日別アーカイブ: 2015年9月8日

9月更新  byヤン

ホームを更新しました。
読んでくださいね〜
≪日本のおはなし≫
「くじら石とはさみ石」
JR関西線の月ヶ瀬口で降りて山に向かうと梅林があります。
関西ではちょっと名の知れた梅林で、梅の季節にはたくさんの人が見物にやって
来ます。
ふだんは静かな村です。
この月ヶ瀬村に残っている伝説を紹介しました。
山間の谷川ならどこにでも見られる大きな石を、天狗が作ったと空想し、いかに
もそれらしく語り伝えています。
人間味あふれるユーモアが、好きです。
『子どもと家庭のための奈良の民話』のために再話したのですが、書籍では私の
日常語、ホ−ムページでは共通語で載せています。
共通語のままでもいいですし、ご自分の日常語に直してもいいですし、語ってみ
てくださいね。
「さかべっとうの浄土」
さかべっとうとは、白い蝶ともカゲロウともトビゲラとも言われている、羽のあ
る昆虫。
命の短いはかない羽虫で、それが群れをなして川をさかのぼるそうです。
昔話では、龍宮城とか山の中とかの異界に出かけて行って、三日たって帰ってき
たと思ったら、三十年、三百年たっていた、という話はよくあります ね。
その逆のバージョンです。
中国唐の時代の故事に「邯鄲(かんたん)の夢」というのがあります。立身出世
したいと、故郷を離れた若者が、仙人から望みのかなう枕をもらう。
その枕で寝るとたちまち出世して、結婚して、それからは落ちぶれたり救われた
りしながら紆余曲折の人生をへて、最後は幸せな余生を送り、天寿を全 うする。
と思いきや、ふと目を覚ますと、今までのことはみんな夢だった。人生とはそん
なもの、諸行無常、という話です。
この中国の故事と同じテーマです。
はかない羽虫の浄土に行くというイメージにひかれ、語ってみたいと思いました。
「地獄に行った吉兵衛さん」
地獄に行って、エンマさんを手玉に取って帰ってくる話。
昔話として、各地に様々な類話があります。
落語で有名なのは「地獄八景亡者の戯れ」。落語をもとに書かれた絵本『じごく
のそうべえ』も人気がありますね。
吉兵衛さんの気楽な生き方、うらやましいです(笑)
鬼たちも、あんまり恐くないし。
閻魔さんが鬼と引きつれて獄を回るところなんか、まるでお医者さまの回診!
ファンタジーの面目躍如といったところです。
≪外国のおはなし≫
「みじめおばさん」
『グリム兄弟の知らなかったおはなし』が原話です。
弘法伝説のように、聖者が旅人として訪れる話は、ヨーロッパにもあります。グ
リム童話の「貧乏人と金持ち」もそうですね。
「みじめおばさん」もそのひとつです。
死神が木にくっついて離れなくなるモティーフも、ヨーロッパではよく出てきます。
わたし「それから、世の中はどうなったと思いますか?」
子ども「わからない」
子ども「老人が増える」
音声は、図書館でのおはなし会のようすを録音したものです。
「老人が増える」……いまどきですねえ(笑)
少し前は、子どもたち、「死ななくなる」といいましたね。
ライブ録音です。
ずうっとしゃべり続けている2歳さんの声、聞こえますか?(笑)
それでも、ほかの子たちの集中は途切れていないでしょう。
かつての囲炉裏端での語りのひと時も、こんな感じだったのかなあと思います。
「九尾のきつね」
怖い話です。
朝鮮半島の古い資料集から再話しました。
しっぽが九つあるきつねは、もともと中国の神話に登場するそうです。
日本では、歌舞伎の玉藻の前が九尾のきつねですね。絶世の美女に化けて出てき
ます。
しっぽが九つなくても、きつねは化けます。そして、人を化かします。
『子どもと家庭の奈良の民話2』には、きつねが化かす話をいくつか入れています。
そういえば、いぜん、夫と笠置温泉に行ったとき、帰り道で狐に化かされて、ど
んどん山の中に入っていったことがあります。
「ババ・ヤガー」
はい、私たちのサークル名です(笑)
≪ババ・ヤガーって?≫を見てください〜
ババ・ヤガーはふしぎな魔力を持っていて、その力で人を助けることもあるし、
人を害することもあります。二面性を持っています。日本のやまんばも 同じで
すね。
この話では、ひたすら恐ろしい魔女です。
小屋の中で機織りをしていますね。糸紡ぎをしていることもあります。機織りも
糸紡ぎも、本来女神の仕事です。
こういうところに、キリスト教以前の神のなごりが見えるのかなあと思ったりし
ます。
それから、日本のやまんばは、追いかけるのが好き。
「三枚のお札」も「馬方やまんば」も、めちゃ走りますね。
ここのババ・ヤガーも走ります。
私は、自分の中に、魔女的なものを感じることがあります。
いえ、魔女というようなハイカラなものでなくて、やまんば。鬼婆。
限界状況に近い場面で、根っこのように足が地面についているような落ち着きと
いうか、自信というか、世界と一体になった感じを持つことがありま す。
で、やまんばってこんなふうに生きてるのかなあと思うことがあります。
え? ただの開き直りやって?
≪語るために≫
「語りに向くテキスト」について書きました。
どんな話でも語りかた次第でテキストになります。でも、そういってしまえば身
もふたもない(笑)
テキストがうまく選べなくて、挫折することはままあります。とくに初めて間の
ない人は。
具体的な表現のひとつひとつをこのコーナーに書くわけにはいかないので、原則
だけ書きました。
聞いてわかりやすいかどうか、ひとりでは判断しきれないことがあると思います
ので、語り仲間たちと聞きあって学び合いたいものです。
このコーナーで取り上げたらいいと思われる課題、ぜひお知らせください。
お待ちしています。
  ヤン