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第3回おはなし入門講座

雨が降ると草木を潤して空気中のチリを落とし雨上がりの景色をきれいに見せてくれてうれしい気持ちになります。
さて先日の久しぶりの雨の日に第3回入門講座が行われました。ご報告します。

おはなしの覚え方・語りかた】

1.語り

「三匹のこぶた」
 (イギリスとアイルランドの昔話)福音館書店
   語り ヤンさん

2.おはなしの覚え方

A.ストーリーを覚える

①声を出して全体を読む
映画のように映像をイメージしながら読む
②テキストを見ずにあらすじを書き出す
→テキストと照らし合わせて抜けているところを補充する(自分の欠けているイメージを確かめる)
③意味段落に分ける
・場面が変わる
・時間の経過(次の日とか)
・人物の出入り

B.言葉を覚える

①一段落ずつ覚える
一段落ごと声に出して
その一段落を細かくイメージしながら覚えていく(どんな森?針葉樹?寒い?匂いは?など細かく)
自分の作ったイメージが定着するまで声に出してイメージする=訓練(早くイメージできるようになる)
②1つの段落の2〜3行ずつ暗唱していく
③その段落を覚えるまで繰り返し暗唱する
イメージ映像と一緒に
一日一段落とかすすめていく 何度も何度も 歩きながらとか
④全ての段落が終わってから通す
それまでは前の日までにやった段落を復習しない!
どの段落も同じ量の練習量にするため
⑤ヒマさえあれば語る
ひたすら語る→完成

C.大切なこと

☆覚えるのに時間をかけること
イメージを深めることは作品の解釈を深めること
☆正しくきちっと覚えること
あらすじだけ覚えて語っていると「えっと」とか言葉を探る不必要な間が入り声の力が弱くなる
おはなしの言葉だけで正確にきちっと語る
ストーリーテリングは言葉だけが道具‼︎

3.語りかた

☆「上手にやろう」と思わない
私たちはおはなしと聞き手を媒介する媒体に過ぎない。
ただし好きなおはなしのイメージを膨らませ理解を深めその背景までよく知っている語り手が語ると五感で感じているリアリティがおはなしに出てくる。子どもが「おばちゃんそれホンマ?」と言うほどに。
それはおはなしと格闘した時間によって生まれるもの。

☆途中で忘れても必ず最後までやりきる

 

♪♪♪
一番最初に覚えるおはなしは探す時間選ぶ時間もたっぷりとって何より「好きなおはなし」を選ぶこと。その伝えたい思いや情熱で突っ走って最後まで行くんだとのことでした。
これは一話目に限らずおはなし選びには大切なことだなぁと感じます。なぜなら『格闘』しなくてはならないですもんね。好きだからこそとことん向き合えるんだと思います。

次回1/18はいよいよ最終回発表です。みなさんが選ばれた好きなおはなしに会えるのが楽しみです♪♪♪

12月の研究クラス

今年2回目の研究クラスの報告です(^_^)
研究クラスでは、当番さんが事前に一話を選んでその話についてレポートを作成します。
勉強会当日はそのおはなしを語って、レポートの説明をして、語りの講評という流れになります。
今回は、語りではなくて研究クラスでずっと読みあわせている〝呪的逃走モティーフ〟について、勉強しようということになった最初のころに、「三枚のお札」でレポートを作成されたかたの呪的逃走モティーフを追いかけた続編でした。
タイトルは、「ぎょうせいの『世界の民話』における呪的逃走の考察」です。

調べ方を説明します。
まず、『日本昔話通観第28巻昔話タイプ・インデックス』(同朋舎)をみます。
すると「三枚のお札」は、IT347とあります。
(ITとは、共同編集者の稲田浩二先生のIで、稲田タイプということです。)
そして、同一タイプとしてAT313H、参照タイプとしてAT313D、AT314、AT334があげられています。
ATというのは、研究者のアールネさんのAと、トムソンさんのTです。
AT番号を調べるために、『世界の民話25解説編』(ぎょうせい)をみます。
索引Ⅰアールネ=トムソン「昔話の型」による索引の11ページに
AT313、A,B,C 主人公の逃走を助ける少女
AT314 馬に変身させられた若者
そして14ページには、AT334 魔女の家事
と、載っています。
それぞれには、『世界の民話』1巻~24巻までの該当する話とグリム童話の該当する話が記載されています。
これらの話を、当番さんは一話ずつ読んでいって、呪的逃走モティーフが含まれているかどうかを確かめてレポートを作成されたのでした。
加えて今は、AT番号を進化させたATU番号があるので、『国際昔話話型カタログ分類と文献目録』(小澤昔ばなし研究所)のATU313呪的逃走の項もあわせてレポートにまとめられました。

