「勉強会」カテゴリーアーカイブ

5月の初級クラス

手遊び歌
たけのこ めだした
花さきゃ ひらいた
はさみで ちょんぎるぞ
えっさえっさ じゃんけんほい

語り
1.スウォファムの行商人/MORE ENGLISH FAILY TALESより再話
2.ねこのしっぽ/語りの森昔話集4/語りの森
3.金噴き明神/語りの森昔話集5/語りの森
4.金のとさかのおんどりとひき臼/語りの森昔話集5/語りの森
5.いうこときかないうなぎ/おはなしのろうそく7/東京子ども図書館
6.金を生むねこ/奈良の民話1/奈良の民話を語り継ぐ会
7.幽霊和尚さま/語りの森HP 〈こちら→〉

ヤンさんの語り
8.幸運の種まき/世界の民話18・イスラエル/ぎょうせい

講評
・短い笑い話程、難しい。冒頭のお話の設定部分は大事な言葉を立てながら、聞き手にしっかりとイメージさせる語り方を心がける。
・笑い話は思ったように受けないと、次に語るのを躊躇してしまいがちだが、何度でもチャレンジしてみると良い。
・「寝ていても語れる」まで練習を積むと、少々言葉を忘れても先に進める。
・お話を時間をじっくりかけて覚える事そのものは、ちゃんと聞き手に伝わる。
・時には録音してみて、自分の語り方の癖を客観的につかんでみると良い。
・息継ぎを入れる場所は意味を考えて。テキストをスラスラ言えるようになったらどこでも息継ぎできる。
・聞き手の反応を予想するのは良いが、語り手がイメージを作り過ぎず、語りながら聞き手の反応を見て一緒に「間」を作っていく。
・聞き手からは描写ではなくストーリーを求められている。
・描写のあるテキストは覚えるのも、語るのも、聞くのも難しい。
・自分自身の発端句、結末句を地域に関係なく持って良い。

今回は題名が「金」「ねこ」にまつわるお話が重なりました。他にもお話の中に、同じ夢を3回見る、樫の木が出て来る、などの共通点もありました。「うなぎ」はかなりレアで印象に残りますね(笑)先月に続いて「ゆうれい」のお話をしてくださった方もいらっしゃって、今後はどんなお話が飛び出るか、ますます楽しみです。

次回の初級クラスは6月13日(火)です。

昔話の残酷性についての勉強会①

今日は、子どもの日ですね。
最近はこいのぼりをあげるおうちが少ないような…。
いや、十何年お雛様を出していないわたしが言う資格はありませんが(笑)

我が子や公共の場所で昔話を語るとき、語るほう・聞くほうの大人が、昔話の残酷な場面を子どもたちに触れさせたくないという気持ちがあることを耳にします。
残酷な場面のある昔話を聞いた子どもたちが怖がったり、残酷な性格になるのではないかということを大人が心配しているようです。
はたして、その懸念は当たっているのでしょうか?
世界中で延々と語り継がれてきた昔話は、人間の残酷性を育ててきたのでしょうか?
そんなはずはありませんよね。
だって、聞き手は楽しいから昔話を聞いて、語り継いできたんだと思います。
わざわざ怖い気持ちに立ち向かうとか、それはもう修行でしょう(笑)
怖い話を楽しむというのとは全く違います。
でも、語り手としてはそこのところをきちんと理論づけておかないと、自信をもって昔話を語るのは難しいと思いますし、何より語るときに説得力がなくなると思います。
それで、『昔話は残酷か』(野村泫著/東京子ども図書館)をテキストにして勉強会をすることになり、今回はその1回目です。
結論から言いますと、語りの表現方法と聞き手の精神年齢、この二つをクリアすれば昔話の残酷な場面についての問題というか懸念はクリアできます。
そのことを三回に分けて勉強します。
語りの表現方法については、昔話の語法が重要になってきますね。
やっぱり語法は理解していないといけないなあと(いや、他人事みたいだけどそうじゃなくて…)思います。
語るとき、再話するとき、そして今回も語法が大事なんですね。
それと、次回もっと詳しく説明がありますが、世に出ている昔話本や絵本を、大人が残酷だからということでかなり改ざんされている事実!
でも、昔話はストーリーを楽しむ話で、聞き手の〝次はどうなるの?〟という期待に応えながら次々に展開するストーリを楽しみ、最後に主人公が幸せになって〝ああ、面白かった〟と聞き手が満足するものです。
話の最初から最後までのその一連の流れが全部楽しい!
でも、悪者が最後罰せられなかったり、まだ生きている終わり方だと聞き手は不安が残るので〝ああ、面白かった〟とは言えないですよね。
語り手であるわたしたちはしっかり勉強して、理論を背景にして自信を持った語りをしたいと思いました。
そうでないと、殺すとか切るとか殴るというような言葉を使わない昔話しか語れなことになってしまい、となると本格昔話はほぼ全滅でしょう(笑)
わたしは、やっぱり本格昔話が好きですし、語りたい、子どもたちに聞いてほしいと思います。
次回は一か月後、それまでに宿題として次回の講義に出てくる昔話を読んでくることになりました。
ヤンさんがちゃんとリストにしてくれて、しかも手に入りにくい話はコピーしてくれていて、ああ、なんて至れり尽くせりなんでしょか~
次回も楽しみです!(^^)!

