月別アーカイブ: 2023年12月

ここ図書館だから~

 あたたかくて、晴天の12月9日土曜日の図書館おはなし会は、ウーカーさんとおらふの担当です。先週大入りだったので、今週はどうかなぁと思いながら、じゅうたんコーナーに行くと、子どもが一人、二人。あぁやっぱり少ないかもと、じゅうたんの上で待っていてくれてる子とのんびりお話していたのですが、さあ、はじめるぞという時間になっら、おや?いつの間にこんなに?という人だかり。おまけに「どんぐりころちゃん、(ヤンさんが)練習しといてって言ってたから、練習してきた!やりたい!」というので、「じゃあ、やる?」「やる!」「やる!」とのっけから押せ押せ状態に。

こども14人 おとな9人

プログラム
手あそび どんぐりころちゃん
手あそび メリークリスマス
おはなし「こびととくつや」『子どもに語るグリムの昔話6』野村泫 訳/こぐま社
絵本『くつくつだいすき~こんなくつあったらいいな~』スギヤマ カナヨ/福音館書店
おはなし「きつねとたぬき」語りの森昔話集4/村上郁 再話/語りの森
絵本『わたしのペットはまんまるいし』スティーブンW.マーティン作/サマンサ・コッテリル絵/久保陽子 訳/ポプラ社
絵本『こねこをひろったけどそだててみたら…』新井洋行/BL出版
絵本『どうぶつしりとりえほん』薮内正幸/岩崎書店
手あそび さよならあんころもち

 2歳~小学4年生の子どもたちが全力で「どんぐりころちゃん」をうたってくれるので、(ここ図書館のオープンスペースなんだけど……)とびくびくしながらも楽しいスタートになりました。とにかくにぎやかしのハイ状態の男子が多くて、またみなそれに乗っかるしで、もうもうにぎやか。うるさ……じゃなくて、ほんと楽しかった💓(「こびととくつや」には不向きな環境となってしまいましたが(笑))
 ウーカーさんのおはなしと動物の絵本三冊がまた、しり上がりに、みなの意表を突く展開となり、『どうぶつしりとりえほん』ではその頂点に。思わず「ここ図書館だからね~ちょっとちいさな声にして~」と何度か言っても全然ダメ。(後で図書館の方にあやまりをいれると、「そうだったの~」という感じで、ほっとしました)まあまあそんなわけで、子ども30人分くらいのパワーをもらったおはなし会でした。終わった直後ウーカーさんが一言「子どもを静めるための絵本も必要なんですね……」と。にこにこおとなしく控えめにきいてくれる子どもばかりではありません。がんばりましょう⁉

12月の初級クラス

師走とは思えないような暖かい曇り空の中、今年最後の初級クラスが行われました。

手遊び
123の2の4の5
312の4の2の4の5
*最初片手、次に両手、その後は年齢に合わせて、どんどん早くして遊ぶ。


語り

1.人に悪いことをしなければ自分にもされない/語りの森HP(世界の民話18・イスラエル/ぎょうせい)
2.金の子牛/語りの森昔話集2/語りの森
3.岩の戸、開け!/語りの森昔話集2/語りの森
4.蚕のはじめ/語りの森HP〈こちら→〉

ヤンさんの語り
5.神の顔/世界の民話18・イスラエル/ぎょうせい


講評  *
語り手の課題:黒字 ヤンさんのアドバイス:青字

1.課題:男性が複数登場するので聞き手に誰か区別がつくか。/一人一人の登場人物をどう語り分けるのかは、①テキスト選び②テキスト理解③聞き手の立場でテキストを整える、が必要。
登場人物がどこで誰と会話しているかがわかるように語る。
2.課題:①句点の多いテキストはどう語れば良いのか。②意地悪な姉のくり返しの部分の言葉が違うのが覚えにくい。/①句読点は読むためのもの。語る時には気にしなくて良い。②同じような場面のくり返しにも、その回数や前後の関係性でテキストの言葉は変わる。
テキスト中の自分が覚えにくい言葉や間違えてしまう箇所に印をつけない。
3.課題:①最初は文章と文章の間に接続詞を入れたくなった(練習しているうちに気にならなくなった)②岩の「戸」を「口」と表現しているのは?南からの男とは?/①読むためなら接続詞は必要だが、語る時はいらない。②「戸」と「口」が同じであることを聞き手は話の情景から理解する。南から来た男は特別な職業で、あがめられつつ、時には虐げられるような存在。
4.課題:一文の中の言葉の順番を変えることについて。②言葉そのものを同じ意味のものに変えることについて/①先に来る言葉の方が印象に残るので、聞き手の感情を考えることが大事。②その言葉が言いにくい場合、同じ意味なら変えても良いが、なるべく漢語でなく和語を使うように心得ると、響きが優しい。
初めて出てきた言葉は立てる(この場合、ひとつひとつの音を長めに言うと良い)

