9月の初級クラス

まだまだ真夏のような暑さの中、色々なお話が勢ぞろいしました。
夏を感じさせるお話が2つ、秋を先取りしたお話が1つ、季節を全く無視した真冬のお話1つ(私です~)、季節に関係なくいつでも楽しめるお話3つ。


【 手遊び 】(両手でそれぞれの数字の指を立てて)

1と5でイチゴをたべて
2と5でおそばをたべて
3と5でケーキをたべて
4と5でカレーをたべて
5と5でおにぎり作ってピクニック、ゴー!


【 語り 】

旅の仲間  / 語りの森昔話集5「ももたろう」/ 語りの森

娘のくり拾い  / 語りの森昔話集5「ももたろう」/ 語りの森

うりひめの話  / 語りの森昔話集2「ねむりねっこ」/ 語りの森

小僧の歌くらべ  / 鼻きき甚兵衛・出雲の昔話 / 桜楓社

さるの海岸見物  / 語りの森昔話集2「ねむりねっこ」/ 語りの森

母の眼玉(まなくだま)/ 鈴木サツ全昔話集(母の目玉) / 福音館書店

ヤンさんの語り / マンガスと七人のじいさん  / 子どもに語るモンゴルの昔話  / こぐま社


講評の時間には、シンデレラの話型の一番最初が中国だという話や、ヤンさんが実際に語った時の子どものお話の受け止め方の深さと(HPにも紹介されています。〈こちら→〉時に大人の安易な解釈のズレについての話。
そして、今回の語り手さんの中に再話クラスで再話されたお話を語って下さった方がお二人いて、それについての学びもあり、いつもの事ながら盛沢山(*^-^*)
個人的にはヤンさんが語って下さったお話についても聞きたかったです。実は累積譚をもうひとつ覚えたくて探しています。ヤンさんが語って下さったお話、とてもおもしろかったです。そのお話は入っていないようですが、HPに累積譚のリストがあります。ご興味のある方はどうぞ!〈こちら→〉

次回の初級の勉強会は11月8日です。

 

 

おはなし入門講座 第1回

まだまだ暑い日が続いていますが、朝夕の虫の音が涼しげですね。
9名の受講生のみなさんを迎え、今年もヤンさんのおはなし入門講座が始まりました。小さなお子さん連れの受講生の方々もいらっしゃって、主催のききみみずきん一同目を細めて喜んでおります。今回お越しになれなかった受講生の方にも、次回お会いできるのが楽しみです♪

さて、第1回のテーマは「おはなしってなあに?」でした。

⒈語りとは、ストーリーテリングとは
それは上のお子さんがまだ0歳だった頃、ヤンさんは子どもの情緒を安定させてくれる昔話を本来の形で与えたいと思い、ストーリーテリングの勉強を始めました。そう、昔話は絵本や本でも楽しむことができますが、本来は人間の営みの中で語り継がれてきたものなのです。

ヤンさんの語りで「七羽のカラス*」を聴いた後、受講生それぞれが頭の中に描いた風景をシェアしました。女の子が行った太陽、月、星、世界の果て、ガラスの山。受講生のみなさんにはどんな風景が見えたのでしょうか?行ったことないですもんね。でも、頭の中でなら行くことができます。みなさんが想像したガラスの山は、「水晶」の山だったり「針」の山だったり。おはなしの中には、こうした知らないものも出てきます。「大きさ、色合い、質感など、想像したものは一人ひとり違う」と、ヤンさん。

では、絵本はどうでしょうか?
ヤンさんの案内で、ホフマンの絵本『七羽のカラス**』のページをめくっていくうちに、語りと絵本の違いが見えてきました。絵本ですから各場面が(絵で)描かれているのですが、受講生のみなさんの反応をうかがうと、その絵は語りを聴いてそれぞれが想像したものとは異なっていたようです。絵本という性質上、イメージが限定的になってしまうのは仕方がないとも言えるのかな?
以前ヤンさんがこの話を語られたとき、カラスたちが空を切って降りてくる場面で、聴いていた10歳くらいの女の子が、「(最初と)一緒や!」と声に出したそうです。前半の兄さんたちが飛び去っていく場面でも使われている「ばたばたと羽ばたきの音が聞こえ」という表現が、この場面で再び使われています。状況が全く一緒というわけではないのに「一緒」と感じたのは、その子に同じ羽ばたきの音が聞こえていたからかも!この話をうかがうのは2回目なのですが、これってすごいことだなぁと改めて感動しました。去年はちゃんとわかってなかったのかも?
他にも「世界の果て」という言葉を聞いて、「宇宙まで行ったん?」と尋ねた男の子もいたそうです。語っていたヤンさんご本人は、「そこまでは行っていなかった」とか。

