月別アーカイブ: 2023年3月

再話クラスとプライベートレッスン

今年は桜の咲くのが早いですね。
「つぼみはまだ出てないな~」なんて思っていたのが、「え! もう咲いてきた?」になってそこからが早かったように思います。
写真は26日に見に行った時で、雨でしたが満開になってました。3月の再話クラスとプライベートレッスンの報告をします(‘◇’)

再話クラス
再話検討
「押船」『妙好人傳』より
再話再検討
「『ちえ』と『しあわせ』」(原題「『わけしり』と『しあわせ』」)
原話『世界の昔ばなし・22ドイツ語圏の昔ばなし三人兄弟と巨人』寺岡寿子訳 小峰書店
「しゃちの花」」(原題「海の青いいわれ」)
原話『中国山地の昔話』稲田浩二他編 三省堂

「押船」は、もともと話の題名がなかったので題名を付け、あとの2話は元の題名を変えています。
再話検討の段階で、話の中心になる事柄がわかってきて、何についての物語かということを考えると、自ずと題名が浮かんできた!という感じでした。
そのものズバリの題名、「どんな話なのかな?」と興味を持たせる題名、いずれにしてもぴったりの題名になっていると思います。

今回の再話の勉強で共通して言えるのは、原話選びの難しさです。
再話を初めて日の浅い方が半分以上おられるクラスなのでみんな実感してると思うのですが、原話選びはほんとに難関です。
かくいうわたしは、再話を初めてから10年以上たちますが、いまだに分からない(´;ω;`)ウッ…
その間に、途中までは再話したけれども、原話に欠落や齟齬があるのがわかって断念した話が何話もあります。
みんなが次に出す原話のコピーをヤンさんに渡したとき、ヤンさんがわたしに「また、難しい原話を選んだんじゃない~~?(笑)」って言われたのは、つまりそういうことです(苦笑)
ヤンさんはやさしいから、出来るだけ生徒の意思を尊重しようとするし、マイナスな言葉は使わないからあんまりそのままに受け取っていたらあかんなあと思いました。
一人反省会で考えると、わたしの場合は年月だけ経ってても、再話する数が少なくて伸びない(笑)
いや、笑ってる場合やないんやけど、原話の面白さに飛びついてしまっていて、見抜けていないということ。
開き直って考えてみると(開き直るのが早いですけど)、そういう経験を積み上げていくことが大事なんじゃないかな?
積み重ねのうちに、この原話は再話はできないとか、類話を探したほうがいいとか、今は無理やけどもっと再話力がついたらできそう、とかいろいろわかってくるんじゃないかなと思いました。
ヤンさんは、〝再話は数!〟って言われてたから、ごちゃごちゃいわずに次々にトライするのが再話力をつける道なんでしょうね。
昔話のように結末の幸せのために一本道を前だけを見て足早に進むのみ!!

プライベートレッスン
日常語による語り
「きつねの田植え」 → こちら
『大和の伝説(増補版)』高田十郎編/大和史蹟研究所 村上郁再話

主人公が戸のむこうにいるきつねの言葉を聞く場面があります。
きつねは5~6匹います。
きつねたちが戸のむこうから主人公に向かって言葉を発するとき、きつねたちは大きな声を出しているかもしれません。
では、戸のこちら側にいる主人公にはどんな風に聞こえているでしょうか?
戸を隔てているわけだから、大声が小さく聞こえてくる、みたいな?(笑)
じゃあ、それをどういう語り方をしたらいいのかというのは、難しいですね。
ヤンさんのアドヴァイスは、いつもいっておられることですが、〝それらしく語るのではなくて、そういう気持ちで語る。〟です。
同時に〝気持ちはこめなくていい。イメージできるように。〟です。
具体的には、この5~6匹のきつねとは、一匹は死んでしまった子ぎつねの親ぎつねです。
ですから他は家族か親戚のきつねです。
父・母・兄弟・姉妹・祖父母・いとことか、あるいはごく近所の親しいおじさんきつねとか、そういうきつねたちがやってきて、台詞を言うわけです。
その様子と気持ちをイメージしながら語るということでした。
アドヴァイスを聞きながら、かつて「かえるの王さま」を勉強会で語った時に、かえるが扉の向こうではなくて、目の前かすぐ横で言ってるみたいだと言われたことを思いだしました。
わたしはそのあと、分厚い扉をイメージして語るようにしたんですが、かえるが階段を上がってくるところから、もっと鮮明にイメージしたほうがいいなと思いました。
修正できて、これも役得ですね(^_-)-☆

