日別アーカイブ: 2015年12月21日

三びきの子ブタ

さっき、幼稚園の5歳児のお話会に行ってきました。

20分×2クラス
手遊び  「ろうそくぱっ」
おはなし 「三びきの子ブタ」
『イギリスとアイルランドの昔話』石井桃子訳/福音館書店
手遊び  「ろうそくふっ」

さてさて、「三びきの子ブタ」。
12月13日のぽんちゃんのブログにもありましたね〜
子どもたちは、題名を聞いただけで「しってる〜」っていいます。
でも、たいていは改ざんされたストーリーなのですね。
きょうも、「しってる〜〜〜」で始まりました。
わたし 「ああ、そうかあ。すごいなあ。でもこれからするお話はちょっと違うかもしれんよ〜。よう聞いてね〜」

子ども 「うん!」 「し〜っ!」 「だまってぇ〜」
子どもたちは、時どき、「同じ」 とか 「違う」 とかつぶやきながら聞きはじめますが、すぐに 「とんとんとんでもないよ」 を楽しんだり、次のこぶたは食べられるんだろうかどうだろうかと息をひそめたりして聞きます。
かぶ、りんご、バター桶のモティーフは、知らない子が多いので、背筋をしゃんとして集中します。
オオカミが鍋に落っこちるところでは、やった〜って感じで喜びの声をあげます。
オオカミをぐつぐつ煮て晩ごはんに食べてしまうところは、おもしろそうにケラケラ笑います。
みんな満足して 「おしまい」 。

「みんなの知ってるのとおんなじやった?」 ときくと、「おんなじ」 という子もいますが、たいていは 「違うかった〜」
幼い子は三匹の子ブタを親や園の先生から読んでもらうのが初体験です。
子どもにとって親や先生は絶対的な存在です。
だから、たとえ改ざんされていても、その話が「正しい」 のです。当たり前です。
では、どうやったら、おはなしのおばちゃんがそれに太刀打ちできるでしょう
か?−笑

わたしの工夫をこっそり伝授いたしましょ〜

ひとつめ。
昔話にはいろいろな類話や再話があることを教えます。
って、特別なことは言わなくていいーいってもわからないー笑
わたしは、「三匹の子ブタ」は5歳児の12月にします。
それで、10月か11月に、「三枚のお札」を語ります。
「三枚のお札」には、類話・再話がいっぱい。
子どもたちは、自分の知っているストーリーと違っても、めっちゃ面白いし恐いので、「違う〜」ってそっぽ向くことは絶対ありません。
終わってから、自分の知ってる話はどんな話かを口々に教えてくれたりします。
その時を逃さず、わたし 「いやあ、お話っていろいろあるねんなあ」 としみじみ言います。すると、たいていは一緒にしみじみしてくれます。
だから、ちがう 「三匹の子ブタ」 も受け入れられるのです。
「三枚のお札」 でなくても、「カチカチ山」 や 「サルカニ合戦」 でもいいでしょうね。
類話・再話の多い話をやる。
おお〜、いかにもババ・ヤガーのサイトですね〜

ふたつめ。
「しってる〜」 って言ったら、「へえ、どんなやったっけ?」 と、尋ねます。
すると、たいていは改ざんした話を口々に言いはじめます。
ときには私も、「そうそう、オオカミがあちちって逃げていくねんね」 と話を合わせたりします。
そして、ひとしきり言わせておいて、
「それって、小さい子向きのお話やねん。みんなもう年長さんだから、本当の「三匹のコブタ」 をするね 」 といって、おもむろに語り始めます。
子どもの自尊心をくすぐる心理作戦です。でも、これ、うそじゃない。本当のことですからね。
これは、小学生でも使えますよ。
小学生は、おはなしが終わった後にこう言うと、とっても嬉しそうにします。

みっつめ。
自信を持って語ること。
「しってる〜」 「ちがう〜」 のコールが起こったら、ニタッと笑うくらいの余裕がほしいですね〜
いろいろな再話を読み比べ、テーマも言葉もこれが一番だと思うテキストを選ぶ。
ときにはテキストに手を入れる。 ときには自分で再話する。
その努力をすることで、自分の心にテキストへの信頼が生まれます。
「知ってる」 「違う」 と言われたら、
「うん、知ってるでしょう。うん、違うでしょう。でも、これから語る三匹の子ブタは、最高に面白いんだぞ」と言い切れる余裕です。
あ、いいませんよ。そんなことはね。心の中で言うんですよー笑
みなさん、再話の勉強しましょうね〜
おお〜、いかにもババ・ヤガーの……

さて、「はじめの二匹はどうなったの?」 ってきかれた経験、皆さんおありと
思います。
わたしは、「どうなったんやろねえ…」 といって、お茶を濁しますー笑
そして、子どもたちの言葉を楽しみます。
きょうも、1つのクラスできかれました。
わたし 「どうなったんやろねえ」
子ども 「オオカミを食べたから、自分が食べちゃったんや」
すごいですね。子どもが 「三匹目」 と言わずに 「自分が」 といったことに感動ですね。
〈子どもは主人公になりきって聞く〉 ってことを証明してくれましたね。
「消えたんや」
「またおなかから生まれてくるわ」
おもしろいですね〜
小学生の忘れられない名言→ 「消化した」 「うんこになった」

長くなりました。
みなさまの子ブタ体験、聞かせてくださいね〜

ヤン