月別アーカイブ: 2015年9月

輪ゴムケータイ  byヤン

最近、なんでこんなにすぐ充電せんならんねやろ、とは思っていた。
ある朝、ふと見ると、ケータイが笑っておる。
ぱたんと閉じずに、ちょっとだけ開いているのだ。
あわててぱたんと閉じたが、即、ちょっと開く。
ちょうつがいがダメになったか?
とりあえず輪ゴムで留めた。
数日様子を見たがよくならない。
あたりまえだ。
風邪をひいたのではないのだ。
ケータイを輪ゴムでとめると不便だ。
電話がかかるたびに必死で抜く。
電話が終われば、ころころにもつれた輪ゴムをほどいて留めなおす。
しまいに輪ゴムが切れる。
考えた。
髪留めのゴムを使おう。
あかん、するりと抜ける。
リボンで結んだ。
もっとあかん。抜ける。
ええい、ショップに持っていこう!
おにいさん「間に何か入っていますね」
わたし「とっていただけますか?」
おにいさん「修理に出すと、1万円かかります」
わたし「買い換えたらいくらになりますか?」
おにいさん「うちにはスマホしか置いていません」
わたし「わたし、どうしたら、いいんでしょう?」
おにいさん「輪ゴムで留めるしかないですねえ」
おばあさんやったら、輪ゴムケータイでもええってか〜?
ケータイをにぎりしめてショップを出た。
あ、輪ゴムを失くしている。
ショップに戻って探したが、ない。
しかたがない、百円ショップでひと箱買った。
こんなようけ輪ゴムどないすんねん。
歩きながら後悔した。
カラーの輪ゴムにしたらよかった。
家に帰って、夫が、「間に入っているなにか」を取ってくれようとした。
夫は優しい。
が、つまようじは太過ぎる。
針も太過ぎる。
アルミホイルは、すき間に入った!
ふたりで、あっちとこっちでアルミホイルをひっぱりっこした。
確かにゴミはとれた。
が、ケータイはまだ笑っておる。
夫「掃除機ですうしかないなあ」
掃除機で吸った。
が、とれない。
夫「あとは、自転車の空気入れで吹くしかないなあ」
発想はいいと思う。
あとでひそかにやってみよう。
輪ゴムケータイは不便だ。
  ヤン

再話ってなに?  byヤン

連休明け。
穏やかな雨が降っています。
「再話」について考えています。
私は小澤俊夫先生の昔ばなし大学で再話を学んでいます。
昔話の基礎を学んだ後だから、まだ10年足らずです。
雨を見ながら、小澤先生から学んだ再話の基本を思い返しています。
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昔話を聞き伝えて自分の言葉で語った人たちがいる。
その語りの記録から、こんどは私が語るためのテキストを作る。
それが再話。
再話の方法。
1、語り手が言葉にしていないために、ストーリーや場面が見えないとき、それ
を言葉で補う。
2、語り手が話しているうちに、ストーリーに矛盾が生じることがある、それを
整える。
3、語り手がおしゃべりでたくさん修飾がついて、ストーリーや場面のイメージ
がクリアでないとき、削る。
これらの作業はみな、耳から聞いたとき、場面がクリアに見えるようにするため
です。(ここで、昔話の語法の理解が必要になるのです)
ただし、これらの作業は最小限にとどめる。
1について。言葉を補うことで原話の語り手の語っている内容を変えてしまって
はいけない。
2について。あくまでも整えるだけにとどめる。聞き手に矛盾だと感じさせない
程度に、整える。
3について。削ることで原話の内容を変えてはいけない。語り手の価値観を変え
てはいけない。
つまり、原話を尊重する。
その話を語り伝えた語り手への敬意を忘れてはならない、ということですね。
自分の感情や価値観を優先するのではなく、謙遜の気持ちを忘れない。
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わたしは、昔話を本で読んで育ちました。
だから、わたしにとって、昔話は「公(おおやけ)」のものでした。
でも、昔ばなし大学で再話を学ぶなかで、ひとつひとつの話が、ひとりひとり個
人のものであったという、当たり前のことに気がつきました。
桃太郎を語り継いでいる語り手が100人いたら、100通りの桃太郎があるのですよ。
これはすごいことです。
ごく普通に生きたひとりの人間の、ごく普通に生きた肉親から聞いた昔話。お金
ではない遺産。
それを、たくさんたくさん集めて記録した人たち、研究者や学生さん。その仕事
の重さ。尊さ。
それを考えるとき、再話するということの責任の重さ。恐さ。
それでもわたしは再話がしたい。
目のまえにお話を聞きたがっている子どもたちがいるからです。
むかし、あるとこにな……
その瞬間、子どもたちの瞳はきらきら輝きだします。
そのきらきらが見たいからです。
小澤先生、どうかますますお元気で、私たちの目を開いてください。
  ヤン

