昔話の解釈ー金の毛が三本ある悪魔7👿

マックス・リュティ『昔話の解釈』を読む

第3章「金の毛が三本ある悪魔」

ここで、リュティさんは、昔話の芸術性について論じます。
昔話には、文学的な節約があるというのです。

それって、なに??

よい類話では、悪魔の三本の金髪を抜くことと、質問を出すことが、巧みに結び合わされている。つまり、三つの質問が三本の毛を抜く理由づけになっています。
両者が無関係に並んでいるのではないということです。
グリムでは、悪魔のおばあさんが、金の毛を抜いて、「夢を見たんだよ」と理由を言いますね。その夢の内容が、若者の課題の内容そのものになっているということです。
ね、無駄がないでしょ。節約です。

さらに。眠りのモティーフについてです。

前半では、若者がぐっすり寝ています。
後半では、悪魔が寝ていて、若者は目を覚まして耳をすましています。
対をなしていますね。
前半は若者が疲れて寝るし、後半は悪魔が疲れて寝ます。

前半は、若者が眠っているあいだに強盗の親切を受けます。
後半は、悪魔は、たたき起こされて、金髪まで抜き取られます。
これも対になっていますね。

おばあさん(女性の援助者)は、立て続けに3回夢を見ます。
夢の内容は、若者が旅の途中(現実)で出会った依頼の内容の正確な繰り返しです。
これも夢のモティーフの変形です。

無駄がありません。節約です。

前半で、若者は3度救われますね。川から、強盗の手から、王さまの手から。
後半では、3度助けをもたらします。
前半では、若者は3度おびやかされ、後半では3度救い主になるのです。

ね、きれいでしょ。
もちろん、実際の口伝えのすべてがこんなふうではないけれど、よい語り手の良いテキストは、こんな美しさがある。
この美しさは、小説のもつ(求める)美しさではなくで、昔話の美しさなんですね。
よい類話は、芸術性が高い、ということです。
その意味で、グリム童話は芸術性が高いなあと愚考します。
だから、世界じゅうで読まれ、受け入れられているんでしょうね。

はい、おしまい。

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きのうは、おはなしひろば更新しましたよ。
ロシアの笑い話「ふくろからふたり出てこい」
おじいさんは、おばあさんを愛してるんですね。
おばあさんも、やっぱりおじいさんを愛しているんです。

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きのうは、昔話の語法勉強会でした。
蜜を避けて感染防止対策をしての勉強会。
ご参加くださったみなさま、おつかれさまでした。
今年度は、さらにオンラインでもやりますね。
《お問合せ・リンク集》からどうぞ(❁´◡`❁)

 

9 thoughts on “昔話の解釈ー金の毛が三本ある悪魔7👿

  1. 確かにパソコンで「みつ」と入力すると先に「蜜」が出てくるので私も何度か間違いました(笑)密…今年の頻出ワードでした。

    おはなしの勉強に参加させてもらうようになって、「みつ」ではなくて昔話における「3つ」のパワーに驚きました。安定、調和、普遍、完全…3は美しいですね~!

  2. 密は、今年の漢字でしたね。
    清水寺の管主さんが書いてはった。

    美しい3╰(*°▽°*)╯
    三人寄れば文殊の知恵
    三本の矢
    三度目の正直
    石の上にも三年
    三拍子そろう
    ほかにないかあ~?

  3. いすや机の脚は4本ですが、昔の器にあるような、3本脚のほうが、安定すると聞いたことがあります。
    安定という言葉に納得します(^_^)

  4. 三本の脚で走った馬も、案外安定していたりして(笑)
    私にとっては「三位一体」が最強です(^▽^)

  5. 初めての投稿です。格言でも四文字熟語でもありませんが、よろしく。
    私は3人目の子供がハプニングでお腹にできた時、3人もよう育てられへん!と悩みました。その時堀川病院の早川一光医師からの一言「椅子も3脚で立つ。子供も3人で育つ。産みなさい」 で、3人の子供たちは野育てさながらで仲良く大きく育ちました。

  6. アナンシさん、コメントありがとうございます~

    おお、三人兄弟!
    すばらしいお医者さまですねo(*°▽°*)o

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