手順を追っていくとこんなかんじですが、なかなかに細かい作業でたいへんです。
呪的逃走モティーフのあった話を一覧表にまとめられましたが、わたしは説明について行くのがやっとというところでした。
もう、目が、目がぁ~~。
ほんとに、作成お疲れさまでしたとしか言いようがないのですが、呪的逃走モティーフというのは全く奥が深くて、掘っていくほどに先が伸びるみたいな感じがします。
だからこそ面白いんですが。
呪的逃走のモティーフの話は〝忘れられた花嫁〟モティーフとくっついていることが多いというのは今までの読みあわせでわかってましたが、今回わかったのは、「ラプンツェル」の魔女のように、許す代わりに将来子どもを渡せという約束をする内容のモティーフや、主人公の髪が金髪である、または金髪になるという〝金〟(極端に高価な物、一番尊い物)のモティーフとつながっていることが多いということです。
〝呪的逃走〟のモティーフが入ったおはなしは世界中にたくさんありますから、結び付くほかのモティーフが持つ意味というのもきっとあるんでしょうね。
最後に、まだまだ読むおはなしはリストアップできるから、〝呪的逃走〟を考察する旅はこれからも続くという話になりました。
わたしも根気の続く限り、というか、なんとしても続かせて(笑)、自分は調べないでいて、いいとこどりをさせてもいただこうという魂胆<(_ _)><(_ _)><(_ _)>
今回も力強いレポートをありがとうございました。
勉強した!という気になりました(^o^)/

11月のプライベートレッスン

もう12月になりました。
早いです!
月をまたいでしまいましたが、11月のプライベートレッスンの報告をさせていただきます。

1日目
日常語のテキストになおす
「だんまりくらべ」『語りの森昔話集2ねむりねっこ』語りの森
自分の語り方がふたつあるとき、どちらの言い方もするからどっちにしたらいいんだろうということになりました。
具体的にいうと〝逃げていってしもた〟と〝逃げてってしもた〟のどちらも、1日目のかたは使うからどっちだろうということになったのです。
ヤンさんの指導は、自分が何を語りたいかと、話のテーマとを考えて決める、でした。
話にとって大事なところでゆっくり語るところなのか、最後の落ちのところなのか、さらっと語るところなのか、それぞれに語るスピードとリズムが違いますのでそれらを考えてどちらにするかを最終的に決めましょうということです。

2日目
語り
「海の水はなぜから」語りの森ホームページ・外国の昔話 → こちら
語りのお勉強をしてそのあとのことなんですが、話を決めるということに話題が移りました。
そのことについてなんですが、自分の好きな話を選ぶとき、聞き手に合わせた話を自分で選びきれないので人に聞いて勧めてもらった話を選ぶとき、いろいろな状況があると思います。
聞き手にとってこの話は妥当かどうかというのは、正直わたしもまったく自信がありません。
迷います。
だから周りの人に聞いてお勧めを出してもらうことも多いかと思います。
で、それを覚えたときにその話について、嫌いじゃないけど好きでもない場合、これはどうでしょうか?
あるいは、好きなんだけど、この部分はどう理解したらいいのか分からない、ちょっとだけどわからないところがある、とか。
自分が好きで選んだ話と人に勧められて覚えた話の間にあるこの少しの差は、実は語ると大きな差になるんじゃないかとこの日感じました。
しかし、わたしはたいへん申し訳ないのですが、好きな話しかおぼえたことがありません。
でも、語り手さんたちのお悩みはよくわかります。
まじめに取り組んでおられるほどに、お悩み度が深くなるのもよく分かります。
ですから、個人的には、「この話を覚えましたので、これでやらせてください!」方式がいいんじゃないかと思いました。
なかなか言えないでしょうかね。
ほんと、個人的な意見ですいませんm(__)m

二日とも、プライベートレッスン常連さんたちで、安定の充実したレッスンでした。
いつもながら、勉強したな~とかんじられ、同席させていただくのが楽しいです。
ありがとうございました(^o^)/

11月の中級クラス

秋になって気温が下がってくると同時に食欲が出て来るのはなんでなんでしょうか?
秋の食材がおいしい物ばかりというのはあると思いますが、おいしいものは一年中ありますしね。
そんなにいらんのにどんどん出てきますよね。ね!ねぇ!

