月別アーカイブ: 2021年9月

9月 初級講座報告

会場が使用できない状況でしたので、初級クラスとしては初めてのオンライン勉強会となりました。4月の初級講座以来、ヤンさん自身がみなさんと会えていなかったこともあり、思い切ってオンライン勉強会をして頂きました!パソコンを前にして語るのは難しい、どこを見ればよいかわからない、変に雑念がわく、対面より緊張しない、いや緊張する!などなど、人によって色々感じる事があるかと思います。画面越しではありますが、マスク無しでみなさんにお会いできる点では、ありがたいツールですね。

 

1.うりひめの話『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

2.かめのピクニック『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

3.三枚のお札『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

4.ねこのしっぽ『おもちホイコラショ/語りの森昔話集4』語りの森

5.しんぺいとうざ『しんぺいとうざ/語りの森昔話集3』語りの森

6.油取り『しんぺいとうざ/語りの森昔話集3』語りの森

 

ヤンさんの語り アリョーヌシカとイワーヌシカ 『まほうの馬 A・トルストイ文』岩波書店

 

ヤンさんからのアドバイス

ちょっとした時にそばにいる子どもたちに語る場合

子どもが反応して声をだしてくるので、それにしっかり応えてあげて、最後まで語ること。語り手には語る責任がある。そうやって語っていくことで、こなれてくる。

練習について

昔話は耳で聞かれてきたもので、言葉と言葉の繋がりがある、言葉による文学。テキストを覚える時、なんでこの言葉なのかを考えると良い。全部覚えてしまったら、そこからが出発。練習練習、また練習。ウォーキングしてても、掃除してても、料理してても、声に出してぶつぶつ練習。テキストを身体に入れる。そうすると、おはなしが自分のものになり、モティーフなどが理解できるようになる。そのおはなしの風景に自然と入れるようになる。また、自分の実際の経験も重なる。これから先も、この覚えた話から得られるものがあると感じられる。

→おはなしの練習

笑い話 ねこのしっぽ

連鎖譚で、みんなで最後に笑う話。ねこは善悪の両方を持ち合わせたトリックスターの存在。笑って許されるのが昔話で、「えー!おかしい~!」と思われるような語り方をする。

→トリックスター    →笑い話

怖い話 油取り

怖い話を求めている子、本当に怖がってしまう子、子どもに合わせてどんな風にでも語れるようにするのは良い。最後には、夢だった!となるから。本気で語ると怖いから、怖がらせて楽しめる話として語る。

→怖い話

オンラインで聞く楽しいおはなし会でした。みなさんの姿に私も元気づけられて、モチベーションも上がりました。増えた自分の時間をどのように使うか。なんのために、なにを、どれくらいするか、自分で決めて取り組むことの再確認ができましたように感じます。今のうちに、おはなしのレパートリーを増やしつつ、お話を育てるための勉強会を続けたいですね。

次回は10/12(火)の予定です

間違うたあ💦

二百十日もすぎ、台風シーズンではあるものの、そこはかとなく秋を感じる今日この頃。
ツクツクホーシは最後の歌を聴かせ。
こおろぎ、すずむし、かねたたきが鳴き始め。
おばあさんは、暑さを逃れて、ひと息ついている。

10~11月に図書館主催の絵本読み聞かせ入門講座がある。
あ、もう締め切ってるよ。
感染予防のため、定員10人。
ひとりひとりの絵本体験を大切に、すすめたい。

5回分のレジュメを担当の司書さんに送った。
おっと、間違って、講義原稿を送りそうになった。
これ、パソコンの怖いとこやね。
けど、だいじょうぶ、すぐに気が付いて、正しいファイルを送った。

つぎの瞬間!
間違うたあw(゚Д゚)w
講義原稿を削除したo((⊙﹏⊙))o.
どこや~Σ(っ °Д °;)っ
あらへん~(((φ(◎ロ◎;)φ)))
USBにもごみ箱にも、跡形もなかった○| ̄|_ =3

夫「「間違いはだれにでもある」と、高校のときの数学の先生がいうとった。」
わたし(いつのはなしや・・・)

