3月度 中級クラス

桜が綺麗な季節になりましたね🌸3か月ぶりに中級クラスが開催されました。胃腸炎で数日寝込んでしまい、報告が遅れすみません(>_<)

♬手遊び やまごやいっけんありました~♬

(語り)

①石になった狩人 『子どもに語る モンゴルの昔話』/こぐま社

白ヘビをトンビから助けたお礼に、世界中の鳥やけもののことばが分かる宝の石を手に入れたアンチンフー。そして、山が爆発して大洪水が起こることを、事前に知ったアンチンフーが村の人たちのために石になってしまうという、自己犠牲のおはなしです。心に響く、完成度の高い語りでした。

語り手さんは東北大震災を思い起こすので3月は語らないほうがいいのでは、と心配されていました。日本は自然災害が多い国であり、それを語ることも大切であり、アンチンフーの想いをのせて語ればいいのでは、とヤンさんよりコメントでした。

語り方のアドバイスとしては、ヘビ達が集まっている場面で「わたしたちの王さまが、あなたをお招きしています」のヘビ達の言葉と、アンチンフーが助けた、小さな白ヘビの言葉は雰囲気を変えて語るといいでしょう。また、後半のアンチンフーが村人たちに大洪水が起こることを知らせていく場面から、最後まで同じ調子にならないよう意識しましょう。一番の盛り上がりはアンチンフーが石になってしまうところです。

②イワンの夢 『アファナーシエフ ロシアの民話下』/岩波書店

私が語ったのですが、テキストへの手の入れ方に悩みました。「手を入れる」とは、テキストを活かしながら、意味が理解できない場合は文を加えたり、削除したりするのです。自分のイメージで勝手に変えてはいけないのです。

このおはなしの原題は「正夢」です。イワンは見た夢のはなしをせず、父親に柱にしばりつけられ、それを助けてくれた王子にも夢のはなしをしないため、牢屋に入れられてしまいます。けれど、エレーナ姫と結婚したい王子を手助けし、無事エレーナ姫と結婚させ、イワンも富を手に入れます。

王子はエレーナ姫と結婚をするために、3つの課題をクリアしなければいけません。1回目と2回目は『エレーナ姫に届くものと、そっくり対になるものを持ってきてください。』と課題の内容を言うのですが、3回目は何も言いません。3回目が一番重要ですので、何も言わないままでいいのかと気になりましたが、子ども達は繰り返しをよくわかっているので問題ないとのことでした。

③雌牛のブーコラ 『語りの森昔話集4』/語りの森

幼稚園で語りたいと思い覚えられたそうです。

男の子がブーコラを呼ぶ3回の繰り返し、

1回目→はるか遠くで、かすかに、モウとひと声

2回目→さっきよりずっと近くで、モウ

3回目→岩山のすぐ下で、モウと、大きな声がしました。

小さい子どもは言葉だけでイメージしにくこともあるので、極端にする必要はありませんが、声の大きさを変えた方がいいでしょう。

トロル女が追いかけてくる場面は、逃げているイメージをしっかり持ち、言葉が途切れないよう意識されたそうです。自分は一歩先をイメージして語ると、より緊迫感がでてくるそうです。

お弁当を3回食べる場面は子ども達が「またか!」と喜ばれるそうですよ。

④屋敷こびと 『子どもに語る 北欧の昔話』/こぐま社

ご主人⇔主人、こびとにスープを⇔スープをこびとに、など統一されていない言葉をそろえられました。

テキストに手を入れたほうがよい例として、「〇〇〇」と言いました。「〇〇〇」のように、翻訳調になっているときは、語りにくいので会話文と会話文の間の言葉を削除するか、会話文の前にもってくるといいでしょう。このおはなしの中では、

「出ていけ!この役立たずめ!」と、主人はどなりました。「だが、おまえはこれで・・・」⇒主人はどなりました。「出ていけ!この役立たずめ!だが、おまえはこれで・・・」

となります。

このおはなしを読んだときは「面白いし、語りたい!」と思ったそうですが、時間が経つにつれ、また、覚え始めるとその気持ちが薄れてきてしまったそうです。しかし、最初に面白いを思ったときに気持ちを大切にして語ると、会話文は生き生きしてきますよ、とヤンさんよりアドバイスでした。

⑤ヘンゼルとグレーテル 『語るためのグリム童話1』/小峰書店

そのままのテキストでは長く、不要な部分が多く語りにくいためヤンさんが整理されたテキストに、さらに手を入れられました。

2回目にお父さんとお母さんがヘンゼルとグレーテルを捨てにいく話をしている場面で、『お父さんは、心が重くなりましたが、最初の時、お母さんのいいなりになったので、今度もそうするよりほかありませんでした。』と書かれていますが、昔話は内面を表しませんので、削除しましょう。

最後のお父さんとの再会の場面、喜び過ぎず語るほうが子ども達にはストーリーが届くので気を付けましょう。

「まま母」に関してはヤンさんが「昔話の解釈ー白雪姫」のブログで詳しく説明されているので、ぜひ参照にしてください。こちら⇒

☆ちいちゃい、ちいちゃい 『イギリスとアイルランドの昔話』/福音館書店(ヤンさんの語り)