11月の中級クラスの報告です(^^♪
「みじめおばさん」『世界のメルヒェン図書館』小澤俊夫編訳 ぎょうせい
「妖精の丘が燃えている」『子どもに語るアイルランドの昔話』こぐま社
「三本の金髪を持った悪魔」『語るためのグリム童話2』小峰書店
「カメの笛」『ブラジルのむかしばなし1』カメの笛の会編 東京子ども図書館
「めんどりちゃん」『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』語りの森
ヤンさん
「アナンシと五」『子どもに聞かせる世界の民話』実業之日本社
『ノート式おはなし講座』
おはなしの練習 1.大きな声を出す 2.いろいろな語り方を試す(P.29~31)

今回も、どれも面白い語りで、それに対する講評もどれも勉強になるものばかりでした。
そのなかで、わたしの心に爪痕を残したのは、思いきってふり幅を大きく意識して語られた「カメの笛」でした。
普通に語られても十分面白く聞ける語り手さんですが、セリフと間の取り方を意識して、飛びはねる気持ちで語られたということですが、その理由を聞いてまたまた気持ちを持っていかれました。
高学年の朝学習で、「手なし娘」(日本)をするので、そのあとに子どもたちの朝の気持ちを持ち上げるために楽しい話をしようと「カメの笛」を組み合わせたそうです。
な、な、なるほど~~。
語り手さんは、そのプログラムでこの語り方は、「どうでしょうか?」ということを問いかけられたのです。
で、ヤンさんのアドヴァイスです。
どこまで飛びはねて語るかは、子どもたちの目を見ながら決める、目を見ながら語る
クラスによって温度差があり、反応は違うけれども聞き手の中に入ってい行くものは同じ。
反応が違うのはむしろ楽しいこと。
反応のあるなしは表面的なことで、反応が薄いと語り手がそれに影響を受けてしまうというだけ。
昔話は長いあいだ語りつがれて残ってきたものだから、話をきちんと理解して語るだけでオッケイ。
それは創作でも同じ。

全くその通りと納得です。
昔話の力を信じてわたしたち語り手はそのままを聞き手に手渡すだけ。
ただし、話を理解してそれぞれの姿をつかまなくては聞き手には本来の面白さは伝わらないかも、ということですね。

それと、「みじめおばさん」の資料で、今までコピーでさえ見たことがなかった『世界のメルヒェン図書館』を見られてちょっと嬉しかったです。
挿絵があって、梨の木に色んな人がくっついていて、梨は当然洋ナシでした。
こういうちっちゃな幸せがわたしの生活を楽しくする、みたいな(笑)

次回は12月、今年最後です。
一年が過ぎるのはなんと早い事かと驚きますが、別にわたしにだけ早く時が過ぎるわけではありません。
うかうかしないように気持ちを新たにして、次回はエントリーしたので頑張ろうと思います(^_^)

11月 初級講座

冷たい風が吹き、寒くなってきましたね。きたかぜ~こぞ~のかんたろう~♪が流れてきそうなお天気でした。

1.ものをいうたまご 『語りの森昔話集4/おもちホイコラショ』語りの森

普段は学童で「おはなし聞いてくれる?」と声をかけて、子どもに聞いてもらっている。その学童の子どもたちに聞かせるのによいと思った。また、おはなしのテーマの解釈が自分にも、すっと入ってきたので選んだ。よく似た文、少し違う文を覚えるのが難しいと感じる。

ヤンさん

文字面で覚えるのではなく、イメージで分かっていくと覚えられるしばらく行くと…、また少し行くと…、また少し行くと…、さらに行くと…、ようやくおばあさんの家につくと… 森の中を歩いて歩いて、ようやく着く。それをイメージして解釈していく。また、文が切れているので、点は無視して一息で言う。『ブランシが井戸まで行くと、一人のおばあさんに会いました。』切れると、その間で聞き手に考える隙を与えてしまう。その度に、「何かな?」と思ってしまう。切らずに言うと、聞き手がイメージできる。それを自分の課題にしたら語りが変わると思う。

2.三つの五月のもも 『語りの森昔話集2/ねむりねっこ』語りの森

言葉が自分のものになってない状態だった。自信がなかったので、慎重に、固めになり、だらだらしてしまった。終盤の『ところが、王様はまだあきらめようとせず…』で、聞き手がまだ続きがあるということ(最後の大事な部分)をうまく受け入れてくれるような語り方をしたいなと思う。

ヤンさん

語り手が大事と思って語ったらよい。まだあるぞ、ここからやで!という気持ちでいればよい。『三つの袋を真実でいっぱいにしなくては…』真実は見たり触ったりできない物、王様が不思議な事をいったぞ!?と子どもはまた引き付けられる。そこで、『キス、とんぼ返り、ろばのおしりにキス』の言葉を立てると『三つの真実』とが、ばちっと合って分かる。また、全体を通して言葉の重さが同じになっていた。テキストの文には、大事な文、そうでない文がある。聞かせたい文、繋ぎ文、気持ちの重いところ・軽いところがある。子どもは全部をばっと語られるとしんどい。力を抜くところでは抜くと、深みが出て語れる。そして、細かい部分では、『100匹のうさぎ、4日の間、』言葉を立てる。『地面に〈とびおりました、若者の前に〈ならびました』こちらを強調する。うさぎの行動の意外性を面白いと思って語る。

