月別アーカイブ: 2023年6月

6月のプライベートレッスン

雨が降らない曇りの日、蒸し暑いです~~
湿度が高いと何もかもがうまくいかなそうな気になってしまうワタクシ。
わたしだけですか?
そうですよね、どうもすいません<m(__)m>

6月のプライベートレッスンは2話でした。
1話目
「りくでも海でもはしる船」『かぎのない箱』J.C.ボウマン文、M.ビアンコ文、瀬田貞二訳/岩波書店
これは、原話ではなくてすでに再話してある話で、なおかつ翻訳の時点でも瀬田貞二さんの文章となって完成しているものです。
ですから、これを今回どうするかといいますと、読み物としての文章を、語るために耳で聞いて分かりにくいところに少~し手を入れるという作業を勉強されました。
ですが、初級クラスでは絶対この作業はしません。
ヤンさんは、経験をある程度積まないとテキストに手を入れるということを禁じているので、中級クラスになるとその勉強ができます。
それくらい、テキストに手を入れるということを慎重に考えているということなんですね。
テキストに手を入れるときにその根拠となる語法の知識も必要ですし、安易にできないです。
だから、テキスト選びが重要なんだとつくづく感じます。

2話目
テキストを日常語になおす
「おならじいさん」『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』
回数を重ねてこられて、ほぼ完成形でテキストを持ってこられたので、すごく早く、すんなりオッケーが出ました~✌(‘ω’✌ )三✌(‘ω’)✌三( ✌’ω’)✌
すご~い!
へこきじいの話って、聞くのはすごく面白いんですけど、自分で語るのはハードルが高くて…。
「かきねの戸」を語った時、自分もこれが語れるようになったかとうれしかったんですが、へこきじいのことは考えていなくて今回「おならじいさん」を出してこられるのを知って、まだ超えられていない山がここにもあったかと気づきました(笑)
面白い話は日常語になおすともっと面白くなりますから、この話も語り手さんの日常語になおしてみるとテキストが生き生きしてくるというか、頭の中に語り手さんがすでに語っておられる声が浮かんできました。
そして、早く聞かせてもらいたいな~と思いました。
やっぱり聞くのはいいですよね~
自分のチャレンジはやっぱりもうちょっと後に伸ばしておきます(笑)

今年は梅雨入りが早かったから、早く開けるのかな?
少しでも日が差してくるとすぐに30度を超える暑さΣ(・□・;)
体調管理に気を付けて、みんな元気に頑張りましょう(^O^)/

6月の中級クラス

いぬとにわとり 『おはなしのろうそく31』東京子ども図書館

子どもは仕返しのところを喜ぶ。犬が「なにもしません。にらむだけ、にらむだけ」「なにもしません。なでるだけ、なでるだけ」と言っているので、にわとりの仕返しのところも、同じ言葉にそろえるとよい。…それから、いぬは(たいへんおとなしくなって)、にわとりを見ても、けっしてにらんだり、なでたりしなくなりましたとさ。ヤンさんは()を抜いて語るそうです。幼児さん向けのはなしは少ないので、あえて楽しめる形に少し変えて語っているとのことでした。

三匹のくま  『語りの森昔話集4』語りの森

水墨画のように語る。名言がでました。油絵のように隙間なく色を塗って語るのではなく、水墨画のように、描かれている主要なもの以外は真っ白に語る。くまたちがどんな反応をするかに、子どもたちの興味があるので、地の文はスーッと語って、「だ~れかぼくのおかゆに~」で、そのギャップを楽しむ。地の文は白、くまたちの言葉が黒、というようにイメージをはっきりさせる。ヤンさん、ジミーさんの語りでは、中くらいのくまの声のところで子どもたちが笑うそうです。おばちゃんが頑張って中くらいの声をだしているその姿が笑えるのか?(笑)との体験談でした。

食わず女房  『子どもに語る昔話3』こぐま社

ストーリーを活かすために手を加えられている。聞き手の年齢にも合わせて言葉を変える。それでOK。女から鬼婆に正体を現したところからぐっと変わったので、恐いところは恐くできている。テーマを選ばないので、他の話とも合わせやすく、対象年齢も幅広い話。

三本の金髪を持った悪魔  『語るためのグリム童話2』小峰書店

男の子が成長して、王さまが再びやってきた場面で、夫婦の答えに対して「それは、何年前のことか?」という王さまの言葉に、聞き手が反応するので意識して、直前に間をいれる。(さあ、ここから物語が動き始めるよ~という予感を与えるかも?と個人的に思いました)道に迷って、小さな家のおばあさんとの会話、「気のどくだがねえおわかいお方、…」ここは聞き手にとって意外なこと。そして、地獄でも悪魔の母親とも会話「お気のどくだがね…」このデジャヴは現実でのおばあさんを思い出させる。でも、さすが悪魔の母親「何とかならないものか少し考えてみよう」ここで違いを意識する。そして、王さまが黄金をほしがる最後の場面、「ある川のほとりで拾ってきたんです。まだいくらでもありました。」仕返しのために嘘をついていると、聞き手に認識させる。今まで予言された運命の流れに乗ってきた主人公が、初めて自分の意志で行動する場面。自分の命を脅かしてきた王さまへ仕返しをすることを、聞き手にやった!と思わせる。

