月別アーカイブ: 2023年4月

4月の中級クラス

うちの庭師(義父)がイチゴを育てているのですが、宝石のように真っ赤な実が一つなりました。緑から赤になるその不思議さに、植物の静かな意志のようなものを感じました。4月も後半ですが、肌寒い日が続きますね。さてさて、中級クラスは…

手遊び ブラックさんとブラウンさん

わたしがテピンギー 『同名絵本』偕成社

ムズィカ 『語りの森HP』語りの森 

いばら姫 『語るためのグリム童話3』小峰書店

黄泉平坂・やまたのおろち 『語りの森HP』

ねことねずみ 『おはなしのろうそく21』東京子ども図書館

ヤンさん いぬとにわとり 『おはなしのろうそく31』東京子ども図書館

語り飛び入り参加のKさん、その軽快なお人柄の雰囲気に包まれて始まりました。ブラックさんとブラウンさん、聞きながらまねする方はとっても楽しかったです。

講評です…

ムズィカは、一緒に作る語りではなく、見てもらう語り。自分がおはなしに入って、私はこう感じる、それを見てもらうように語るとよい。

文と文で間を入れない。同じ内容の文と文の繋ぎでは句点。を読点、のように語る。間が入ると強調が生じてしまう。逆に、文の内容が変わる時に間を入れる。情景を理解してもらう間になる。

ウクライナの戦況渦にも繋がるので選んだはなしで、語り手さんは、明日、中学生に語るそうです。

いばら姫  聞き手の深い所に入るように、きちんと情景を思い描いてもらうように語る。言葉を立てることで(15歳・つむなど)、聞き手がその後を予想する。いばら姫が、古い塔のらせん階段をのぼっていく時、何かあるぞと、思わせぶりに、自分が情景を見ているように語る。王子がのぼっていく時は、時間をかけずにのぼり、ほら、あそこだ!という感じに語る。つむの説明は、前もってする。糸紡ぎについて、身振り手振りで説明をして、つむについても話す。

黄泉平坂・やまたのおろち  題名は言わずに、「日本の神話古事記から語ります」と始めようと思う、と語り手さん。神話では題名がない、それで良いとの事でした。私は、神話を語るのは難しいと感じるのですが、そこをさらっと飛び越える語り手さん、中学生に語るとのことです。(こちらも明日!)

ねことねずみ  ヤンさんがテキスト通りで語った時、子供たちの様子は「知ってるいつものおばちゃんじゃない」という感じだったそうです。借り物を語っていると。語り手さんは、言葉遊びを弱める形でテキストに手を加えられました。イメージが次から次へと速いテンポで去ってしまうので、情景を描けるようされました。累積譚のおもしろさが、伝わるテキストになったか…?語ってみて、子ども達に教えてもらう、となりました。

「その人が語る」ということが奇跡・偶然であり必然!と感じ、印象深かったです。(チャンスの影響かしら…)おはなしを選ぶ語り手の感性や傾向や好みなんか織り交ぜたとしても、とにもかくにも、そのおはなしが語りの場で子どもたちに届けられるので、「おはなし」も喜んでいるだろうな~と思わずにはいられません。大事なおはなし、楽しいおはなし、子ども達に届くように、語り手みなさんで、影響しあって勉強できることを嬉しく思いました。今日は勉強会の翌日ですので、中学のおはなし会は無事に終わったでしょうか。報告楽しみです(^^♪

