月別アーカイブ: 2024年8月

ねずの木🌳

グリム童話の「ねずの木」
子どもには語ったことないんですけど。
かなりショッキングな話なので、ちゃんと伝えられるか自信がなくてね。
でも、わたしはふしぎと心ひかれるのです。

お母さんがぼくを殺し
お父さんがぼくを食べた
妹のマルレーンがぼくの骨を絹につつんで
ねずの木の下に置いた

「ねずの木」は、『グリム童話集」の初版から入ってるんですね。
残酷だと批判された話は、グリムさんは削除したりほかの話と入れ替えたりしているのに、「ねずの木」は、ちゃんとそのまま入れている。

なんでかな?

グリムさん自身は、口伝えの話の理想形だって考えていたらしいんだけど。

それにしても、みんなから批判されなかったのかな?
こんなんひどい話や!って。
当時の人たちは、この話をどう受け止めてたんやろか?

と、好奇心に突き動かされて、調べました╰(*°▽°*)╯

昔話には類話ってもんがある。類話が広く伝わっていれば、それは人気がある証拠やね。「ねずの木」はどうやろか?
・・・・あるある!
いっぱいある!
しかも歌だけ独立して伝わってたりする!
日本にも、類話じゃないけど、お母さんに殺されて、鳥に生まれ変わって、殺人を暴露する歌を歌う話、全国にいっぱいある!

なんで、なんで?

主人公は殺されて骨になり、妹の愛によって生まれ変わる。
生まれ変わる?
調べていったら、古代エジプト神話にまで行きついたのよ。

おもしろい!

ブログでは書ききれないです。
今月27日の勉強会にぜひ、来てください。
暑いけど。
詳細はこちら⇒

「ねずの木」だけじゃなくて、時間があれば、奈良の民話「ホトトギスのきょうだい」も語るので、聞いてね。

 

 

 

ヘンゼルとグレーテルの語法その後その1👦👧

子どもたちに人気のグリム童話「ヘンゼルとグレーテル」
先日の勉強会のあと、参加者のみなさんから感想をいただきました。
人の数だけ語りがあるわけですが、勉強会で受け取ったことも、おひとりおひとりが違っています。
その違うところが、興味深いし、とっても大事だと思うので、いつもここにご紹介する次第でございます。

では、いってみよー

Uさん
この度も、深い学びの時間をいただきありがとうございました。
結論は「自分を拠り所にする」ということですね!
広く読まれるメルヒェンとして、グリム童話が今も残っているという事は、グリム兄弟の編纂のおかげなんだなとも思われました。その時代の人々に受け入れられることを拒んだら、誰にも好まれず、なくなっていたかもしれません。
エーレンベルク稿が本来の語りのテキストなのですが、それから200年以上の時を経た人類の精神的な在り方が全く違うものになっているので、その限られた言葉の中で、当時の聞き手が受け取っていた同質のものを、今の私たちが受け取ることは不可能なんだと思います。現代人に合った言葉に変えたり、付け加えたりするための再話のヒントが昔話の語法にあるのだという事が、深く納得できたように思います。人類にとって普遍的な大事な事を、再話の力で繋いでいく可能性を見出せるのだと思います。
また、語法の勉強と共に、2版と7版の比較をして頂いたことで、言葉による表現の違いで、受け取るものが大きく変わってくることも感じる事が出来ました。特に人物の心情描写は聞き手の感情を引っ張ります。悲しい、腹立たしい、嬉しい、そういう感情は、聞き手の中で自然と想起されることが、聞き手の自由なんだと言っていただいて、その通りだなと改めて思いました。聞き手の情操を育てる。それに適ったテキスト選びや再話が、とても大事なことだなと思いました。自分の好みを捨てよということではなくて、語法を知ったうえで、自分の感性や直観で選ぶおはなしを大事に語っていこうと思いました。

Sさん
まずは、語法の勉強会、ありがとうございました!
このお話には、あまり多くの語法が入っていないという事もあり、むしろ後半お話に出てきた、2版と7版の違いについての研究発表のように受け止めました。どちらにしても大変興味深く聞かせていただきました。
お話を当たり前のように「聞いて伝える」時代から、お話は「読むもの」として定着していく時代の流れの中、グリム兄弟も読み手の要求に合わせて文章に手を入れて行かざるを得なかったのだろうと推察します。しかしながら、何度も手を入れながらも、昔話そのものが持つ大切な事は決して損なっていないところはさすがと言えると思います。
「聞く事」と「読む事」の違いを改めて考えました。お話を聞く機会のないまま大人になった人が、語り聞かせを体験して「絵が見えた!」と目を輝かせる姿を何度か見せてもらいました。
自分の新たな能力に開眼する瞬間!その聞き手の能力を引き出す、つまりお話の中に聞き手をいざなうには
・語法にのっとったテキスト
・語法を理解した上での、語り手のお話への解釈
・語るに至るまでの積み重ねの時間
が必要なのですね。
人と人が作り出す事ができる、真に豊かな時間と言えますよね!

Eさん
「ヘンゼルとグレーテル」は、いちど3年生に語ったことがあるのですが、そのときは、整理されたテキストテキストを覚えたので、今回『語るためのグリム童話1』には余分な部分、特に登場人物の心理描写が多いと気づかされました。
今までの語法の勉強会と大きく違った点、2版と7版の比較、勉強になりました。(整理されたテキストがあるので、こんなふうに手を入れるんだと分かりました)
以前語ってた時の子どもたちの反応は満足のいくものではありませんでした。グレーテルが自分の力で魔女をやっつけ、そこから成長する姿はもっと元気よく語ればよかったと思いました。
来週、3年生のおはなし会に参加するので、今回の勉強会で学んだ事をふり返りながら、子どもたちといっしょに楽しみたいです。

ない!ない!😱

どこやろ?

