ゆうがた、そろそろ魔物が出てくるという逢魔がどき、わたしは、歩いて15分のところにあるスーパーに買い物に出かけた。
スーパーの階段下まで来ると、携帯にメールが入った。ぽんからだった。
返信しようとしたとき、勉強会の仲間Nさんに声をかけられた。
メールのことはそのまま忘れた。
買い物を終えて、階段下までくると、ぽんメールを思い出した。
確認して、ふと、マナーモードにしていないことに気づいた。
これはいけない。
いちばん下の左端を長押しして、マナーモードにした。
と思った瞬間、防犯ブザーが鳴った。
ふぁん、ふぁん、ふぁん、ふぁん、
とまらない。
どこを押してもとまらない。
電源切ってもとまらない。
音は、波のように大きくなり少し小さくなったかと思うとさらに大きくなり
ふぁん、ふぁん、ふぁん、ふぁん、
わたしは走りだした。
なんでや!
しらんがな!
近くにauショップはない。
家まで15分、鳴らし続けるのか?
だが、帰ったからと言ってだれが止めてくれるのか!
家には夫しかいないではないか。
まっ赤な画面はロックナンバーを入れろと脅迫してくる。
しらんがな!
いきなり、メールを送信しましたの画面表示がでて、つぎの瞬間またまっ赤な画面に。
お、あんた、どこに、メール送ったんや?
そのとき、むうこうからパトカーが走ってきた。
おお、、メール見て救いに来てくれたんや〜
ここですう〜!
さけぼうとした瞬間、パトカーも私と同じ音を立てて走り去ってしまった。
これやったら、防犯ブザーの意味がないがな。
わたしの足は家とは逆の方に向かっていた。
防犯、パトカー、、消防車
そう、走って5分で消防署に着いた。
が、ドアが開かない。ドアホンを押す。
ピンポン、ピンポン、ピンポン
のどかな音だ。
消防署にドアホンがあるのを初めて知った。
すぐに、おっちゃんが出てきてくれはった。
あのう、これ、きゅうに鳴りはじめたんです。……違うやろ、自分で押したんやろと、心の中で自分に突っこみを入れる。
ロックナンバーは?
まったく覚えてないんです。……覚えてたら押すがな(涙)
すると、後ろからまたふたり署員さんが出てきて、一番若い兄ちゃんが、ふぁんふぁん携帯を受けとったとたん、音がやんだ。
みなで、へ?
にいちゃんいわく、初期設定のままやったらナンバーは1,2,3,4ですわ。
ああ。1,2,3,4
もうしわけございませんでした。おさわがせしました。ありがとうございました。
いえいえ、無事でよかったです。
ぶ、ぶじ。たしかに。
帰りかけると夫から電話。
いまそっちに向かってる!無事か?
ぶ、ぶじ。
携帯からのメールは夫と娘と息子に、防犯ブザーが鳴ったことの知らせだった。
娘がすぐに気づき、ブザーが鳴った場所をGPS機能で>突きとめて、家に電話した。そこで初めて夫も気づき、スーパーに向かって探しに来てくれたのだ。
東京で仕事中にもかかわらず即座に対応してくれた娘よありがとう。
ふたりとも、心配させてごめんね。
夫は、もうこの時間帯には出歩くなといった。
わたしは、もう自分がおばあさんになったと、落ち込んだ。
息子は、メールに全然気づかなかった……
逢魔がどきには出歩くな
おしまい
付けたり:何でもかんでも消防署に走ったらええというわけではありません。
ヤン
あーおもしろかった。
ヤンさんも 携帯も 無事で 良かったです。
ヤンさま、
語れるように、再話お願いします。
すみません~
笑いすきて涙が出たのはいつ以来かな?
しんどいくらい笑いました
恐怖と笑いは紙一重
ヤン
ヤンの最高傑作、リニューアルしても健在だった。
よかった。ロックナンバー1234だった。
いまもマナーモードにするときは指先が震える。
ほんまに
何度 読んでも おもしろいわ〜
笑ったらあかんと思いつつ笑ってしまいました。
消防署の若いお兄ちゃん、さすがや。
ご無事でよかったです。