第25回昔話の語法勉強会「山梨とり」

今週は前半が気温が低くて雨も降り、寒かったです。
みなさん、体調は大丈夫かなと思っていましたが、無事にみんな揃って勉強会が行われました(^O^)
今回の話は日本の昔話「山梨とり」です。
有名な話ですから、本や絵本がたくさん出ていますね。
今回は、最初にNさんが「山梨とり」を語ってくれました。
テキストは『子供に語る日本の昔話3』こぐま社です。

勉強会の資料は、元となった話(原話)の「山梨とり」『桃太郎・舌きり雀・花さか爺―日本の昔話Ⅱ』関圭吾編/岩波書店でした。
この話は、昔話は主人公が中心の物語であるということがよくわかる話でした。
そのことを中心に据えながらヤンさんが語法を抑えて説明してくれたわけですが、まとめとしてリュティ先生の言葉を引用してさらに詳しく説明してくれました。
1.主人公はあらゆる合理的な説明を超えて恩寵をうけている。
2.昔話は、劣っている者が逆転して、やがて力をもっていくという力学を持っている。
昔話が主人公中心の話であるということは、たまに出てくるかわいそうな脇役をかわいそうと考える必要が全くないことであり、何より聞き手が主人公と同調して話を聞いているわけですから、あなたはあなたであるというだけで幸せになれるというメッセージをダイレクトに伝えているのだということがよくわかりました。
そして、それを分かったうえで語り手がおはなしを語るということが大事なんだと!
だからできるだけ身近な人、同じ顔触れの子どもたちに、昔話を元の姿のまま語るほうがより愛情を伝えられる、ということを聞いて、感動して、満足感がいっぱいになりました!(^^)!

資料として、同じ原話から再話された本を持ってきてくださいました。
手に入りやすいものばかりですから、読み比べてみると再話の違いがわかって、とても面白いと思います。
『子どもに語る日本の昔話3』稲田和子・筒井悦子/こぐま社
『日本の民話②東北地方①』日本民話の会編/世界文化社
『わらしべ長者-日本の民話二十二編-』木下順二作/岩波書店
『日本昔話100選』稲田浩二・稲田和子編著/講談社
『ならなしとり』峠兵太作・井上洋介絵/佼成出版社
『やまなしもぎ』平野直再話・太田大八絵/福音館書店
『一寸法師 日本・中国・韓国の昔話集2』財団法人出版文化産業振興財団/独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター

ヤンさん、たくさん本を持ってきてくださってありがとうございました。
同じ原話なのにタイトルからして違うんですね。
再話となるときっといろいろなんでしょうね。
元の話と比べるのはとても勉強になると思います。
原話の違う「山梨とり」もありますし、有名な話は類話から再話した本も調べたらたくさんあるでしょうから、全部読んでみたら原話の選び方のいい勉強になると思います。
あとはやるだけなんですが…(笑)
でもコツコツやり続けたらそれが語るときの裏付けというか、自信にもなるでしょうから、より安定した語りができるはずなんですよね。
やっぱり継続は力なりですね。
では、また次の勉強会を楽しみにしています(^O^)/

昔話の語法「三匹の子ブタ」感想で~す2

遅くなりましたが、「三匹の子ブタ」の語法勉強会の、参加されたかたからいただいた感想、つづきですo(*^@^*)o

Eさん
「三匹のこぶた」の勉強会ありがとうございました。
物理学を無視していることに全く思い言い足らず語っていました。そう言えばそうですよね、いかに一般的常識にのっている自分にびっくりでした。色々勉強になりました。

