12月の中級クラス

今年最後の勉強会。さすがに冬到来~というぐあいに寒くなりました。手遊びは「なかなかほい」 かたくなった頭と体(手だけですが)をほぐしてから始まりました。

1.おおかみと七ひきの子やぎ 『語るためのグリム童話1』小峰書店

三学期におはなし会で語られる予定だそうです。少しずつ違う言葉で繰り返されるので、あっているかと気になったり、言い直したりすることになってしまう。子供がおはなしを聞くのに負担となるので、その部分はうまく先へ進む練習をして、大事なところ(『おおかみは前足を窓にかけていたので…、それなら前足をみせておくれ…お母さんにちがいない…ところが入ってきたのはおおかみでした』など)で、イメージできるように語ることの方に意識を持っていくといいとの事でした。このおはなしを語る方の体験談では、おおかみが入ってくるところ、子やぎたちがあっちこっちに隠れるところ、おおかみしんだ、で子どもたちの反応があるなど、その様子をにこやかに思い出しながらお話がありました。また、ヤンさんは、『ところが、水を飲もうとしてかがみこんだひょうしに、おおかみは石の重みで泉の中に落ちて、おぼれ死んでしまいました。』「え、だれが?」と言われることが何度もあったそうで、『おおかみは、おぼれ死んでしまいました』と主語を入れて語るそうです。みなさんの体験談を聞いて、このおはなしは、たくさんの語り手が語る話の一つなんだなと思いましたし、子どもたちが聞きたい話なんだなと感じました。

2.旅の仲間 『語りの森昔話集5/ももたろう』語りの森

私の語りです。長いこと練習していたのですが、言葉が変わっていたり、抜けていたりしましたが、本人もこれで合っているというふうにと語りました。聞き手がん?となる所がないように、テキストを見直して修正します。テーマは語り手によって違う、自分がどう考えるか、何を子どもに伝えたいか、とのアドバイスでした。私は、主人公のひととなり、言動や行動に表れている、その在り方を語りたいなと思っていて、そのように語れるようにしたいです。

3.ホレばあさん 『語るためのグリム童話2』小峰書店

こちらは、キリスト教より古い自然信仰の頃からのおはなしで、魔女やホレばあさんは豊穣の神だそうです。語り手さんは、2年生に語ろうと予定されているそうで、イメージを助けるために言葉をつけ足したり、話し言葉の前に主語を持ってきたりと工夫されていました。『黄金の雨がはげしく降ってきて…』のところ、「おうごんって何?」と子どもに聞かれないように、ヤンさんは金に変えているそうです。(おはなし『黄金の鳥』も『金の鳥』に) 今度の語法はホレばあさんですね!一足早く、ホレばあさんの在り方を耳で聞いて感じることができました。ホレばあさんは、みにくい娘の行いに罰を与えてやろうとはしていなくて、ただうんざりするだけだと。「これがおまえのむくいさ」と、がっかりして言う人間らしい優しさがある。ヤンさんのお話も印象的でした。ホレばあさんについて→こちら

4.白い子ねこ 『新装世界の民話14』ぎょうせい より再話

プライベートレッスンで再話に取り組まれたものを語られました。再話後、覚えて語ることで完成していくと思うと言われていました。イメージできた、よくわかったと、感想を言う聞き手のみなさん(私も)。ヤンさんが、「『おばあさんは、大急ぎで編み始めました。』ここ、何か思いませんでしたか?」と言われました。何で大急ぎなのか?と聞き手はひっかかりませんかと。確かに。寒いから子供たちに編みたいのか、貧乏だから毛糸を見つけてうれしいからか、理由をさっと自分で補って聞いていたことに気づきました。なんで?と聞き手が思わないように、こうしたらどうか、ああしたらどうかと話し合いました。この一連の雰囲気がとても心地よかったです。聞き手の子供たちに向けて力を注ぎ、完成した文章にみなさんで納得しました。子供たちはどんなふうに聞くのかな~と楽しみになりました。

