月別アーカイブ: 2023年7月

7月の初級クラス

梅雨明けも間近?の暑い暑い日、初級クラスが行われました。

手遊び歌
とんがり山のてんぐさんが
うちわであおいで 見渡せば
すーいすい すーいすい
かっぱの親子が 顔出した
ばあ!

語り
1.七わのからす/子どもに語るグリムの昔話3/こぐま社
2.しおちゃんとこしょうちゃん/おはなしのろうそく27/東京子ども図書館
3.ありとこおろぎ/語りの森昔話集1・おんちょろちょろ/語りの森
4.鬼の面、お福の面/語りの森HP 〈こちら→〉
5.たなばたさん/子どもと家庭のための奈良の民話1/村上郁 再話
6.雌牛のブーコラ/語りの森昔話集4・おもちホイコラショ/語りの森
7.お月さまの話/おはなしのろうそく25/東京子ども図書館

ヤンさんの語り
8.ヤギとライオン/子どもに聞かせる世界の民話/実業之日本社

講評
・七(しち、なな、関西弁だとひち)の言い方はどれでも良い。意味がわかる言い方で。
・昔話はいきなり終わるような印象があるが、その後は聞き手の余韻にまかせる。
・時間的には決して長くないお話でも、お話の内容の中で聞き手が長い旅をしている場合などに余韻が残る。
・深い意味を含んだお話は、その決め手になる部分の語り方でそのお話のイメージが決まる。
・創作にはその事柄を説明する言葉(形容詞)が多く使われていることがあり覚えにくいことがあるが、そこはとにかく力づくで覚えてしまう。
・早口言葉の代わりに累積譚を覚えるのも良い。累積の部分は一気に一息で語る。
・テキストの読点は取って語る。読点で切って語ると不必要な言葉が立ってしまう。
・口伝えで伝えられたお話の中に、語法がしっかりと受け継がれていることの感慨深さ。
・新しい話は覚えたと思っても、語りの現場で練習不足を感じることがある。「寝ていても語れるように」(松岡享子さんの言葉)
・遠近、大小を表したい時は、言葉の長さと声の高さで。声を大きくしない。
・聞き手が3回のくり返しを飽きないで聞いてくれるためには ①年齢に合わせたお話の選択 ②くり返しの中のモチーフの違いをうまく伝える事 ③語り手の「おもしろいやろ?」を伝える事。
・語りの言葉を自分のものにする為にテキスト通り覚えるが、語りの現場で自然に変わってしまう(決して変えるのではなく)のは仕方がない。
・自分が使わない言い回しを学んでおく事で、いずれテキストの中で変えた方が良い表現に気づけるようになる。


今回で1年間の初級クラスの前半戦が終了というところでしょうか。
みなさんそれぞれに色々なお話に挑戦しているのがわかりますし、毎回エントリーも多くて本当に聞きごたえがありました。語るチカラだけでなく、聞くチカラもついたというご感想もありました。また、秋以降、みなさんがどのようなお話を選んで来られて語っていただけるのか、とても楽しみです。


次回の初級クラスは9月12日(火)です。

 

あったかペーチカ

手遊び とんがりやまのてんぐさんが うちわであおいでみわたせば すーいす すーいす かっぱのおやこがかおだした ばあ

金のおの 『語りの森昔話集4』語りの森

しおちゃんとこしょうちゃん 『おはなしのろうそく27』東京子ども図書館

たなばたさん 『子どもと家庭のための奈良の民話一』村上郁 再話

とりのみじいさん 語りの森HP

この世の光 『語りの森昔話集1』語りの森

番ねずみのヤカちゃん 『おはなしのろうそく18』東京子ども図書館

ついでにペロリ 『おはなしのろうそく6』東京子ども図書館

あついあつい夏が来ました。そんな中でも、おはなしの灯をお一人お一人が静かに灯しています。みなさん新しいおはなしを次々覚え、レパートリーが色々とおありで、感心するばかりです。語りが終わったと同時に来られた方がいて、語る予定でなかったジミーさんに「なにかどうですか?!」とお願いしましたら、ついでにペロリ を語ってくれました。さすがベテラン!何もない時でも語れる話だそうです。初めて覚えたおはなしで、あれこれ熟考したものなので出てくると。