はい、いちから作りなおします。

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今日は日本の昔話「化け物を飲みこんだ話」
350年ほど昔、京都市内に本屋があってね、昔は、本屋って本を売るだけじゃなくて本を作ってたのよ。そこで作られた本の中に見つけたおはなし。
ふっる~~

 

 

8月のプライベートレッスン

夏が急に秋になったかのような朝晩の気温になりましたね。
ほんとうにこれで夏が終わったのか、外出自粛で夏らしいイベントが何もなく今年も過ぎたので、何ともメリハリのない夏でした。
そんな夏の終わりのプライベートレッスンは4人のかたが申し込まれました。

1人目さん
再話「ふしぎな子ねこ」『新装世界の民話14ロートリンゲン』ぎょうせい
7月にも再話のプライベートレッスンをされています。
その時のテキストをさらに練り直してこられました。
最終的におはなしの題は「白い小ねこ」になりました。
原話の前半部分を相当カットする大手術を必要としていましたが、見事に手術成功といったところです。
わたしも、覚えたいと思ったかわいいお話にまとまりました。
再話はほんとうに難しいけれど勉強になりますし楽しいです。
となりで見ている者が楽しいというのも申し訳ないのですが…。

2人目さん

語り「勇敢な娘」語りの森HP外国の昔話こちら
話型はATU956B「家にひとりでいた賢い少女が強盗たちを殺す」です。
これだけで勇ましいかんじがしますね(笑)
話型名になっている内容はおはなしの前半部分で、後半は『おはなしのろうそく』に所収の「金の髪」のような内容になります。
主人公が馬に乗って「パタタ、パタタ…」と走っていく場面が印象的な話ですね。
「勇敢な娘」は、この後半に重きを置いた話ですのでそれを踏まえて語るのがいいそうです。

3人目さん

語り2話
「ホットケーキ」『おはなしのろうそく18』東京子ども図書館
プライベートレッスンでこのおはなしを語るのは辛いものがありますが、がんばって語ってくださいました。
おみごと、あっぱれ!
勉強会でもこの話を大人の前で語るのは反応が薄いからやりにくいですもんね。
勉強したい気持ちが素晴らしいし、ヤンさんのアドバイスにたくさんのものをつかんでくださったと思います。
「なら梨とり」『おはなしのろうそく6』東京子ども図書館
語りかたと同時にお話会のプログラムのことを質問されていました。
お話会といってもいろいろあります。
図書館のお話会、小学校の授業のお話会、朝学習の短時間のお話会、それぞれのパターンで「なら梨とり」をどう生かしていくかの話が聞けました。

4人目さん

語り(日常語)「さかべっとうの浄土」『語りの森昔話集2ねむりねっこ』
テキストを日常語になおす「うりひめの話」『語りの森昔話集2ねむりねっこ』

4日目は残念ながら同席できなかったのでどんなことがあったのか書けません( ;∀;)
いっしょにいて聞いているだけで勉強になるのですが、用事があって参加できず残念でした。

今回のように、短い話ですと1時間で2話ということもできました。
主婦感覚でいうと2話もできてお得な感じですよね(笑)
プライベートレッスンはこんな使い方もできますので、ご遠慮なくご相談くださいね。
9月の申し込みを受け付け中です。
詳しくは秘密基地の日程を確認してくださいね。

コロナの緊急事態宣言、どうなるんでしょうね?!
感染者数は少~し減ってきていますが、このまま減り続けてくれるのでしょうか?
そうであることを祈っております。

「がちょう番の娘」感想💖

ジミーさんが報告してくださったオンラインの昔話の語法勉強会、参加の方から感想をいただいています。
題材が「がちょう番の娘」だったからか、自分の人生にひきつけた感想もありましたよ~

紹介します(。・∀・)ノ゙

Aさん

昨日のオンライン講座もワクワクしました!
グリム兄弟が昔話を集めて再話したということは知っていたのですが、フィーマンおばさんという人物がいて、実際にどのように再話したか、その様子が窺えるお話を聞くことができて、あーほんとにおった人なんやなぁと、グリム兄弟が生き生きと身近に感じられました。