5.あるげつようびのあさ 『同名絵本』徳間書店

ユリ・シュルヴィッツ作の絵本です。訳者は谷川俊太郎さん。画像がその1ページです。(キャラクターたちのお顔より、おしりが目立ってしまいました)「あるげつようびのあさ おうさまと、じょうおうさまと、おうじさまが、ぼくをたずねてきた。でもぼくはるすだった」と始まる累積譚のような絵本です。今日は絵からちょっと離れて、言葉だけがひびきました。手を加えずそのまま語られたと思うのですが、絵本を目で見る楽しさ、耳だけで聞く楽しさ、同じ人間の体を通しているのに、自分の感情や味わい方の違いに驚きました。作者の事をもっと知りたいな、他の作品も読みたいなと、思うきっかけを頂きました。ユリ・シュルヴィッツを楽しむ会が4月に開かれる予定です♪

ヤンさん語り 九尾のきつね 『語りの森昔話集1/おんちょろちょろ』語りの森

九尾のきつね~面白怖かった~。子どもたち喜ぶでしょうね~。今日も楽しいおはなし会でした。外から見たら3時間を超えるハードな勉強会のはずですが、自分の語りの緊張と、みなさんの心地よい語りと、心喜ぶ学び!あっという間の楽しいひとときでした。講師のヤンさんとジミーさん、いつもありがとうございます。他のクラスや企画もの勉強会も多々ありますし、スケジュール管理、準備など先々あれこれ考えることたくさんあると思いますが、子どもたちの事を思い、語り手を育てる事に心を寄せてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです~♪おはなしに、子どもたちに、今年もたくさん助けてもらいました。また来年もよろしくお願いします。

次回は、3月21日(火)オンラインでの開催予定です。

 

 

万博記念公園⛲

えらい寒波の来た日曜日、大阪千里の万博記念公園にいってきました。
なんでそんな日に?
スケジュールの都合(*^_^*)

大阪万博は1970年のこんにちは~♬
50年なんて、あっという間やね。
太陽の塔はかつてほど大きく感じられなかったし、汚れてて、それなりに風合いが出ててよかったです。

50年ぶりの日本庭園も、植物がよく成長してて、庭園らしく変貌していました。かつては、新しく作りました!って感じやったけど。

これは、日本庭園の前のバラ園のバラ。
バラって四季咲きのがあって、ほとんど一年じゅう、なにかしら花が咲いているようです。

今回初めて訪れたのは、ソラード。
森の空中観察路っていう。
万博公園中央口から左、つまり西に15分ほど歩いていくと、自然観察学習館っていう地味な学習棟があります。そのそばに木組みの塔があって、塔のてっぺんあたりから空中にずうっと橋がくねりながら続いてるのです。
だいたい大きな木のてっぺんくらいの高さのとこを歩くのね。
鳥の目線で森を見るような感じ。
ちょっとアスレチック風だけど、あんまり恐くない。
けど、強い風がひゅうひゅう吹く中を、樹冠を歩くように進むのは、かなりきつかった(笑)
一番高いところは橋が凍ってて、すべるわーい.·´¯`(>▂<)´¯`·.

向こうに見えるのは、エキスポシティの観覧車。
ね、けっこう高いでしょ。
登ってく階段の隙間から下が見えるから、高所恐怖の人は気を付けてね。

いろんな木が茂っていて、鳥の鳴き声が聞こえてて、気持ちがよかった。
春秋だともっといいかも、また来たいなと思いました。

そして、最後の目的はみんぱく。
そう、かの村上ツーリスト企画みんぱく昔話ツアーを思い出しておくれ。

トーテムポールです。

インドネシア、バリ島の魔女ランダ。災いをもたらすので、人々はお供え物をして劇を演じて、鎮めようとするそうです。

国立民族学博物館は、何度訪れても飽きません。
今回は、コロナ前より新しくなったアジアのブースを重点的に楽しみました。
アイキャッチ画像の竜は、中国の金龍です。天井いっぱいに飛んでいて、大迫力でした~

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もうすぐクリスマス。
ババのメンバーからいただいた讃美歌のCDを、毎晩聴かせていただいています。
師走の喧騒が遠くへ行って、心が鎮まっていきます。
今年もあと少し、せめて穏やかに年を越したいものです。

12月のおはなし会2🎄🎄

12月16日(金)