次回は5/16㈫です。

シュルヴィッツを読む会🌄

桜の花はすっかり散りましたが、ボタン桜が咲いていました。
「ああ、桜餅そのもの~」
ソメイヨシノと違って、葉っぱもしっかり出てるんですよね。
おいしそうでした。

ユリ・シュルヴィッツさんの自伝『チャンス』が去年の秋に出版されました。
副題に〝はてしない戦争をのがれて〟とあります。
ユダヤ人であるシュルヴィッツさんが第二次世界大戦に巻き込まれた、幼いころの暮らしをつづったものです。
この本に感動したヤンさんの声掛けで、『チャンス』を読み、そしてシュルヴィッツの絵本のなかで自分が一番好きな本を持ち寄って、みんなで語り合う時間を持つことになりました。
用意してくださった資料によると、翻訳されて日本で出版されているのは少なく、だいたい全体の四分の一です。
日本で読めるのは、(海外での)出版の古い順に以下のとおりです。
『ぼくとくまさん』あすなろ書房
『あるげつようびのあさ』徳間書店
『空とぶ船と世界一のばか ロシアのむかしばなし』岩波書店
『あめのひ』福音館書店
『ヘルムのあんぽん譚』篠崎書林
『よあけ』福音館書店
『たからもの』偕成社
『ゆき』あすなろ書房
『ねむいねむいおはなし』あすなろ書房
『おとうさんのちず』あすなろ書房
『ゆうぐれ』あすなろ書房
『じどうしゃトロット』そうえん社

わたしは、お話会でヤンさんが子どもたちに読んだ『よあけ』が、初シュルヴィッツなのでこの時の感動が大きく、やっぱり一番は『よあけ』です。次は、『ゆき』ですかね。ひらひらとまいおりた最初の一粒の雪が印象的でした。
みなさんでそれぞれの一番の絵本の話をされているのはとってもほんわかして楽しかったです。
楽しく話を聞きながら、同時に戦争体験のない自分について思うことがありました。
わたしの伯父は沖縄戦で戦死しているのですが、遺骨を遺族に返還するために厚生労働省がDNA鑑定を実施しているで、1~2年前に父がDNAを提出しました。
そのことで、戦争はまだ続いているんだなと思いました。
急に自分に近いところでまだ戦争が残っているんだなと思ったんです。
『チャンス』は、ユダヤ人の小さい子どもが戦争中にどんな生活を強いられていたかという、全く自分とはかけ離れた世界の話ですが、少しでも戦争を自分の近くのこととして感じられた後に読めてよかったと思いました。
〝チャンス〟という言葉には〝偶然〟という意味もあると本書に書いてありました。
人の幸・不幸は偶然なのか必然なのかわかりませんが、シュルヴィッツさんが本の題目に〝チャンス〟を選んだことはなんとなくわかるような気がします。
『チャンス』は、本当にいい本です。
超~、超~、おすすめです!!

昔話の語法「三匹の子ブタ」感想で~す🐷

まずは、「三匹の子ブタ」をレパートリーに持っているかたからの感想です。

Aさん
三びきの子ブタは大好きなお話なので語法をばっちり学ぶのは楽しかったです。
結末が身の安全なのは動物昔話に多いということ。それは小さい子向きなのだと納得しました。
カブ、りんご、おけと丸いもののクレッシェンドは気がつきませんでした。
私はだんだん、遠距離にあるところへ出かけることのクレッシェンドだと思っていました。
三びきの子ブタのお話は小さい子の劇遊びでもよく使われていますね。1年生でもなかなか受け入れられない感じなので私は2年生に語るようにしています。そして、初めて語りをされる方にも是非、知って欲しいので語っています。中学生に語ったこともあります。びっくりしたと言っていました。やはり知らないんですね。
改ざんされて子どもに聞かせているのって日本だけかしら?

日本だけ?いえいえ、ディズニーをごらんなさいませ!

