こんにちは。今年度からおはなし入門講座を主催する、ききみみずきんです。入門講座第一回のご報告をいたします。
新型コロナウイルスの感染対策で、定員を当初の予定より減らし、六名の受講者を迎えての開講。なんと全員が小さなお子さんのおられる現役お母さんということで、保育コーナーも大賑わいの中スタートしました。
第一回のテーマは「おはなしってなあに?」
最初に村上さんの語りで「七羽のカラス」を聴きました。絵本も紙芝居も「お話」ですが、これから勉強する「ストーリーテリング」「語り」はそれらと何がちがうのか、ホフマン作の絵本『七わのからす』を参照して確かめました。
耳で聴いて想像したお話と、絵本との違いは?皆さんそれぞれが思い描いたカラスや女の子の姿、ガラスの山が違っていることがわかりました。それは正解不正解ではなく、おはなしを聴いてひとりひとりが想像したものこそが本当の姿なのだ、と村上さん。絵本には絵本でしか表現できないものがありますが、これこそが耳で聴くおはなしの醍醐味ですね。
まだ集中して聴くことの難しい幼い子には絵本を見せることが多くなりますが、子どもはみんな物語が好きです。聴くことでそれぞれの独自の世界が作れるおはなしは、想像力を育てるのですね。
二つ目のお話として、幼稚園で語られる「世界でいちばんきれいな声」。子ガモは出会う生き物の声に憧れて、同じように鳴こうとしますがなかなかうまくいきません。「いえるでしょうか?」の語りかけと子どもたちの「いえへーん」というやりとりが楽しいおはなしですが、おはなしが絵本などと決定的に違うのが、語り手と聴き手がいて初めて成立するという点です。
おはなしが聴き手と語り手それぞれに及ぼす力についてこう話されました。
聴き手である子どもは主人公になりきってその物語を体験します。「七羽のカラス」で少女が自分の指を切り落とすとき、はっとして指を引っ込める子がいるように、おはなしの中での体験によって主人公と共に心が動き、現実では体験できないことを体験できるのです。そして、七人の兄を救出したり、お母さんガモと同じに鳴けたとき、少女や子ガモといっしょに自己肯定感が満たされるのでしょう。
一方の語り手ですが、大人である私たちは日常生活に追われていますね。その中でおはなしを語ることは、日常にいながら非日常を体験できるという心の安らぎを得る機会になります。そしてそこには聴き手がいて成立する充実感、つまり子どもと一緒に物語の中へ入っていける幸せがあります。語っているとき、語り手は物語の中で主人公に寄り添って、主人公すなわち聴き手の子どもの幸せな結末に向かっていく―おはなしを語ることは、愛を伝える方法のひとつなのだとすっと胸に落ちました。
今回のテーマについての講義はここまでですが、おはなしのテキスト(宿題です)を紹介する中で、自然に質疑応答になっていきました。
赤ちゃんのお世話をしながら受講していた方からも活発に質問が出て、中には私たちがたびたび直面する、おはなしに出てくる言葉をわかりやすく言い換えたり語りの途中で説明を加える難しさ、しばしば勉強会で指摘される「句読点と間」についての質問もあり、非常に内容の濃い時間となりました。
皆さんお家でお子さんにお話を読んだり語ったりしておられるそうで、その熱意には驚きました。最初に6人の皆さんがご参加くださったことを「心強い」とご挨拶したのですが、本当に頼もしい仲間が加わったな、と感じました。
皆さま、次回からもよろしくお願いいたします!
たぬこさん、報告をありがとうございます。
わたし、こんないいこと言ってたんかなあ。いやいや、たぬこさんのまとめのおかげです。
今年は、全員が若いお母さんということだから、初回は子育てとお話について話そうと思ったの。
わたしのおはなし人生も、子育てとほぼ同時発車だったから、じっくり振り返ってみた。そうしたら、我が子たちへ影響のよりも、私自身の心をどれほど支えてくれたかということに気が付いたのね。
母親の心が安定するってことが、子どもにとってとっても大事だなって。
いつもいい母親ではなかったけれど、おはなしがちゃんとフォローしてくれた。
うん、覚えられなかったり、途中でしんどいこともあると思うけど、みなさん、最後までついてきてくださいね。
親子にとって新しい世界が開けると思います。
ききみみずきんのみなさま、素敵な運営をありがとう。
よろしくお願いしますヾ(≧▽≦*)o
たぬこさん、詳しく報告して頂き、ありがとうございます!
語り手が聴き手(子供)と一緒に同じ物語に入っていける幸せ、心に響きます。だから、語りはやめれない(*^o^*)
保育をしていたので、あまり内容は聞けていませんが、報告にもあるように、質疑応答で積極的に質問されていたのが、印象に残っています。
コロナ禍で語りのモチベーションが上がらなかったのですが、今回の参加者からやる気をもらったように思います。
村上さん、こちらこそ、残り3回よろしくお願いします。
コメントありがとうございます!ブログアップに手間取りましたが何とかお役目果たせてほっとしております。長文になってすみません。講座では、赤ちゃんが泣き声をあげ、お母さんが慌てて抱っこして席を立たれるたび、村上さんがご自身が語りを始めた頃のことやおはなし会の途中で赤ちゃんが泣いたときの具体的な対処を話されたのが本当に良かったです。乳幼児の母親がいちばん緊張する場面で、講義内容から逸脱せずに受け止めておられて、感動いたしました。おはなしが子育てにもたらす良い影響、感じていただけたと思います。私自身も入門講座参加当時、どんな思いだったか振り返る貴重な機会になりました。
たぬこさん、詳しい報告をありがとうございます。
参加していなくても、内容がよくわかるのでありがたいです。
全員が若いお母さんでお子さん連れというのは、始まって以来ですね。
そして、みなさんおうちで読み聞かせをされているから、熱心な方ばかりなのですね。
第1回で、間の質問が出るなんてすごいですね。
今後も、ご報告を楽しみにしています(^_^)
ジミーさん、コメントありがとうございます。ジミーさんのような、簡潔で臨場感ある報告をと思いましたが長文になってしまいました。入門講座は毎年雰囲気が変わって、新しい発見がありそうですね!最終回まで、小さいお子さんたちと遊びながら見守りたいと思います。