月別アーカイブ: 2022年11月

いばら姫の語法 感想5

秋も深まってきて、すがすがしいお天気が続きます。
秋は、大好きな季節です。
そこはかとなく、どこへ行くともなく、旅に出たくなります。

いばら姫の語法勉強会に感想をお寄せくださったみなさま、ありがとうございました。楽しみに読んでくださっているみなさま、ありがとうございます。今回が最後になります(❁´◡`❁)

Fさん

語法は難しいですが、学び続けることで より子どもたちの心に届く語りになったらうれしいなと思います。

そうですね、語るための語法。わたしもそう思って学んでいるし、それを皆さんと共有できたら嬉しいと思っています。

今回、『原作にはない繰り返しの文章を 小澤先生が加えられた』というお話を初めて伺い、興味深く思いました。
確かに それによって絵がよく見えますし、グッと集中してくるようでした!語法に則った再話を実感しました。
小峰書店の「いばら姫」で語ってみたいと思いました。

百年の後に王子が城のらせん階段を上がっていく場面ですね。
同じ場面を同じ言葉で繰り返すだけなのに、聞き手がいかに主体的に物語に入り込んでいくかを実感するところです。
ここ、ちょっと震えますよ。
語法おそるべしです。

それから、「いばら姫は寝ているだけの主人公」という言葉が、心に残りました。そう言われれば、確かに、多くの主人公とタイプが異なります。

姫は、目に見えている部分では[寝ているだけ]で何もしていません。でも、王子は噂を聞いて、「その姫」に会いたくてたまらなくなります。
〈姫の存在そのもの〉が、王子の心を強く動かし、内なる勇気を引き出して行動させ、王子を成長へ導いているように思えました。
この主人公(いばら姫)は、目に見えない精神的な部分で 他者に大きな影響を与えているのだと感じられました。

そうか、そうか、そういうことか!!!
Fさん、ありがとう(^///^)

すると、日常においても、そういう存在は決して特別なものではなく、まわりにたくさん認められるなと思い至りました。(自分自身、反省したり感謝したりするきっかけを頂きました。)

誰もが様々な役割を担っており、互いに影響し合いながら暮らしている…。
そして、自分が自分になる道を(模索しながら)進んでいるんだと、いまの自分には感じられました。

そうですよね。
自分が自分になる道。
なんかちょっと、涙が出そうです。

昔話は深くて楽しいです◎
学びの場を作ってくださり、いろいろなよいものを分かち合ってくださってありがとうございます。
心から感謝しております。

こちらこそ、感謝しています。
おはなしは、語ることで聞き手から教えられます。
勉強会も、ヤンにとっては参加してくださる皆さんから学ばせていただいてます。
参加者の皆さん同士でも共感しあうこと、学びあうことがあればうれしいです。

オンラインだからこそお会いできる人たちがいます。
コロナ禍を逆手にとって、つながりを拡げていきたいです。

 

 

 

 

初めての~😍

みなさん、生まれて初めて子どもたちにお話を語った時のこと覚えてますか?
先輩とペアになってちょこっと語らせてもらうって経験は、ヤンにはなかったので、おはなしの選びからなにから完璧にひとりだったから、なんだかわあ~っと空飛んでるみたいな感じで終わったことを覚えています。

でね、先日、初級クラスのかたからメールをいただきました。
はじめて子どもたち対象に語ったっていう報告です。
なんか、なつかしくって、うれしかったので、紹介させていただきます。

ハロウィンのイベントで、もともとのプログラムにストーリーテリングはなかったんだけど、思い切ってやってみたんだって。
おはなしは「みじめおばさん」。死神が出てくるし、季節もハロウィンにぴったりね。

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私は子どもたちに向かっておはなしを語るのは初めてだったので、実際にやってみて、なんて楽しいんだろう! と最高な気持ちになった反面、反省点がそれはもうたくさんありました。

