月別アーカイブ: 2015年12月

三びきの子ブタ

さっき、幼稚園の5歳児のお話会に行ってきました。

20分×2クラス
手遊び  「ろうそくぱっ」
おはなし 「三びきの子ブタ」
『イギリスとアイルランドの昔話』石井桃子訳/福音館書店
手遊び  「ろうそくふっ」

さてさて、「三びきの子ブタ」。
12月13日のぽんちゃんのブログにもありましたね〜
子どもたちは、題名を聞いただけで「しってる〜」っていいます。
でも、たいていは改ざんされたストーリーなのですね。
きょうも、「しってる〜〜〜」で始まりました。
わたし 「ああ、そうかあ。すごいなあ。でもこれからするお話はちょっと違うかもしれんよ〜。よう聞いてね〜」

子ども 「うん!」 「し〜っ!」 「だまってぇ〜」
子どもたちは、時どき、「同じ」 とか 「違う」 とかつぶやきながら聞きはじめますが、すぐに 「とんとんとんでもないよ」 を楽しんだり、次のこぶたは食べられるんだろうかどうだろうかと息をひそめたりして聞きます。
かぶ、りんご、バター桶のモティーフは、知らない子が多いので、背筋をしゃんとして集中します。
オオカミが鍋に落っこちるところでは、やった〜って感じで喜びの声をあげます。
オオカミをぐつぐつ煮て晩ごはんに食べてしまうところは、おもしろそうにケラケラ笑います。
みんな満足して 「おしまい」 。

「みんなの知ってるのとおんなじやった?」 ときくと、「おんなじ」 という子もいますが、たいていは 「違うかった〜」
幼い子は三匹の子ブタを親や園の先生から読んでもらうのが初体験です。
子どもにとって親や先生は絶対的な存在です。
だから、たとえ改ざんされていても、その話が「正しい」 のです。当たり前です。
では、どうやったら、おはなしのおばちゃんがそれに太刀打ちできるでしょう
か?−笑

わたしの工夫をこっそり伝授いたしましょ〜

ひとつめ。
昔話にはいろいろな類話や再話があることを教えます。
って、特別なことは言わなくていいーいってもわからないー笑
わたしは、「三匹の子ブタ」は5歳児の12月にします。
それで、10月か11月に、「三枚のお札」を語ります。
「三枚のお札」には、類話・再話がいっぱい。
子どもたちは、自分の知っているストーリーと違っても、めっちゃ面白いし恐いので、「違う〜」ってそっぽ向くことは絶対ありません。
終わってから、自分の知ってる話はどんな話かを口々に教えてくれたりします。
その時を逃さず、わたし 「いやあ、お話っていろいろあるねんなあ」 としみじみ言います。すると、たいていは一緒にしみじみしてくれます。
だから、ちがう 「三匹の子ブタ」 も受け入れられるのです。
「三枚のお札」 でなくても、「カチカチ山」 や 「サルカニ合戦」 でもいいでしょうね。
類話・再話の多い話をやる。
おお〜、いかにもババ・ヤガーのサイトですね〜

ふたつめ。
「しってる〜」 って言ったら、「へえ、どんなやったっけ?」 と、尋ねます。
すると、たいていは改ざんした話を口々に言いはじめます。
ときには私も、「そうそう、オオカミがあちちって逃げていくねんね」 と話を合わせたりします。
そして、ひとしきり言わせておいて、
「それって、小さい子向きのお話やねん。みんなもう年長さんだから、本当の「三匹のコブタ」 をするね 」 といって、おもむろに語り始めます。
子どもの自尊心をくすぐる心理作戦です。でも、これ、うそじゃない。本当のことですからね。
これは、小学生でも使えますよ。
小学生は、おはなしが終わった後にこう言うと、とっても嬉しそうにします。

みっつめ。
自信を持って語ること。
「しってる〜」 「ちがう〜」 のコールが起こったら、ニタッと笑うくらいの余裕がほしいですね〜
いろいろな再話を読み比べ、テーマも言葉もこれが一番だと思うテキストを選ぶ。
ときにはテキストに手を入れる。 ときには自分で再話する。
その努力をすることで、自分の心にテキストへの信頼が生まれます。
「知ってる」 「違う」 と言われたら、
「うん、知ってるでしょう。うん、違うでしょう。でも、これから語る三匹の子ブタは、最高に面白いんだぞ」と言い切れる余裕です。
あ、いいませんよ。そんなことはね。心の中で言うんですよー笑
みなさん、再話の勉強しましょうね〜
おお〜、いかにもババ・ヤガーの……