幼稚園4歳児

ロウソクぱっ
おはなし「ホットケーキ」『おはなしのろうそく』東京子ども図書館
おはなし「じいとばあ」
絵本『ならびました』五味太郎/ブロンズ新社
ロウソクぱっ

「笑ってええのかな?」と、一瞬ちゅうちょするクラスです。

さて。
いつもひとり、お部屋の中を独自に移動する子がいるんだけど、おはなしは嫌いじゃないみたいなので、いつか何とかしようと思ってたんだけどね。「ホットケーキ」が始まったとき、たまたまその子が私のすぐそばまで来たので、そっと手を取って私の膝に乗せたら、最後まで膝の上で聞いてくれました。
とちゅうで、「靴が脱げた」って床に下りたので、「もう行っちゃうかな」と思いましたが、靴をはいてまた膝に上がりました。
かわいいね~
その子は、初めて、長い話を最後まで集中して聞けました。
他の子たちも、全然違和感なく聞いてくれましたよ。

「ホットケーキ」がおわって。
わたし「みんな、長い話、よく聞けたね~」
こども「みじかかった!」
わたし「もうひとつお話しようか?」
こども「うん!」
わたし「長いのがいい?短いのがいい?」
こども「長いの嫌や」「長いのがいい」
そこで、「じいとばあ」をやりました。みんなずっこけていました。

『ならびました』を出すと、子どもたち「知ってる~」「おんなじ~」
先月読んだ『いました』を覚えてたんですね。
今回は、最初から笑って聞いてましたよ。
リクエストに応えて2回、よみました~O(∩_∩)O

幼稚園5歳児

ロウソクぱっ
おはなし「とりのみじい」『日本の昔話』小澤俊夫再話/福音館書店
おはなし「じいとばあ」
絵本『ならびました』五味太郎/ブロンズ新社
ロウソクぱっ

なんだか、ほんとに鳥を飲みこんだみたいな顔をして聞いてました(笑)
やっぱり「短い!」っていったので、「じいとばあ」をしました。
4歳児さんよりもっとずっこけてました。

『ならびました』を出すと、「『いました』の続き~」っていった子がいましたよ。さすが5歳さん、かしこいなあ。
「五味太郎」にも反応していましたよ。
劇の発表で「ももたろう」をしたので、「ごみから生まれたんか」って、納得していました。
わたしは、なんでもいいから、子どもたちに五味太郎さんの名前を覚えてほしいと思いました。
2回読んだら、2回目は子どもたちも声をそろえて読みました。
いや、そろえてじゃないな、ページをめくるのと競争で「ならびましたあ!」
楽しかった。

どちらのクラスでも、最後のごあいさつ。
わたし「よいお年を!」
子ども「?・・・・ヨイオトシオ!」

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きょうのおはなしひろばは「かますのいいつけ」
聞いてくださいね~
3,4年生の元気な子たちにぴったりの話です。
《外国の昔話》にテキストをアップしているので、語ってくださいねヾ(≧▽≦*)o

 

 

 

ホレばあさん❄️

久しぶりにグリム童話よもやま話です。
最近「ホレばあさん」を子どもに語る機会がありました。
「ホレばあさん」については以前にも井戸端会議で取り上げています。⇒こちら
昔話雑学でもまとめてあります。⇒こちら
合わせて見てくださいね。

KHM24「ホレばあさん」 「ホレおばさん」とも

エーレンベルク稿では37「モルモット」。似ているけれど違う話です・
初版からは24番です。そののちも内容には大きな変化はありません。

話型は、ATU480「親切な少女と不親切な少女」
まんまですね~笑
類話はたくさんあります。
ロシア「がちょうはくちょう」(『おはなしのろうそく』)
ロシア「十二の月のおくりもの」(『おはなしのろうそく』)
フランス「井戸の底の贈り物」⇒こちら
イギリス「地のはての井戸」⇒こちら
アメリカ「ものをいう卵」⇒こちら