まず学んだのは、たくさんおはなしのストックがないと実際の状況に対応できないということでした。
イベントには絵本+「みじめおばさん」だけのつもりで挑んだのですが、全4回ある読み聞かせ時間に2回参加してくれた女の子がいて、その子に同じものばかり聞いてもらうのもなんだかなと思って、唯一即興で語れると思えた「カメのピクニック」を急遽追加で語ったりしてみました(許可なくごめんなさい。。)。
でも、年齢的なものかなと思うのですが、その場の子たちに「カメのピクニック」のオチが通じなかった…。
腑に落ちない顔で帰らせることになってしまいました。
もっと小さな子に向けたおはなしも準備していればととても反省しました。
全体的に小学校低学年~中学年の子が多く「みじめおばさん」もしっかり通じたとは言えないのですが、それでも分かりやすいポイントではニヤニヤしてくれたり「ええ~?」と声を上げてくれたりしたので、これなら「みじめおばさん」だけにしていた方がよかった…と、今冷静に振り返ると思います。
場の顔ぶれに合わせて適切な判断をする必要があるんですね。
おはなしは聞き手ありき、という入門講座でのお話が身に染みました。
「カメのピクニック」でモヤモヤして帰らせてしまったあの子が、いつか、もっと楽しめるおはなしの会に出会えることを祈りつつ、申し訳なさで胸が痛みます。

子どもに語るのって、大人に対して朗読するのとはまったく違って、責任感との勝負にもなるんですね。
大人はどんなものを聞いても、まあつまらなければつまらなかったなと思って次の楽しみを見つけてくれますが、自分で出会いを選べない子どもたちにはおはなし会で楽しい思いをして帰ってもらわなきゃいけない、それは子どものためにも、昔話のためにもだ、ということがわかってしまって、なんというか……やばい世界に足を踏み入れてしまったな(笑)と……、今さらながら実感しました。

そんな感じで2日間が終了しました。
本来は絵本読み聞かせだけのイベントだったのですが、語りにも挑戦して本当によかったです。成功したとは言えませんが、とてもいい経験でした。

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ね、子どもに語るって、めっちゃエキサイティングでしょ。
どう反応してくるか想像がつかないものね。
でも、勇気を出して第1歩を踏み出してよかったですね~
いま入門講座やってるけど、そうやって、ひとりひとりが一歩踏み出して行く、その背中を押したいと思う。
世界が変わるもん。
ヤンも、最初の一歩があった。その最初の一歩をいっしょにやろうって、言ってくれたKさんに、感謝、感謝しています~

責任感との勝負!
そうね、責任感、ヤンはとっても大切にしています。
過去から未来につなぐ媒体としての責任。
だから、おはなし会のたびに深く反省しています。
ただ、それに押しつぶされないように。
生き生きと空かけるようにすすんでいきたいな。

さてさて、「みじめおばさん」、きっと喜んでくれてたと思いますよ~
なれない場所では、子どもたちって、おとなしいものですからね。でもちゃんと反応してくれてたんだものね。
「かめのピクニック」のほうは、まずは「缶切り」が分からないとどうにもならんのよ。これを語り始めたころは、タブは一般的じゃなかったから、「かんきりをわすれたわ」って母さんガメが言ったとたんにみんな、「ええ~っ」ってのけぞったもんです。
いまは、おはなしの前に、「ねえ、みんな、かんづめ空けるときどうやって開ける?」ってとこから始める。
時代は変わりますねえ~

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きょうのおはなしひろばは、「まめとすみとわら」。
岩手県の伝承から再話したんだけど、グリム童話と同じ話です。
けど、すみとかわらとか、子ども分かるかなあ・・・
時代は変わる・・・・

 

おはなし入門講座第3回

ブログでははじめまして。チーコです。

今日は、おはなし入門講座第3回でした!

