「勉強会」カテゴリーアーカイブ

今年度初の再話勉強会

今年度初の再話勉強会がありました。
午前中は、お話会のようでした。

語り
「ふぐと鯛 『復刻版昔話研究』第三巻 岩崎美術社
「お月さんとお日さんとかみなりさん」 『丹後の民話第一集』峰山孔版社
「おおかみと子どもたち 『新装日本の民話7近畿』ぎょうせい
「六地蔵」 『新装日本の民話5甲信越』ぎょうせい
「きつねとたぬきの化かしっこ」 新装日本の民話6東海・北陸』ぎょうせい
「水晶の山」  アファナーシェフロシア民話集』上 岩波書店

そして、テキストがひとつ。
「信濃国の聖の事」 『新編日本古典文学全集50』小学館

「水晶の山」の語りをしました。
おぼえるときにたくさん修正したのですが、今日の勉強会ではそれ以外をたくさん修正することになりました。
まさに大手術!
自分は話の筋を理解していると思っておぼえていましたが、聞いてもらって、おかしい個所を指摘・説明してもらうと、やっと「え!そうだったの?ん~、やっぱりそうだわ」と、やっと気づきました。
あるいは、わたしのイメージしているところはみんなと共通しているんだけれども、それを表すテキストの言葉がおかしいとか…
思わず「なんで前回言ってくれなかったんですかぁ。おぼえちゃったしぃ」と、おぼえなおすことにすでに挫折しているかのような発言をしてしまいました(+o+)
しかし、おぼえて語る私が気づかないことを、語りを聞いてもらってやっとおかしい箇所を指摘してもらうという段階に駒を進めることができるのだと改めてわかりました。
それと、原話の訳がイメージしにくい訳である可能性についてもあんまり考えていませんでした。
「分かりにくいなあ」と思っても、イメージにぴったりマッチするどの言葉を使うのがいいかわかりません。
いい言葉が、まだ私は出てきません(´・ω・`)
魔法の力で、ピュンっと出てこないかなと、遠くを見つめるのでありました。
でも、今日の勉強会でテキストができたのは大変うれしいことです。
「水晶の山」はAT302(心臓が体の中にない巨人)の類話を読んでいた時に出会った話で、グリムの「水晶の玉」と同じ話型です。
私は、水晶とかガラスとか透明なアイテムが、好きなんです。
(もちろん、金も銀もダイヤもエメラルドもサファイアもみんな好きなんですが。)
似たような話ばっかりになってしまったけれど、両方やりたかったのでこれで満足。
次に進めます(^◇^)

次回は10月、秋です<(_ _)>

 

5月 おはなし初級講座

もっちです。ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたか?
さて、ゴールデンウイークが明けて早速、初級講座がありました。

語りは
「おいしいおかゆ」『愛蔵版おはなしのろうそく1』(東京子ども図書館)
「六ぴきのうさぎ」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』(語りの森)
「なぞ問答」『日本の昔話1はなさかじい』(小澤俊夫再話、福音館書店)
「旅人馬」『子どもに語る日本の昔話2』(こぐま社)
「三枚のお札」『おはなしのろうそく5』(東京子ども図書館)

の5話でした。

「おいしいおかゆ」
グリムの昔話です。短いながらもしっかりとしたおはなしで、語られているのをよく聞きますし、大概の語り手さんはレパートリーとして持っているのではないでしょうか。

とうとうおかゆのながれこんでいない家は 町であと一軒、ということになったとき、女の子が帰ってきました。
そして、たった一言、

の後に子どもたちが一緒に「ちいさなおなべや やめとくれ」と言ってくれるのを期待する語り手さんも多いかなと思います。なにを隠そうもっちも期待してました。いままで連戦連敗ですけれども。
それよりも、どうやら今ドキの幼稚園児さんたちは「おかゆ」を知らない子もいるらしいという情報が出てきて、騒然となってしまいました。
もしかしたら「おかいさん」で通じるかも?なんて内心思っていました。(関西の一部で使われる方言です)
ポイントは緩急をつけて聴き手がイメージをする言葉は大事に伝える。
「ちいさなおなべや 煮ておくれ~」は呪文を唱えるように語る、でした。

