「勉強会」カテゴリーアーカイブ

4月の中級クラス

うちの庭師(義父)がイチゴを育てているのですが、宝石のように真っ赤な実が一つなりました。緑から赤になるその不思議さに、植物の静かな意志のようなものを感じました。4月も後半ですが、肌寒い日が続きますね。さてさて、中級クラスは…

手遊び ブラックさんとブラウンさん

わたしがテピンギー 『同名絵本』偕成社

ムズィカ 『語りの森HP』語りの森 

いばら姫 『語るためのグリム童話3』小峰書店

黄泉平坂・やまたのおろち 『語りの森HP』

ねことねずみ 『おはなしのろうそく21』東京子ども図書館

ヤンさん いぬとにわとり 『おはなしのろうそく31』東京子ども図書館

語り飛び入り参加のKさん、その軽快なお人柄の雰囲気に包まれて始まりました。ブラックさんとブラウンさん、聞きながらまねする方はとっても楽しかったです。

講評です…

ムズィカは、一緒に作る語りではなく、見てもらう語り。自分がおはなしに入って、私はこう感じる、それを見てもらうように語るとよい。

文と文で間を入れない。同じ内容の文と文の繋ぎでは句点。を読点、のように語る。間が入ると強調が生じてしまう。逆に、文の内容が変わる時に間を入れる。情景を理解してもらう間になる。

ウクライナの戦況渦にも繋がるので選んだはなしで、語り手さんは、明日、中学生に語るそうです。

いばら姫  聞き手の深い所に入るように、きちんと情景を思い描いてもらうように語る。言葉を立てることで(15歳・つむなど)、聞き手がその後を予想する。いばら姫が、古い塔のらせん階段をのぼっていく時、何かあるぞと、思わせぶりに、自分が情景を見ているように語る。王子がのぼっていく時は、時間をかけずにのぼり、ほら、あそこだ!という感じに語る。つむの説明は、前もってする。糸紡ぎについて、身振り手振りで説明をして、つむについても話す。

黄泉平坂・やまたのおろち  題名は言わずに、「日本の神話古事記から語ります」と始めようと思う、と語り手さん。神話では題名がない、それで良いとの事でした。私は、神話を語るのは難しいと感じるのですが、そこをさらっと飛び越える語り手さん、中学生に語るとのことです。(こちらも明日!)

ねことねずみ  ヤンさんがテキスト通りで語った時、子供たちの様子は「知ってるいつものおばちゃんじゃない」という感じだったそうです。借り物を語っていると。語り手さんは、言葉遊びを弱める形でテキストに手を加えられました。イメージが次から次へと速いテンポで去ってしまうので、情景を描けるようされました。累積譚のおもしろさが、伝わるテキストになったか…?語ってみて、子ども達に教えてもらう、となりました。

「その人が語る」ということが奇跡・偶然であり必然!と感じ、印象深かったです。(チャンスの影響かしら…)おはなしを選ぶ語り手の感性や傾向や好みなんか織り交ぜたとしても、とにもかくにも、そのおはなしが語りの場で子どもたちに届けられるので、「おはなし」も喜んでいるだろうな~と思わずにはいられません。大事なおはなし、楽しいおはなし、子ども達に届くように、語り手みなさんで、影響しあって勉強できることを嬉しく思いました。今日は勉強会の翌日ですので、中学のおはなし会は無事に終わったでしょうか。報告楽しみです(^^♪

次回は5/16㈫です。

昔話の語法「三匹の子ブタ」感想で~す🐷

まずは、「三匹の子ブタ」をレパートリーに持っているかたからの感想です。

Aさん
三びきの子ブタは大好きなお話なので語法をばっちり学ぶのは楽しかったです。
結末が身の安全なのは動物昔話に多いということ。それは小さい子向きなのだと納得しました。
カブ、りんご、おけと丸いもののクレッシェンドは気がつきませんでした。
私はだんだん、遠距離にあるところへ出かけることのクレッシェンドだと思っていました。
三びきの子ブタのお話は小さい子の劇遊びでもよく使われていますね。1年生でもなかなか受け入れられない感じなので私は2年生に語るようにしています。そして、初めて語りをされる方にも是非、知って欲しいので語っています。中学生に語ったこともあります。びっくりしたと言っていました。やはり知らないんですね。
改ざんされて子どもに聞かせているのって日本だけかしら?

日本だけ?いえいえ、ディズニーをごらんなさいませ!