今週も楽しくお勉強できてうれしかったです(⋈◍>◡<◍)。✧♡

どんぐり喰い📚

エルス・ベルフロム作 野坂悦子訳 福音館書店 2021

「どんぐり喰(ぐ)い」というのは、いつもお腹を空かせていてどんぐりまで食べる「あわれな連中」という意味です。
けれども、主人公の少年クロは、どんぐりだってふつうの食べ物で、パンといっしょに食べればおいしいんだといいます。
そのパンも、白いふかふかのパンではなくて、黒っぽいぱさぱさのパンなんですが。

舞台はスペインのアンダルシア。内戦(1936-1939)の終わって間もないころの物語です。
貧富の差が極端に激しく、極限状態の中で生き抜こうとしている大人たちが少年の眼で描かれます。少年は、大人に混じって働きながら自立していきます。
状況は最悪なのに、彼の行動はとても健全です。だから、読んでいて救いがあるのです。

少年クロは、作者の夫がモデルだそうです。

自分は自分の人生しか生きられない。
だから、過去と現在どんな環境で生きてきたのか、これからどう生きていけばいいのかと、ふと思いました。
児童文学には、そんなことを考えさせる力があると、改めて思いました。

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先日、お隣の市のおはなしサークルで、再話の勉強会がありました。
とっても活発に意見が飛び交って、楽しかった~
「いつも一緒におはなし会をしている仲間が、自分たちの語る話を新たに作っていく活動」って、きっと珍しいんじゃないかなあ。
気持のいい素敵な仲間たちです。
お世話になりました~!

 

 

津和野~湯田温泉~志賀島

シュッシュとロキソニンをおともに、またまた旅に出ました。

最終目的地は福岡県志賀島なんだけど、ちょっと寄り道して、安野光雅美術館に行きました。


津和野は高校生のときから行きたかったんだけど、なぜか行きそびれててね。
でもちょっと寄り道だったから、街をぜんぶは回れなかった。残念!
しずかな、山間の、美しい街でした。
弥栄神社からのぞむ津和野川のながれが、心懐かしい風景でしたよ。
またあらためて、森鴎外の旧居も行ってみようと思います。

その日宿をとった湯田温泉も、落ち着いた街でした。
中原中也の故郷です。
記念館で、中也の筆跡をたんのうしました。

つぎの日はメインの志賀島。
金印が発見された島です。
といっても、実際には見られなかったんだけど(笑)


神功皇后の伝承が残っていたり、玄界灘をながめていると、古代の大陸とのかかわりを彷彿とさせてくれます。
志賀島神社がよかった。


はるかに眺めると、島と九州をつなぐ砂州の道が続いている。


天の橋立は古くからの景勝地だけど、ここの砂州は、生活の道だったんだなあと思いました。

え?なんで志賀島って?
へっへっへ
玄界灘の海の幸を求めて~~~

玄界灘の夕日!

