「勉強会」カテゴリーアーカイブ

10月の初級クラス

日に日に秋めいてきていますね。
先日、友人に「さつまいも、栗、カボチャのどれが一番好き?」と聞かれました。どれも好きすぎて、結局答えられませんでした(笑)
お話も同じで「どのジャンルのお話が好き?」と聞かれても、きっと決められないのではと思います。だってそれぞれに味わいが違うんですから!

手遊び
やきいも やきいも おなかがグー
ホカホカ ホカホカ あちちのチー
食べたらなくなる なんにもパー
それ、やきいもまとめて グーチーパー
ジャンケンホイ

語り
1. 元気な仕立て屋/イギリスとアイルランドの昔話/福音館書店

2. ついでにペロリ/おはなしのろうそく6 /東京子ども図書館
3. かきねの戸/語りの森昔話集1/語りの森
4. みじめおばさん/語りの森HP
5. 名人四人きょうだい/おはなしのろうそく31/東京子ども図書館

ヤンさんの語り
6. 美しいワシリーサとババヤガー/おはなしのろうそく4/東京子ども図書館

講評
1. 演じないとおもしろくない話。お話の姿に合わせて、語り手も楽しげに聞き手を巻き込んで語る。

2. 累積譚は①子どもが主体的に入ってくるような語り方→ゆっくりめ②聞き手があっけに取られるような語り方→テンポ良く の二通りがある。

3. 笑い話は聞き手の呼吸に合わせて間を取る。それをする為にも、本番前にはサラサラと流れるように語れなければならない。

4. ぜひ語って欲しいおもしろい話。「死神」の怖さと間抜けな所を対比して笑わせる。

5. 語り手は、語りながら語っている自分を冷静かつ客観的な立ち位置で、聞き手がお話の世界から離れて行かないように言葉を選ぶ。

6. 長いお話について、大人は集中しながらも違う思考が働いてしまうが、子どもの集中力は鍛えることによってお話の世界観だけにのめり込める程高まる。

今回も充実した学びの時間でした。
みなさま、秋を満喫なさってまた11月に集いましょう。

次回は11月14日(火)です。

おはなし入門講座第2回

入門講座 第2回の報告です。

受講生の中で、幼稚園の時から小学生の時と入門講座の講師の先生の語りを聞いておられた方がおられました。聞き手としてお話を楽しんでこられた方が、語り手としての講座を受講されるって、なんだかステキな始まりを感じました~。

はじめに雰囲気の異なる語り3話
➀世界で一番きれいな声
(おはなしのろうそく11)
➁ヤギとライオン
(子どもに聞かせる世界の民話)
➂あんころもちとあみださん
(子どもと家庭のための民話)

今回のテーマは
『おはなしの選び方』のポイント3つ
➊語り手からの視点での選び方
・自分の好きな話
・誰かに聞かせたい、伝えたい話
・人から勧められたものではなく、自分主体で選ぶ
・じぶんの口にのりやすい
➋聞き手からの視点での選び方
・聞き手が求めている話
聞き手の成長,興味,そのときの気分を知る事が大事
➌テキスト(おはなし)の視点から
・ハッピーエンドだけでなく陰りのある話であっても、内容,結末が満足出来る話
・文章(言葉)が聞いていてわかりやすい
・情景描写,心理描写が少ない
・登場人物が少ない
・ストーリーが単純で結末に向かって速いスピードで一直線に進んでいる
※語りの森HPの『昔話の語法』をご参照ください

今回の講座で、異類婚姻譚について、日本、ヨーロッパ、シベリアとの違いも取り上げられ、とても興味深い内容の講義でした。

受講生の方の宿題は…お話のリストの中から1話選び、本文と奥付を1部コピーして提出

次回はお話の覚え方!

以上。

9月のプライベートレッスン

今日は、とっても涼しく感じる日で「秋になったな~」と思います。
というか、今年の夏が暑すぎたのでやっと涼しくなったというべきなのかも。
9月のプライベートレッスンの報告です。