おはなしを始めて数年ですが、自分の生活を楽しくしてもらってるのをはっきり感じますし、生活リズムも良くなった気がします(なまけ癖があるので)。デジタル化の進む時代に逆境する語りの場は、今後ますます子どもたちにとって大事なものなるのでは…。宿題をネットで検索し、動画を倍速で見るのが普通なようです。それでは自分に何も残らないのではないかと気になります(私も忘れん坊ですし検索もします)。一番残るのは「自分で体験する」ですね。語り手のあたたかさを肌で感じるおはなし会はそれにあたります!想像力が創造力へとなればなあと、押し付けずに、そっと手渡せたらという気持ちで語りたいです。今日もおはなしとおしゃべりと、元気になる楽しいおはなし会でした(^^♪

今後の予定 8/8㈫、9/3㈰

おはなし会、帰ってきました!

 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、図書館のおはなし会が、
7月1日土曜日より再開されました‼
 でも、あのすてきなすてきな「おはなしのへや」で、
ではないのです。児童書の本棚のすみに「じゅうたんコーナー」という
くつろぎながら本を読めるスペースがありまして、そこで、なのです。
 出入り自由のオープンスペース……
なんだか試練のような状況にも見えるんだけど?………。
 しかぁし、はじまってしまうと、心配など吹き飛びました。
待っていました!あぁ、いつものおはなし会だ。うれしい。

手遊び  じゃがいも芽を出した
おはなし「三匹のくま」 『語りの森昔話集4 おもちホイコラショ』村上郁 再話 語りの森
絵本  『いました』 五味太郎 ブロンズ新社
絵本  『ラチとらいおん』 マレーク・ベロニカ文・絵 とくながやすとも訳 福音館書店
絵本  『プラスチックのうみ』 ミシェル・ロード作 ジュリア・ブラットマン絵 川上拓土訳 小学館
絵本  『ばったくん』 五味太郎 福音館書店
手遊び  さよならあんころもち

子ども14人 おとな7人

『プラスチックのうみ』は来てくれた男の子が借りていた本で、その子の「読んで」のリクエストにヤンさんが答えたものです。
にぎやかしの子どもさんとヤンさんのやりとりも、あぁなつかしい。とりあえず、おはなし会、帰ってきました😊

第3回昔話の残酷性について

今日は七夕ですね。
ですが、天気予報は夕方から曇ってきて雨になるそうです。
今朝まで七夕であることを忘れていたのに雨と聞いてなんだかちょっと寂しい中高年のワタシって何なんだろうと思いながら、昔話の残酷性についての勉強会を報告します(^^)