Bさん
「三匹の子ブタ」は私も語るので、たいへん興味深く、刺激的な内容でした。何度も一年生に語っていますが、意識していなかったことに色々と気付かせていただきました。
幼い子ども向けに、なぜ動物や子どもが食べられそうになる話が多いのか、非常に納得できました。幼い人には、それが必要なおはなしなのですね。中途半端に許し合うおはなしだけを与えられた子どもは、人生で実際に出会う敵に立ち向かう選択肢をすぐには選べないのでは、と思ったり。
また「物理学を無視する」点も目から鱗が落ちました。「桶は転がるもの」「鍋は煮るもの」のイメージに引っ張られて、おはなしが成立するというのが、今まで語りながら漠然と受け入れていたので、新たな知見でした。
聴き手の子どもが疑問を持って、自分で考えて、ときには議論になってもいいというのも、本当にそう思います。確かに、あれは楽しいです!また今年度も「三匹の子ブタ」を語りたいです。
村上先生の訳と再話もわくわくしながら聴きました!石井桃子さんの訳は、やはり少し古い言葉遣いなので、「おじさん、そのわらをちょうだい。家を建てるんだ」や「いいね。待ってるよ。何時にする?」は令和の子どもたちには自然に聴こえるだろうし、いいなあと思いました。また石井訳で「むこうのほうから」となっているところが「丘の下から」とされているのも、ぐっと風景が広がりました!(ただ、「僕のあごひげにかけて」というよくわからない訳をされることもある「by the hair of my chiny chin chin」の「とん、とん、とんでもないよ」という訳は、替えがたいですね!)
充実した勉強会をありがとうございました。また、「昔話は残酷か」勉強会も楽しみにしています!よろしくお願いします。

Cさん
聴き手におはなしの世界を楽しんでもらえるかどうかは、自分がクリアにイメージできているかどうかにかかっている…それを踏まえて自分のこぶたの語りを振り返ってみると、なるほど〜💧覚えるのに必死で、やっと覚えたところで語ってしまっていたんだなと反省。
繰り返し語るうちに、そのおはなしに最初感じた「すき」が、だんだん大きくなっていくというお話が、とてもステキでした。一回一回大切に何度も語っていきたいです。

Dさん
受講しての気付き
①クレッシェンドの具体的内容
おはなしが盛り上がって行く場面だと漠然と思っていました(いかにぼーっとテキストを読んでいたかわかります)。が、材料の硬さや大きさ、おおかみとの距離が近づくことによる緊迫感が仲間わけされた上にそれぞれクレッシェンドしているなんて。具体的に意識して語ることで聞き手への伝わり方が違いますよね。。語り継がれているテキストはこんなに綿密に作られているのだと改めてすごいなぁと思いました。
②物理的事実は無視する
『危機一髪の場面で使われる』。
緊迫感やクライマックスを聞き手にダイレクトに伝えるためのこの語法!
「物理的なことは無視して場面をイメージする」ことでテキストのイメージがストレートに最大限に伝わるのですね。
ちょっとだけ心の中で「なんでやねん」とツッコミ入れる自分がいましたがそういう場面こそこの語法と肝に銘じます。
③共食いやぁ〜
以前他の方が語られたあと「あとの2匹は?」「共食いやぁ」と口々に話す子どもたち。2年生でした。私は子どもたちが大きくなってしまったせいでこの感想が飛び出したのかと思いました。
でも改ざん版の影響が大きかったのですね。
改ざん版の影響恐るべし。なおさら本物を届けることの大切さを実感しました。

今日はこの辺で~
また続きをご紹介しますね~

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きょうのおはなしひろばは「さかなとゆびわ」
聞いてくださいね~

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きょうはシュルヴィッツを読む会でした。
みなさんの興味深いおはなしが聞けて、とっても楽しかったです。
ジミーさんの報告を楽しみにしててくださいね~

 

4月の初級クラス

すっかり春爛漫のお天気の良い日に、新年度最初の初級クラスが行われました。
窓を開けて換気をしても肌寒くない季節の到来に、とにかく感謝!
ただ、残念な事に季節の変わり目での体調不良か、春のお忙しい時期のせいか、欠席の方が多く、飛び入りの語りが3名(私もその恩恵にあずかりました)入りました。常に語れる話を携帯しておく事も大事ですね!(スマホは携帯し忘れた私ですが 笑)



手遊び

祇園の夜桜 ちょいと咲いた(チョキ)
祇園の夜桜 ぱっと咲いた(パー)
祇園の夜桜 ぐっと咲いた(グー)