Bさん
「三匹の子ブタ」は私も語るので、たいへん興味深く、刺激的な内容でした。何度も一年生に語っていますが、意識していなかったことに色々と気付かせていただきました。
幼い子ども向けに、なぜ動物や子どもが食べられそうになる話が多いのか、非常に納得できました。幼い人には、それが必要なおはなしなのですね。中途半端に許し合うおはなしだけを与えられた子どもは、人生で実際に出会う敵に立ち向かう選択肢をすぐには選べないのでは、と思ったり。
また「物理学を無視する」点も目から鱗が落ちました。「桶は転がるもの」「鍋は煮るもの」のイメージに引っ張られて、おはなしが成立するというのが、今まで語りながら漠然と受け入れていたので、新たな知見でした。
聴き手の子どもが疑問を持って、自分で考えて、ときには議論になってもいいというのも、本当にそう思います。確かに、あれは楽しいです!また今年度も「三匹の子ブタ」を語りたいです。
村上先生の訳と再話もわくわくしながら聴きました!石井桃子さんの訳は、やはり少し古い言葉遣いなので、「おじさん、そのわらをちょうだい。家を建てるんだ」や「いいね。待ってるよ。何時にする?」は令和の子どもたちには自然に聴こえるだろうし、いいなあと思いました。また石井訳で「むこうのほうから」となっているところが「丘の下から」とされているのも、ぐっと風景が広がりました!(ただ、「僕のあごひげにかけて」というよくわからない訳をされることもある「by the hair of my chiny chin chin」の「とん、とん、とんでもないよ」という訳は、替えがたいですね!)
充実した勉強会をありがとうございました。また、「昔話は残酷か」勉強会も楽しみにしています!よろしくお願いします。

Cさん
聴き手におはなしの世界を楽しんでもらえるかどうかは、自分がクリアにイメージできているかどうかにかかっている…それを踏まえて自分のこぶたの語りを振り返ってみると、なるほど〜💧覚えるのに必死で、やっと覚えたところで語ってしまっていたんだなと反省。
繰り返し語るうちに、そのおはなしに最初感じた「すき」が、だんだん大きくなっていくというお話が、とてもステキでした。一回一回大切に何度も語っていきたいです。

Dさん
受講しての気付き
①クレッシェンドの具体的内容
おはなしが盛り上がって行く場面だと漠然と思っていました(いかにぼーっとテキストを読んでいたかわかります)。が、材料の硬さや大きさ、おおかみとの距離が近づくことによる緊迫感が仲間わけされた上にそれぞれクレッシェンドしているなんて。具体的に意識して語ることで聞き手への伝わり方が違いますよね。。語り継がれているテキストはこんなに綿密に作られているのだと改めてすごいなぁと思いました。
②物理的事実は無視する
『危機一髪の場面で使われる』。
緊迫感やクライマックスを聞き手にダイレクトに伝えるためのこの語法!
「物理的なことは無視して場面をイメージする」ことでテキストのイメージがストレートに最大限に伝わるのですね。
ちょっとだけ心の中で「なんでやねん」とツッコミ入れる自分がいましたがそういう場面こそこの語法と肝に銘じます。
③共食いやぁ〜
以前他の方が語られたあと「あとの2匹は?」「共食いやぁ」と口々に話す子どもたち。2年生でした。私は子どもたちが大きくなってしまったせいでこの感想が飛び出したのかと思いました。
でも改ざん版の影響が大きかったのですね。
改ざん版の影響恐るべし。なおさら本物を届けることの大切さを実感しました。

今日はこの辺で~
また続きをご紹介しますね~

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きょうのおはなしひろばは「さかなとゆびわ」
聞いてくださいね~

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きょうはシュルヴィッツを読む会でした。
みなさんの興味深いおはなしが聞けて、とっても楽しかったです。
ジミーさんの報告を楽しみにしててくださいね~

 

4月の初級クラス

すっかり春爛漫のお天気の良い日に、新年度最初の初級クラスが行われました。
窓を開けて換気をしても肌寒くない季節の到来に、とにかく感謝!
ただ、残念な事に季節の変わり目での体調不良か、春のお忙しい時期のせいか、欠席の方が多く、飛び入りの語りが3名(私もその恩恵にあずかりました)入りました。常に語れる話を携帯しておく事も大事ですね!(スマホは携帯し忘れた私ですが 笑)