Fさん
今回も、語法を深く学ぶことができました。
・外的刺激をきっかけとして、主人公が本質なものと出会うために旅に出る。
・三回の繰り返しがクレッシェンドしていくこと。
・出来事による言葉の繰り返しと言葉の出来事の繰り返し。
・物理学を無視(危機一髪のとき)。
・抽象性の中身はいくつかが絡み合っている。=イメージがクリアになっていく。お話に入っていきやすい。
語法を勉強することで、「三匹の子ブタ」のお話がはっきりみえてきました。

*稲田浩二さんの、幼い子には動物の話から始める
子ども 「自分はちいさい弱い存在」 
昔話で “大丈夫だよ!”
*「三匹の子ブタ」弱いものが強いものに勝つ話
おおかみは抹殺しないとダメ
あなたは大丈夫と伝える話

◎以前覚えかけてそのままにしているけれど、自立していく年長さんや一年生のこもたちに語っっていきたいと思いました。

Gさん
先日の3匹のこぶたの語法勉強会ではお世話になりました。
3回の繰り返しが入れ子式になっていて、クレッシェンドになっていることも興味深かったです。
また、2番目のこぶたが作った家は、「木の家」だと思い込んでいたのですが、「ハリエニシダ」なのですね。オンラインでも質問させていただいたのですが、後で確認しますと、石井桃子再話では、「ハリエニシダ」、瀬田貞二再話では「木のえだ」となっていました。
私が幼い頃、一番初めに見た絵本には日本家屋で使用されるような木材が描かれていたので、材料は木だと思っていたのです。しかし、ハリエニシダについて調べますと、イギリスでは荒地を覆う植物として一般的によく知られ、黄色い花を咲かせる草丈2メートル程度の株のようである。日本語ではハリエニシダだが、ゴースと呼ばれ、荒地を覆う植物としてイギリス文学に登場しています。
なので、藁よりも少し丈夫な小枝、といったところなのですね。オオカミが木の家を吹き飛ばす場面で、そんなに木の家は弱いのか?オオカミの吹く力は台風以上に凄いのか、と幼少期に疑問を覚えたので、なんだか納得しました。
さまざまな気付きをいただき、ありがとうございました。
私も語れるようにしたいと思います。

みなさま、ありがとうございました!

わたしも勉強会の準備をするときや、当日みなさまにお話するときに、とってもよい復習ができています。
語法を確認することで、その話の価値を確認しているって感じです。
うまく録画できたので、おんでまんどくらぶにアップしますね。

あ、そうそう、最後の疑問や感想を言いあう中での意見交換、いつもおもしろいです。

 

 

4月のプライベートレッスン

町中でハナミズキがきれいに咲いておりますね。
他の草木もたくさんきれいに咲いているのですが、うちの近くではハナミズキが多いのでよく目に入ります。
白い花やピンクの縁取りの花、大きさも微妙に大小がありますし、どれも美しいです。

今月のプライベートレッスンは、日本の昔話を日常語のテキストに直すというものでした。
「宝下駄」『語りの森昔話集5ももたろう』語りの森

一本歯の下駄が重要なアイテムとして出てきますが、参加者さんはつい最近電車で一本歯の下駄をはいている方を見たそうです。
なんという、状況の一致でしょうか(笑)
でもなんで街中で一本下駄をはいているのかと不思議でしたのでネットで検索してみたら、最近ではトレーニングのために一本下駄を使うと出てきました。
なるほどね、体幹が鍛えられるんでしょうかね?

話の中で何度も〝転ぶ〟という言葉が出てくるんですが、わたしは〝こける〟じゃないかなと思ったんです。
参加者さん・ヤンさん・わたしの三人ともに関西弁ですが、参加者さんとヤンさんが、転ぶこけるを併用していて、わたしだけがこけるの一択だというのがわかりました。
つまりわたしの日常語には転ぶはなくて、道でべちゃっと倒れるのも、転がるように倒れるのも、全部こけるなんです。
ヤンさんが大阪弁の辞書を調べてくれて、こけるだけを使用するのはより典型的な大阪(関西)の言葉だとわかりました。
育つ環境にもよるんでしょうが、結構近い地域に生まれ育ってもこんな風に突き詰める機会があると、言葉ってそれぞれ違うんだなと実感しました。
再話もそうですけど、日常語テキストに直すときも、自分の言葉の感覚を敏感にしておかないといけないですね。
いろんな発見があり、今回も楽しい時間でした(^O^)/