さて、「はじめの二匹はどうなったの?」 ってきかれた経験、皆さんおありと
思います。
わたしは、「どうなったんやろねえ…」 といって、お茶を濁しますー笑
そして、子どもたちの言葉を楽しみます。
きょうも、1つのクラスできかれました。
わたし 「どうなったんやろねえ」
子ども 「オオカミを食べたから、自分が食べちゃったんや」
すごいですね。子どもが 「三匹目」 と言わずに 「自分が」 といったことに感動ですね。
〈子どもは主人公になりきって聞く〉 ってことを証明してくれましたね。
「消えたんや」
「またおなかから生まれてくるわ」
おもしろいですね〜
小学生の忘れられない名言→ 「消化した」 「うんこになった」

長くなりました。
みなさまの子ブタ体験、聞かせてくださいね〜

ヤン

日常語講座

今日の日常語講座の報告は、ピンチヒッターのジミーです。
本日のメニューは、語りが二つ。
① 「干支のおこり」『日本の昔話1』福音館書店
② 「だんだん飲み」『日本の昔話5』  〃
①は、年の瀬にふさわしく、第九と同じように、いやそれ以上に年末に聞きたい
話ですね。
日常語の語りは、ただの起源を教える話でなくて、ほ〜んわりした雰囲気が出て
あったかい気持ちになりました。
②の方も、よく知っている話ではあるのですが、日常語のリズムのよい語りをき
くのは楽しく、わくわくして聞きました。
こんなに楽しい話だったんだなと、両方とも、改めて感じました。
今年最後の勉強会は、師でなくても走っているのでしょうか、集まれたのは5人
でした。
それで、この2話で終了。
その後は、特に話をしていたわけではないのに、お茶とお菓子がみんなの鞄から
出てきて、ゆったりティータイムになりました。
たった5人でこの量のお菓子か!と、大笑いでした:-)
では、日常語メンバーのみなさん、また来年、気持ちも新たに勉強頑張りましょう!

もっかい!

きょうは幼稚園の4歳児。

20分×2クラス
手遊び 「ろうそくぱっ」
おはなし「かきねの戸」 ババヤガー語りの森 村上再話
おはなし「かきねの戸」
手遊び 「ろうそくふっ」

え? 書き間違え?
いえいえ。
「かきねの戸」を語って「はいおしまい」って言ったら、「もっかい!」の連呼。2クラスともね。
ほんとは「おいしいおかゆ」をしようと思ってたんですが……
「もっかい!」コールに乗せられて、もう一回やりました。
そしたら、2回目のほうが盛り上がった〜笑
で、「はいおしまい」って言ったら「もっかい!」
いえいえ、3回やる時間はありませんでしたよ。

お話会が終わって職員室で。
先生方は全員出払っておられて、ひとりでお茶をいただいていると、4歳児のAちゃんがそっと入ってきて「ひとり?」とききました。
わたし 「うん。ちょっとさびしい」
Aちゃん「お話しに来たの」
わたし 「何のお話?」
Aちゃん「おにぎり君のお話」
わたし 「へえ〜」
Aちゃん「昔むかし、あるところに、おにぎりくんがいました」
Aちゃんは、おにぎり君が転がっていって、穴に落っこちて、お化けに食べられたり、みんなに助けてもらったり、オオカミが空を飛んでったり、ず うっと話してくれました。そして、
Aちゃん「はいおしまい」
わたし 「もっかい!」
Aちゃん「もうお帰りの時間ですよ」

ヤン

授業最後のおはなし会 5年生

グリム童話の「金の鳥」は、高学年で、どうしても聞かせたいと思っている話です。
失敗してもいい、誠実に素直に勇敢に歩いていけ、諦めずに助けてくれる狐が必ずいるから。
子どもに語りながら、先生、狐になってください、私も努力をしますって、思っています。

5年生 45分×2クラス ひとりで
おはなし「金の鳥」 23分
『語るためのグリム童話』小澤俊夫監修/小峰書店
おはなし「カメの笛」 6分
『ブラジルの昔話』カメの笛の会/東京子ども図書館
おはなし「豆のつる」 8分
ババ・ヤガー語りの森 村上再話

予定では「金の鳥」と「カメの笛」の2話だったんだけど、子どもたちがもっと聞きたいって言ったので、「豆のつる」をしました。

これで、「豆のつる」は1、2、3、5、6年生にやったことになります。
1年生:わけわからずに笑ってました。
2年生:わけが分かりませんでした。
3年生:わけを説明しようとしました。
5年生:わけが分かって笑いました。
6年生:わけが分かって、それがどうした〜ん?

