週末ごとに雨が降り、お花見の機会を逃したまま桜が散ってきています。
しかしながら雨にそぼ濡れる桜も、風に散り舞う桜も風情があって美しいですね。
もっちです。
4月のおはなし初級講座がありました。
語りは、
「旅人馬」『日本の昔話③ももたろう』(福音館書店)
「先に怒った者が負け」『子どもに語るイタリアの昔話』(こぐま社)
「あなのはなし」『おはなしのろうそく4』(東京子ども図書館)
「三びきのくま」語りの森ホームページ≪外国の昔話≫
「しおちゃんとこしょうちゃん」『おはなしのろうそく27』(東京子ども図書館)
「話十両」『日本の昔話③ももたろう』(福音館書店)
の6つです。
「旅人馬」は、馬を売り買いする博労(ばくろう)が馬宿に泊まり、馬にされそうになるところを逃れ、他の博労たちを助けて、仕返しをする話ですね。ストーリーが面白く、会話の中から登場人物の心情が伝わります。博労という職業の名称が耳慣れないので、最初の説明はきちっと押さえるように語りましょうというアドバイスでした。
「先に怒った者が負け」もストーリーがすごく面白く、引き込まれます。三人兄弟の上の兄さん二人が「先に怒った者が負け」の勝負に負けて、せっかく借りた資金と担保にしたブドウ畑を取られてしまいます。そこで末の弟が同じようにお母さんにお金を用意してもらい、同じように旅に出て、同じ人に出会って、同じ契約をします。そのハチャメチャぶりは、これまで兄さんがされた仕打ちを思うとすっと胸がすく思いです。三度の繰り返しの一回め、リードさんに借りたお金を返せなかったので、ブドウ畑を取られたということをきっちり押さえて語りましょうとアドバイスがありました。
「あなのはなし」もストーリーで聞かせる話ですね。あなにドーナツにと仲間がどんどん増えていきます。でも少しずつ言葉が違うので覚えるのに苦労しますね。小さな子どもさんが喜ぶ話ですので、いつかレパートリーに加えたいなあ。
「三びきのくま」は『イギリスとアイルランドの昔話』にも入っている話ですが、原話から再話したお話が語りの森の《外国の昔話》にアップされています。このお話は、ストーリーというよりも、三びきのくまの言葉の繰り返しや、おばあさんの言葉の繰り返しが楽しいお話になっています。とはいえ、くまごとに個性がありますので、まったく同じ言葉での繰り返しにはなっていません。でもそこが面白いのですよね。声の大きさは変えないで、ぜひくまの個性を引き出して語ってみてください。
「しおちゃんとこしょうちゃん」は、二匹の仔猫の冒険のストーリーです。木登りして降りられなくなった二匹をお母さん猫のタビー夫人が迎えにくるのですが、暗闇に緑の目が光る場面は、少し怖いかもしれません。なぜなら聞き手も、仔猫たちも緑の目の正体がその段階では分かりませんからね。もし間をもたせるならその場面で。でもあまりもったいぶると怖くなりすぎるかもしれません。素直に語ればいいそうです。そうそう、タビー夫人は一匹ずつ口にくわえて木からおろすのですが、どうやって降りたのでしょうか。枝を足場に飛んで降りたのか。幹を駆け降りたのか。みなさんはどのようにイメージされましたか?
「話十両」は、長年奉公に出ていた男が年季があけて、それまでに稼いだ十両を手に里に帰る途中、命を助ける話を十両で買うお話です。無駄遣いしたんじゃないか、騙されたんじゃないかと大人でも聞きながらドキドキしました。最後、自分の家に帰ると戸の向こうから奥さんが他の男と話している影と奥さんの話し声が聞こえて、男は怒りのあまり我を忘れかけるのですが、『短気は損気』という十両で買った話を思い出します。このタイプのお話はどの類話も最後に間男を迎えるモチーフが入ってるそうですが、はっきりそう語ってるわけではなく、聞き手の想像力をかきたてます。あまり小さな子どもさんには向かなさそうですが、中学生ならさらっと語ってよさそうです。あまり普段使われない「いとまごい」という日本語との出会いを大事にしたいですよね。言い間違いにご注意です。(*´艸`*)ちなみに漢字では「暇乞い」と書きます。お客様から「そろそろおいとましますわ」って言われますよね。美しい日本語だなぁと思います。
さて、来月はどんな語りが聞けるでしょうか。♪ヽ(´▽`)/