4月度 中級クラス

コロナの変異株が猛威を振るい、緊急事態宣言も発令されましたね。息子達の学校では行事が次々と延期になり、高校は時差登校になりました。そして、このブログを書いている最中に、図書館が明後日から5月11日まで休館との連絡がありました(><)

さて、火曜にありました中級クラスの報告です。いつもより少ない11名での勉強会となりました。

♬手遊び ぎおんの夜桜パッと咲いた~♬

(語り)

①金の子牛 『語りの森昔話集2 ねむりねっこ』/語りの森

イタリアの昔話です。父親が、自分が死んだあと何を残してほしいかと三人の娘に聞きます。上の二人の娘は百スクーディのお金を、末の娘二コリーナは父親からの祝福を希望します。二人の姉さんは祝福をもらった二コリーナを妬み、王子に嘘をついて懲らしめようとします。二コリーナは、王子に魔法使いから金のカナリア、金の毛布、金の子牛をぬすんでくるようにと言いつけられます。援助者のおじいさんに助けられ、課題を成し遂げた二コリーナは王子と結婚するというおはなしです。

用事があり退出されたので、講評はありませんでした。残念・・・

②黄泉平坂 『語りの森HP』

今回、ヤンさんから語り癖を指摘されました。皆さんは自分の語り癖を分かっていますか?練習のとき、自分の語りを録音して聞いているのですが、全く気づきませんでした。助詞を強調しているときがあるそうです。(再度録音した自分の語りを聞くと、気になりました。癖ですので、口にしみついており、意識して直さなければ、ついついそのままになってしまいます。)

語り癖がない人はいませんし、その癖がその人の語りになります。が、自分の癖を意識して語るのと、知らずして語るのでは違います。癖を全くなくす必要はないそうですが、おはなしによって、その癖を出さないようにした方がよいときもあるそうです。

③がまんの石と刀 『子どもに語る トルコの昔話』/こぐま社

以前初級クラスでこのおはなしを語られているのですが、その時は初級クラスは手を入れないというルールのもと、ほぼそのままのテキストで語られました。今回覚え直していると、気になるところが多々出てきたため、何か所も手を入れられました。しかし、手を入れた文に気をとられ、練習不足もあってか、ストーリーを楽しめないままでの発表になってしまいました。

テキストに手を入れる前に

1、そのままで語れるか考える。 2、どうしても無理な場合は、文ごと変えるのではなく、2、3語付け足して(削除して)みる。

手を入れるときに大切はことは、「何度も口に出して、自分の耳で聴いて確認する」です。文を見ているだけでは読んでいることになり、聞き手の立場で考えなければなりません。

また、翻訳者の世界観があるので、その世界が崩れないよう変える必要があります。例えば、このおはなしには「若者が自分のことを召使などというので、悲しくてたまりませんでした。それでもやっと気を静めて言いました」とあります。昔話は心情表現をあまりしないという点から、Yさんは削除しましたが、他にも心情表現が沢山出てくるので、削除しない方がいいとのアドバイスでした。

先輩方にテキストに手を入れることについてお聞きしたところ、

〇基本的に最初から変えない。何度も語って、どうしても納得のいかない部分だけ変える。

〇(語法的に間違っていないと)自信のあるところだけ変える。手を入れなくて済むテキストを選ぶ。自分が好きなおはなしでも、語れるテキストかどうかを見極める。

と言われており、安易に手を入れるべきではない、テキスト選びが重要であるか、また再話との違いを再認識しました。

④おおかみと七ひきの子やぎ 『語るためのグリム童話1』/小峰書店

小学校1年生に語る予定で、「小間物屋」や「石灰」を言い換えたほうがいいのか、と質問がありましたが、そのままでいいとのことです。子ども達から質問があったときは、「お店」や「薬」と答えてあげましょう。

語り方のアドバイスとして、七ひきの子やぎ達が隠れる場面では

子ども達はどこに隠れるか知らないので、淡々と語らず、微妙な(わざとらしくではありません)間をとって語りましょう。しっかりとイメージを持つと、かくれんぼをする面白さが出てきて、子ども達は喜ぶそうです。