昔話を語ってておもしろいのは、ストーリーは簡潔だから何年生でもわかるし楽しめるけど、年齢によって受け止め方が違うこと。

ミニブックトーク 29冊 約10分
わたし「宇宙飛行士になりたい人〜?」ときいてから、毛利衛さんの伝記を紹介。
「スポーツ選手になりたい人〜?」→イチローの伝記。
「漫画家になりたい人〜?」→水木しげる、手塚治虫。
「お医者さんになりたい人〜?」→貫戸明子、ジュノー。
「科学者になりたい人〜?」→ガリレイ、ニュートン、アインシュタイン、レイチェルカーソン、ファーブル。

途中でひとりの子が、「う〜ん、お医者さんにもなりたいけど、迷ってるねん」
わたし「あ、そやね。まだまだ決められへんね」
そこで、伝記を読む意味を少し説明しました。そのうえで、
わたし「けどね、いろいろやりたいと思っても、障害になることってぜったいあるやん?」
子ども「(めちゃ真剣に)うん!」そこで、

『夢をあきらめないー全盲のランナー高橋勇市物語』
『ヘレン・ケラー』
アンネフランク、中沢啓治、キング牧師、マララ、ガンジー。
マザーテレサ、杉原千畝、ザメンホフ、……。

最後に、
「この本がぜんぶ読めるのは、この人のおかげ」と言って、グーテンベルクを紹介して、おしまい。
時間は超過しましたが、みな満足のため息をつきながら、本を抱えて教室に戻っていきました。
みんな、がんばれ〜〜

今年もあとは幼稚園と学童保育、図書館を残すのみ。
語り手のみなさん、がんばろ〜〜

ヤン

お話会  

こんにちは、ジミーです。
うちも、地元小学校の2学期のお話し会が始まってます。
4学年、終わりました。
最初と最後がオルゴールで、最後の時に「オルゴールがなっている間に、心の中
でお願いごとを一つし てください」って言います。
今まで使っていた、傾けたら鳴るオルゴールのふたが壊れ、今年から、手回し型
のオルゴールを使ってます。
1日1学年、1クラスずつ順番に、おばちゃんたちの待っている部屋に来てくれ
ます。
1年生(3クラス)
おはなし「番ねずみのヤカちゃん」 『おはなしのろうそく』東京子ども図書館
手遊び ハンカチねずみ ハンバーグ
絵本「ほんとのおおきさあかちゃん動物園」
★この日悩んだのは、ハンカチねずみとハンバーグの入れる場所と順番と、ねず
みをどこまで使うか…。
語り手3人でプログラムを組んでいて、3人で頭を突き合わせて考え、3クラス
少しずつ違うようになり ました。
考えて工夫しながらやったんですが、子供たちをわかせすぎないように適度に楽
しいというところが、難しいですね。
6年生(4クラス)
おはなし「しかのお告げ」『子供に語るトルコの昔話』こぐま社
絵本「みならい騎士とブーツどろぼう」クエンティン・ブレイク 好学社/
「じゅっぴきでござる」エクトル・シエラ 佼成出版社
おはなし「指輪」『おはなしのろうそく』東京子ども図書館
★「じゅっぴきでござる」が、思ったほど受けなかった。
5年生(4クラス)
おはなし「良弁杉」『奈良の民話』村上郁再話 / 「ろばの子」『語るためのグ
リム7』小澤昔ばなし研究所再話
絵本「ライフタイム」ローラM シェーファー ポプラ社 / 「じゅっぴきでござ
る」エクトル・シエラ 佼成出版社
おはなし「指輪」『おはなしのろうそく』東京子ども図書館
★「じゅっぴきでござる」は、5年生の方が受けました。
「指輪」を5・6年生でやりましたが、怖い話が最後をさらってしまったかもし
れないという思いが残り、でも、めったに怖い話をしないので、子ども たちは
楽しんで聞いてくれたし…。
でも、少数ですが、ほんとに怖い子供もいるようでした。そんな時は、明る~く
語ったんですが…。
子どもたちのご要望にはお応えしたいし、でも、お話し会の雰囲気をさらってし
まったり、一人でもうなされそうな子がいたらかわいそうだし。
ああ、難しい。
でも、「指輪」のはなしは好き♡
2年生(3クラス)
おはなし「まめたろう」『おはなしのろうそく』東京子ども図書館
手遊び どんぐりころちゃん 
おはなし「ついでにペロリ」『おはなしのろうそく』東京子ども図書館
絵本「あのねサンタの国ではね」嘉納純子 偕成社 / 「ぺんぎんのたまごに
いちゃん」あきやまただし 鈴木出版
★「ついでにペロリ」繰り返し部分を今までは節をつけて歌うようにしてたんで
すが、それをやめたら、その方が一緒に言ってくれる率があがりました。
一番ノリの良かったクラスは、“ペロリと食べてしまいました”も、声が合ってたし。
「ぺんぎんのたまごにいちゃん」が、思いのほか受けまして、やっぱり外さな
い、恐るべしたまごシリーズ(笑)
あと、2学年。
がんばろう~
ジミー