3.しんぺいとうざ『語りの森昔話集3/しんぺいとうざ』語りの森

娘のいる家の屋根に白い矢がささる、うちの家に白い矢が立ったのです、‘‘ささる、立つ‘‘に迷いがあるまま語っている。

ヤンさん

‘‘ささる‘‘はリアリティがありイメージしやすい。‘‘立つ‘‘は順番が当たる意味。使い分けて再話している。また、会話文をもう少し、話し言葉として語ると言葉が生きてくる。男の子の話し言葉はそのようにしているので、それに負けないように、お侍の話し言葉も工夫するとその方がおもしろくなる。そして、冒頭の説明文の後、間を入れて次の段落にいく。p72『真夜中、…』の前にも間を入れる。しーんという静かな間で、何が起こるのか?と思わせて、次の山場に入っていくとよい。

4.えんまさまの失敗『日本の昔話1/はなさかじい』おざわとしお再話

おはなし会で子供に語る予定。前の人の語り(しんぺいとうざ)を引きずっていたことに途中で気が付いた。集中できていなかったかなと思う。一字一句大事にしたいと思っていたが、とばしてしまった箇所もある。医者がえんまさまの腹の中でこう薬を貼って、神主、かるわざ師、医者が順に口から飛び出すシーンで、一人目、二人目は同じ言葉表現になっていて、三人目は違う表現になっている。一人目、二人目の語り方に違いを出した方がいいか、同じ調子で語った方がよいかと思っていた。

ヤンさん

ここは、図形的に語る場面で、切り紙細工のように口から飛び出す様子がイメージされる。昔話の平面性。1、2、3!の調子で、1,2は同じで良い。また、『か神主、かるわざ師、つるぎの山』の言葉を立てる。そして、つるぎの山を登る時の表現で、『すいすい』は滑っているのではなく、困難なく登る様子で語る。

 

Kさん手遊び 花さかんひらいた ジャンケン(遠野のわらべうた)

ヤンさん語り ひなどりとねこ 『子どもに聞かせる世界の民話』実業之日本社

 

ノート式おはなし講座p38~(詳しくはノート式をお読みください)

4.恐い話の語り方

子どもの心の中には得体のしれない物への恐怖心や、先が見えないことへの不安感があります。それをはっきり目に見えるものにして克服したいという無意識の欲求があるのでしょう。怖い話は子供にとって大事なんですね。「恐いはなしして!」という裏にそんな欲求があるとは。積極的に怖い話もレパートリーに入れたいです。

a.ジャックと豆の木、めし食わないよめさん、三枚のお札など、の本格昔話

子ども達は、はらはらドキドキしながら、怖さに耐えて聞きます。昔話では必ず主人公が幸せになり最後には勝つことが分かっているので、怖さに耐えて聞きます。次々おそいかかる危地から脱出するたびに、子どもたちは笑って喜びます。これは、緊張が緩和したときに起こる笑いです。

b.やまんばと桶屋、死人の手、九尾のきつねなど、子どもたちの好きな学校の怪談のような話

語り手は思いっきり楽しみながら、子どもたちの「こわがらせて」という欲求に、喜んで応えるといいです。この類の話はハッピーエンドとは限らないので、子どもを傷つけないように注意が必要です。

c.ちいちゃいちいちゃい、金の腕、くらいくらいなど、最後の一言で突然大きな声を発し驚かせる話。

間をとって恐さを感じさせる。…ヤンさんは、何の前触れもなく、『くらいくらい』を語り出しました。はぁこわかった~おもしろかった。強い感情をみんなと楽しむ、みんなと笑う、という事がとても大事で、特に固い雰囲気・場所でやることに意味があると思う、とのことでした。

 

同じ話を同じ人から、時間をおいて聞くという事を味わったことが、今回は印象的でした。おはなしに奥行きが出る、その意味を、体験を通して感じることができました。時間をかけて、ゆっくり育てていくんですね。ただ、自分の語りに限っては分かりづらいですけどね。楽しむ余裕がある語りで子供たちに手渡したいものです。ということは、語る予定がなくても過去のものを時々一人で語っておくことも後々大事ですかね。期間があきすぎると、完全忘却の恐れあり!新しいお話も覚えたいし、覚えた話を育てたいし…しかし、何事も早く得ようとすると空っぽになるといいますし、ゆっくり遊びながらおはなしの小道を歩いていきたいです♪

次回は12月14日(火)です。