今回はほんの少しお話を足しました。
読んでくださって、語ってくださるとうれしいです。
≪日本のおはなし≫
「くらいくらい」
入れ子細工のお話です。
いろいろなバージョンがあるようですが、わたしは、かつて所属していたおはな
しサークルの今は亡き仲間から聞き伝えたものを語っています。
「くら〜いくら〜い」と語り始めるので、子どもたちは恐い話だとすぐに分かっ
て乗ってきます、
音声は5歳児に語ったときのもの。聞いて下さったら分かるように、入れ子の面
積がせまくなるにつれて、笑いがクレッシェンドしています。こわいこ とを期
待して、はずされるので、笑うのです。
からだを寄せ合って、いっしょに怖がって、いっしょに笑う。まさに、愛と信頼
の語りの場です。
この話を伝えてくださった仲間に心から感謝しています。
この話、一回やると、次回も、またその次の回も、リクエストされます。何回
やっても同じように恐がって、同じようにびっくりして、同じように喜び ます。
ときには、道で出あっても、「くら〜い、くら〜い、やって!」って言われます
(笑)
でもまあ、おまけの話です。
ジャンピング・ストーリーなので、急に大きな音や声が聞こえると心身に変調を
きたす子が、いないかどうか、確かめてから語ってくださいね。
「こんな目か」
奈良の民話から。これもどこにでもあるこわくて面白いお話。「こんな顔」とい
う話型です。
ちょっとオーバーにやると楽しいですよ。
いまは、炭焼きという仕事もほとんどなくなってしまいましたが、かつては、山
の仕事で生計をたちる人たちがいました。
自然が日常的にそばにあった時代、自然の中で暮らしていた時代には、人間の知
では理解できない現象が起こったようです。魑魅魍魎ーちみもうりょ う。
奈良は山国ですから、山での怪談が結構残っています。
これもおまけの話です。
≪外国のおはなし≫
「九尾のきつね」
音声を差し換えました。
4年生に語っています。本気で恐がっているでしょ。
「まほうの鏡」
動物報恩+婿選びの話です。
動物たちが、うろこ一枚、羽一枚、毛を一本くれる。とても孤立的で、イメージ
がクリアですね。頭の中に像がくっきりと浮かぶ。
だから後半、聞き手の子どもたちはすぐに、動物たちからの贈り物を燃やせばい
いと気がつくのです。
また、魚は深い海の底へ、ワシは天の果てへ、狩人を隠してくれます。極端性は
昔話の大事な性質です。イメージがクリアであるだけでなく、想像の世 界が空
間的にぐうんと広がっていくのを感じます。
子どもたちは、どこに隠すのかなという謎解きの面白さだけでなく、このイメー
ジの広がりに驚嘆します。
しかも、最後はおひめさまのいすの下に隠れる。極端に近いところです。そし
て、この極端な近さのおかげで、狩人はおひめさまから隠れおおせたので す。
三回の繰り返しもあり、昔話の語法の面白さをとっても感じさせてくれるお話で
すね。
後半、くり返しの一回目は、魚が狩人を隠してくれる。2回目は、ワシが隠して
くれる。
3回目、きつねを呼び出した狩人は、みずから指示して、きつねにほら穴を掘ら
せていますね。
はじめの2回は受け身だけれど、3回目は自分の知恵でかくれます。そして、そ
の3回目に成功しておひめさまを手に入れる。
ここに、若者の成長が語られているなと感じます。
この話は、グリム童話の「あめふらし」と同じ話型ですが、この点で、わたしは
「まほうの鏡」のほうが好きです。
音声は、4年生のおはなし会。
ヤン
日別アーカイブ: 2015年10月17日
10月日常語勉強会 byぽん
ぽんです。
昨日は日常語勉強会でした。
語り 「にぎりめしころころ」
「飴は毒」
「太郎の欠け椀」
「夢見小僧」
テキスト 「知ったかぶり」
「貧乏神」
以上の6話、出典は「日本の昔話 全5巻」小澤俊夫/再話 福音館書店刊 でした。
だんだん日常語のテキスト作りにも慣れてきて、サクサクと勉強会が進み、珍しいことに時間が余ってしまいました。
そんなこともあって、講師のヤンさんに絵本を2冊読んで貰いました。
「どんぐりころちゃん」 正高もとこ/作 鈴木出版
「おおいそがし こいそがし」
ユン・クビョン/文 イ・テス/絵 小倉紀蔵・黛まどか/訳 平凡社
「どんぐりころちゃん」は10/3付けの当ブログでヤンさんが取り上げている絵本です。
この絵本、残念なことに鈴木出版が出してる、『こどものくに月刊絵本たんぼぼ』で、幼稚園・保育園で販売されている年間購読絵本なので、一般の書
店では買えません。もし、個人で買おうと思ったら、個人で年間契約をしないといけないらしいです。だからいくらネットで調べても出てこないのよ
ね。理由がわかりました。
残念。福音館のこどものともみたいに、お店やネットで買えるといいのにねえ。年間購読となると、なかなかお話のおばちゃん達にはハードルが高い。
ハードカバーになるのを待つしかないようですが、値段も高くなるしねえ。図書館で月刊の方を買ってくれないかなあ。それも昨今の図書館事情を考え
ると、厳しいか・・・。本気で年間購読を考えちゃいます。
で「おおいそがし こいそがし」。これは、韓国の絵本。ほっこりとした秋の農村風景で、とっても良かったです。ただ、絵本のサイズは大きいのに、
絵が細かい。そこそこ人数のいる読み聞かせには、不向きかもしれません。ヤンさんも「韓国のお話を語った後に、紹介してね」とおっしゃっていまし
た。
おっと、絵本のことばっかり書いてしまいました。
日常語の勉強の方も充実でしたよ。特に今回語りのお話が面白かった。
で、結論。普段のおしゃべりでも話に必ずオチを求めるのは、大阪人だけでした。京都人は違うんだってさ。
(私は根っからの大阪人)
では、来月。 byぽん
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