息子が11歳になったときに、息子のために覚えた話。
金のボールで遊ぶ王子。まだ幼児ですね。
山男ハンスが、檻のカギをおまえの母親の枕の下からとってこいという。
王子はためらうが、3回目に鍵をとってくる。
ここでね、しびれた(笑)
母親を裏切ることで、幼児から一歩踏み出した。
少年は、自分の守り手であるハンスをも裏切ることで、金の髪という宝を得る。
同時に、森を追放される。
ハンスは、主人公にとって父性ですね。
ハンスは、少年を追放するけれど、「困ったことがあれば、この森に来て、『鉄のハンス!』と三回呼ぶとよい」といいます。
少年は旅をして、台所の下働き、庭師の弟子と、身を落とします。
「灰かぶり」の男の子バージョンですね。
ここからが、主人公の青年時代です。
青年は、ここぞというときに、ハンスを呼びます。
そして、騎士となって、主人の王のために戦い、勝利します。
社会的な役割を果たすわけね。
そして、いよいよ、お姫様を手に入れる。
ここでも3回、鉄のハンスを呼びます。まだ父親が必要なのです。
とうとう、お姫様が、青年の正体を見破ります。
これ、よくあるパターンですね。
主人公の本当の姿を見出すのは、配偶者でなければならないのです。
ここで、自立します。
ラスト、結婚式に、堂々とした王が登場します。
それは、青年が自立したことによって魔法が解けて、山男から王に戻った鉄のハンスです。
父母との葛藤の中で自立していく息子。
昔話は、子育てを脇からそっと支えてくれるものだと、言い切りたい!
ある6年生の男子のことは、忘れられません。
おはなし会の最中、先生に反抗してひとり離れてあっち向いていた彼が、みんなが出て行った教室に残って、ひとこと「鉄のハンス!」と呼んだ。
ああ、彼に魔法あれ!と祈りました。
いっぽう我が息子、高校卒業後、家を離れずっと一人暮らし。今は曲がりなりにも社会人。
この日曜日に、コロナ自粛以来はじめて、県境を越えて帰ってきた。が、家には入らず、お土産を届けて戻っていった。
「福井で釣ってきたメバル。煮つけがええで」
ああ、あとはお姫様やね。
むさくるしい子やけど、どっかにお姫様おらんかな。
KHM136「鉄のハンス」
初版は「山男」。その後改訂を重ね、6版で現在の形になった。
グリムさん、練りに練ったんですね。
ATU314「黄金の若者」
ヨーロッパをはじめ、世界中に類話があります。
『オットーウベローデグリム童話全挿絵集』古今社より「鉄のハンス」
++++++++
今日のレパートリーの解凍
「かえるの王さま」グリムの複数の完訳から
これは、メバルの煮つけ(笑)
こういう大きな話は圧倒されますね。
ええなあ~、何回でも聞かせてもらいたい~。
おはなしを聞くのは、ほんとに楽しいです。
テレワークで、ウェブ会議とかウェブ面接とかできるのはいい事だけども、お話会が恋しいです。
わたしはおはなしが聞きたい。
まだ、禁断症状は出てませんが、大人なので(笑)
このHPも、おはなしひろばもありますしね。
ちょっとは、自粛制限がなくなってきてますから、もうちょっとの我慢でしょうかね?
まだ気が抜けませんから、頑張りましょう!
辛抱の時間が長いほど、おはなしは熟成する。