魔法のかさ  『おはなしのろうそく30』東京子ども図書館

外国のはなしの翻訳だから、語りの言葉ではなく、訳者の言葉になっている。今の子どもに語るには難しいから変える。最初、魔法のかさについての不思議なルール、説明のところをしっかりおさえる。数を数えると、3回飛び上がる場面、「ヒュー!」の直前の間は…①一瞬の驚き 初めて本当に魔法が効く②とたんに③期待(子どもに「はやっ!」て言わせたい)そんな風に間を取るのが良いのではないか。ヤンさんは語りのレパートリーにはないとのことですが、語るならどんな風にするか、思考の仕方を公開してくれました。

ヤンさん手遊び:メロンパン 語り:ミアッカどん 『イギリスとアイルランドの昔話』福音館書店

多くの学びを頂きました~。これを昇華するには10年くらいはかかると思われます。もっとかもしれません!ゆっくり、じっくり育てていきます。まだまだ、わかっていない事がわかっていない。わかりたいけどわからない。勉強会で学んだ事を、実践で体験してつかみたいです。覚えたこの話は、自分にとってどういう話なのか?が実践を通して体で感じてわかってくるとのことでした。だから、一人ひとり違う語りなんだと。楽しんで続けて、その時が来たら気づきがやってくるかな~!と、子どもたちに付き合ってもらいながら、その時を待ちたいです(^^)/

次回は9月19日㈫ zoomです

最後の研究クラス

こんにちは。
梅雨なのに、昨日今日は中休みのようで洗濯を外に干せてうれしいのですが、とたんに30度越えの気温!
暑いです~~(;’∀’)

研究クラスの報告です。
「ヨリンデとヨリンゲル」KHM69
この話は初版から載せられています。
元は、ハインリヒ・ユング・シュティリングの自伝的小説『ヨーハン・ハインリヒ・シュティリングの生涯』(1777年)の中にある話で、昔話であるのか創作であるのかは解明されていないけれども、創作ではないかという考えが優勢なのだそうです。
グリム童話の中にはそういう出自の話もあるんですね。
話型はATU405「ヨリンデとヨリンゲル」で、類話がないそうです。
レポートでは、テキストの比較をしてくださいました。
『初版グリム童話集3』吉原高志・素子訳/白水社、『完訳グリム童話集2』高橋健二訳/小学館、『子どもに語るグリムの昔話6』こぐま社、『語るためのグリム童話4』小峰書店の4種類のテキストを比較し、実際に覚えられたのは『語るためのグリム童話』でした。
同じ話であるのに、4つを並べてみますと違う箇所があります。
文字にしたらほんの少しですが、「意味が違ってこない?」というのや、順番を変えてイメージしやすくしているところがあり、並べてみることの大切さを改めて感じました。
丁寧に比べていくとそれぞれの再話のいいところや苦心がわかります。
いい勉強になり、楽しかったです。

研究クラスは、2013年にヤンさんを講師にしてババ・ヤガーを作った時に、最初は中級クラスとして始まりました。
昔ばなし大学で知り合った仲間同士で、ヤンさんに語りについて教えてもらいたいと思ってお願いしたのが始まりです。
その時わたしは、語りの初心者とはいえず、そして若手とも言えない立ち位置で、もう少し深く突っ込んだところでダメ出ししてくれるような勉強会を望んでいました。
初級ではないという意味で、中級クラスという名前になり、レポート付きで語りをする勉強会が始まりました。
1回に語る人がはじめは5人くらいでしたが、だんだん時間が足りなくなり、レポート付きが2話とレポート無しが1話となり、最近はレポート付きが1話だけですがその代わり呪的逃走の話をみんなで読み進める企画を長いこと続けています。
『世界の民話 ひとと動物との婚姻譚』(小沢俊夫著/中央公論社)をテキストにして語法の勉強をしたのもこのクラスだったと思います。
ババ・ヤガーの勉強会の種類が増えていき、初級クラスを卒業する語り手さんが出てきたタイミングで、中級クラスという名前を譲って、研究クラスに改名しました。
この日、「10年やってきたんやな~」としみじみみんなで言ってたんですが、このクラスのおかげで〝調べる〟ということができるようになりました。
これがとっても大きい成果だと思います。
わたしは、AT番号とか、ATU番号とか、モチーフ番号とか、もう数字がたくさんあるとそれだけで拒否反応が出ていたんですが徐々に慣れ、今はもう怖くありません!
「どこからでもかかって来なさい~」(笑)
今後ですが、研究クラスのメンバーはレポートを出したいときは中級クラスで手を挙げることになりました。
中級クラスで時間を長めにもらって語りとレポート発表をすることになりました。
そして呪的逃走については、まだ読み合わせていない話はわずかだそうなので、どこかのタイミングで一度集まれば終了できる予定だそうです。
ついにあと一回でまとめができるところまで来たというので、みんなで手分けした呪的逃走話の研究も「すごいことやり遂げようとしてるん違う?!」と思います。
ほんと、楽しかったです。
研究クラスはこれで終わりますが、メンバーは、ほぼみんなが他の勉強会でこれからも一緒なので、淋しいとか悲しいとかいうことがないのがこれまたうれしいです。
ヤンさん、今までありがとうございました。
そして、これからもどうぞよろしくお願いします~~

