月別アーカイブ: 2021年7月

昔話の解釈ー偽の花嫁と本当の花嫁、けもの息子とけもの婿9👸🤴

ひさしぶりに、リュティさんです。

今、語りの森がバタバタしててね。
今年度下半期の日程に総会を入れるかどうかとか、コロナでできなかった「白雪姫」の語法勉強会(会場で対面でね)をいつするかとか。
ああ、そうそう、『語りの森昔話集5ももたろう』をいつ発行するかとか。
へへへえ、そう、ももたろうなんですよ~
たぶん、11月の総会(図書館でやりたい)の時に、みなさんにお渡しできると思う╰(*°▽°*)╯

会場が確保できたら日程が決まるので、改めて広報しますね~

それで、はい、リュティさんです。

『昔話の解釈』を読む。
第6章偽の花嫁と本当の花嫁、けもの息子とけもの婿

あとちょっとね。

この第6章をぜんぶ読み返してみてね。
そこで例として出て来た昔話、どれもおもしろいよね。
何話かは再話して《外国の昔話》や《おはなしひろば》で紹介しました。ほんと、子どもに語りたい。
それで、これらの話に共通して、昔話の特性が見いだされると、リュティさんはいいます。

たとえば。
塔の中にとじこめられる。
けもののすがたの中にとじこめられる。
主人公が孤立するんですね。孤立化。

たとえば。
主人公は、末っ子、間抜け、がちょう番(身分がとっても低い)。
主人公は、継子、灰かぶり、父親に迫害される娘。
主人公は、とにかくめっちゃひとりぼっちなんです。孤立している。

そうです。孤立性という昔話の特性が、顕著に現れているのです。

そして、思い出してほしいのは、孤立しているからこそあらゆるものと結びつくことができるという昔話の語法です。

モリーは親に捨てられた下の三人の娘のうちの一番末っ子です。寝る所も食べる物もありません。極端に弱い存在です。孤立的です。
王さまは、国で最も高い身分で権力があります。極端に強い存在です。孤立的です。
そして、ふたりとも、彼らにまとわりつく現実的なしがらみから孤立しているというか、そういう環境は描かれないのが昔話です。
だから、常識では出会えないふたりが出会うことができる。
これは一例にすぎません。思い出しましたかあ?

昔話の主人公というのはとにかくひとりぼっちなものであると、リュティさんは言います。だからこそ、本質的なものと関係を結ぶことができるんだって。

究極的には孤立した存在であるが、だからこそらゆる者と関連を結ぶことができる人間像が、昔話には何度も何度も描かれるのです。

この、よりにもよって見捨てられた者が本質的なものに到達するっていうことは、決して希望像ではないといいます。
希望像ってのは、そうであってほしいなあと希望する姿のことね。
そうじゃないんだって。
じゃあ、何か?
人間存在の真実な観照(=主観を交えずに本質を見極めること)だというのです。
つまり、人間って、そういうものなんだよ、それが人間の真のすがたなんだよということね。
昔話は、たんなる希望を語ってるんじゃなくて、人間の人生の真の姿を語ってるんですね。

人間って究極的にはひとりぼっち。でも、だからこそ、本質的なものと出会えるんだよ。そういうもんだよ。ということですね。

そして、聖書に出てくる金持ちの青年のことを引き合いに出します。
ひとりの青年がイエスに永遠の命を得るにはどんなよいことをすればいいのか尋ねます。彼は、殺すな、姦淫するな、盗むな等のおきてはすべて守っているけれど、他に欠けているものは何なのかと尋ねるのです。
すると、イエスさまは、持っているものをすべて売り払って貧しい人に施せと答えます。青年は金持ちだったので、それができないで、悲しみながら立ち去ります。(マタイによる福音書19)

その青年は、自分の財産をことごとく捨てるときにのみキリストに従うことができるのである。

はい、ここまで。
次回で、第6章は終わります。
(聖書の金持ちの青年のエピソードは、メンバーのおひとりに教えてもらいました。ありがとう~)

 

 

7月のおはなし会2🎋🎋

コロナ禍で1年余り中断していた、小学校のおはなし会が始まりました。
ただし、そうやすやすと始められたわけではありません。
書けば長い物語になりそうな、しかもまだ継続中の物語で、主人公は将来有望な若手たちです✍(◔◡◔)

メンバー最年少の語り手を機関車にして、中堅たちが見事にタッグを組んで、実現したお話会です。
若い熱意は偉大です(^人^)
ヤンばあさんは、らくちん、見てるだけ、見てるだけ~
めちゃ幸せやん!

