第21回昔話の語法「いばら姫」

昨日、オンライン限定で昔話の語法勉強会が行われました。
今回は21回目になります。
今回取り上げる話はグリム童話の「いばら姫」です。
この話は8年前の第1回昔話の語法勉強会で取り上げたものです。
もう8年もたつのかと感慨深いですが、今回同じ話にしたのは、最近勉強会に参加されるようになった方々は、当然初めのほうの語法勉強会は受講されていないですし、前にやった話も勉強したいというご要望があったからです。
初めのほうにやった勉強会でグリムの代表的な話をたくさん取り上げていますが、当時は録画するとか、オンラインで勉強会をするとか、オンデマンドで配信するとか、ま~~ったく考えつきませんでしたから、コロナの後の急なリモート化に語りの森(というか、このHPを作ってくれているヤンさん)が、果敢に追いついているということにすごさを感じています。
Viva!、自画自賛!!

それに今回はなんと初の海外からのご参加がありました(^^♪
すごいですね~、アイルランド在住の方が語りの森HPを見つけてくださいました。
時差があるのにご参加くださりありがとうございました(^^)
遠く離れた人たちともこうしてつながれるという、子どものころには考えられなかった世の中に生きているのだなと感慨深いです。

「いばら姫」は、第1回の勉強会の後、話の素晴らしさに感激して覚えました。
でも、どこかの勉強会でエントリーしただけで、子どもたちの前では語っていないと思います。
でも、とってもいい話ですし、今回のオンライン語法勉強会でも詳しく語法を学んでその良さを再確認しました。
今回は、語法をどういう風に語りに取り入れられるかなということを念頭に置いて講義を聞いていました。

昔話の語法の難しいところは、わたしが思いますには、すべては抽象性だと言えて、かつ完全性・固定性・平面性などの語法が、その時々によって入れ子状態になっていたり、並列になっていたりすることです。
それと、昔話の構造を語法と同時に考えないといけないことではないかと思います。
前は、語法なのか構造なのか区別がつきませんでした。
「別々なのか? 別々だから何なの?」と、頭の中がごちゃごちゃして全く霧の中でした。
やっと、今ならわかる、苦節10余年!みたいな(笑)
「続けてたらいつかはわかる」の見本みたいなもんです(*^。^*)
ヤンさん、みなさん、お疲れさまでした。
「いばら姫」の語法、楽しかったです~

あったかペーチカ

1.豆のつる 語りの森HP

2.この世の光 語りの森昔話集1/おんちょろちょろ

おはなしの話で2時間、二人っきりでおしゃべりと語りをしました。その中から話題になった一つを…お話を覚えて、何回も練習して、それが体に浸透しますよね。で、ある時、その話のテーマなんかが、自分の日常で行動や言動になって自然と現われる、体現できるようになっていることありませんか?それにふと気が付く。おはなし選びから始まっている、これと思った何か。共感したことが意思になって体現できるって事が自分で分かる(自分で体験)。語り手が、そっと手渡すおはなしが、聞き手自身の(無意識に求めていた)おはなしだった時、勇気をもらったり、そうありたいと共感したりすると、聞き手はどんどん自分らしくなっていけるんだろうな!と思います。聞きながら疑似体験しているので、現実は少しの勇気でできるかな~

二人でお互いの事を話して、聞いて、語りもあって、あっという間のペーチカでした。対話って処方箋ですね。こうして、いつも元気な二人は、さらに元気になって家に帰っていきました(笑)

次回 11/6㈰ 10:15~

ローカル列車の旅🚃その4

蒜山高原から見える山々は何事もなかったかのように迎えてくれました。


蒜山三座

はるかに大山


中国四国酪農大学校の牧草地

今回初めて気づいたのは「やまなし」の木と実!

やまなしの実はピンポン玉くらいの大きさでした。


明連川の河原のススキ


栗が豊作!10個ほど拾って帰りました。しばぐりって、おいしいのよね~

さてさて、日常へ運んでくれる帰路
蒜山高原からは真庭市のコミュニティバスで中国勝山へ。
コミュニティーバスは、「まにわくん」っていってね、どんだけ乗っても200円!
中国勝山まで1時間20分かかったけど、途中で乗ってきたお客さんはふたりだけでした。


ね、かわいいでしょ~

中国勝山からは姫新線で、例の新見まで。
じつは、姫新線のこの区間も廃線候補なのね・・・
それで、あえてこの線を使って帰りました。


中国勝山駅


新見駅

帰ってきて、やっぱり今回は疲れたなあって感じました。
体がちゃっちゃと動かへんかったからね。
でも、帰ってきて1週間、またどこかへ行きたくなってる私がいる(*^▽^*)
じきに全国旅行応援も始まるし~~~

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きょうの《おはなしひろば》は、『奥出雲の昔話』からの再話。亀嵩に残っている「まつぼっくり」
すぐ覚えられるから、語ってみてね~

 

ローカル列車の旅🚃その3蒜山盆地の昔話との出会い

昔話の語法オンライン勉強会「いばらひめ」の申し込み、忘れてるかた、ありませんか~
今からでもOKですよ~

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蒜山高原には、コロナ前はほぼ毎秋、夏の疲れをいやしに来ていたんですよ。
3年ぶりの蒜山高原です。

今回は、ちょっと目的をもってやって来ました。

『昔話研究資料叢書1蒜山盆地の昔話』稲田浩二・福田晃/三弥井出版/1968年刊
という本があってね、全551頁を通読したんですよ。面白くてねえ!
《日本の昔話》に再話を紹介しています。⇒「へびの天のぼり」「やまんばあと馬子どん」

今まで蒜山高原に来ると、貸自転車でサイクリングロードを走って楽しんでたんだけど、「待てよ」と思った。
栗やアケビをとったり、田の神さんを見つけたりしていたあのあたりが、昔話が語られた舞台だったのではないかあ???