ルース・ポティックハイマー『グリム童話の悪い少女と勇敢な少年』(紀伊国屋書店)によると、グリムの「ホレばあさん」では、美しい娘は、パンを窯から出してあげたりリンゴの木をゆすって実を落としてあげたりして親切ですし、ホレばあさんの言いつけ通りに仕事をする働き者です。だからホレばあさんから贈り物をもらうんですね。醜い娘は不親切で怠け者なので、罰を食らいます。

わたしは、パンの焼け時やリンゴの熟し時を知ることができて、ホレばあさんが雪を降らせるのを手伝うことができる娘は、自然と交わることができる力を持っていると感じています。

それはさておき、主人公が地下の世界に行って、そこの住人から宝をもらってくるっていう形、めっちゃなじみがありませんか?
おじいさんが、ねずみあなに入っていって、ねずみから宝物をもらってくるのと同じでしょ?
しかも、欲張りじいさんもいて、同じことをして失敗しますよね。
ドイツの「ホレばあさん」と日本の「おにぎりころころ」が同じ形をしているなんて、不思議ですね~

さてさて、1月17日の昔話の語法の勉強会では、この「ホレばあさん」をとりあげますよ~

 

 

12月の初級クラス

今回は入門講座を修了された方も迎えての勉強会となりました。この後3月、4月にも次々と初級クラスデビューしてくださるとのこと。毎年お仲間が増えることは本当に嬉しいです。それは一重に、ヤンさんが入門講座を継続してくださっている事、そしてジミーさんや諸先輩方がその環境を整えてくださっている事に尽きます。こちらの勉強会にご縁があったことに、心より感謝です♪

【 手遊び 】(とんとん、ひげじいさんのクリスマスバージョン)
とんとん、とんとん、星の夜
とんとん、とんとん、ベルがなる
とんとん、とんとん、となかいさん
とんとん、とんとん、そりを引く
とんとん、とんとん、サンタさん
みんなに届くよプレゼント

【 語り 】
1.「いばら姫」『語るためのグリム童話集3』/小澤俊夫監訳/小峰書店
2.「春の野道で」『語りの森昔話集3・しんぺいとうざ』/語りの森
3.「白ばらとばら赤」『語りの森昔話集4・おもちほいこらしょ』/語りの森
4.「お経をわすれた和尚さん」『語りの森昔話集4・おもちほいこらしょ』/語りの森
5.「しんぺいとうざ」『語りの森昔話集3・しんぺいとうざ』/語りの森

【 ヤンさんの語り 】
6.「こびとのおくりもの」『語りの森昔話集1・おんちょろちょろ』/語りの森

【 語った方の感想  】
・言い間違いを言い直さないように語った。言い直したい自分がいる。
・言い間違いをすると、次の言葉が出ない。
・言い間違えている事に全く気付かず語っていた。
・子どもが語りを聞いた後で触発されて、自分でお話を作った(これに関して、複数の方々が語りの影響による子どもの行動のエピソードをシェアしてくれました)
・自分の語りを講評してもらうこと、人の語りを聞くことから学びが多い。

【 講評より 】
・言い間違いを言い直すと「丸暗記」していると聞き手は感じる。
・語法につながる大事な言葉は、強調するのではなく「立てる」。
・聞いてわかりやすい言葉をテキストから学び、自分の語彙力を磨く。
・情景描写の場面は、語り手自身が見ている景色を、聞き手に伝えるよう語る。
・~と、いいました。のように「と」の後で切って語ると、文章を読んでいるように聞こえる。切らないで語ると「語りのリズム」が生まれる。
・大切な「場所」を表す言葉や、「矢」のような一語の言葉は意識して「立てる」。

【 ミニ研究クラス 】*ジミーさんの研究発表ブログ〈こちら→〉と関連して
今回の語りにあった「しんぺいとうざ」は話型でいうと「猿神退治」で、これはヨーロッパでは「竜退治」になるそうです。もともとは神さまだったものが悪者になって退治される存在になるのですね。山の神は山姥に、河の神は河童になるとのこと。話型から昔話をつきつめていくのも楽しそうですね。

ちなみに2023年1月17日(火)に予定されている語法の勉強会のお話「ホレばあさん」は自然をつかさどる女神様です。

1月、2月はお休みですので、次回の初級クラスは3月14日(火)です。