それでも、ちょっとだけ語らせてもらったので、その報告です。

 

7月15日(木)

3年生授業 一クラスずつ3回

おはなし「かしこいモリー」『おはなしのろうそく1』東京子ども図書館
おはなし「かも取り権兵衛」『日本の昔話2』小澤俊夫再話/福音館書店
おはなし「かきねの戸」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』村上郁再話/語りの森
ブックトーク:ふしぎな物語

ヤンは「かも取り権兵衛」と「かきねの戸」。

去年1年間まったくお話を聞いてなかったので、どんな感じかなと手探りでした。
本来は「かしこいモリー」は2年生の初めくらいにやるんだけれどね。
脇役に気持ちが行ってしまう年齢になってからでは、ちょっときついんですね。大男の娘たちやおかみさんに同情してしまうと、この話のテーマが伝わらない。
ひたすら主人公モリーになり切れる年齢に聞かせたい話です。
だから、3年生の1学期はぎりぎりかな。それでも、お話が終わった後、「おかみさんはどうなったん?」ってきいてる子がいました。

「かも取り権兵衛」は、日常語。子どもたちが日常語の語りに慣れていないので、語りに工夫が要ります。1クラス目はわたし自身ぎこちなくって申し訳なかった。少しずつテンポを取り戻すことができました。

「かきねの戸」は3年生には少し幼かったけど、気楽に笑ってもらいました。

1年空いていても、教室に行くと、ちゃんと覚えていて懐かしがってくれました。
担任の先生たちも喜んでくださったようです。
ブックトークもうまくいきましたよ~。2学期からは、教室に置いておいて子どもたちがじっくり読める日程でやれたらいいね~。

 

7月16日(金)

1年生授業 一クラスずつ3回

おはなし「おおかみと七匹の子やぎ」『語るためのグリム童話』小澤俊夫編訳/小峰書店
おはなし「ひなどりとねこ」
大型絵本『おおきなかぶ』
ブックトーク:楽しい昔話

ヤンは1クラスだけ、「おおかみと七匹の子やぎ」とブックトークをしました。
幼稚園からのおなじみさんは、とっても嬉しそうに、ニコニコ聞いてくれました。はじめてストーリーテリングを経験した子の中には、絵本のほうがいいと言った子もありました。すこしずつ、すこしずつ、聴く耳を育てていきたいです。
先生からの要望で、30分の短いおはなし会になりましたが、それでよかったと思います。子どもたち、なんだか疲れているように思いました。
でも、最後が傑作(^◕.◕^)
わたし「おはなし、聴いてくれてありがとう」
子どもたち「ありがとうございました!」
幼稚園では、いつもそのあとこういいます。
わたし「また来ます。さようなら」
でも、今回はまだ2学期やるかどうか決まっていなかったので、
わたし「・・・・」
子どもたち「また来てね」と、あちこちからぽつぽつと小さな声。
わたし「また来ます!さようなら」
子どもたち「さようなら!」

帰りに校長先生にご挨拶したら、「2学期もよろしく」とおっしゃってくださって、ほっとしました。だって、子どもに嘘はつけないもの~~~

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昨日のおはなしひろばは青森県の昔話。
ちょっと珍しい、伝説みたいな、仏教説話みたいなお話です。
「むすめになったほとけさま」

 

 

7月初級クラス自主トレ会

8名の参加がありました。

1.お月さまの話 『おはなしのろうそく25』

2.やきもち和尚 『日本の昔話1 はなさかじいさん/小澤俊夫再話』福音館書店

3.魔法のかさ 『おはなしのろうそく30』東京子ども図書館

4.かしこいモリー 『おはなしのろうそく1』東京子ども図書館

5.油取り 『語りの森昔話集3/しんぺいとうざ』語りの森

今日も心地よいおはなしの時間となりました。語りについてのおしゃべりでは、Sさんから語り手勧誘の話があり、お一人がその語りのメンバーとして加わる運びとなりました。語る場を求めていたUさんはそのお誘いをとても喜ばれていました。これからが楽しみです!

また他には、練習方法や、おはなしの対象年齢のこと、他の語りのグループについて、それぞれの活動場所(語る場)の様子など、色々と共有し合いました。「おはなしを覚えて語る」という稀有な方たちと、こうして知り合えたことは、嬉しいことです。それぞれの場所で、静かに火をともし続けるような語りの活動は、心同じくする人たちと繋がっていることもすごく励みになるなと感じました。絵本の読み語りや文庫の活動をされている方も同じく、子どもとおはなしや言葉を繋ぐ活動です。全国でも各地で、みなさん活動を続けておられることと思いますし、想像すると心強い限りです。宝の持ち腐れとせずに、それぞれが選ぶ、素敵な語りを子供たちに語ってほしいな、子ども達はどんな顔するかな!と思いました。

次回は8/7(土)自主トレ会です

7月のおはなし会🎋

7月9日(金)

幼稚園4歳児

ろうそくぱっ
おはなし「三匹のくま」『語りの森昔話集4』村上再話/語りの森
ろうそくぱっ

この子たちは、去年1,2,3月と3回お話を聞いただけで、今年度やっと再会した状態です。
本来なら、年度の最初は5分くらいの短いおはなしをするのですが、もう7月だし、悩みました。
というのは、素話を聞く経験は積めていないけれど、精神的には4か月間の成長があるのではないか。だとすると、物語性のある話でないと物足りないのではないかと思ったのです。
過去3回を思い返すと、この子たち、常に的確な反応をしていました。頭いいな~という印象でした。
それで、思い切って「三匹のくま」。
正解でした~~~
的確に笑ってくれましたよ(∩^o^)⊃━☆