小学校のおはなし会で語る予定にしている私にとって、聞けてラッキーでした。最後はどうなるか分かっているのに、いつ聞いてもドキドキして、楽しいです(笑)

我が子の中学校と小学校の卒業式にいってきたのですが、どちらも今までとは違った形での開催でした。中学校は保護者は一人だけの参加(ユーチューブで式の様子を配信)、在校生不在、合唱はなく、来賓も一人だけ、式辞や挨拶には「コロナ」という言葉が何度も出てきました。式が終わっても保護者は教室に行けず、クラスでの写真撮影がないなど、寂しい感じでしたが、これも仕方ありませんね。

さあ、気持ちを切り替えて、新年度です!4月から7月までは毎月のクラス&語法の勉強会がありますので、どんどん新しいおはなしに挑戦したいと思います。

4 thoughts on “3月度 中級クラス

  1. ジェニィさん、報告をありがとうございます。
    たいへんだったんですね!
    公私ともにお忙しくって、体が悲鳴をあげたのかもしれない。ご無理のないように、ぼちぼちやってくださいね(●’◡’●)

    卒業式、去年・今年と続けて縮小でしたね。
    親としては寂しいだろうけれど、子どもは、考えることも多くて、しっかりするだろうね。新しい世界を生きてるんですね。

    テキストに手を入れるのはなぜかということなんだけど。
    読んで面白い文章でも、語りとしては面白いとは限らない。耳で聞いて理解できる(=イメージできる)ような文章が、語りのテキストとして求められるのです。
    このテキストに手を入れるという作業は、語る経験を積まなければ、なかなかできるものではありません。中級なりたてのかたは、まずは先輩やわたしの例から学んでくださいね。

    それと、この日に時間切れで、説明が中途半端になったこと、書きますね。
    「イワンの夢」には、冒頭で、兄さんとイワンの二つの夢が出てきます。だいたい、昔話のなかの夢は実現します。予言とか呪いが必ず実現するのと同じです。
    兄さんの夢は、イワンが十二羽のわしに乗って飛んでいく、そしてお父さんがお気に入りのひつじを失うという夢です。これを「伏線」だという意見がありましたが、伏線ではなくて、もっと強い昔話の語法の力が働いているのです。必ず実現するという力です。だから、聞き手はそのことをインプットしてからストーリーに入って行かないといけないんですね。逆にいうと、そのように語らないといけないということです。冒頭って、だいじですね。
    そして、イワンの夢は、ことばでは説明されません。イワンがどうしても言わなかったからです。これは、聞き手にとって謎として残ります。この夢はことばではなく、出来事(ストーリー)であらわされます。
    原題「正夢」は、イワンの夢であり、ストーリーそのものです。
    この話は、昔話の様々なモティーフが使われていて、ほんとうにおもしろいと思います。
    あ、お姫さまの出す3回目の課題ですが、おそらく「この世で誰も見たことがないものを持っておいで」だと思うんです。でも、原話にその表記がないので、わたしが書きこんだら、創作になってしまうのではないかと思って、ごまかしました。さして大切ではないので、うまくごまかせたら、聞き手は気づかないと思うのですが。

  2. ジェニイさん、報告をありがとうございました。
    もう、お体は大丈夫ですか?
    この日も早退で、講評部分を聞けなかったので大変ありがたいです。
    ヤンさんのアドバイスがよく分かり、うれしいです。

    我が娘も大学の卒業式がありましたが、保護者は参加不可で動画配信でした。
    卒業式はホテルで行いましたが、謝恩会も打ち上げも当然厳禁のお達しがあり、娘はほんとうは袴を来たかったのですがテンションが下がって止めました。
    かわいそうだけれど、仕方ありませんね。

  3. ヤンさん、コメントありがとうございます。

    テキストに手を入れる理由、『耳で聞いて分かりやすい』良いテキストの選び方と同じですね。
    今回自分で手を入れてみて、少し分かったように思います。どこに手を入れるべきか、そしてどのように変えればいいか、ヤンさんや先輩方のテキストも参照し、真似しようと思います。今後も一歩ずつ進歩できるよう、毎月の勉強会を頑張りたいです。

    「イワンの夢」の追加説明もありがとうございます。
    夢は伏線ではなく、語法の力で必ず実現するんですね。兄は関係ないと思い、軽く語っていたので、意識して語りたいと思います。
    3回目の課題、なるほど〜銀の髪の毛と金のあごひげは『この世で誰も見たことがないもの』と表せばいいのですね。エレーナ姫も「こんな不思議なもの、見たことがありますか』と言っていましたね。子供達に語る機会があれば、その反応をみて、付け足した方がいいのか検討したいと思います。

  4. ジミーさん、コメントありがとうございます!

    胃腸炎、熱はなかったのですが、嘔吐し、食べれなかったので、病院で点滴をしてもらうと、一気に回復しました。胃は丈夫な方ですが、歳でしょうか(苦笑)

    娘さんの卒業式、誰も参加できなかったんですね( ; ; )学校も何とかして保護者に見せてあげたいと工夫してくれて、感謝しないといけませんが、動画だと、その場に居てしか感じられない雰囲気が分からないですよね。
    袴も着られず、親子で残念でしたね。娘さんもこの卒業式は一生忘れることはないでしょう。

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