あいにくの雨で、小さなお子様連れの方は朝からいらっしゃるのも大変だったと思いすが。
そんな中、予定通り8名の受講生に出席していただきました。
小さなお子さんも3人! 可愛い~💖

それではスタートです!


1.語り
まずは椅子をおはなし会の形に並べ、ヤンさんの語りを聴きます。

手あそび
ろうそくパッ もひとつパッ
おそらにキラキラ おほしさま

おはなし
三匹のこぶた
(出典『イギリスとアイルランドの昔話』石井桃子編訳/福音館書店)

手あそび
ろうそくパッ もひとつパッ
さよなら さよなら おはなし会
ろうそくフッ もひとつフッ
おそらにキラキラ おほしさま

ほほう…。という空気になったところで、机を講義形式に並べ替えて、
第3回のテーマ「おはなしの覚え方・語り方」に入っていきました。


2.おはなしの覚え方

大きく分けると、おはなしの覚え方は二段階に分かれており、
加えて心がけることがひとつあります。
A.ストーリーを覚える
B.言葉を覚える
C.大切なこと
分解して見ていきます。

A.ストーリーを覚える

①声に出して全体を読む
大きな声で!
動きをイメージしながら読むと覚えやすい。

②テキストを見ないであらすじを書いてみる
この時点でおはなしの骨組みは記憶できているはず。
その上で抜けている部分をチェックする。

③意味段落に分ける
おはなしを意味段落ごとに分けていく。
目安としては 場面が変わるところ、時間経過をあらわす言葉があるところ(例:ある朝~)、人物の出入りがあるところ(例:オオカミがやってきて~)。

ここまでできたらB.の段階に進みます。

B.言葉を覚える

①細かくイメージしながら、声に出して読んでいく

*お母さんブタの大きさは?どんな様子?子ブタの様子は?親子はどんなふうに接している?住んでいる場所は?飼い主はいる?季節は?子ブタの質感は?五感を働かせて!
*リアルブタでもアニメ調のブタでもOK。とにかく細かくイメージ。
*実際の語りでは、それらディテールを子どもたちに説明することはもちろんない。けれど、語り手が詳細にイメージすればするほど、聞き手の子どもたちはそれを受け止めて個々のイメージをつくり上げてくれる。
*語り手がしっかりイメージできていれば自信を持って語ることができる。

②2~3行ずつ、文章を目でパッと見て声にしてみる

③②を繰り返した後、一段落全体を声に出して読む

④全段落が済んだら初めて全体を通してみる
*不安になっても、この段階までは前の段落を読み返さないこと!
回数を重ねるほど記憶に定着するのが道理なので、何度も前に戻って読み返していると、おはなしの前半ばかりよく覚えていて自信たっぷり、後半につれて強さがなくなってクライマックスが尻すぼみ、という残念な現象が起こってしまう。

⑤暇さえあれば声に出して語る。
*おはなし全体が均等に熟していくように。

C.大切なこと

①覚えるのに時間をかけること
*覚えるスピードには個人差があるけれど、とにかくじっくり取り組むこと。
*ただ読むのとは違って、覚えることは、その作品の世界に深く入り込むことでもある。世界をイメージしながら登場人物を動かしていくこと。
*人と人とのつながりが薄れている現代だけれど、せめて子どもと大人の関係は薄めずにいたい。いつの時代でも子どもは濃厚なものを求めている。そんな子どもたちに、じっくり時間をかけて温め手づくりした世界を、自信を持って届けたい。これぞ料理やお裁縫を超えた究極の手づくりでは。