日常語に変えることについて
課題:日常語ゆえに語尾が定まらないがどうしたら良いか/まずはテキスト作りに時間をかけて、語尾についても自分で納得して決める。しっかり覚えた後、本番でも変わるようならそちらを採用する。

どんな課題も行き着くところは「聞き手の立場になって」がキーワードになっていたように思います。テキストそのものの解釈に対しては、それがヤンさんの再話なら、どんどん質問して疑問を晴らしていきましょう♪ それがヤンさんの再話でなくても、どんどん質問してお知恵をいただきましょう♬ 語り手の迷いはそのまま聞き手に伝わってしまいますし、子どもこそがそこを敏感に感じ取る賢い存在ですから!


次回の初級クラスは本年度最後、3月12日(火)です。エントリーは2月12日までです。定員になり次第締め切りになるようですから、お早めに~~。

濃い霧が晴れるように😊

6月、いきなり思いもかけない知らせが届く。
わが子を信じているが、わたしは社会を信じてはいない。世の中はいつ牙をむくか分からないと思っている。個人は弱い。
しかも、離れて暮らしている、もう成人した子に、親のできることは限られている。
怒りと、不安のなかで、ただ待つ。
いつ終わるとも知れない霧の中で、ただ待つ。
親はつらいが、本人のほうがずっとつらいと、自分にいい聞かせる。

その霧が、一昨日、晴れた。

お正月を笑って過ごせるぞ。

若者は立ち直りが早い。もう前を向いて歩き始めている。
わたしは・・・おいしいもんが食べたい。

 

おはなし入門講座 第4回

12月5日、今年度のおはなし入門講座もついに最終回、受講生の皆さんの発表会が開かれ、お二人が語り手としてデビューされました。

プログラムは以下のようになりました。

「ありこのおつかい」(『ストーリーテリングについて』子ども文庫の会)

「舌きり雀」(『おはなしのろうそく13』東京子ども図書館)

「ヘンゼルとグレーテル」(『語るためのグリム童話1』小澤昔ばなし研究所)

「小僧さんとねこの絵」(『語りの森昔話集5 ももたろう』語りの森)

「きつねの恩返し」(『日本の昔話3 ももたろう』福音館書店)

「ありこのおつかい」を語られた受講者さんは、小学校での読み聞かせの活動をされていて、このおはなしも子どもたちに聞かせたいとのことでした。実は語りが手につかないような日々だったそうで、出席も迷われたそうなのですが、勇気を出して語ってくださいました。テキストを見ないで語られたところは、イメージがよく伝わってきて、決していい加減になさったわけではないとわかりました。思い出せない部分を「自分で作ってしまいそう」とおっしゃってテキストに目をやられたのですが、いっそ作ってもいいですよ!と声を掛けそうになりました。もちろん基本的にはダメです。が、それでも時々、本番の語りでどうしても言葉が出てこないとき…やってしまいますよね。もちろん、あてずっぽうに似た言葉を持ってくるのでは失敗しますが、しっかりとイメージ出来ていれば、そう大きくそれてしまうようなことはないと思います。おはなしの世界を大事に語ろうとされていたので、いずれ落ち着いたときに、ぜひ子どもたちに聴かせてあげてほしいです。

「舌きり雀」も受講者さんの語りです。有名な昔話で、たくさんの類話もあるおはなしですが、語り手さんそれぞれで違った味わいのある、良いおはなしだと改めて感じました。覚え始めてから、すっかりおはなしの世界に没入していたという語り手さんは、幼い頃に見ていた情景をイメージして語られたそうです。怖かった馬、かわいい牛、村はずれの尼寺…初めての語りとは思えないほどしっかりした語りの土台には、実際の体験からくる確かなイメージがあったのですね。

「ヘンゼルとグレーテル」、「小僧さんとねこの絵」、「きつねの恩返し」は、ききみみずきんメンバーの語り。「ヘンゼルとグレーテル」、お菓子の家ばかりクローズアップされがちですが、絵本などでは省かれている場面もとても魅力的に語ってくださいました。「小僧さんとねこの絵」の語り手さんは、新聞でこのおはなしの主人公とよく似た、絵の大好きな小僧さんの逸話を知り、東寺で開かれていた展覧会を鑑賞してイメージを広げられたそう。好きなことに打ち込む大切さを伝えられたら、とおっしゃっていました。そして日常語での語り「きつねの恩返し」は、当初予定になかったのですが、時間に余裕があったため、急遽語ってくださることに。「語れるかしら」と心配されていましたが、ご自身で日常語に直したテキストは、語り手さんの優しい佇まいにもぴったりで、聴き手全員が温かい気持ちになりました。