このように、おはなしには想像させる余白がたくさんあり、「おはなしの力」と聴き手の「想像力」を使って、聴き手が自由に楽しめます。「テストと違って採点されないのも、おはなしのいいところ」と、ヤンさん。会場では、おはなしの何が子どものどんな力を引き出すのかという話へ。

⒉おはなしと子どもの想像力
ヤンさんの語りで二つ目のおはなし「あなのはなし***」。
この話は、くつ下に開いた穴というとても日常的なところから始まって、非日常の世界に入っていきます。話し始めると、聴いている子どもたちは自分のくつ下を見るそうです。面白いですね。見てしまう大人はまだ子ども心を失っていないということか?聴き終わった受講生のみなさんの想像した穴は、やはりそれぞれだったようです。

この話は、抽象的に考えることが難しい低学年の子たちも楽しめる話だそうで、「子どもは大人以上に想像力があるかも」と、ヤンさん。「見たことないものや見えないものを見る力が、子どもにはある。」という言葉が心に残りました。
「あなのはなし」を子どもたちに語ると、「オオカミなんてこわくない」というところで、誰かひとりは「こわいわ!」と言う子がいるそうです。そして、言葉が繰り返されるとオオカミの登場が予想され、「夜中になると...」で子どもの予想が的中するのです。カエルを飲み込むところで、「ゲ〜ッ」という子がいて緊張が緩和したり、あなを飲み込むところで、「オオカミのお腹に穴が開くやん!」と口に出す子がいて、気づかなかった子も瞬時に想像できたりと、おはなしを集団で聴くよさもあるようです。「子ども同士の教育する力」とヤンさんはおっしゃっていました。
ちなみに、オオカミの登場をヤンさんより先に子どもが言ったとき、ヤンさんは「ところが、」というところを「そう!そのとおり!」ととっさに言い換えて語ったそうです。話がしっかり入っているからこそできること。子どもが展開を予想できるのはいいことなので、先に言われても動揺しないように、練習あるのみでしょうか。

少し戻りますが、「七羽のカラス」では、ひなどりの骨をなくしてしまった女の子が、自分の指を切り落とします。子どもは皆、大事なものをなくす経験をしているので、「主人公と同じ精神状態になって聴いている」そう。ドキッとする場面ですが、ストーリーは先に進んでいき、子どもたちの関心も先へ先へと進みます。おはなしを聴くことで育つ想像力には、予想する力(=考える力)と共感する力(=思いやり)の2つがあるということでした。

では、たくさんあるおはなしの中から、どんなおはなしを選べばよいのか?
ヤンさん曰く「覚えやすい話は、語りやすく、聴きやすい」そうです。聴き手が聴きやすい話を語りたいですね。

はい!ということで〜
次回10月4日(火)の第2回おはなし入門講座のテーマは「おはなしの選びかた」♪宿題は「おはなしのテキスト」をもとに、できるだけたくさんの話を読んでくることです。いいなと思った話には、付箋をつけたりコピーをしたりしておいてください。まだ、おはなしは覚えないでくださいね^^

簡潔に書くはずが、また長くなってしまいました。大切なことばかりでどこを削ればよいやら。ヤンさん、お話しされた内容と違っていることなどありましたら、訂正よろしくお願いします〜💦

*    「七羽のカラス」『昔話絵本を考える』松岡亨子著/日本エディタースクール
**  『七羽のカラス』フェリクス・ホフマン作絵/瀬田貞二訳/福音館書店
***「あなのはなし」『おはなしのろうそく4』東京子ども図書館

あったかペーチカ

9月4日(日)

おはなしのプログラム
1.「だんまりくらべ」 語りの森昔話集2・ねむりねっこ/語りの森
2.「ぬすっと人形」 語りの森HP
3.「ジャックと豆の木」 語りの森昔話集1・おんちょろちょろ/語りの森
4.「母の眼玉」 『鈴木サツ全昔話集』/福音館書店
5.「黄色いリボン」 『語られると怖い話』/ポプラ社
6.「魔法使いのチョコレート・ケーキ」 『魔法使いのチョコレート・ケーキ』(M・マーフィー)/福音館書店

とても心に響くおはなし会でした。
ハラハラ、ドキドキ。楽しい。なんて切ない。めっちゃ感動。ああ、こわ~。
おはなしを聞いている時間は、日々の悩みやストレスを忘れることができます。
疲れきった心が癒される、そんなかけがえのない時間を過ごしました。