それで、今回は、そこに焦点を当てて景色を楽しもうと思ったの。

この本に載ってる当時の地図を紹介するね。


拡大地図の真ん中あたりに、「川上村」って二重四角で囲んであるでしょ、その右に「上福田」って四角で囲んである。グーグルマップに落とすと、この地域がいつも自転車で回るところ。もう少し川下へも行くけれどね。エル字型に流れているこの川が明連川で、旭川と合流して岡山県を縦断して瀬戸内海まで続いている。

で、「上福田」って書いてあるすぐ下に「鍛冶屋」ってあるでしょ。
ここに、「へびの天のぼり」「やまんばあと馬子どん」を語った立田富之助翁の住まいがあったのです。
けど、グーグルマップには載っていない!
もう鍛冶屋って地名もなくなったんやな、残念やなあと思いながら、上福田の明連川の川岸を走ってたのです。
景色を見せてあげよう。

ね、いやされるでしょ。
この景色の中で、たくさんの昔話が語られてたんですね。

さて、地図でいえば「鍛冶屋」と書いてるもっと下、川の岸に、川上村歴史民俗資料館というのがあって、これまで、いつ行っても閉まってたの。
今回も、ダメもとで行ってみたらやっぱり閉まってた。

帰りかけて、たまたますれ違ったおばさんに、勇気を出して尋ねてみた。
わたし「あの、鍛冶屋というのはどのあたりかわかりますか?」
おばさん「ああ、このあたりよ」
わたし「えっ!?」
おばさん「このあたり、ずうっと鍛冶屋よ」
わたし「えええ~~~!」

このあたりね。
なぜ鍛冶屋をさがしているのか説明すると、おばさんが、資料館の隣にある保険センターに連れて行ってくれました。
そこの人たちと話をして分かったことは、そんな半世紀も前の資料や語り手のことは、だれも覚えていないし、もう伝わっていないんだということでした。
とっても親切に、心当たりに電話もしてくださったんだけど。
でも、旅人へのやさしさと、土地言葉のおしゃべりのあたたかさを、十二分に感じることができました。感謝、感謝です(^///^)

こうして、昔話の景色と土地の人の心ををいただいて、「へびの天のぼり」「やまんばあと馬子どん」はもちろんのこと、資料に載っているすべての話に血肉が通いました。

赤字のローカル列車は廃止されていくかもしれないけれど、昔話の語りは、思いのある人間の手で残っていく、残していきたいと、強く思ったことでした。

 

 

 

おはなし入門講座第2回

入門講座第2回の報告です。

はじめに語り2話。
①『かきねの戸』語りの森昔話集1おんちょろちょろ
②『さるの海岸見物』語りの森昔話集2ねむりねっこ

雰囲気の違う2話でした。お話は、伝承のものでも創作ものでも、全て雰囲気が各々違うので出来るだけ色んなタイプの話を幅広く語りたい。でもまず、最初に語る話は自分の為のお話を選びましょう~

今回のテーマである『おはなしの選び方』
これを語りの3つの要素から考えます。

①語り手の要素から
自分の心を動かしてくれた話、好きな話を選ぶ。人から勧められたものではなく、自分の素の(裸の)感性で選ぶ事が大事!!

②聞き手の要素から
誰かに聞かせたい話を選ぶ。語りは相手に受け入れてもらはなければ成り立たないので、年齢・興味・場の雰囲気などいろんな状況を考えて、聞き手が求める話を選ぶ事が大切。

③おはなしのテキストの視点から
・結末が満足できる話、つまり人生を肯定的に描いている事。子供は自分が主人公になりきって聞くからこれはとても大事。
・聞いて分かり易い事。なぜなら耳に入ってくる言葉だけから想像してストーリーについていくのは、とても高度なことだから。
・創作話やその他どんな話でも、耳で聞くための話には、昔話の語法が参考になる。
・具体的にどういったスタイルの文章が聞きやすいのか。それは、
 ●筋が単純である→幸せな結末に向かって速いスピードで一直線にすすむ    
 ●登場人物が少ない事→多いと聞きにくい
 ●情景描写・心理描写が最小限である事
→それらが少ないからこそ情景が浮かび、聞き手が想像する。

※詳しくは語りの森のHPの『昔話の語法』『おはなし入門』参照

次回迄の宿題
↓↓↓
選びの手順として……必ず声に出して、自分の口にのりやすい&自分の耳で聞いて心地よい話を1つ選び、本文と奥付を2部コピーする(1部は提出)

次回はお話の覚え方!

以上。