月別アーカイブ: 2020年5月

まにあわず😁

今日のレパートリーの解凍
「いばらひめ」『語るためのグリム童話3』小澤俊夫監訳/小峰書店

きょうは「いばらひめ」についてここに書こうと思ったんだけど、考えてるうちに、語法的に分析したくなってきたの。ほら、語法の勉強会もなくなったでしょ。
「いばらひめ」は記念すべき第1回の語法勉強会でやったのね。だから、忘れてる人とか、その頃はまだ全然知らなかった人とかいらっしゃいますでしょ?
それで、書き始めたんだけど、終わらなかったㄟ(≧◇≦)ㄏ
あした、《昔話の語法》のページにUPします。

うちの猫の額

さんしょ


ほたるぶくろ

グリム童話「金の鳥」🦊

「鉄のハンス」が、し~んとして聞く話なら、「金の鳥」は、笑いやため息や悲鳴があがる話o(*^@^*)o

これも高学年に語ります。
高学年になると、だいたいどんな話でもあまり反応を見せない、静かに聞くんだけど、「金の鳥」はけっこう反応します。

KHM57「金の鳥」
再話比較勉強会やら昔話の語法勉強会で取り上げましたが、もういちど読んでみてください。
子どもを励まし、大人には子どもに対してどうあるべきか忠告してくれます。

ストーリーをまわすのは、きつね。
トリックスター(こちら⇒)です。同時に彼岸からの援助者ですね。
普通、昔話の中で、援助者は一回きりしか出てこない。用事がすめば即消えるんだけど、このきつねは、何度も援助に現れる。それが、聞き手の子どもの笑いを誘うのね。

主人公の末の王子は、とっても好感を持てる心優しい子なんだけど、とにかくつぎつぎ失敗するの。そのたびにきつねが現れて、「あなたは、いくら私が言ってもだめですねえ」とかいいながら、今度はこうしなさいってアドヴァイスしてくれます。
聞き手は、「あ、またしっぱいするぞ」「ほらやっぱり」「あ、またきつねや」の繰り返しを愉しむ。語っていても楽しいです。

なぜ失敗するのか、この話では、その原因が大事なのです。
価値観の問題。

最初にきつねに出会ったとき、二人の兄のように鉄砲で撃とうとはしなかった。
優しさ。
人間にとって、最も大切な基本的なものを彼は持っていました。

1回目の失敗
きつねは、金の鳥を粗末な鳥かごから金の鳥かごに移し替えてはいけないと助言する。
ところが王子は、金の鳥には金の鳥かごこそふさわしいと考える。
自分の価値観をもとに考えるのね。それで、失敗する。

2回目の失敗
きつねは、金の馬には金の鞍を載せてはいけないと助言する。
ところが王子は、金の馬には金の鞍こそふさわしいと考える。
失敗。

3回目の失敗
きつねは、王女が両親に別れを告げることを許してはならないと助言します。
王子は、王女がかわいそうになって、許してしまう。
失敗。
子どもたちは、ここでまた失敗するぞと予想します。ふつう、昔話なら3回目は成功するはずなんだけど、王子が優しいことを知っているので、失敗するだろうと。予想しててもやっぱり、あ~あとがっかりします。
それでも、きつねが何とかしてくれると思っているので、一夜のうちに山をどけたときには、おお~っと、感動します。
子どもたち、もうすっかり主人公になっていますねq(≧▽≦q)

4回目の失敗
首吊り台の肉を買うなと助言されていたのに、買っちゃった。めっちゃがっかりです。
王子が二人の兄さんを助けるからです。
たとえぐうたら兄さんでも、王子の優しさが、ふたりを放っておけなかったのです。
案の定、兄さんたちに陥れられて、井戸の底に落ちます。井戸のへりに腰を下ろしてはいけないと助言されていたのに。がっかりです。
でも、きつねが現れる。もう笑うしかありません。

大成功
王女は、王子が汚い服を着ていても、すぐに王子だと気が付いて抱きしめます。
これは、1回目2回目の失敗の原因となった価値観の転換です。
見た目ではなく中身が本物であればいいのです。

自立
王になった主人公は、きつねに懇願されて、きつねを殺します。
3回目4回目の失敗の原因となった価値観の転換です。
人間、本当の優しさは、情にほだされることではない。

わくわくしながら聞いていた子どもたちは、主人公とともに、この二つの価値観の転換を経験します。
いや、あとになって気づくのかもしれないけど。
ね、すごい話でしょ。

去年5年生に語り終えたとき、担任の先生がみんなの前で「私も、あんなきつねが欲しい」とおっしゃった。子どもたちも、うんうんとうなずいていました。
でも、ヤンは、思わず笑ってしまいました。
いやいや、先生。あなたが子どもたちのためにきつねにならなくっちゃ。

子どもが自分で考えて行動するとき、アドヴァイスはしても強制せずに一人でやらせる。
それで失敗しても、あきらめない。
これ、子育ての極意です。

1810年に、ヴィルヘルムがマールブルクの養老院のおばあさんから聞いた話。初版から入っています。
2版で、フィーマンおばさんの語りと混交しています。

ATU550「鳥と馬と姫」
類話は多いんだけど、ATU551「命の水」ととってもよく似ていて、両者を分けることができないんだって。
ヤンは何年か前、「金の鳥」と「命の水」を一日おきに語らされてまいった(笑)

『オットーウベローデグリム童話全挿絵集』古今社より「金の鳥」

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今日のレパートリーの解凍「かきねの戸」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』