1日目
「アリョーヌシカとイワーヌシカ」『魔法の馬』岩波書店
先月、「りくでも海でもはしる船」を読み物としての文章を聞いて分かりやすい文章にするために少し手を入れるという作業をされましたが、今月は別の方がこの勉強に臨まれました。
わたしは惜しくも参加できませんでしたので、ご本人から頂いた感想を乗せさせていただきますね。
”自分なりに考えた案を事前にヤンさんに送って、当日そちらを読み上げて、再度考えて手を入れました。おはなし選びは、ほとんど語りの森のテキストからしていたので、できるだろうか?と不安に思いながら向き合いました。疑問を持つ、違和感に気づく、語法が活きているか、耳から聞いてわかるかなど。ヤンさんには経験に基づくアドバイスをたくさんいただきました。特に学んだ事は「テキストをそのまま活かすところ」です。変えない方がいい所、変えてはいけない所があります。その言葉が表現する雰囲気、人物の行動や会話文による場面の色。それを変えてしまったり、取ってしまうと、その雰囲気や色合いが「なくなる」わけです。それはストーリー全体の奥行きにも関わります。これが分かるようになるには、読んだり、聞いたり、文学的なものに触れていくことが大事ですかね。いつもと違う楽しさがありました。ありがとうございました。”

2日目
「北林家の狸」『ナーミンのためのならのみんわ』
共通語のテキストを日常語になおす作業をされました。
もうだいぶと慣れられて、すいすいと自分の言葉になおされているように思いました。
熱心に途切れることなくプライベートレッスンを続けられているのを拝見しているのでまさに「継続は力なり」を体現されています。
この話は笑い話ではありませんが、参加者さんが今興味を持たれている笑い話の語り方についての話が出ました。
そこでヤンさんが言われた言葉が心に残りました。
語りはその都度その都度、語りの現場で成立するかどうかを考えたほうがいいのではないか。
何度も語ると慣れてくるし語り方も成熟してくるけれども、語りの現場はその日の聞き手とどんな関係を作れるか、やってみないと分からないところがある。
ストーリーを聞かせる話は聞き手もついてきてくれるのでいいけれど、笑い話はどこで受けるかわからない、予測がつかない。
自分の考える間と、子どもたちの間は合致しなことのほうが多い。
そして、子どもたちと語り手の人間関係ができていたら、笑ってくれやすい。
笑い話はその意味で高度である。
ほんとにそうですね。
〝高度〟とおっしゃたときに、身が縮む思いと引き締まる思いがしました。
自分では、笑い話の間はある程度分かっているつもりでしたが、大人の間と子どもの間が合うとは限らないということを考えていませんでした。
わたしは幼稚園のころから毎日のようにテレビで漫才を見ていたので(関西人あるある)、大人とこどもの間が違うなんて考えもしませんでした。
新しい発見!
ありがとうございました(‘◇’)

9月の中級クラス

虫の声は聞こえてくるのに、蒸し暑い日々ですね。もう少しで秋めいてくるはず!さて、今回はzoomでの勉強会でした。

忠実なヨハネス 『語るためのグリム童話1』小峰書店

練習で語りを録音して聞き、自分の癖に気が付いた。それが出ないように意識してスーッと語られたとの事。また、ストーリーについて疑問があったのだけど、事前にヤンさんから頂いた資料(『昔話の深層』河合隼雄 著 P151 ~)を読むことで納得して語ることができたそうです。30分ほどのはなしですが、私もあっという間に感じるくらい入り込ませてもらいました。

ヤンさん…世界に入り込んでいるからこそ、聞き手が集中してくる場面がある。ヨハネスが死刑台に上がって、声を出すところ。裁判官や大衆の前で、ヨハネスは王様に向かって話す。「死ななければならないものは、最後にひとことしゃべらせてもらえるものです。王様…」→呼びかけの 王様 を入れる。言ったら石になるのに、言うぞ!と聞き手は集中する。トリックスターの働きをしてきたヨハネス、命がなくなると分かっていて言う、ヨハネスしか知らない話。ヨハネスの行いは、王様がしてきた行いより大きい。ヨハネスを主人公として語ると、聞き手の子どもたちはヨハネスになれる。王様の悲しみもこめて語り、より感動をともなう場面になる。

最後にヤンさんが興味深いことを言われました。年とった王様も金の王女を手に入れたかったが、それを息子に託した。ヨハネスの力によって、冒頭の欠如は最後に充足した。深い!『昔話の深層』に金の王女についての事も載っているそうです。

白い石のカヌー 『おはなしのろうそく33』東京子ども図書館

情景描写が多かったのですが、そのまま覚えようと努力されたとのこと。こちらのテキストは、『アメリカのむかし話』渡辺茂男 編訳/偕成社から。それでも、途中で、『子どもに贈る昔ばなし12 石のカヌー』小澤昔ばなし研究所 のテキストに変えようかとも思われたとのこと。そちらは『世界の民話12アメリカ大陸Ⅱ』より再話コースの方によるグループ再話。