語法の講座を受けるのは今回2回目ですが、昔話とはどのような特徴があるかが、ヤンさんがおっしゃる前に自分の中で、これはあれやなと言葉がちょっと出てくるようになって嬉しいです。
血や涙の役割の話、特に面白かったです。本当にそうですね!ストーリーの展開のために必要があると言うことを理解していれば、現実的に捉えて痛みや苦しみを感じてしまうことはなくなりそうです。これまでも、昔話を現実的に想像してしまって、どう語ったらいいのだろうと考えてしまうことがちょいちょいあったのですが、楽になりました。そのためにも語法をしっかり勉強することが大事ですね。

そして、娘の窮乏と成長の話もよかった〜!人生、困ることなしに成長はないですもんね。
ヤンさんがうまく語れなかった話もとても良かったです。そういう経験をたくさんされてきたんだなと思うと、わたしもいっぱい失敗しようと勇気でます。娘が本来の美しい姿に戻ったという喜びを感じながら語るというお話も感動しました。

もう一つ、質問の中で出た「娘の成長を意識して語った方がいいか」と言うことだったと思いますが、ヤンさんが「演じてしまいがちな人は注意して」とおっしゃったのが、わたしのことだドキッとしました。演じるのではなく思いを載せて語るというのは、わたしにとって課題です。取り組みがいのあるなかなかいい課題だなぁと思います。

Uさんが質問された内容についての、ヤンさんとのやりとりもとても勉強になりました。シンプルだからこそ成長段階に応じて受け取るものが違う、シンプルに語ることで聴く人の心を揺さぶる、という話は心の中で大きくうなずきながらお聴きしました。

もう一つ言いたいです笑
もし、ファラダが素晴らしく何か手助けしてくれるものだったら、たとえ小さな力であっても、自分の力を発見することはなかったのだから、この話の中では、こういう展開でいいのだなと思いました。ヤンさんが、でもこういうことってありますよね、とおっしゃったので、わたしも人生そういうことってあるなと思いました。

Bさん

前にどこかで「がちょう番の娘」の語りを聞いたとき、暗くて大きな門がこわいしファラダファラダと呪文ばかり頭に残るので、あまり好きなお話ではありませんでした。でも語法を丁寧に教えていただいたとたん、すっかり印象が変わりました。
私は素直なキュルトヒェンの大ファンになりました。さりげなく重要な役割をしてくれてありがとうと言いたいです。
最後、がちょう番の娘が王女の衣装を着てお姫さまになるところ一わあっきれい~☆うれしくなりました。
にせの花嫁がさばきをうけて\(^o^)/すーっとしました。
やはり昔話はよくできていることがよくわかりました。ありがとうございました。

Cさん

初めて受けましたがとても分かりやすくて、またそれが語りに直結する学びでした。
初めてで質問できずにいましたが、私の疑問は他の方が全てお尋ね下さいました。

特にキュルトヘンの帽子の件
あそこだけ違った雰囲気で、悪戯して困らせてるのはなぜかな?と思ってましたが、そう言う意味があったのかと目から鱗でした!
自分はこんな卑しい身になってがちょう番をしているけれど、本当は王女として生まれた事や、風をも吹かす事のできる力を持っているのだと自覚する大切な場面だったのですね。

まだ覚えてもいませんが、理解が深まりましたし
覚えて子ども達に聞いてもらいたい気持ちが高まりました。

Dさん

この話は大人にこそ大切な事を教えてくれてる、そんな気がしています。

①まずはお姫様への言葉
女王が血を滲ませた小ぎれが繰り返す言葉、馬のファラダもただただ同じ言葉をお姫様に繰り返すのは、大人が手を貸すのではなく、お姫様が自分で自分の高貴さに気付き、成長して取り戻すのをひたすら見守る事が大事だと教えてくれているのではと思います。
ファラダは全てを見て知っているにも関わらず、小ぎれと同じ言葉だけを言い続ける、これこそ母である女王の意図を深く理解した忠実で賢い馬である事がわかります。
女王をあえて「年とった」と表現してるのも、若い母親とは違い、親が何もかも解決する事はできない、我が子が本当に幸せになる為にどうすべきなのかを経験から知っている事を表しているのかも、と思いました。

②王様の観察力、行動力
キュルトヘンと王様との関わり、お姫様と王様との関わりは、語法的には昔話の中の平面性による普遍的な結合の可能性との事でしたが、大人は常に自分よりも若い人や未熟な人に目を向け、聞く耳を持ち、その本質を見極め、可能性を見出す立場であるべきだと言われているように感じました。
最後ににせの花嫁に自分自身への裁きを促すところもいいと思いました。王様も「年とった」と書かれていますね。