「六ぴきのうさぎ」
語りの森昔話集1おんちょろちょろからの出典です。
湖のそばに住む六ぴきのうさぎがボトンという音を聴いて逃げ、森で会った動物たちに「どうしてそんなに慌てふためいて逃げているんだ?」と聞かれて、「ボトンって声がしたんだ」と答え、森じゅうの動物が逃げだす話です。
同じ言葉が続き、不確かな情報に踊らされる様が滑稽な面白いお話。累積譚のひとつです。
ラスト、ライオンに「誰から聞いたんだ?」と聞かれ、動物たちが口々に答える場面は、ちがう動物が答えているのを意識して語りましょうということでした。

「なぞ問答」
この話型はあちこちにあるそうです。『子どもと家庭のための奈良の民話1』に載っている「おふじ井戸」も同じ話型です。
しかしこちらは衝撃のラスト!
ハッピーエンドではない終わり方で、ちょっと子どもには語れなさそうという意見多数。
しかしこういう謎かけものは一緒になって考えてしまうので楽しいですね。

「旅人馬」
前月語られた「旅人馬」とは出典が違います。モチーフも違っていて、別のお話のようです。
もうひとつ、語りの森HPの≪日本の昔話≫にも「旅人馬」がアップされています。
ぜひ解説も一緒に読み比べしてみてくださいね。
この話の中では、囲炉裏の灰にもみがらを蒔いて、一晩で芽が出て、稲穂が実って、石臼で粉に挽いてだんごにする場面や、援助者と碁を打つ場面が出てきます。今の子どもたちには稲、臼、碁が分かるかな~?という意見も出ました。
案外、昔の暮らしのことは意識して学習されられているように思いますが、もし子どもたちの表情に「?」が浮かんでいたら、一言で説明できるように用意をしておいたほうがいいかもしれませんね。

「三枚のおふだ」

これは小僧さんと鬼ばばの追いかけっこを楽しむおはなし。

雨だれ、会話、逃走、どの場面も楽しく、語り手も聞き手も気持ちが乗ってしまいます。が、叫ぶ場面は声が大きくならないように自分を抑えて語りたいですね。

と、勉強会の中で飛び出した話題を紹介したわけですが、語るシチュエーション、語る相手、語り手によって変化してしまうものですよね。誰かの語りが素晴らしく面白いからといって、同じようには語れません。だから、勉強会中に出たアドバイスが誰にでも通用するかというとそうは言えないのです。でもついメモしてしまうのですが(*´艸`*)

主役は聞き手の子どもたち。おはなしの中の登場人物の気持ちをイメージして受け止めるのもまた聞き手なのだと、そういう語りができるよう成長していきたいですね。

 

5月 日常語での語り勉強会

たいへん遅くなりました<(_ _)>

連休の谷間、5月2日に「日常語で語るための勉強会」がありましたのでご報告します。

 

語り

浦島太郎」『日本の昔話1』

 

だんだん飲み」『日本の昔話5』

 

夢の蜂」『日本の昔話1』

 

やまなしとり」『日本・中国・韓国の昔話集2』

日中韓子ども童話交流事業実行委員会企画

 

庄やん」『ナーミンのためのならのみんわ』

 

 

テキスト

かにかに、こそこそ」『日本の昔話2』

 

どろぼうがみたら、かえるになれ」『日本の昔話1』 村上郁 再話

 

とっつく、とっつく」『日本の昔話1』

 

十五夜の月」『子どもと家庭のための奈良の民話3』

 

※『日本の昔話1~5』は 福音館書店 小澤俊夫再話 です。

 

 
「浦島太郎」の亀、皆さんはどんな大きさだと思いますか?
浜で子どもたちにいじめられていた時のサイズは?

浦島太郎を乗せていく時は?

実は、実際の海亀の生態として、浜に海亀が近づくのは、

浜辺で卵からかえって、月の光がキラキラ反射する海を目がけて必死に這っていく時 → 約5センチ

約30年後、雌が浜辺に産卵に来る → 種類にもよりますが約140センチ   の2回のみ。

中くらいのサイズの時には浜に寄り付きません。

ですから、いじめられていた時は子亀(5センチ)で、

しばらくたったある日(数日後)に大きな亀が「助けてもらった亀です」ってきたら、

事実と違ってしまいます。

「大きな亀」になるためには30年の月日が必要です。数日間では無理なんですね。

子どもにウソを語りたくない・・・どうするか・・・?