さて、今週末9月10日(土)は中秋の名月。
満月が見られるとのこと。
そこで、大好きな絵本から一節を紹介します。

「おつきさん ありがとう、
たくさんの みのりを ありがとう、
やさしい ひかりを ありがとう。
おだんご たべて、くりのみ たべて、
おつきさんと たのしい おはなし」
『14ひきのおつきみ』(いわむらかずお/童心社)より

すてきなおつきさまに出会えますように。

次回のペーチカは10月7日(金)です。

8月のプライベートレッスン

夜に雨が降ったから今日は少し涼しいです。
でも、湿度が高くてそれはそれで不快かな…(笑)
プライベートレッスンは自宅から動かないで受けられるから楽ちんです(*^▽^*)
8月のプライベートレッスンは〝日本の昔話を日常語テキストに直す〟作業でした。

「金のおの」『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』語りの森

これは広島県の昔話です。
イソップの話かと思っていましたが、他にもたくさんあるみたいですね。
日本では広島以外にも類話があるようです。

アドヴァイスの中で〝助詞の見直し〟ということが出ました。
テキストを日常語にするときに、まずは語尾と助詞に注目して変えていきます。
助詞については、意味が分からなくなるから絶対に抜いてはいけない助詞というのがあります。
ではそれ以外は全部抜くべきなのかというとそうではなくて、残しておく助詞があります。
その選別は何なのかというと、ひとつはリズムである、というアドヴァイスをヤンさんはされました。
わたしは、深くうなずくとともに、〝リズム〟については語りを始められてすぐの語り手さんにはピンとこないであろう内容なので、ヤンさんが〝リズム〟を出されたときに、参加されたかたが〝リズム〟を理解される段階にこられたのだということを感じました。
毎月熱心に勉強を続けられている、おはなしに邁進されているかたなので、そばでみさせていただいているわたしまで励まされているというか、「おまえ、なまけんなよ」と叱咤されているようなというか(笑)そんなかたなので、前進されているのを目の当たりにして嬉しかったです(*^▽^*)

もうすぐ9月です。
少しは涼しくなるんでしょうかね~~
9月からは勉強会も通常通りに始まります。
気力と体力を通常モードに戻さなければ~~
ではまた、来月(^o^)/

問題と答え

関西では、小中学校で2学期が始まりました。
夏休みが終わるの、早いねえ(⊙o⊙)
ヤンが子どものころは、夏休みって7月24日から8月31日って決まってたけど。
9月1日から2学期、秋!って、季節感がなくなっちゃったねえ。

ところでね、学校のお勉強っていったら、問題が出てそれに答えるってパターンがほとんどやね。先生が質問して、はい!はい!って手を挙げて。ドリルとかテストとかも。
で、どこまでできたかで点数がついて、成績が出て、評価される。
体育とか音楽とか美術とかでも、課題があってそれを解決っていうかやり遂げるっていうか。ほら、逆上がりなんかね。あれは、できるかできないかの課題やね。努力したかどうかではなくて。心の葛藤も問題じゃなくてね。

いかに効率よく早く正答にたどり着くか。
それで成績が出て、その成績が、進学を決めて、その学歴が就職を決めて、人生が決まる。って、ちょっと極端ないいかただけどね。それがレールに乗るってことですよね。
国の成長ってことを考えたら、このパターンはとっても効率的かもしれない。

ところで、わたしたちが節目節目に受けてきたテストの問題には、必ず正解があった。だって、テスト作成する先生が、問題と答えを作るんだから。答えのない問題は作らないよ。まるとぺけ、つけられないもん。

でもね、今まで生きてきて思うのは、実人生で出会った課題に正解はあったかなってこと。

いろんなことに出会って、苦しいときとか難しい局面とかもあった。その目の前のことに、その時できる精いっぱいの対処をしてきたけど、それが正解だったのかな?
いや、正解ってあったのかな?
正解のない課題を解きながら歩いていくのが、人生じゃないのかな?

若い人たちが、感受性の強いその時期に、正解を求める方法ばかりを身につけて、それでいいのかなあと思う。それって、将来自分の人生をひらいていくのに、ほんとうに役に立つ努力なんだろうか。

正解のない問いを、宙ぶらりんの状態で、ずっと心に持ち続けることの大切さ、面白さを、子どもたちに経験させたいなと思う。それはひとつの能力だから。
学校で無理なら、学校の外や家庭で。
音楽や絵画、文学には正答がない。それが芸術のいいところ。

そして、カリキュラムが詰まってても、学校で、子どもたちがお話を聞く機会をねじこみたい。
お話のおばちゃんは、物語の媒体となって、つまり答えを自分の中に持たないで、子どもたちに宙ぶらりんの楽しさを伝えよう。
って思った学期初めでした~(^///^)