語り
1.眠り虫の次郎/語りの森昔話集3・しんぺいとうざ/語りの森
2.三匹のちょう/語りの森昔話集4・おもちほいこらしょ/語りの森
3.きつねの田植え(日常語)/子どもと家庭のための奈良の民話2/
4.金のからす/語りの森昔話集5・ももたろう/語りの森
5.千人力(日常語)/語りの森HP 〈こちら→〉
6.瓶につめられたおばけ/語るためのグリム童話集5/小峰書店
7.あなのはなし/おはなしのろうそく4/東京子ども図書館

ヤンさんの語り
8.十二のつきのおくりもの/おはなしのろうそく2/東京子ども図書館

講評 ピンク・受講者  ・ヤンさん)
覚えたと思ったのに忘れている忘れた事に焦らず、また一から覚える事を繰り返す。場所、人物等リアルに調べたりイメージしてみる。
答えはないが、セリフの言い方を色々と考えて変えてみると良い。
勉強会で講評をいただいたら終わりではなく、そこからが本当のスタートだと考えて練習を重ねて、またどこかで語りを聞いてもらう機会を作るようにしている。
聞き手が意外性を感じる箇所は「間」をきちんと設けると良い。
日常語の場合、語尾が自分の言葉であるがゆえに自由に変えて語ってしまっていることが気になった自分の間違いに気づきながらも、そのまま続けられる心の余裕を持つことが大事。
力まないで語りたい強調しすぎる事で、聞き手は大事な言葉にたどりつく前に、違うものを想像してしまう
語りの後、子どもに感想を聞くのはタブー。子どもから自然に出た感想にも、ただ聞いて受け止める姿勢を崩さない


4月、5月に開催される対面、オンラインでの勉強会やオンデマンド配信、お話会などの案内が盛沢山の嬉しい春です。みなさん、再度メールをチェックして、ご参加漏れのないように~~~

次回の初級クラスは5月9日(火)です。
常に『ノート式おはなし講座・語りこの愉しき瞬間』をお忘れなく♪

語法勉強会「三匹の子ブタ」

桜はもうおおかた散ってしまいましたね。
花の命は短いということで、そのはかなさが美しいんでしょうが…。
おばちゃんが言うとなんか自分でも違和感が強くて可笑しくなってきます(笑)
桜は散っても他のいろんな花が次々と咲くんで、やっぱり春は気分が上がりますよね。

今回の語法勉強会はオンラインで開催されました。
かつて、勉強会が今のような定期開催になる前の、語りの森黎明期というか、前時代のころに「三匹の子ブタ」の勉強会というのがあったのを思いだします。
あの時に聞かせてもらった、英語のカセットテープの「三匹の子ブタ」が忘れられません。
ジェイコブズのテキストのテープです。
アナウンサーさんか、俳優さんが朗読してるんだと思いますが、ものすごくテンポがよくて面白かったです。
その勉強会では、いろんな絵本の読み比べと、違う再話のテキストの比較をしました。
その後、第2回の語法勉強会で福音館書店の『イギリスとアイルランドの昔話』(石井桃子訳)をテキストにして語法を勉強しました。
多くの方がこの本をテキストにして「三匹の子ブタ」を覚えておられるのじゃないかと思います。
第2回からだいぶ時間がたちました。
今回は、ジェイコブズの原話を訳してテキストにしています。
わたしも、石井桃子さんの訳で覚えていますが、今回作ってくださったジェイコブズを日本語に訳したテキストがすっきりしていて好きだなと思いました。

この話は3回の繰り返しや、クレッシェンドする内容や物が見事で、それらがすべてイメージがはっきりするように整えられているんだということがよくわかりました。
抽象性というと漠然としか意味が分かりませんでしたが、一つ一つを丁寧に順を追って押さえてもらうと、全体の構成とそれぞれの意味がよくわかって、この話がいかに重要かということがわかりました。
……「三匹の子ブタ」の語法を勉強するのは二回目なんですけどね。
わたし個人も、エピソードが孤立しているということで、そういう理解でよろしいと思います(笑)
語法を学ぶと再話にとっても役立つので、亀の歩みでもこれからも続けていきたいと思っています。
では、また(^O^)/