「大きな」を取っちゃいましょう!!

ーーー波のあいだから、亀が顔をだして「あなたに助けられた亀です」ーーー

子どもが頭の中で、想像の世界で、海亀を浦島太郎が乗れるサイズに変化させるのは自由です!

ウソを語らなくても済みます!!う~ん、解決!!

それにしても絵本の中には、中くらいの亀がいじめられている絵の描かれた、

間違った絵本がけっこうあります。

かぶは常々もやもやしていたので、今日、言えてスッキリしました(^.^)

 

●演劇風、楽器を用いて、などなど・・・世界中に語りのスタイルはいろいろあります。

ヤン総監督が、どんな語りも否定せず尊重し、

「おもしろい、楽しい、と思えるよう、自分の引き出しを増やしましょう」

と言われていたのが印象に残りました。

聞き上手のほめ上手!!生徒はぐんぐん育ちます(*^O^*)笑

 

●日常語にする時には、助詞を抜くことを意識してみると、普段の自分のしゃべりに近づくのがよく分かります。

普段、人に話している時、助詞ってほとんど入っていませんよね?

あ、でも抜いちゃあいけない助詞もありますね。

 

今回もいろんなおはなしが聞けて、ヤン総監督からいろんなアドバイスを受けて…

 

あ!! 今回は

「煮る」のか「炊く」のか、

「茹でる」のか「湯がく」のかというお料理バトルもありましたね~!!笑

 

楽しい、実のある勉強会でした~(^_-)!

勉強会レポートと絵本シンポジウム

もっちです。
先日、再話法勉強会に参加してきました。
再話というのは、テキストを日常語に直すのとは違って、伝承の語り手さんから聞き取ったままの資料(原話)を語りのテキストに体裁を調えること…と理解しました。

今回は原話と既存の再話…つまり出版されている再話テキストを読み比べての批判的検討をしてみようということで、これまで出版されているテキストを批判的にみたことがなかったもっちには、かなり面白い内容でした。

だって初級講座では「テキスト通りに!」が信条でしたので。

着眼点は

①語り手としてそれが語れるものであるか
②子どもが聴いて分かるテキストになっているか
③主題を外れていないか

そうやって原話と再話を読み比べてみると、原話はかなりシンプル! あらすじかと思うくらい装飾もなく、あったことだけを伝えている感じ。

対して再話テキストは、聴いている子どもに分かりやすく、読んでも面白い物語になっているものの、再話者の価値観があちこちに投影されているようでした。同じ原話なのに再話テキストが違うという場合は、再話者がどういう風に聴き手を楽しませたいか、という姿勢の表れなのでしょうか。

そんな再話をするときの注意点は、

①できるだけ原話に厳密に。
②昔話の語法を使って。

のようです。

いつか再話もしてみたいなと思うのでした。

 

そして本日、絵本シンポジウムに行ってきました。

長年子どもたちに絵本やおはなしを届けていらっしゃる二人の講師の対談形式で、絵本の魅力を探るというのがテーマでした。
まずは講師の方々の自己紹介からはじまり、おもしろい絵本の紹介、食べ物をテーマにした絵本、大好きな絵本、最近気になっている絵本など実物の絵本をみせてくださったり、読んでくださったりしながらの紹介でした。

絵本が好きで、子どもにおはなしを届けるお二人ですが、選ぶ本はまちまちだったり、共通していたり。
おもしろいですね~。
感性の違い、価値観の違い、好みの違いなんでしょうね。
けれども『絵本を選ぶとき何を基準にしてますか』『お二人にとって「良い絵本」とは』という質問の答えは同じでした。
自分の子どもに、地域の子どもに、真摯に向き合っておはなしを届けているとそこに辿り着くのでしょうか。

そんな講師の先生方も、常に絵本を勉強し探されていらしゃるとのこと。
自分もたくさんの絵本を読もう!と気持ちを新たにしました。

どんな絵本が紹介されたか気になることと思います( ´艸`)

ヤン講師の紹介してくださった絵本は『絵本のこみち』でも紹介されていますので、ぜひブラウザバックで訪れてみてくださいね。(∩´∀`)∩

 

