第3回入門講座報告
来月の入門最終回の語り実践に向けて、今回は講義としての最終段階‼
テーマは『おはなしの覚えかた・語りかた』。
いつものように、先ずは村上さんの語りから。
「三匹の子ブタ」(イギリスとアイルランドの昔話/石井桃子編訳・福音館書店)
このお話のように『おおかみ』は悪者のイメージがあるが、実は……悪者として出てくるお話は意外と少ない。グリムでは2話、イギリスではたった1話。日本では悪者と言うよりも神様に近い自然の中の驚異として存在している事が多い。
詳しくは『語りの森HP 昔話雑学』に昔話における狼のキャラクターについてあげてくださっているので是非参照してください。
【おはなしの覚え方】
Ⓐストーリーを覚える
⑴声に出して読む
自分で読み聞きながら場面を映画のように頭の中にその情景を思う描く
⑵テキストを見ないであらすじを書く
書いてからテキストを見て自分にあらすじが入っているかの確認
⑶意味段落に(形式段落でなく内容で)分ける
分け方の目安は……場面が変わる所・時間の経過を表す言葉の所・人物の出入のあった所
細かく分けてから大きく分ける
※この段落の切れ目(境)が良い具合に語りの間となる
Ⓑ言葉を覚える
1段落毎に覚える
細かく声に出して何回も→テキスト見ず2,3行何回も読むを繰り返す
いい加減な所を残さず完璧に少しずつ覚える
完璧な2,3行暗唱を繰り返し完了したら、1段落を暗唱 完了‼
これを2段落目、3段落目…と進める
次の段落に進む時は、前の段落の確認はしない(前ばかり練習量が多くならない様に)
最後までいったら全体を通し、忘れている所は覚えなおす
※※最重要点※※
イメージしながら覚え進める事‼
目で見えるだけでなく、五感で‼匂い・音・気温気候etc.etc.
正しくキッチリ覚えるのは、イメージを上手く表現する為。
⒞大切なこと
覚えるのに時間をかけること。
個人差はあるが、その話と向き合う時間が長い程その話がわかるから。
「苦労はしなあかん 苦労は報われる」
【受講者からの質問】
●語りの演出はどうか?
作為的なのはNG。自然な流れで出てくる表現はOK。
●語るときの視線は?
全体を見る。目を見る。子供は自分に語って欲しいから。
●忘れてしまったときは?
言葉が少し違ってもお話を進める。忘れても最後まで語る。
戻って語りなおすのはタブー。
●朗読でない語りの魅力は?
聞き手の目を見ながら語れるので、聞き手の反応を感じられる楽しさがある。
●笑えるところでは?
語り手自身に、自然と出てくる笑い、思わずでる笑いはok。
●語りの抑揚どこまでOk?
わざとらしさは要らない。聞き手に語り手の感情を押し付けるのはダメ。
話によっては、ある程度の抑揚がある方が面白い。聞き手が楽しめる程度の色を。
演技でなく楽しんで語る。ただ単なる暗唱でなく、お話を伝える。
●声色は?
声を登場人物で変える必要はない。
自分を見せるのではなく、語り手はお話を伝える媒体である。
今回の講義も私にとって、たいへんたいへん勉強になりました。
語り入門して5年目に入ったのですが、語りを覚える上でイメージでなく、文字に頼ってしまっている自分を再認識しました。場面を思い描き語る重要性を肝に銘じていきたいと思いました。ありがとうございました。
次回は入門講座最終回 語りの実践です。楽しみです。