③自己への判決
これも語法としては、エピソードの孤立でにせの花嫁が自分のした事を他人事として裁きを下すとの事でしたが、現実にも自分のやっている事の罪深さを自覚していない場合は多いのではと思います。この場合だと腰元にも自分が花嫁に入れ替わってもいいという理由のようなものがあるのだろうと思いますし、その自分勝手な考えを大人だからこそ正当化してしまっている事はよくある事でしょう。わかっていてやっているよりも罪深いと言う意見もあります。自分の罪に対して客観的に考える事、どう償うかという事。

大人にこういった事が求められているのならば、大人への道はまだまだです。ただただ「年とった」にならないようにしなければ…。原語での「年とった」の言葉はどんな言葉だったのかな、ただ年齢を重ねたという意味なのか、成熟のような意味合いだったのか、なども考えてしまいました。フィーマンおばさんはどう解釈してどんな風に語られたのでしょうね。

なんだか深すぎて、重いテーマでもあり、3日ほど色々と考えさせられましたが、結論としては「すごいなぁ昔話って!」でした。

最近、日常語にハマってしまってずっと日本のお話に取り組んできたのですが、次は語法が散りばめられたグリムのお話も候補にしたいなと思っています。

いつもは、感想は、宿題だったんですが、今回は、暑さに負けてボ~っとしていた講師が、宿題を出し忘れてたんです(★ ω ★)
それでも感想をお寄せくださったみな様、ありがとうございました~

おっと、録画うまくいきましたよ。
ヤン以外はだれの顔も映っていないのに、質問コーナーでは、ちゃんとみなさんの声が録音されててよかったです。
来年4月ごろ、オンデマンドクラブを作るので、見てくださいね~

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きょうは、ひさしぶりに昔話雑学を更新しましたよ~
昔話を、ちゃんと未来に手渡すために、語り手の責任って、重いんだなあと思いました。

 

エリック・カール

絵本の勉強会のグループから、毎年恒例の講演会を頼まれています。
11月なので、きっとコロナもおさまりかけてるんじゃないかと、はかない希望を持っているのですが・・・
いまは図書館が閉まったり開いたりと不安定なので、早めに準備をしています。

今年5月に、エリック・カール氏がお亡くなりになりました。
明るくさわやかな色調の絵で、単純なすっきりしたストーリーの中に、深いテーマがあらわされていて、好きな絵本作家です。

日本で出版されたものは50冊に満たなくて、ぜんぶ市の図書館にあるので、少しずつ楽しみながら読んでいます。

え?
そうです、エリック・カールといえば『はらぺこあおむし』。
もりひさし訳。偕成社刊。

『はらぺこあおむし』は、エリック・カールの第2作目の絵本なんだけど、日本でつくられたんですよ。
ほら、あおむしが食べた穴があいていたり、ページの大きさが違っていたりするでしょ。それで、アメリカの印刷所や製本会社はそんな本は作れないって二の足を踏んだのですって。
たまたま、エリック・カールの担当の編集者が日本に来て、サンプルを偕成社の社長さんに見せたら、うちでやりましょうってことになったそうです。
へえ~でしょ(@^0^)

そのエリック・カールの担当編集者アン・ベネデュースがこんなことをいっています。

エリック・カールは、自分が子どものとき、学び、創造することにどれほどの喜びを見出したかを覚えている。だから、子どもというものが、自分の世界を探検したがっていること、自分で発見し、学ぶのを楽しむものだということを信じている。それで、彼の作品は、美的に楽しめるだけでなくて、ほんとうに興味を持つ価値のある何かを学ぶ機会を、子どもに提供する。

自分の中にある子どもを思い出すこと、その重要性は、ケストナーも言っています。
ほんとうに思い出すことができたら、子どもの、未来に向かって生きようとする力を信じることができるのだと思います。
大人はみなそうでありたいです。その努力を続けたいです。
子どもは未来だからねo(〃^▽^〃)o

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おはなしひろばは、インドの昔話「はす」。
インドにも竜宮があったんや~!
短いし、きいてね(笑)