ヤンさんは目がらんらん、昨夜はほとんど寝ていないとのことでした。「夕方に濃いコーヒーをたっぷり飲んだからだと思う」と…。カフェインの力すごいですね。
ひねくれもののエイトジョン 『おはなしのろうそく33』東京子ども図書館
言うことを聞かないエイトジョンのおかげで、悪いことが起きます。その内容もクレッシェンドしていきます。最後、言うことを聞かなかったエイトジョンは魔法使いに「テーブルの油のしみ」にかえられてしまい、お母さんにごしごし拭き取られてしまいます。「いうことをきかない、ひねくれものの子どもには、いつもこんなことが起こるのだそうです」で、おしまい。語り手さんは、恐い話がテーマの時や、恐い話するよ~と前もって言ってから語るそうです。本能的に怖がりたいというものがあるのはある。それでも、語り手と聞き手の信頼関係ができていることが大事とヤンさんからお話がありました。
おはなしカメさん 『朝鮮の民話』太平出版社
語り手さんご本人の課題としては、聞き手が発した声に対して答えられるようになりたいということで、どうしているか、どうしたらいいかをみなさんで話しました。「うんうん、と目を合わせて頷くだけにしておく(その先を忘れるのがこわいから)」「それなに?と聞かれそうなワードに対しては答えを用意しておいて、答える」ヤンさんが子どもから教えてもらった事は「一言で返して、おはなしに戻る」こと。毎週のおはなし会の常連さんに「それなに?」と聞く子がいて、ある時その返しを長々やっていたら、「もういいからおはなしして」と言われたそうです。そして、おはなしを自分のものにしてしまえば自然と子どもの声に応えられるようになるとのことです。テキストについては、カメの死はさらっと優しく語る。ここで悲しそうな顔をする子がいる、そして、お墓を作ってあげるところでホッとする。そのイメージをする。
かきねの戸 『語り森昔話集1』語りの森
前もって「かきねの戸」の説明をする。かきねの戸のイメージをしっかりさせておく。そして、かきねの戸を外して森へでかけるところで、「え~そんなことするの」という反応があるとよい。木の上の二人が静かにしているその下で、どろぼうがいる緊張した場面、兄が「おしっこがしたい」という。この緊張の緩和で、笑いが起きる(桂枝雀の「緊張の緩和」論)。身をひそめるような語り方をすると、緊張が大きくなるので、さらに笑いの解放感も大きくなる。間の使い方も大事で、間を置くことで「次は何を言うかな?」と考えさせる。おしっこ<うんこ<戸 期待も大きくなる。自分と聞き手の関係でどんな風に語ったら楽しむかなと考えるとよい。
とびこみの語り
かにかにこそこそ 『日本の昔話2』福音館書店
はえの御殿 『語りの森昔話集5』語りの森
ブレーメンの音楽隊 『語りの森昔話集4』語りの森
ヤンさん
美しいワシリーサとババヤガー 『おはなしのろうそく4』東京子ども図書館
今回もたくさんのおはなしを聞かせてもらいました。この学びと実践と反省の継続は、語り手それぞれをゆっくり着実に育てていってくれると漠然と感じました。みなさんすごいなぁ、おはなしと向き合う在り方が誠実です。やる度にこれでいいのかな?と心配したり、新たな課題が生まれたり、うまく着地しなかったのはなんでだろう?と考えたりします。そして、また次に向けて練習して準備して語ります。それで、子どもが教えてくれたり、力が抜けたときにふと気が付くことがあったりする。自分で体感して分かるしかないので、講評を共有させてもらって、自分の語りに活かしつつ、勉強会で言っていたのはこういう事か!と納得したいです。さまざまな昔ばなしがいっぱいありますが、自分が語らない話は仲間が語ってくれるので、安心というか、嬉しいというか、そうやって語り手皆さんで(世界中のね)語りをしてるんだなと改めて思いました。
次回は11月21日㈫です。