ヤンさんからもう一つの資料を頂いていたのですが、それは小澤俊夫さん解説による「石のカヌー」の文法でした(季刊『子どもと昔話』49号2011年秋号)。解説を読みつつ、二つのテキストを比べると違いがはっきりわかります。昔話の語法の力による違いです。後者は昔話の語法を活かした再話です。耳から聞いてイメージする像、聞き手の中で起こる感情、これらは表現された言葉によって、かなり変わってくると気づきました。テキスト選びや、再話について、大きな課題として心に響きました。

ジャックと豆の木 『語りの森昔話集1』語りの森

再開された小学校のおはなし会に向けて練習で語られました。語りを初めて聞く子も含まれる3年生なので、学年を下げた形でプログラムを組んでいるとのこと。

ヤンさん…3年生なら、繰り返しの2回目と3回目は、アイテムの言葉だけを立てて、テンポアップして語る。 私が気になっていた所、豆の数え方で…「両手にふたつずつと口に一つ」と、ジャックはすぐに答えました。ここは子どもはどんな反応をするのかな?と思っていたんです。ヤンさんは手を使って「両手にふたつずつ(両手に豆をふたつずつ持つ)と口にひとつ(指一本を口に)」とする。子どもにかしこい~と思わせて、子どもとのやり取りができるし、ストーリーに戻れると。なるほど~!低学年の純粋さを忘れてました!数字って抽象的ですもんね。

語り手の方から、ヤンさんから受けとるものがたくさんありました。ババ・ヤガーの勉強会の今後の話もあり、感謝の気持ちとともに、ここから自分は何ができるか。何がしたいか。どうなりたいか。自分の内側を刺激されました。

【中級クラス変更点】

〇エントリーは1ヵ月前のクラスでする。出典も言う。

〇日常語のエントリーも中級でする。

〇毎週月曜に更新する秘密基地で連絡事項をチェックする、次月エントリー者のテキストを参加者各自がコピーして持参する。

次回は10月17日火曜日です。

9月の初級クラス

とにかく今年の夏の猛暑には参りました~。
まだまだ残暑が続きますが、そろそろ秋~冬に向けてのお話を用意。
練習しているうちにお話に出て来る「おもち」が食べたくなって
「ええ具合に焼けて、ぷう~とふくらんできた」ので
砂糖じょうゆでいただきました。はい、練習そっちのけ(笑)

手遊び:「きつねがね」
コーンコーンコンコンコン ✖2回
きつねがね、化けたとさ
石ころかな、おにぎりかな
いや違う、いや違う
葉っぱかな、お皿かな
いや違う、いや違う
はさみかな、お箸かな
いや違う、いや違う
おばけ~~~

語り
1.『大歳の火』/日本の昔話5/福音館書店
2.『三匹の子ブタ』/イギリスとアイルランドの昔話/福音館書店
3.『ヘンゼルとグレーテル』/語るためのグリム童話集1/小峰書店
4.『タオの物語』/子どもに語るアジアの昔話2/こぐま社
5.『かたつむり』/語りの森昔話集3/語りの森
6.『みつばちの女王』/語るためのグリム童話4/小峰書店

ヤンさんの語り
7.『アリョーヌシカとイワーヌシカ』/まほうの馬/岩波書店

講評
1.お話の背景、テーマは語った後で話すのが良い。まずお話を聞いてもらって自由に感じてもらってから。
2.テキストの言葉を変える基準は耳で聞いてわかりやすいように。
例:ハリエニシダ→ハリエニシダの木の枝
3.すべて丁寧に同じテンポなく、時の流れを一瞬に感じたり遅く感じたりするように、語り方も間や早い遅いを組み合わせて語ると良い。
4.語り手に合わないお話などはない。外から見た評価は気にする必要はなく、語り方で克服できる。
5.一字一句間違えないように語ることは、聞き手にきちんと伝えるための言葉や感性の「訓練」だと考える。現場を経験することで、変えても問題ない言葉、変えては伝わらない言葉の違いを体感できるようになる。
6.スラスラとまるで読んでいるかのように語れるようになってから「間」を入れる。

お話を語るということは、「お話への愛」「聞き手への愛」に尽きますね。良いお話が伝承されていくこと、語り継がれていくことの尊さ。お話を待っている聞き手のためにも、精進致しましょう!

次回は10月10日(火)です。