日別アーカイブ: 2019年7月2日

第10回 昔話の語法勉強会

6月25日に語法勉強会がありましたので、レポートさせて頂きます。
早いものでもう10回目の語法勉強会でした。
今回は日本の昔話「馬方やまんば」で勉強します。
出典『日本の昔話5』福音館書店

馬方やまんば」は幅広い年齢の子どもたちに語れるおはなしです。
低学年なら前半を鬼ごっこのようにスリルを味わって、後半はかくれんぼのように息を殺して・・・
高学年には馬方の仕事や馬への愛情・大切さなどを理解してもらって語ると、家族のように大事な馬を食われた馬方の無念ややまんばへの憎しみなども感じて聞いてくれるでしょう。
また、三本足になった馬がガッタガッタガッタ走ると子どもたち、笑うんですって( *´艸`)
おはなしの定番とも言える「馬方やまんば」。
語法的にキチンと理解して、おはなしを深め、そして子どもに届けたい!

講座のはじめにヤンさんが「馬方やまんば」を語って下さいました。
その後、テキストを見ながら語法の指摘・解説です。
まず語りはじめの
「むかし、あるところに、ひとりの馬方がいました」→ 時代・場所・人物を不特定に語る ➡ 昔話の固定性
「ひとりの馬方」→ ひとり ➡ 孤立性 ➡ 本来持っている環境を捨てているので奥行きを持たない ➡ 平面性の一つの性格ともいえる
「松の木のかげから」→ 一本のイメージ ➡ 孤立性
「やまんばがぬうっとでてきて、」→ やまんば → 一人 ➡ 孤立性
「やまんばが ~略~ と、しわがれ声でいいました。」→ やまんばは彼岸(異界)の存在なのに馬方は驚かないし、言葉も通じている ➡ 一次元性
馬方とやまんばは一対一で描かれている ➡ 昔話の場面はいつも一対一で描かれる

冒頭の部分だけでもこ~んなにありますね~(;’∀’)
ここで全部はレポートしきれないので、残りは抜粋してお届けします(^.^)/~~~

なんと言っても「馬方やまんば」のストーリーで最も面白い場面
[切り紙細工のように語っている]ところを説明したいと思います。
「やまんばに追われ、馬の足をぶったぎってうしろに投げ、三本足の馬でガッタガッタガッタと逃げる」
この場面、足を切っても血は出ません。馬は三本足で走ります。リアルさは全くありません。残虐さもありません。
→ つまり実態を語っていないのです。昔話の特徴、【中身を抜いて語る】です。
これは ➡ 平面性 ですね。
切り紙細工のように、中身を抜いて語っているから、怖くなくて、面白いんですね~
だから、子どもたちは笑うんですね~

たまに昔話を理解していない大人が、「昔話は残酷だ」なんて言いますが、聞き手の子どもたちはちゃんと理解しています。
語り手の私たちはキチンと理解して、ちゃんと語法に則ったテキストを選ばないと、血みどろのホラーになってしまいます・・・
でないと「残酷な昔話」を子どもに届けてしまうという、本当に恐ろしいおはなし会になってしまいます。
やっぱりおはなしおばさんは語法のお勉強をしないとね(^_-)-☆

まだまだレポートしたい部分はたくさんあるのですが、すでに非常に長くなってしまいました。
「長くて読むのめんどくさいねん」と思われちゃってもいけないので、(え?もう、思ってる?( ;∀;))
この辺りでおいとまさせて頂きます。。。

語法の勉強をするといいテキストを選ぶ眼力が付いてきます。
テキストを整えることもできるようになってきます。
そして何より、聞き手の子どもが喜ぶ場所がピンポイントで分かるようになってきます。
これって語り手にとって最&高(*^▽^*)最高ですよねぇ!!
でもお勉強中の方も、遠方で講座に来れない方も、ご安心ください!
ヤンさんが再話して下さったテキストなら!!
まぁ、 簡単!覚えるだけです!(*^-^*)
さぁ!<森の市場> へLet’s go‼
ただいま『語りの森昔話集3しんぺいとうざ』絶賛発売中です。
ここだけの話、『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』は残り少なくなってるそうですよ・・・
無くなっちゃう前にぜひどうぞ( ^ω^)

かぶでした(*^▽^*)