聞き入っている子どもは、どの子もこれ以上にないほど聡明な瞳をしています。(一部抜粋)

今週、2年生のおはなし会があって仲間が「ジャックと豆の木」を語ってくれました。子ども達がおはなしをみんなで共有しながら、内側を生き生きと躍動させている姿がありました。自分が語っている時とは違って余裕があるので、隅々まで子ども達の様子を感じることができました。瞳や表情すべて、ときどき私の顔を見てくれる子もいたり。子ども達に教えてもらう大事な時間です。勉強と実践を重ねて、「おはなし会」のあるべき姿を想像して、よりよく自分で創造していけたらいいなぁと思いました。

次回は12/10(火)です。

ハサハサハサと・・・だれやっ!

ゆうべ。
ぐっとひと眠りして目が覚めた。

ハサハサハサ。ハサハサハサ。

何かおる(っ °Д °;)っ

うちには、巨大グモがいて、追い出しても追い出しても入ってくるので、「うちのタランチュラ」と呼んでかわいがっている。

それかな?

真っ暗闇の中、ハサハサハサ。ハサハサハサ。
走っている・・・?

いや、どうも空中を飛んでおる。
うちのタランチュラは、障子を駆け巡るが、空中は飛ばない。

だれやっ!

そっと起き上がって明かりをともした。
ふっと音が消えた。
みまわすと・・・・おった!

天井近くの壁に、真っ黒なものが張り付いていた。

携帯を取り出し、夫に電話する。
「ふくろうがおる!」
「へ?」
「ふくろ。ちがう、こうもり」

最近言葉がすぐに出ないのだ。

それから窓を開けて棒を持ってふりまわして、やんややんやの大騒ぎでこうもりを追い出した。

とっても静かなおとなしいこうもりだった。
人間だけが騒がしかった。

どうしてうちの中に入って来たのかなあ。

 

 

おはなし入門講座 第二回

先週火曜日にありました、おはなしサークルききみみずきん主催の「おはなし入門講座 第二回」の報告です。

今年の参加者は6名、ききみみずきんが主催になってからは初めて男性の参加者もおられます!
1回目はできなかったということで、今回は参加者の自己紹介から始まりました。住んでいる地域のおはなしサークルに所属されている方、図書館で開催している大人のおはなし会に参加している方、子どもが幼稚園や学校でおはなしを聞いているので自分も語りたい、絵本が好きだが語りにも挑戦したいなど、みなさんのおはなしに対する思いも話してくれました😊

第2回目のテーマは「おはなしの選び方」です。

まずはヤンさんの語りから。  
  ①「かきねの戸」 『語りの森昔話集1 おんちょろちょろ』
  ②「命のろうそく」 『語りの森昔話集6 プレッツェモリーナ』

この2話はテーマ、語り方、雰囲気も違います。
前回の宿題はたくさんのおはなしを読んでくることでしたが、沢山のおはなしの中からどうやって選べばよいのでしょうか。
適当に選んで覚えたとしても、聞き手に響く語りはできません。考えて選ぶ必要があります。

おはなしの場は 語り手 ⇔ 聞き手 ⇔ おはなし(テキスト)の3つの要素から成り立っています。
この3つの視点から詳しく説明がありました。

➊語り手の視点から
◎自分の好きなおはなし
 その時「なぜ自分が好きなのか」を考えましょう。それは、自分を知ることに繋がります。
 語るためには何度も繰り返し言い続け、覚える必要があります。情熱を持ち続けて練習するには、好きでなければ難しいですね。
 短くて覚えやすいから、という理由で選ぶのはやめましょう。短い=覚えやすいでは決してありません、逆に長い=覚えにくいでもありません。

 また、サークルの先輩からの勧めで選ぶのもやめたほうがよいでしょう。先輩はおそらく悪気はなく、親切心から「こればいいよ」とアドバイスをされたのだと思います。
その人にとって、その時の聞き手にとって良かったのでしょう。では、自分にも当てはまるかといえば、そうではないのです。勧められたおはなしを自分自身が読んで、語りたいと思えたなら問題ありません。

◎誰かに聞かせたいおはなし
「こんなおもしろいおはなしがあった」と思わず言いたくなる、我が子に読んであげたら喜ぶだろうな、という気持ちです。

➋聞き手の視点から
◎子どもであれ、大人であれ、聞き手が求めているおはなし
 誰に語るのか決めて選びましょう。子どもの場合は、その時の成長段階に合ったおはなしを選びが大切です。
  例)「あはのはなし」『おはなしのろうそく4』・・・幼稚園児向き 
    「六人男、世界をのし歩く」『子どもに語るグリムの昔話2』・・・小学4年生向き
どちらも、冒険に出る ⇒ 危機が発生 ⇒ 仲間が増える ⇒ 安全(幸せ)に暮らす、という同じ構図ですが対象年齢は異なります。
では、求めているおはなしとは?を知るには、聞き手を知ることです。語りの場がある人は、おはなし会が始まる10分前には会場に行き、子供たちと会話をし、親しくなりましょう。

➌おはなしの視点から
◎内容(結末)が満足できるもの
 つまり、主人公が幸せになることです。聞き手は自分が主人公になって聞くからです。
ただし、「つる女房」『日本の昔話5』のように、ハッピーエンドで終わらないおはなしもあります。これはわびさびが分かる年齢に語りましょう。

◎文章が聞いて分かりやすく書かれていること
 ➀筋が無駄を省いて単純で、幸せな結末に向かって、早いスピードで一直線にストーリーが進む。
 ➁登場人物が少ない。
 ➂情景描写と心理描写が少ない。
  例)森 ⇒ どんな森であるかの説明はない。  
    怖くなった ⇒ 手が小刻みに震え、背筋が凍るようなのような表現はない。
聞き手自身が想像して楽しむためには、細かな描写があるとストーリーについていけなくなります。「読んで楽しい」と「耳で聞いて楽しい」は異なります。

初めておはなしを語る人、もしくわ経験の浅い人、語りの場を持っていない人は➀語り手の視点、つまり好きなおはなしを選びましょう。

※選びの手順
➀黙読
➁好きなおはなしを音読 ⇒読みにくいおはなしは外しましょう。歌がでてくるおはなしもたくさんありますが、歌が苦手の場合はやめましょう。
➂本文と奥付をコピーする ⇒奥付は本の最後のページにあります。著者、画家、発行、出版社名などが書かれたものです。
➃コピーが何話か貯まったら、その中から1話を選ぶ

受講者の方々、
宿題は語りたいおはなしを1話選んで、2部コピーをするです。1部は自分用、もう1部は提出用です。奥付のコピーもお忘れなく。

講座が終わってから、メンバー一同が口にするのは「初心忘れるべからず、毎回本当に勉強になる」です。入門講座はおはなしを始める方を対象にしていますが、現在進行中で語りをされている方が聞いてもためになる講座であり、語りを経験したからこそ、講座の内容がよく理解できると強く感じます。

次回は「おはなしの覚え方」です。インフルエンザなどが流行る時期になりますが、全員が参加できますように❤️