子どもにひけをとらない、おとなのかがみ。

かこさとしさんが亡くなられた。

絵本作家は数あれど、かこさんは、最高の絵本作家。という思いは、わたしの個人的な好みにとどまらないと思う。
たしか絵本の会で最初に取り上げたのもかこさとしさんだったかな。

子どもにかかわる大人は、まず子どもから学ぶべしと、ヤンは、つねづね思っている。
かこさんの絵本を読んでいると、それがよくわかる。
子どもの遊びと科学者の眼で絵本が作られているんだけど、子どもにぴったり寄り添って離れない。

「子どもにひけをとらない、おとなのかがみ」の言は、今朝の新聞に載っていた中川李枝子さんのことば。
生きとし生けるものすべてに深い愛情をいだいていたかこさんのことを、中川さんがこのように追悼しておられたの。
読んだとたんに涙が止まらなくなった。
あ、中川さんもそうなんだと思った。同じ価値観。
昨日、たまたまある先生と、『ぐりとぐら』はどうしてあんなに子どもの心をとらえるのかと話していたところなのでね。

じつは最近、身近なところで、子どもにかかわる大人たちの無責任さと鈍感さと虚飾をまざまざと感じることが相次いで、情けなくって、腹が立って、でも何もできないし、よけい腹が立って、早朝に目覚めて眠れない日が続いているの。

で、けさ、中川李枝子さんの言葉!
分かる? 「子どもにひけをとらない」だよ! って叫びたい。
大人はもっともっと謙虚になって、子どもの中に光っている宝石をじっと見つめて、ああ、わたしはもうこれを持っていないんだ、と恥じ入るべきだと思う。

昨日、支援学級に絵本を読みに行った。
6年生になった彼が、新1年生をまるで弟のように膝に抱えて、いっしょに本を見ていた。
誰も強制しているわけではない。ごく自然に。
初めて学校に入って心細いはずの一年生だけど、こんな6年生がいてくれてよかった。
ね、子どもはすごい。
あたたかい、愛にあふれた朝のひとときでした。
それを保障する責任が大人にはあるはずでしょ?

かこさんの本で好きなのはいっぱいあるけれど、『ぼくのいまいるところ』が一番好きです。
あなたの一押しは何ですか?

2 thoughts on “子どもにひけをとらない、おとなのかがみ。

  1. ヤンさんの絵本の勉強会のかこさとしさんの回で、初めてじっくり絵本と人物を知りました。
    それまで、こどもが『からすのパンやさん』に釘付けになるのが不思議でした。
    こどもにひけをとらない、なんて到底できません(>_<)
    かこさん、すごいです!
    わたしが好きなのは『どろぼうがっこう』です(^∇^)

  2. ジミーさん、コメントありがとうございます。
    『どろぼうがっこう』もめちゃめちゃ面白いよなあ。

    きょう、学校図書館の司書さんとしゃべってたんやけど、「だるまちゃんシリーズ」とか『からすのパンやさん』とかって、集団への読み聞かせは難しいよね。大型を使って、子どもたちといっしょに見ていかないといけないし、いくら時間があっても足りない(笑)

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