グリム童話「鉄のハンス」👱‍♂️🧔

息子が11歳になったときに、息子のために覚えた話。

金のボールで遊ぶ王子。まだ幼児ですね。
山男ハンスが、檻のカギをおまえの母親の枕の下からとってこいという。
王子はためらうが、3回目に鍵をとってくる。
ここでね、しびれた(笑)
母親を裏切ることで、幼児から一歩踏み出した。

少年は、自分の守り手であるハンスをも裏切ることで、金の髪という宝を得る。
同時に、森を追放される。
ハンスは、主人公にとって父性ですね。
ハンスは、少年を追放するけれど、「困ったことがあれば、この森に来て、『鉄のハンス!』と三回呼ぶとよい」といいます。

少年は旅をして、台所の下働き、庭師の弟子と、身を落とします。
「灰かぶり」の男の子バージョンですね。
ここからが、主人公の青年時代です。

青年は、ここぞというときに、ハンスを呼びます。
そして、騎士となって、主人の王のために戦い、勝利します。
社会的な役割を果たすわけね。
そして、いよいよ、お姫様を手に入れる。
ここでも3回、鉄のハンスを呼びます。まだ父親が必要なのです。

とうとう、お姫様が、青年の正体を見破ります。
これ、よくあるパターンですね。
主人公の本当の姿を見出すのは、配偶者でなければならないのです。
ここで、自立します。

ラスト、結婚式に、堂々とした王が登場します。
それは、青年が自立したことによって魔法が解けて、山男から王に戻った鉄のハンスです。

父母との葛藤の中で自立していく息子。
昔話は、子育てを脇からそっと支えてくれるものだと、言い切りたい!

ある6年生の男子のことは、忘れられません。
おはなし会の最中、先生に反抗してひとり離れてあっち向いていた彼が、みんなが出て行った教室に残って、ひとこと「鉄のハンス!」と呼んだ。
ああ、彼に魔法あれ!と祈りました。

いっぽう我が息子、高校卒業後、家を離れずっと一人暮らし。今は曲がりなりにも社会人。
この日曜日に、コロナ自粛以来はじめて、県境を越えて帰ってきた。が、家には入らず、お土産を届けて戻っていった。
「福井で釣ってきたメバル。煮つけがええで」
ああ、あとはお姫様やね。
むさくるしい子やけど、どっかにお姫様おらんかな。

KHM136「鉄のハンス」
初版は「山男」。その後改訂を重ね、6版で現在の形になった。
グリムさん、練りに練ったんですね。

ATU314「黄金の若者」
ヨーロッパをはじめ、世界中に類話があります。


『オットーウベローデグリム童話全挿絵集』古今社より「鉄のハンス」

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今日のレパートリーの解凍
「かえるの王さま」グリムの複数の完訳から

これは、メバルの煮つけ(笑)

認知革命😮

なんだそれ???ってφ(* ̄0 ̄)
うん。
7万年前から3万年前にかけて、わたしたちホモ・サピエンスは、新しい思考と意思疎通の方法を生み出した。これを「認知革命」という。
この新しい認知能力によって、ホモ・サピエンスは、アフリカ大陸を離れ、海を渡り、地球全体に広がっていった。ネアンデルタール人や他の人類を滅ぼし、船、ランプ、弓矢、針を発明し、芸術や宗教を生み出した。

いやいや、すごいね。
図書館から、リクエストしてた本が、郵送で届いたの。ありがたいねえ(´艸`)
『サピエンス全史上・下』ユヴァル・ノア・ハラリ著/河出書房新社/2016年
著者は今を時めく歴史学者。まだ若いのよ。1976年生まれって書いてある。

引用するね。
伝説や神話、神々、宗教は、認知革命に伴って初めて現れた。それまでも、「気をつけろ!ライオンだ!」といえる動物(猿とか、ゾウとか、鯨とかね)や人類種は多くいた。だが、ホモ・サピエンスは認知革命のおかげで、「ライオンは我が部族の守護霊だ」と言う能力を獲得した。虚構、すなわち架空の事物について語るこの能力こそが、サピエンスの言語の特徴として異彩を放っている。

そう言われればそうかもしれないと思うね。
おはなしやなんやといって楽しんでるのは、脳がそんなふうに変化したから。認知革命のおかげなんや。というか、それが私たちホモサピエンスがほかの動物とちがうところなのね。

え?それがどうしたって?
べつに。
面白いなと思って。
聞いてほしかっただけヾ(≧▽≦*)o

今日は月曜日、《外国の昔話》を更新。
リニューアルが終わって、再話にいそしんでいます。

みなさんからは、新しいお話を覚えてますってメッセージをちらほらいただいてます。
わたしも、新しい話に挑戦しなくっちゃ。

あ、そうそう、閉塞感漂う今日この頃ですが、もうちょっとしたら、みなさんに嬉しいお知らせができると思いますo(*^@^*)o

明日はグリム童話について書きますね。

写真は、ミカンの花。

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今日のレパートリーの解凍
「うりこひめこ」『おはなしのろうそく』東京子ども図書館

 

日曜日🎵

毎日同じ日だと曜日がわからなくなってしまうので、日曜日は、おっやすみ~(^^♪
変な理由(*^_^*)

新聞に、政府が言ってる「新しい生活様式」が並べてあったね。
え~~~!って思わなかった?
「新しい」なの?
「臨時」じゃないの?
絶対無理!

コロナから解放されたら一番やりたいことは、子どもとハイタッチして、お話会する事なのに。
間隔開けて、マスクして、なんて、無理!
だいたいスキンシップなしで、子ども、どうやって育つんだろう。
子どもだけじゃないよね。
ロボットに24時間介護してもらいたいと思う?

人間、そんなふうにできてないと思う。
もし新しい生活様式が定着するなら、生きている意味がわからない。
人間らしく生きるために、いま、辛抱してるんだから(⓿_⓿)