微妙な間とは、、、ヤンさんが少し実演してくれ、「なるほど~」と思ったのですが、自分が習得するには何度も子ども達に語る必要があると思いました。

⑤鷹のフィニストの羽 『語りの森昔話集3 しんぺいとうざ』/語りの森

3回の繰り返しが5セットも出てくるおはなしで、力を抜くことができず、最後まで語るのがしんどかったそうです。これはロシアの昔話ですが、ロシアはこのようにモチーフが重なり、次々と展開していく長いおはなしが多いそうです。グリムのように一つのテーマがあるわけではないので、聞き手(おはなしに聴き慣れ、展開を喜ぶ子ども達向け)を選ぶおはなしだそうです。

☆ハエ打ちの勇者 『世界の民話18』/ぎょうせい(ヤンさんの語り)

毎年「子ども読書の日」に合わせて、年に一度中学校でおはなし会をさせてもらっています。今日、そのおはなし会がありましたが、1日でも遅ければ、中止になっていただろうと思います。私は「黄泉平坂」とあわせて「やまたのおろち」を語ってきました。日本の神話を知らない子がほとんどでしたが、真剣に耳を傾けてくれました。また、Aさんは3年生に「年とった栗毛の馬」(語りの森HP)を語られたのですが、自分が語りながら子ども達の聞いている世界に飲み込まれそうになったそうです。

図書館や学校でのおはなし会が再開された時には、思う存分おはなしの世界を楽しんでもらえるよう、今のうちに磨きをかけたいと改めて思いました。

 

4 thoughts on “4月度 中級クラス

  1. ジェニィさん、ほうこくありがと~

    中学校で、黄泉平坂、やまたのおろち、年とった栗毛の馬を語ってくださったんですね。
    いま貴重な対面のおはなし会で、とっても嬉しいです。
    どれもまだ昔話集に入れていませんね~
    いつか大人や大きい子向けの巻を作りたいと思っています。
    じつは3話とも、私自身、子どもに語っていないんですよ。
    面白い話、伝えたい話が山ほどあっても、ひとりでは語り切れない。でも、こんなふうに語ってくださったら、はじめて息が吹き込まれるんですね。
    うれしいです。

    今回の中級クラスでも、テキストの文章がひとつのテーマになりましたね。
    どのテキストも、次に伝えたい思いで書かれていること、その重みを感じながら、いかにして自分のテキストとして語るかが課題です。
    これはとても難しい、けれども、聞き手がいる限り楽しい作業だと思います。
    みんな、がんばろうね~

  2. ジェニイさん、詳しい報告をありがとうございました。
    語り癖のことが書かれていますが、わたしはどの語り手も自分のリズムがあって、語尾が上がる理由のひとつはそれだと思います。
    おはなしを完全に覚えて語れるようになると、語りに自分のリズムが出て来ると思います。
    そして、同時におはなしの間も出て来ます。
    おはなしの間は必要な間ですから、これを尊重しながら、自分の語りのリズムを不要な物はなくし、聞き手に気にならない程度を残すというのは、語り手みんなの課題だろうと思いました。
    そして、それには物語への理解が不可欠でしょうし、う~~ん、どこまで行っても難しいですねぇ。

  3. ヤンさん、コメントありがとうございます。

    図書館でのおはなし会の目処が立たない中、学校で語らせてもらえるのは本当に有難いです。
    コロナ禍で放送室からおはなしを語っている学校もあるようですが、対面だと何より子供達の反応がダイレクトに分かります!
    また、中学生が聞く方が楽しめるおはなしもありますね。ブログ「昔話の解釈」で取り上げられている「賢いグレーテル」、小学生と中学生に語られた方が、中学生の方が面白さを理解してくれたと言われていました。

    中級クラスでの「テキストに手を入れる」ら毎回考えさせられます。今覚えているおはなしも入れるべきか悩んでいます。6月の中級クラスで語りたいと思っていますので、ご指導よろしくお願いします。

  4. ジミーさん、いつもコメントありがとうございます。

    なるほど〜自分のリズムと間!
    確かに語る年数が経つにつれ、自分の間もできていますね。
    最初は間をどのように取ればいいか分からなかったのに、今は自分の間を、リズムに合わせて(自分はそのつもりはありませんが)作っているんですね。
    必要な間は残しつつ、これからは意識して語ろうと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です