手遊び

祇園の夜桜 ちょいと咲いた(チョキ)
祇園の夜桜 ぱっと咲いた(パー)
祇園の夜桜 ぐっと咲いた(グー)

語り
1.眠り虫の次郎/語りの森昔話集3・しんぺいとうざ/語りの森
2.三匹のちょう/語りの森昔話集4・おもちほいこらしょ/語りの森
3.きつねの田植え(日常語)/子どもと家庭のための奈良の民話2/
4.金のからす/語りの森昔話集5・ももたろう/語りの森
5.千人力(日常語)/語りの森HP 〈こちら→〉
6.瓶につめられたおばけ/語るためのグリム童話集5/小峰書店
7.あなのはなし/おはなしのろうそく4/東京子ども図書館

ヤンさんの語り
8.十二のつきのおくりもの/おはなしのろうそく2/東京子ども図書館

講評 ピンク・受講者  ・ヤンさん)
覚えたと思ったのに忘れている忘れた事に焦らず、また一から覚える事を繰り返す。場所、人物等リアルに調べたりイメージしてみる。
答えはないが、セリフの言い方を色々と考えて変えてみると良い。
勉強会で講評をいただいたら終わりではなく、そこからが本当のスタートだと考えて練習を重ねて、またどこかで語りを聞いてもらう機会を作るようにしている。
聞き手が意外性を感じる箇所は「間」をきちんと設けると良い。
日常語の場合、語尾が自分の言葉であるがゆえに自由に変えて語ってしまっていることが気になった自分の間違いに気づきながらも、そのまま続けられる心の余裕を持つことが大事。
力まないで語りたい強調しすぎる事で、聞き手は大事な言葉にたどりつく前に、違うものを想像してしまう
語りの後、子どもに感想を聞くのはタブー。子どもから自然に出た感想にも、ただ聞いて受け止める姿勢を崩さない


4月、5月に開催される対面、オンラインでの勉強会やオンデマンド配信、お話会などの案内が盛沢山の嬉しい春です。みなさん、再度メールをチェックして、ご参加漏れのないように~~~

次回の初級クラスは5月9日(火)です。
常に『ノート式おはなし講座・語りこの愉しき瞬間』をお忘れなく♪

語法勉強会「三匹の子ブタ」

桜はもうおおかた散ってしまいましたね。
花の命は短いということで、そのはかなさが美しいんでしょうが…。
おばちゃんが言うとなんか自分でも違和感が強くて可笑しくなってきます(笑)
桜は散っても他のいろんな花が次々と咲くんで、やっぱり春は気分が上がりますよね。

今回の語法勉強会はオンラインで開催されました。
かつて、勉強会が今のような定期開催になる前の、語りの森黎明期というか、前時代のころに「三匹の子ブタ」の勉強会というのがあったのを思いだします。
あの時に聞かせてもらった、英語のカセットテープの「三匹の子ブタ」が忘れられません。
ジェイコブズのテキストのテープです。
アナウンサーさんか、俳優さんが朗読してるんだと思いますが、ものすごくテンポがよくて面白かったです。
その勉強会では、いろんな絵本の読み比べと、違う再話のテキストの比較をしました。
その後、第2回の語法勉強会で福音館書店の『イギリスとアイルランドの昔話』(石井桃子訳)をテキストにして語法を勉強しました。
多くの方がこの本をテキストにして「三匹の子ブタ」を覚えておられるのじゃないかと思います。
第2回からだいぶ時間がたちました。
今回は、ジェイコブズの原話を訳してテキストにしています。
わたしも、石井桃子さんの訳で覚えていますが、今回作ってくださったジェイコブズを日本語に訳したテキストがすっきりしていて好きだなと思いました。

この話は3回の繰り返しや、クレッシェンドする内容や物が見事で、それらがすべてイメージがはっきりするように整えられているんだということがよくわかりました。
抽象性というと漠然としか意味が分かりませんでしたが、一つ一つを丁寧に順を追って押さえてもらうと、全体の構成とそれぞれの意味がよくわかって、この話がいかに重要かということがわかりました。
……「三匹の子ブタ」の語法を勉強するのは二回目なんですけどね。
わたし個人も、エピソードが孤立しているということで、そういう理解でよろしいと思います(笑)
語法を学ぶと再話にとっても役立つので、亀の歩みでもこれからも続けていきたいと思っています。
では、また(^O^)/