野村泫先生の『昔話は残酷か』(東京子ども図書館)をテキストにして勉強してきましたが今回が最終回でした。
今回は、昔話の残酷性を心理学的にみるとどうなるかについて勉強しました。
今回も、テキスト以外の資料を用意してくださり、野村先生以外の研究者や心理学者の意見も知ることができました。
”昔話は残酷か”という問いに対して、答えは”いいえ”だとは初めからわかっていましたが、3回にわたって丁寧に解説してもらって、改めて残酷というとらえ方をする大人の倫理や、実態を抜いて語る昔話の語法や、昔話を愛のある場所で語り継いでいく必要性などを考えることができました。
わたしは、昔話を含めて物語が好きだから語りをやり続けていると思っているんですが、昔話が語り継がれてきたメッセージを理解したうえで、安心安全な場と人間関係がある状態で子どもたちに届けることが大事なんだなと確認したというか、「お前、今頃確認してるのかい!」と一人突っ込みをしなければならないくらい衝撃でした。
自分がすでにそうであったように子どもたちは昔話を聞く機会が少なくなってきていると思います。
うちの子どもたちは幸運なことにヤンさんのお話会を聞いて育ちました。
ですから、ディ〇ニーも知っているけれども、元になるグリム童話も知っていますし、いまでも印象に残っている語りがたくさんあるようです。
その一方で、生まれた時からパソコンやゲームがある世代で、小学生の時には時間制限をしていたんですが、隠れてやっていたと大人になってからカミングアウト(笑)するくらい、今でもゲーム好きです。
ゲームもいろいろ種類がありますが、子どもの話を聞いていると”それって昔話のストーリーや冒険のワクワク感とかが同じじゃない?!”と思うことがあります。
格闘ゲームとかファンタジー系とかの話を聞くと思うんです。
人は、いくつになっても昔話の中に入っているワクワク感を必要とするんだろうか、それで癒されるんだろうかなどと勉強会の終わりに感じました。
それとかっこよさ。
我が子は時々ゲームに課金しているようなんですが、強くなるためだと思っていたら「かっこよくなるための装備に課金している」そうです。
そういうのを聞くと、残酷な場面をどう語るかというのも大事ですが、もともと昔話の語法どおりに中身を抜いてあるテキストならばその通りに語るだけでいいので、それよりも話の筋や主人公が幸せに向かって課題をクリアする場面をかっこいいと思ってもらえるように語るということに力を注いだほうがいいんじゃないかなと、そんなことを思いました。

この日は、いつもの図書館ではなくて貸会場を借りたんですが、部屋のカギをもらいに行ったときに会場の担当者さんに「タイトルを見て思ったんですが、昔話は残酷だということを勉強する会なんですか?」と言われましたΣ(・□・;)
参加者は全員語り手ですから、このタイトルを見てそう思う人はいないはずです。
でも、世間一般の人というか、ふつうはそう理解するんだと気づかされました。
真逆なんですね。
そう思うと、昔話は決して残酷なのではなくて大切なメッセージがあるんだということを知る語り手という存在が、今はまれな存在になるのかなと思うとともに、語り継ぐことの重大さというか、責任というか、大変さを感じました。
わたしたちって、天然記念物並みに珍しくて貴重なんじゃない?(笑)
そんな少数派でも、語って伝えるということが大事だと思うと、なんか頑張ろうと思いました(‘◇’)ゞ

はじめまして💞なのに😊

とうとう図書館のおはなし会が再開しましたよ。
毎週土曜日午後3時からのおはなし会です。

手遊び じゃがいも芽を出した
おはなし「ひなどりとねこ」『子どもに聞かせる世界の民話』矢崎源九郎編/実業之日本社
おはなし「おいしいおかゆ」『おはなしのろうそく』東京子ども図書館
絵本『がたんごとんざぶんざぶん』安西水丸/福音館書店
絵本『いそげ!きゅうきゅうしゃ』竹下 文子作/鈴木 まもる絵/偕成社
絵本『うしろにいるのだあれ』ふくだとしお/新風舎
手遊び さよならあんころもち

子ども13人、おとな6人

3年も間が空いたら、お互いに新しい顔ばかりなのに、子どもって、ちっとも変わらない。
おはなしの部屋の雰囲気がふわっと帰ってきました。

といっても、密になるおはなしの部屋は使わずに、児童書コーナーのじゅうたんじきの場所が新しいおはなしコーナーです。
完全にオープンなので、あっちの方で本を探しているおじさんやお姉さんにもお話が聞こえます。
語り手の声や子どもたちの声を、うるさがったりしない、あったかい風が吹き続けるといいなあ。

窓の外を通る人たちが、めずらしそうにのぞき込んでいました。

老若男女を問わず、お話や絵本からいいものをこころに受けとる。その共感が子どもを育て、人を孤独から救うんじゃないかと思ったおはなし会でした。