日別アーカイブ: 2015年7月15日

あなたこそたからもの  byヤン

「はな、はな、たくさんのはな。
みんなはな、おなじはな。
でも、いろも、かたちも、それぞれちがう。
そっくりおなじ はなはない。
みんなおなじで、みんなちがう。
いのちのおもさは、みんなおなじ。
おかねもちも、びんぼうなひとも、
ハンディキャップのあるひとも、
おとなも、こどもも、
はだのいろも、かみのけのいろも、
おとこも、おんなも、かんけいない。
ひとりひとりが、たいせつにされる。
だって、いのちは、ひとりにひとつ。
はずかしがりやさん、おこりんぼ、
あしのはやいこ、ふざけてばかりいるこ、
なきむしさん……。
いろんなともだち、それぞれ、ちがう。
ちがっているから、たすけあえる。
はっけんもある。
いっしょにあそぶと、たのしいよ。
みんなおなじで、みんなちがう。
だれもが、ひとりのひととして、たいせつにされる。
このことを、「こじんのそんちょう」というよ。
こじんのそんちょうは、けんぽうのだいじなねっこ。
なにをしているときが、いちばんしあわせ?
おやつをたべているとき?あそんでいるとき?
ともだちとおしゃべりしてるとき?
ほんをよんでいるとき?
すきなことも、それぞれ。
せんせいだって、おとうさんだって、
「これがきみのしあわせだよ」
なんて、きめることはできない。
いろいろ、すきなことがあるといいね。
いろんな、しあわせをかんじられるといいね。
それは、あなたが、じぶんらしくいきていくということ。」
   ………『あなたこそたからもの』より抜粋
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6年生のブックトークのために平和をテーマにした本を探していて見つけました。
『あなたこそたからもの』 いとうまこと文・たるいしまこ絵/大月書店
2015年5月に出版されたばかりの絵本です。
解説によると、作者の伊藤真さんは1958年生まれの弁護士さん。夢は、「世界の
幸せの総量を増やすこと」だそうです。
いとうさま、憲法の理念をこんなにわかりやすく書いてくださってありがとうご
ざいます。
たるいしさま、子どもたちをこんなに温かく描いてくださってありがとうござい
ます。
本は、会ったこともない人と、心をつないでくれますね。
もう少し紹介させてください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ながいれきしのなかで、たくさんのひとびとが、
ぐんたいやけんりょくによって、くるしめられてきた。
けんりょくというのは、いやなことでも
むりやりさせる、おおきなちからのこと。
もっとじゆうに、もっとしあわせにいきるために、
ひとびとは、たたかってきた。
そして、けんぽうをてにいれた。
わたしたちのけんぽうは、
たくさんのひとたちからの、おくりもの。
あなたのみちは、じぶんでえらぼう。
だれかにまかせたり、
だれかのあとをついていくのではなく、
じぶんのあたまでかんがえて、
えらんだみちを、あるきだそう。
もし、まちがったみちだと、きづいたなら
たちどまって、
また、かんがえればいい。
どういうひとに、なりたい?
どんなふうに、くらしたい?
どんなくにに、なってほしい?
これからさき、けんぽうをまなびながら、
ひとりひとりが、かんがえていこう。
ひとりひとりに、かけがえのない
いのちと こころがある。
ほかのだれともくらべられない。
あなたは、せかいでたったひとりの、
たいせつなそんざい。
あなたこそ、たからもの。
それを、わすれないで。」
     ………おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
子どもたちにお話を届けていて、いつも思っていることが書かれていました。
それが、憲法の理念だとは、意識もしませんでした。
そして、意識もしないほど、自分が憲法に守られて生きてきたのだと気づきました。
でも、守られていない子どもや大人がいっぱいいる。そのことの意味も痛感しま
した。
これからも、子どもたち一人ひとりの心に、お話を丁寧に届けていこうと思います。
昔話は、どんな困難があろうともクリアして、主人公の幸せに向かって一直線に
進む。
そのメッセージを、届けようと思います。
子どもたちの目を、しっかり見ながら。
  ヤン