再話クラスとプライベートレッスン

今年は桜の咲くのが早いですね。
「つぼみはまだ出てないな~」なんて思っていたのが、「え! もう咲いてきた?」になってそこからが早かったように思います。
写真は26日に見に行った時で、雨でしたが満開になってました。3月の再話クラスとプライベートレッスンの報告をします(‘◇’)

再話クラス
再話検討
「押船」『妙好人傳』より
再話再検討
「『ちえ』と『しあわせ』」(原題「『わけしり』と『しあわせ』」)
原話『世界の昔ばなし・22ドイツ語圏の昔ばなし三人兄弟と巨人』寺岡寿子訳 小峰書店
「しゃちの花」」(原題「海の青いいわれ」)
原話『中国山地の昔話』稲田浩二他編 三省堂

「押船」は、もともと話の題名がなかったので題名を付け、あとの2話は元の題名を変えています。
再話検討の段階で、話の中心になる事柄がわかってきて、何についての物語かということを考えると、自ずと題名が浮かんできた!という感じでした。
そのものズバリの題名、「どんな話なのかな?」と興味を持たせる題名、いずれにしてもぴったりの題名になっていると思います。

今回の再話の勉強で共通して言えるのは、原話選びの難しさです。
再話を初めて日の浅い方が半分以上おられるクラスなのでみんな実感してると思うのですが、原話選びはほんとに難関です。
かくいうわたしは、再話を初めてから10年以上たちますが、いまだに分からない(´;ω;`)ウッ…
その間に、途中までは再話したけれども、原話に欠落や齟齬があるのがわかって断念した話が何話もあります。
みんなが次に出す原話のコピーをヤンさんに渡したとき、ヤンさんがわたしに「また、難しい原話を選んだんじゃない~~?(笑)」って言われたのは、つまりそういうことです(苦笑)
ヤンさんはやさしいから、出来るだけ生徒の意思を尊重しようとするし、マイナスな言葉は使わないからあんまりそのままに受け取っていたらあかんなあと思いました。
一人反省会で考えると、わたしの場合は年月だけ経ってても、再話する数が少なくて伸びない(笑)
いや、笑ってる場合やないんやけど、原話の面白さに飛びついてしまっていて、見抜けていないということ。
開き直って考えてみると(開き直るのが早いですけど)、そういう経験を積み上げていくことが大事なんじゃないかな?
積み重ねのうちに、この原話は再話はできないとか、類話を探したほうがいいとか、今は無理やけどもっと再話力がついたらできそう、とかいろいろわかってくるんじゃないかなと思いました。
ヤンさんは、〝再話は数!〟って言われてたから、ごちゃごちゃいわずに次々にトライするのが再話力をつける道なんでしょうね。
昔話のように結末の幸せのために一本道を前だけを見て足早に進むのみ!!

プライベートレッスン
日常語による語り
「きつねの田植え」 → こちら
『大和の伝説(増補版)』高田十郎編/大和史蹟研究所 村上郁再話

主人公が戸のむこうにいるきつねの言葉を聞く場面があります。
きつねは5~6匹います。
きつねたちが戸のむこうから主人公に向かって言葉を発するとき、きつねたちは大きな声を出しているかもしれません。
では、戸のこちら側にいる主人公にはどんな風に聞こえているでしょうか?
戸を隔てているわけだから、大声が小さく聞こえてくる、みたいな?(笑)
じゃあ、それをどういう語り方をしたらいいのかというのは、難しいですね。
ヤンさんのアドヴァイスは、いつもいっておられることですが、〝それらしく語るのではなくて、そういう気持ちで語る。〟です。
同時に〝気持ちはこめなくていい。イメージできるように。〟です。
具体的には、この5~6匹のきつねとは、一匹は死んでしまった子ぎつねの親ぎつねです。
ですから他は家族か親戚のきつねです。
父・母・兄弟・姉妹・祖父母・いとことか、あるいはごく近所の親しいおじさんきつねとか、そういうきつねたちがやってきて、台詞を言うわけです。
その様子と気持ちをイメージしながら語るということでした。
アドヴァイスを聞きながら、かつて「かえるの王さま」を勉強会で語った時に、かえるが扉の向こうではなくて、目の前かすぐ横で言ってるみたいだと言われたことを思いだしました。
わたしはそのあと、分厚い扉をイメージして語るようにしたんですが、かえるが階段を上がってくるところから、もっと鮮明にイメージしたほうがいいなと思いました。
修正できて、これも役得ですね(^_-)-☆

今週も楽しくお勉強できてうれしかったです(⋈◍>◡<◍)。✧♡