②正しくきっちり覚えること
*あらすじを覚えているだけでは、いざというときにちゃんと言葉が出てこない。「えっと…」などと言い淀むのは語り手の勝手な間であって、そのおはなしの持つ間ではない。これでは子どもがおはなしの世界から離れてしまう。
*語り手が不安にならないように。不安な気持ちは声に表われ、子どもは敏感にそれを察知する。頭と声(=体)、両方を使って語るべし。
*子供はとても耳がいいので、気に入った話は何度も繰り返し話してほしいと願う。そのとき、前回と違う言い回しで語ると子どもは怒るor笑ってしまっておはなしが止まってしまう。
*語りは音楽と同じ性質のものであるので、同じフレーズは同じメロディで繰り返してほしいもの。さらに子供は常に新しいものばかりの未知の世界に生きているので、同じものに何度も触れて安心したい心理がある。
*耳に心地よい言葉で子どもに語りたい。行き当たりばったりでよい言葉を発せる人は滅多にいない。
*ということで、テキストのまま覚えることは大変な力仕事だけれど、まずはすべてそのまま覚えること。
*不自然なテキストを直すセンスは経験を積んで初めて得られる。覚えやすくするためではなく、聞き手にとって聴きやすくするために直すのである。

……以上を胸に留めながら、必死こいて覚えましょう!
そうしていくうちに、誰かの真似ではない、自分の語りができるようになりますよ。

とのことでした。


3.おはなしの語り方

さて、おはなしを無事に覚えられたとして、次に考えなきゃいけないのが語り方です。
これにはポイントが2つありました。

1.上手に語ろうと思わない
*おはなしを届けているのであって、語り手を届けているのではない。自分の発表会だなんて思わないこと。
*聞き手とおはなしへの敬意をもって取り組む。

2.最後まで語る
*途中でおはなしを忘れてしまっても、なんとしても最後まで語りきる。途中で終わるということは、聞き手を突き放すことになってしまう。
*頭が真っ白になってしまったときは、テキスト通りに読まなきゃとか細かいことはもう気にしなくてよし!とにもかくにも結末まで突っ走りましょう。


講義内容としては以上でした。
が、この後活発な質疑応答があったので、その中身も記しておきます。

Q.読んでいると、同じフレーズばかり出てきて飽きてくるけど…?
A.目で読む場合、同じフレーズは飽きてくるもの。それは大人も子どもも同じ。
ところが耳で聞くときには、同じフレーズが出てくるのを待つようにすらなってくる。音楽と同じ。

Q.テープで自分の声を録音して覚えるのはあり?
A.そうする人もいるけれど……。自分で自分の語りを批判しながら聞いてしまうので、あまりしない方が……。

Q.キャラクターの声を特徴づけて語るべき?
A.しない方がいい。自然と声色が変わってしまう程度なら構わないが、意識して変えようとしなくてよい。

Q.繰り返し出てくるフレーズは、都度読み方を変える?
A.変えなくていい。ただし子どもの反応次第で変わっていくことはある。

Q.語り途中、子どもから質問が出たらどうする?
A.無視してはいけない。無視された子は、もうそのおはなしの世界について来れず離れてしまう。なので分かる範囲で簡潔に答える。
ただ、答えた後に語り手自身がおはなしに戻ってこれるか…? 戻れるようになるまでしっかり覚えよう!

Q.身振り手振りはつける?
A.練習時はつけてもよいが、子どもの前で語るときはなし。なくても十分に通じる。

Q.語り手の目線はどこ?
A.子どもの目を見る。おはなしに興味がなさそうな子のことも、じーっと見つめていると、自分に語られていると気付いて世界に入ってきてくれる。

 

ここでお時間となり、それではまた次回!ということでお開きとなりました。


帰るころには雨もあがっていて、ホッ。
受講生のお一人が柿をたくさん持ってきてくださったので、みんなでわけわけして帰りました。ありがとうございます😋

次回は12月6日(火)です。
全員、ご自分で選んだおはなしを語っていただきます。
とっても楽しみです✨

長くなりましたが以上です。

朝晩一気に寒くなってきましたね。
今年はおうちにこっぽり籠って、たくさんおはなしを覚える冬にしたいなぁ。
そんな予定…いや、願望……もとい、儚い夢まぼろしを抱きつつ。

お疲れ様でした!