日別アーカイブ: 2016年12月7日

もの想い 芸術としての

もの想うはずの秋もばたばたと暮れ、師走のあわただしいこの時期に、ふともの想いにふけっている。

わたしのしていることは何だろう。

語りは口承文芸(口伝えの文学)であり、文芸とは言葉を手段とする芸術である と、いつも入門講座でみなさんに説明する。

そこへ回帰することを、ふと忘れて目の前の諸々に対処している自分がいる。
より質の高い再話、より質の高い語りにむけて、一段ずつ登っていきたいと思ってはいるのだ。

ひとつひとつの再話、一回一回の語りは、子どもに向けて語ることで成り立つ。
少なくともわたしは、自分の語りが子どもに向かっての芸術でありたいと願う。

今朝の新聞に福田恆存の言葉が引用されていて、心のコリやしこりをもみほぐすのが芸術の役割だというようなことが書かれていた。

芸術活動は、選ばれた一部の人びとの高尚なものではない。
昔話の語法を学んでいると、そのことが納得できる。

子どもたちの心のしこりをほぐすことのできるような語りをしたい。
道ははるか遠くだけれど、もしかすると行き着くことのできない道かもしれないけれど、ひと足ひと足歩くことはできる。
のこされた時間は限られているけれど自己満足で終わらせたくないと思う。

わたしのしていることは芸術だと、いつか、いえるようになりたい。