語りの発表の後、それぞれ感想を述べ、自分にとっておはなしを語ることとはどんなことかという話をしました。現実の世界…日常生活では誰でも仕事が忙しかったり、育児に悩んだり、大切な人との別れがあったり、気持ちに余裕が持てなくなることが幾度となく訪れます。そんなとき、問題が解決するまで休むことも非常に大切ですが、おはなしが安らぎや癒しを与えてくれることもあります。おはなしを読んだり、語りの練習をしているときは、おはなしの世界にぐっと集中できる自分ひとりの大切な時間。子どもたちにより良い語りを届けるための努力はしなければなりませんが、ときには自分のためにおはなしと向き合う時間があっても良いのです。

お休みされた方もあり、予定していたプログラムどおりにはいかない発表会でしたが、どの語りも誠実で心がこもっていて、良いおはなし会になりました。それに考えてみると、それぞれがおはなしについて思うことを、膝を突き合わせて語り合える機会は滅多にないことです。入門講座の運営に携わり、初心に返って謙虚に語りに向き合いたいと思わせてくださって、本当にありがたいと、ききみみずきん一同感謝しています。

受講者の皆さん、お疲れ様でした。またどこかで語りを聴けるのを楽しみにしています。

12月のおはなし会🎄

今年も府外の某小学校に語りに行ってきました(^///^)

12月6日(水)3年生1クラスずつ2回

まずは自己紹介。
一休寺のこととか、ちょこっと話してから、おはなしを始めます。

語り「ホレばあさん」『語るためのグリム童話』小沢俊夫監訳/小峰書店
語り「みじめおばさん」語りの森HP⇒こちら
手遊び 「メリークリスマス」
語り「かしこいモリー」『おはなしのろうそく』東京子ども図書館
子どもたちとの質疑応答

毎年お招きいただくのですが、毎年3年生なので、いつも初めてお話を聞く子どもたちです。
子どもたちの感想「本を読んでくれると思っていたら、何も見ないで話してくれたのでびっくりしました。とてもじょうずに、かまないで話してくれて、おもしろかったです」
いやいや、噛んだんですよ(笑)

「みじめおばさん」と「かしこいモリー」は、ここでは今回初めて選びました。
「ホレばあさん」は、しんと聞く話でしょ。これがメインで、これさえ聞いてくれたらOKです。

「みじめおばさん」は、参加型。お遊びです。
わたし「(死神は)なしの実をとろうとしました」
こども「あっ」「あっ」「ああ!」
わたし「死神は木にぶら下がってしまいました」
こども「笑・笑・笑」「えっ!じゃあ、みんな死なない?」
かしこいねえ(笑)
わたし「世の中はどうなったと思いますか?」
こども「人口が増える!」「老人が増える!」「老人ホームが増える!」
わたし「笑、もうだれも死ななくなったのです」
こども「火事になっても?」「車にひかれても?」「首を切られても?」
わたし「そう、首を切っても生きています」

「かしこいモリー」は新しい試みでした。
安定して聞いてくれる子どもたちでなければ、こういう試み・冒険はできないものです。それで、思い切ってやってみました。
子どもは成長するにつれ、脇役にも気持ちが行くので、大きい子ほど「モリー」には反発するのではないかと思います。大人がよい例ですね。
3年生の子どもたち、どこまで主人公になれるか~?
考える余地を与えないように、スピードアップして語りました。
はい、みんな、モリーになりきってくれました~
一番前に座っていた子は、モリーが大男に腕をつかまれたとき、がばっと両手で顔を隠しました(笑)

わたし「モリーは橋を渡れましたが、大男は」
子ども「わったれませ~~~ん!」
めっちゃ達成感があって、だれもモリーをどろぼうだとか、おかみさんがかわいそうとかいう子はいませんでした。

「ホレばあさん」と「みじめおばさん」では、「本当にあったこと?」って尋ねてましたが、昔話がファンタジーだと納得してくれたので、最後の「かしこいモリー」を受け入れられたのだと思います。

最も弱い存在の少女が強い意思で人生を切り開く話、なんとかしてあの子たちに聞かせたいと思いました。
3年生でも遅くはなかった。
他の話との組み合わせ、語りかたに工夫は必要ですが、もう少し上の学年でも試してみてもいいかもね(*^▽^*)

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きょうのおはなしひろばは、「むかでの医者むかえ」
笑ってくださいヾ(≧▽≦*)o