幼稚園5歳児

ろうそくぱっ
おはなし「ホットケーキ」『おはなしのろうそく』東京子ども図書館
ろうそくぱっ

笑って笑って、ひっくり返って聞いてくれましたo(*°▽°*)o
笑いを鎮めるために、わたしはおんどりになったりがちょうになったり。
そう、「こ~れこれこれ、ホットケーキ」と、子どもたちをホットケーキに見立てて呼びかけながら語りました。すると、そこでぱっと集中してくれるのですよ。その間をぬって、わたしは次の言葉を発するヾ(^▽^*)))
ぶたが、ぱく、がぶがぶっとホットケーキを食べると、子どもたち「ああ~~~!」その声を頂いて、わたしが「ああ~~~あ、かわいそうに」
共感して笑っておしまい!
つかれたけど、おもしろかった~

去年12月に語った「ギーギードア」もやって~ってリクエストされましたよ。
わたし「あれ、長いからまた今度ね~」
9月は短めの話と「ギーギードア」に決まりね~
それにしても、よく覚えていたね(●’◡’●)

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今日のおはなしひろばの更新は、イタリアのむかしばなし「アルジャおばあさんのめんどり」
とっても気に入っていて、語りの森昔話集第5巻に入れようと思っています。
聞いてくださいね~

 

 

 

研究クラス🐦🐓🐤

ここしばらく蒸し暑い日々が続いていますが、みなさんお元気ですか?
もう、へとへとな感じもしますが、研究クラスの報告をさせていただきます。
本年度1回目の研究クラスは、オンラインで行われました。
研究クラスに入って、今回が最初のレポート発表となるウーカーさんが選んだ話はグリム童話の「フィッチャーの鳥」です。
最初だから、研究発表はたいへんだろうなと思っていましたが、事前に送られてきたレポートが全部で33枚!
どんだけ~~!(古い?)
ほんまに初めてかいなと思う大量のレポートでございました。
オンライン授業だから事前にデータでもらったんですが、それが本当によかったですよ。
最近は、字を読むのに時間がかかる上に老眼鏡をかけても読んでいるうちに目の疲れがひどくてもう…_| ̄|○
それはレポートのせいではなくて個人的な事情ですから、ウーカーさん気にしないでね。
しっかりしたレポートが読みがいがあり勉強になりました。

「フィッチャーの鳥」KHM46(初版~) 話型ATU311妹に救われる
この話を選ばれた理由は「違和感」だといっておられました。
何に対して違和感があるのか、それを見つけるのはとても難しいと思います。
だから、いろんな類話に当たってみられました。
この話にとても似た内容のグリム童話があります。
「盗賊のお婿さん」KHM40 話型ATU955盗賊のお婿さん
ここで、ATU番号の違いを見てください。
「フィッチャーの鳥」の311番は魔法昔話に分類されています。
魔法と押さえておいてくださいね。
「盗賊のお婿さん」は955番です。
これは、ノベラ(現実的説話)に分類されます。
魔法ではありません。現実的説話ということは、伝説に近いということです。
それでですね、「フィッチャーの鳥」に出て来る悪者(敵対者)は、〝魔術師〟です。
魔法使いじゃないんですね。
魔法使いならば異界の存在です。
やまんばとか、鬼とか、悪魔とかと同じですが、じゃあ魔術師って同じ感じがしますかね?
なんかしっくりきませんね。
魔術師っていうのは人間にちかいですよね?
ミスターマリックも、超魔術とか言ってませんでしたか?
今回の勉強会では、ウーカーさんが最初に感じられた違和感が、魔術師が異界の者なのか現実世界の者なのかという具体的な疑問に変わり、ヤンさんは、この話が昔話と伝説のまん中あたりに位置し、その微妙なところが違和感につながったのではないかと言われました。
なるほどなとしっくりきました。
ですから、これは本格昔話の中の魔法昔話であるということは押さえながら、語り手が〝魔術師〟をどう位置付けて語るかを決めればいいということが分かりました。
話の設定が微妙だから微妙に語る(笑)、というのは聞き手には分かりにくいしごまかしているのといっしょですからね。

他にもいろんな類話と話型のことを調べておられました。
だから、レポートが大作なのは納得です。
毎回思うんですが、研究クラスのレポートって「売れるんちゃう?!」と思うんですが、クラスのみなさん、どう思う?(笑)
何でもお金に換算してしまうのは、会計係が長いせいか、節約主婦の習性か、代々続く貧乏人のDNAか分かりませんが、とにかくそれらがすべて備わっているわたしのたわごとと思ってください。
研究クラスは、それくらいすごいことをやっているんじゃないかと毎回思います(^_^)
次回の担当はかぶちゃん!
タイトルが決まったら連絡しておくれ!
待ってま~す(*^^)v