え?

どこいったん?

USBメモリがなくなった(⊙x⊙;)

ババ・ヤガーの名簿やら記録やら会計報告やらの入ったやつと、
語りの森ホームページ関連のもんが全部入ったやつと、
音声、しかも貴重な音源やら種々の講演会の記録のやつと。
なにより、再話テキストがすべて入ったやつと。

ちっちゃな袋にまとめて入れてたんやけど、袋ごとなくなった。

あああああ

わたし「ないねん」
夫「どこでなくした?」
わたし「それがわからへんから、ないねん」

ふたりで狭い家の隅から隅まで探した。
ひきだしやら、せんたくかごやら、ごみばこやら、ひっくり返して探した。
どうでもええもんばっかり出てきて、かんじんのもんが出てこない。

夫「最後に見たんはいつ?」
わたし「きのうの夕方か夜」
夫「ほんなら家の外には出てないな?」
わたし「ふん」
夫「自分の行動を思い出してみ」
わたし「・・・・毎日同じことしてるわ。あれはきのうのことか、一昨日のことか、わからへん」

しばらく探したけどなかった。

わたし「もうええわ。ババ・ヤガーも語りも再話もホームページも、みんなおしまいや・・・」
夫「新しい人生やな」

けっきょく、なぜかいつも使ってるお出かけリュックの中にしまってあった。

うん、あってん!

よかったなって?

夫「あらためてぼくが捨てたろか?」

 

 

おはなしが好きみたいで

 暑い暑い夏真っ盛りですが、立秋を過ぎたら日が傾いたみたいで、ますます日当たりよくなった気がします。暑すぎます😓
 さて、遅くなりましたが、先週8月3日土曜日の図書館おはなし会は、ヤンさんお休み、おらふの先輩が担当しました。たくさんの来館者でしたので、にぎやかにはじまりました~

 子ども15人 おとな7人

手あそび ちいさなはなけ
おはなし 「傘屋の天のぼり」『日本の昔話3』おざわとしお/福音館書店
絵本 『なつはぐんぐん』五味太郎/小学館
絵本 『しまりずくのぼうけん』マリア・テルリコフスカ作/ボフダン・ブテンコ絵/内田莉莎子 訳/福音館書店
絵本 『なんかひとりおおくない?』うめはらまんな/BL出版
手あそび さよならあんころもち

 暑いし集中力も散漫しがちなのでは……の心配もよそに、よくおはなしについてきてくれました。というのも、あの読書好きの3歳さんが4月から年中さんになり、ますます上手におはなしを聞くようになっていたのです!みんなもそれにグイグイ引っ張られて、いよいよクライマックス、
「青い窓があるが、のぞいてはいかんぞ。のぞくとおそろしいめにあうぞ」
子ども 「……あ」
「すると、雲のあいだに青い窓がありました。」
子ども 「あーあけたらあかん!あー!!」
 向かい合わせでおはなししていた先輩は、最高にかわいい顔がみられたことでしょう😊
 後の絵本も集中力もきれずに、それどころか『なんかひとりおおくない?』では、正体がざしきわらしとわかりはじめると、各ページごと丁寧に「あ!いる」「あそこにいる!」と群がることもなく指差しして楽しんでいました。なんか感動です。子どもは構いすぎても、構わな過ぎてもだめ、ちょうどいい塩梅がいいんですよね。ホントにホントに、お母さん、お父さん、子どもたちを大事に育ててくれてありがとうございます!

8月のあったかペーチカ

夏休み真っ只中で、小学校や幼稚園のおはなし会もないので、語り手皆さんは少しだけ余裕があるという感じでしょうか。9人の参加がありました。

「天狗のうちわ」(原題:鳥うちわ)『丹波和知の昔話』稲田浩二/編 三弥井書店 より再話

「まほうの馬」『まほうの馬』トルストイ文・ブラートフ文/高杉一郎・田中泰子訳/岩波書店

「金の髪」『おはなしのろうそく19』東京子ども図書館

「ふたりのあさごはん(詩)」『おはなしのろうそく16』東京子ども図書館

「バオバブのきのうえで」『同名絵本』福音館書店

「千人力」 語りの森HP 

「鬼のくれた岩」 国立民族博物館 稲田コレクションより再話

夏休みだからと言って、気を抜いていない事が判明!みなさんの語りがすばらしい。そして、一つ一つのおはなしの裏に、語り手のさまざまな努力や経緯や思いがありますね。みなさんのおはなしやおしゃべりを聞いて、励まされました。おはなしのさらなる奥深さを感じる時間となり、語り手たちは、覚えて語るだけでは済まない領域に足を進めることになるようです。このおはなしたちは、何十年何百年前にどこかで誰かに語られたわけですが、現代の聞き手の体を通しておはなしを感じていると思うと、精神のタイムスリップ?のようですね。同時代に生きてはいなかったもの同士が同じ話を聞いていると思うと感動的です!(古典文芸や歌劇もそうか)テキストから飛び出しておはなしの周辺探索に興味が向くと、おはなしの世界が広がりますね。内容の濃い時間でした~!

次回は9/12㈭です。