4月 おはなし初級講座

週末ごとに雨が降り、お花見の機会を逃したまま桜が散ってきています。
しかしながら雨にそぼ濡れる桜も、風に散り舞う桜も風情があって美しいですね。
もっちです。

4月のおはなし初級講座がありました。

語りは、

「旅人馬」『日本の昔話③ももたろう』(福音館書店)
「先に怒った者が負け」『子どもに語るイタリアの昔話』(こぐま社)
「あなのはなし」『おはなしのろうそく4』(東京子ども図書館)
「三びきのくま」語りの森ホームページ≪外国の昔話≫
「しおちゃんとこしょうちゃん」『おはなしのろうそく27』(東京子ども図書館)
「話十両」『日本の昔話③ももたろう』(福音館書店)

の6つです。

「旅人馬」は、馬を売り買いする博労(ばくろう)が馬宿に泊まり、馬にされそうになるところを逃れ、他の博労たちを助けて、仕返しをする話ですね。ストーリーが面白く、会話の中から登場人物の心情が伝わります。博労という職業の名称が耳慣れないので、最初の説明はきちっと押さえるように語りましょうというアドバイスでした。

「先に怒った者が負け」もストーリーがすごく面白く、引き込まれます。三人兄弟の上の兄さん二人が「先に怒った者が負け」の勝負に負けて、せっかく借りた資金と担保にしたブドウ畑を取られてしまいます。そこで末の弟が同じようにお母さんにお金を用意してもらい、同じように旅に出て、同じ人に出会って、同じ契約をします。そのハチャメチャぶりは、これまで兄さんがされた仕打ちを思うとすっと胸がすく思いです。三度の繰り返しの一回め、リードさんに借りたお金を返せなかったので、ブドウ畑を取られたということをきっちり押さえて語りましょうとアドバイスがありました。

「あなのはなし」もストーリーで聞かせる話ですね。あなにドーナツにと仲間がどんどん増えていきます。でも少しずつ言葉が違うので覚えるのに苦労しますね。小さな子どもさんが喜ぶ話ですので、いつかレパートリーに加えたいなあ。

「三びきのくま」は『イギリスとアイルランドの昔話』にも入っている話ですが、原話から再話したお話が語りの森の《外国の昔話》にアップされています。このお話は、ストーリーというよりも、三びきのくまの言葉の繰り返しや、おばあさんの言葉の繰り返しが楽しいお話になっています。とはいえ、くまごとに個性がありますので、まったく同じ言葉での繰り返しにはなっていません。でもそこが面白いのですよね。声の大きさは変えないで、ぜひくまの個性を引き出して語ってみてください。

「しおちゃんとこしょうちゃん」は、二匹の仔猫の冒険のストーリーです。木登りして降りられなくなった二匹をお母さん猫のタビー夫人が迎えにくるのですが、暗闇に緑の目が光る場面は、少し怖いかもしれません。なぜなら聞き手も、仔猫たちも緑の目の正体がその段階では分かりませんからね。もし間をもたせるならその場面で。でもあまりもったいぶると怖くなりすぎるかもしれません。素直に語ればいいそうです。そうそう、タビー夫人は一匹ずつ口にくわえて木からおろすのですが、どうやって降りたのでしょうか。枝を足場に飛んで降りたのか。幹を駆け降りたのか。みなさんはどのようにイメージされましたか?

「話十両」は、長年奉公に出ていた男が年季があけて、それまでに稼いだ十両を手に里に帰る途中、命を助ける話を十両で買うお話です。無駄遣いしたんじゃないか、騙されたんじゃないかと大人でも聞きながらドキドキしました。最後、自分の家に帰ると戸の向こうから奥さんが他の男と話している影と奥さんの話し声が聞こえて、男は怒りのあまり我を忘れかけるのですが、『短気は損気』という十両で買った話を思い出します。このタイプのお話はどの類話も最後に間男を迎えるモチーフが入ってるそうですが、はっきりそう語ってるわけではなく、聞き手の想像力をかきたてます。あまり小さな子どもさんには向かなさそうですが、中学生ならさらっと語ってよさそうです。あまり普段使われない「いとまごい」という日本語との出会いを大事にしたいですよね。言い間違いにご注意です。(*´艸`*)ちなみに漢字では「暇乞い」と書きます。お客様から「そろそろおいとましますわ」って言われますよね。美しい日本語だなぁと思います。

さて、来月はどんな語りが聞けるでしょうか。♪ヽ(´▽`)/