毎年この時期に、高校へ絵本読み聞かせの授業に行きます。
最近の高校は、カリキュラムがバラエティに富んでいて、普通科でも保育選択授業というのがあるのです。
保育園への実習も充実していて、専門的に学んでいます。
きょうは、全5コマのうちの最初の日。
事前アンケートで、子どものころどのくらい読み聞かせをしてもらったかを尋ねています。今年のクラスは、あまり記憶がない生徒が多かったですね。
そこでまずは読んでもらう体験をしてもらいます。私が読むのね。
『ぐりとぐら』なかがわりえこ・おおむらゆりこ/福音館書店
これは覚えている人が、まあありましたね。定番ですから。
でもほぼ全員が目を光らせて聴いていました。
「幼児は、「おしまい」って言ったら、「もっかい」っていうから、もう一回読みます。また「もっかい」って言ったら、また読む。子どもは、このお鍋のふたを開ける場面を待ちかまえてるのね。その期待にちゃんと応えてあげるの」
このコメントだけで、高校生は深い目をします。
『はらぺこあおむし』エリック・カール/偕成社
これは、かなり笑顔が出ましたね。
そう、高校生は初めてのおばちゃんにはなかなか心を開かないのです(笑)
「このあなのところ、たいていぼろぼろになるよ。食べるのって、子どもはとっても興味を持つ。生きるための本能ですね。
このさなぎからちょうちょになるところ、いいでしょ。子育て中のお母さんとかは、ここでほろっとしたりする。しんどいことが多いからね。で、自分はさなぎだって。わが子もさなぎだって。でも、こんなにきれいなチョウになる」
うなづく生徒もいます。
それから、「そのばんあおむしはおなかがいたくてなきました」のところ、本を近づけて、左下の青虫の顔を見せます。
「かわいい~」
やっと声が出ます(笑)
『よあけ』ユリ・シュルヴィッツ/福音館書店
このあたりでは、生徒たち、実習のことなんか忘れて聞き入ります。
「しぶいでしょ。で、きれいでしょ。こんな静けさを小さな子が体験するの。すごいでしょ。こうなったらもう、大人も子どももないですね。いいものはいい。だれにもつうじるのです。見開きから裏表紙まで、ぜんぶ見せてあげてね。これ全体が作品だからね」
後半は、赤ちゃん絵本。
『いないいないばあ』松谷みよ子/童心社
『ばいばい』まついのりこ/偕成社
『おにぎり』平山栄三/福音館書店
「子どもは何度も何度も読んでくれとせがみます。おとなはそれに応える。けどね、「ばいばい」「こんにちは」ばっかり、ほんとだったら読むの嫌になると思いませんか?でも、読むのです。それが、愛情。絵本は、子どもが読んでくれる人の愛情を確かめるためのものでもあるんです」
今年のクラスは、私のコメントを、どんどんノートに書き込んでいました。
かきかきしてる生徒たちを見て、心の中で「あんたら、ババ・ヤガーのおばちゃんか!?」って、ひとりで突っ込み入れてましたね(笑)
生徒が熱心だったら、教える方も熱が入る。
だから、50分の授業があっという間に終わりました。楽しかったですよ。
来週からの4コマは、いよいよ生徒が選んできた本を読んでの発表です。毎年、これが楽しみなのです。
どんな本が出てくるか!
今年もこの時期がきましたね。
レポートを楽しみにしてました。
ババヤガーのおばちゃんも熱心にメモしますよ~。
もっち
こめんとありがとうございます。
きのう、生徒たちの提出プリントが届きました。
そのなかの質問コーナーから。
*読み聞かせをすると5分もたたないうちに声が枯れてしまう。どうしたらいいでしょうか。
*年齢によって楽しめる絵本は違いますか?
*絵だけの本はありませんか?
*読み聞かせをしていて大変だと思うことは何ですか?
さてさて、みなさんならどう答えますか?
さっとめくりたいのに、指が乾燥しててめくれないとき。焦ります。
これ面白いと思って持っていった本が、全然ウケなかったとき。孤独です。
大変ってほどでもないですが、腕もプルプルしてきます。
声が枯れるのは、発声の仕方かな、頑張って声を出しすぎてるのかな。なんにしろ一生懸命な姿勢がいいですね。
もっちはある絵本を読むと、あくびが止まりません。どうしたらいいでしょうか。
寝かしつけの時に絵本を読むと、時に一緒に夢の中に沈没、時々先に寝て子に怒られる。
そんな子育てと共に歩んだ絵本は、今でも条件反射であくびが出てきます。
絵本は読む年齢によって楽しみかたが変わるのではないかなと思います。今でも時々引っ張り出してきては、あくびが出る絵本を読まされます。
絵だけの絵本は、むしろ読み聞かせるのが難しい気がします。アドリブが苦手なので。
すごいな、ちゃんと本質をとらえた質問をしますね~
ヤンさんは高校生たちになんて答えるのでしょうか。