子どもたちが巣立って夫婦二人になってからずいぶん経ちます。
行ける間に全都道府県を踏破しようと思い立ったの。
でも、コロナで足止め食った。
そんなん、いつまでも待ってられないわ。
で、去年、西予市にお招きいただいたのがきっかけで、あちこち行き始めたのですよo(*^@^*)o

つぎはどこ行こうっかな~

 

 

あたらしい春🌷

暑さ寒さも彼岸まで。
気がつくと、街も野もすっかり春の装いです。
セーターもダウンコートも洗濯の季節になりました。
花粉はつらいけど、それでも、春はいい。
別れも、悲しい記憶もあるけれどね、それでも、春はいい。
ひとあし、そっと歩きだそうと、春は背中を押してくれます。

あと、何度、桜を見られるのか、わからないから、今年も桜を見に行こう。
街や山には、ソメイヨシノではない古い種類の桜が、たまにあって、それを見つけるのが楽しいです。
上の写真は、近くの緑地にある大島桜です。
ソメイヨシノより、ちょっと早く咲きます。

母がよく話してくれた桜は、富士山のふもとの八重桜です。
一本だけ孤立していて、とても大きな木で、遠くからでもよく見える。
祖父の実家の目印になる桜だそうです。
母は、子どものころ、疎開で富士山のふもとのその家に半年間暮らしたそうです。
学校の帰り道は、富士山に向かう道。
毎日、富士山を背負ってでかけ、富士山に向かって帰っていったと聞きました。

母はもういませんが、母の話の中の桜は、わたしの中で、今でも咲いています。

あたらしい春。
今しかできないことを、どんよくに、やっていこうと思います。

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今月の月曜日の更新は《ステップアップ》です。
「テキストを整える」ことについて書いてます。3回ぐらいで終わると思ったけど、ちょっと無理かも。

3月の中級クラス

暖かかったり、寒かったり、雨が降ったり…季節の変わり目を感じます。そんな気候に合わせるように、人の気持ちもあれやこれや、あーだこーだ、浮いたり沈んだりですかね。そして、今日は春分の日で祝日でしたので、会場はお休み。お家でzoomオンライン勉強会でした。

アントニウス・ホーレクニッペル 『新装世界の民話⑭』から再話

屋根がチーズでできた家 『子どもに語る北欧の昔話』こぐま社

赤ずきん『グリムの昔話2』福音館書店

ヤギとライオン 『子どもに聞かせる世界の民話』実業之日本社

それぞれのおはなしの表情から、その語り方について学びました。

●登場人物の語り手の人物像は、気に入っているセリフがあれば、そこから捉えて、それを全体に取り込む。

●語順は大事になる。聞こえてくる順番にしか聞き手はイメージできない。逆に、与えてしまったら、取り返しもできない。イメージの訂正はもったいない。

●テキストの言葉通りに語れず、変わってしまうのには理由がある。意識して考えてみて、変わった方がいいと思ったらそう決める。間違いではなく、正しいことにしたらよい。

●おはなしの怖さ(赤ずきん)は年齢によって抑え方を変える。「おまえをうまくくえるようにさ」1・2年は怖さを楽しんでやる。幼児は抑え気味でやる。そこにいくまでも、耳→目→手→口と危険度が大きくなっていく順番に並んでいる、おかしいぞ~という赤ずきんの疑惑も大きくなっていくので、語りもクレッシェンドする。

●おまけの笑い話として語る話は、聞き手は主人公になって聞かない。聞き手も外から笑うようにもっていく。幼児に語る場合、聞き手は主人公になって聞くので、語りの立ち位置を変えて、聞き手(主人公)から見ているおはなしを、そのように語る。相手と一つにならないとうまくいかない話は、訓練になる。

今日はオンライン語りでしたが、学びの多い楽しい時間でした!デジタル機器を通しても、語りはちゃんとその人を出してくれるなぁと思いました。語りの雰囲気にほっこりしました。みなさんのお顔も一挙に拝見できて嬉しかったです。最後に、一つ。ヤギとライオン、こちら2つの歌が出てくるのですが、語る人みなさんに歌ってもらいました。みんな違っていたり、ヤンさんの語りを聞き続けていた人は完全コピーだったり、色んなメロディーが流れました。歌の入ったおはなしは、子どもたちにばちっと印象が残りますね。あ、そういえば、ヤンさんの語りがなかった…また今度、対面でよろしくお願いします!

次回は4月18日㈫です。