集中力🐸

ルーティーン
午前中に語りの練習と再話をし、コーヒーブレイクをはさんで読書をする。この時に読むのは、たとえば『魔法昔話の起源』などというお勉強の本で、何日もかけて読み続ける本。

昼食後は、いっきに集中が落ちる。
小説とか児童文学とか読みながら、寝落ちする。
ふっと気がつくともう夕方だ。

ああ、音声の保存をしなくっちゃ、勉強会の準備をしなくっちゃ、おやすみなさいのまえにを園に持っていかなくっちゃ、本を図書館に返さなくっちゃ、などなどなど、あわあわあわと片付ける。

ああ、きょうも掃除ができなかった・・・
ああ、きょうも・・・ができなかったと、できなかったことを頭の中で箇条書きにして自己嫌悪に陥る。

夕食の後は、完全に思考停止。
ぼ~っとテレビ見てる。

若いころはこんなことはなかったのに。
年とったんや。

と、思っていたら!
かの数学者の森毅さんがこんなことを書いていた!

本当に集中して頭を使うのは、一日に2時間ぐらいが限度ではないか。ぼくの経験では、一日に2時間ぐらいを一週間続けたら、幻聴が出たりして、神経症ぎみになった。

なんや、なんや。
あんな大先生でも2時間が限度なんや~
若いころは、なんて思ってたのは、記憶違いやったんや。

というわけで、あんまり自分を年寄り扱いしないで、やりたいことを楽しんでいこー
反省ばっかりして幻聴が出ても困るしな~

***************

あ、そうそう、『どんぐり喰い』のエルス・ペルフロムの『わたしのほんとの友だち』を読みました。
テー・チョン=キンの挿絵。野坂悦子訳。岩崎書店。2002年。
おすすめで~す!

 

6月のおはなし会🐌

6月12日(月)

子ども園4歳さん

ろうそくぱっ
おはなし「ひなどりとねこ」『子どもに聞かせる世界の民話』矢崎源九郎著/実業之日本社
えほん『もこ もこもこ』元永定正絵・谷川俊太郎文/文研出版
ろうそくぱっ

 

子ども園5歳さん

ろうそくぱっ
おはなし「ミアッカどん」『イギリスとアイルランドの昔話』石井桃子編訳/福音館書店
おはなし「くさかった」語りの森HP《日本の昔話》⇒こちら
ろうそくぱっ

先月、すこし心細くなったので、どうしようかと思いましたが、思いなおして予定通りの話をしました。OKでした(*^▽^*)
子どもたちのちょっとしたその日の調子で、ずいぶん楽しみ方が変わります。
長年やって来て分かっていることなのに、そのたびにうろたえるのは、ライブだからですね。
修行は永遠に続く(笑)
でも、だからこそ面白いし、努力のしがいがあります。

『もこ もこもこ』は、子どもたちの「もいっかい!」に応えて、もう一度読もうと思ったら、一番前の真ん中に座っていた子が、「もう読まんでもええわ」と不機嫌にいいました。
ずっこけながら、
わたし「そんなら、さっきと違うように読むね」といって、一度目と読み方を変えてみました。
声の高さと、リズムと1音の長さを変えて読みました。
え、そんなことしてもいいの、って?
いいんですよ。
以前、谷川さんと元永さんの講演会に行ったときに、谷川さんが実演してくださったの。読み方をいろいろに変えてね。
この本は、じつはそうやって楽しむ本なのです。

「ミアッカどん」は、ほんとに久しぶりに語りました。
子どもたちの緊張感と、びっくりした顔が楽しかった!
「こわいはなし、いや~!」って言ってた子も(というか、そんな子のほうが)、楽しんでましたよ。
「もいっかい!」
うーん。「ミアッカどん」の2回連続はどうかな?
すでに種明かししてるもんね。
そこで、急きょ「くさかった」
いつものごとく、先生に大うけ。
子ども「これ、なんのはなし?」