小学校の図書館司書のかたがね、こういってくださったの。
「ここの子どもたちは、ずっとおはなしを聞いてるから、本が好き。
聞いて育っていない子どもたちとくらべると、想像力が、ぜんぜんちがいますね」
子どもに本を手渡す仕事のかたから言っていただいて、うれしかった。
そうなのです。
子どもがなかなか本好きにならないってことよく聞きます。
それに、絵本は好きでも、物語本にすんなり移行できるとは限らない、という実態もありますよね。
たいていの親や先生は、そこで頭を悩ませるのね。
絵本が好きなのは、もちろんうれしいことです。
でも人生、絵本の時代だけで終わってしまうのは寂しいよね。
じゃあ、挿絵の多い本を次のステップにできるかといえば、必ずしもそうではない。
やっぱりゾロリで終わる子はいっぱいいる。
あのね、「ことばー(音声)ー想像」の訓練をすれば、文字さえ読めるようになったら、「ことばー(文字)-想像」はとっても簡単なの。
ことばからダイレクトに想像する力が、お話を聞くことで育つのね。
それと、物語は面白いって知ることも、本好きに導いてくれる。
幼稚園の園長先生がおっしゃってました。
「お話を聞くって、想像力が育ちますよね。
わたしたちが、なぜお話会に来ていただくかっていえば、そのためなんですよ。
想像力は、他人を思いやる力ですからね。
思いやりの力を育てたいんです」
中学校でのことです。
わたし「ストーリーテリングは耳からの読書ね。耳で聞いて、しっかり想像してくださいね」
生徒たちの目がきらりんと光って、うんとうなずいた。
彼らは、よくわかっている。
だって、三歳からずっとお話を聞いてきてるんだもの。
ときどき、空を見ながら思うのです。
わたしはいま、子どものときからずっと好きだったことをしているだけ。
先生でもない、親でもない、そのあわいで。
人として、たいせつなことかなと思うのです。
地位も名誉もお金も、無縁だけれど。
うん。これって、きっと、いい人生なんだろうな。