9月日常語勉強会   byぽん

ぽんです。
私事ですが、昨夕、左下親知らずを抜きました。
抜歯前にネットで恐ろしい話を読み、先週同じように抜歯した人の恐ろしい話を
聞き、ビビリまくって歯医者に行ったんですが、なんと、切開せずに意 外にも
スッと抜けてしまいました。
若いかっこいい先生なの。
先生ありがとう。帰り際に「もし、ほとんど腫れなかったら僕を褒めて下さい
ね」って一言。褒めちゃう、褒めちゃう。まだ、痛いけど、ほとんど腫れ てな
いんだもん。
ネットで情報を仕入れるって、善し悪しかも・・・と思った出来事でした。
さて、その昨日は日常語勉強会でした。
語り「弓の名人」 『子どもと家庭のための奈良の民話一』
語り「良弁杉」 『子どもと家庭のための奈良の民話一』
語り「つぶ婿」
テキスト「知ったかぶり」
テキスト「にぎりめしころころ」
『子どもと家庭のための奈良の民話』はヤンさん再話の本
そして、「つぶ婿」「知ったかぶり」「にぎりめしころころ」の三つの出典は
『日本の昔話 1〜5』小澤俊夫・再話 福音館刊行
今月は何故だかゆったりとした勉強会でした。
日常語の語りにみんなが少しずつ慣れてきたからかな?
そんなこともあって、絵本も2冊、ヤンさんに読んで貰いました。
「あっ ほっ」 五味太郎 絵本館刊行
「ぞうの金メダル」 斉藤洋/作 高畠那生/絵 偕成社
大爆笑。おもしろかったです。
でも、ただ、笑っておしまいっていう絵本でもない。
特に「あっ ほっ」の方は、何だか暖かい気持ちにもなるんですよね。
今月はホントに楽しい勉強会でした。
さて、さて、ババヤガーでは来年の年明けずぐから、日常語入門講座を開催します。
近いうちに募集のお知らせを当HPに掲載予定です。
こうご期待・・・。                 
                  byぽん

子どもをほめよう  byヤン

きのうのゆうがた、雨が上がったので、ウォーキングがてら買い物に出かけました。
坂道を上がっていくと、少し先で女の子がひとり、こちらを向いて手をふったり
とびあがったりしています。
ふり返ると、坂の下のほうに、その子の友達らしき子どもが2、3人見えました。
ああ、呼んでるんだなと思いましたが、あまりにもかわいらしかったので、笑い
ながら近づいていきました。
女の子は、私に気づき、きまり悪そうにちょっと体を止めました。
女の子「あ、おはなしの」
わたし「なに踊ってんのん?」
女の子「おどってないわ!」
わたし「めちゃかわいかった」
女の子「おどってないわ〜〜〜〜〜!」
女の子はそういって、嬉しそうに、今度は本当に踊りながら、大きな声で下にい
る子どもたちを呼びはじめました。
はずみのついた女の子と、合流したガキども、街を遊び場にして走っていきました。
女の子には、「かわいい〜」
男の子には、「かっこいい〜」
無条件のほめ言葉。
あなたがあなたのままで、すてき!
なにかよいことをしたときだけほめるのではなくて、あなたはそのままでかわい
いよって、伝えたい。
不審者と疑われないで、子どもにすっと声をかけられるのは、お話のおばちゃん
の特権です。
  ヤン

9月前半のお話会  byぽん

ぽんです。
久しぶりに連続投稿(時間の関係で日にちは違いますが)。
9月も2週間が終わりました。
この2週間で行ったお話会の報告です。
〇小学校3年生 1クラス約35名 ろうそくなし 30分
お話「ちょうふく山のやまんば」 『日本の昔話③ももたろう』福音館書店
お話「まめじかカンチルが穴に落ちる話」『おはなしのろうそく8』
絵本「かとりせんこう」  福音館書店
毎月行ってる学校です。
「ちょふく山のやまんば」は日常語で初出し。どんな感じかなあと内心どきどき
だったんですが、いやいや、よく聞いてくれました。日常語勉強会で7 月に
語った時には、まだ、なんとなく《もっちゃり》した感じで、特にあかざばんばと
山姥の会話が続くところは、もたもたして子ども達の気持ちが離 れていかない
かと不安だったんですが、そんな心配もなんのその、十分しっかりとついて来て
くれました。ああ、良かった。
〇小学校4年生 2クラス約35名 ろうそくなし 30分
お話「赤鬼エティン」 『おはなしのろうそく15』
お話「あたしがテピンギー、この子がテピンギー、あたしたちがテピンギー」
    『魔法のオレンジの木』 岩波書店
上の3年生と同じ学校。
今回絵本なしのプログラムにしました。
「テピンギー」はよく4年生で語ってるんですが、学校によって反応が少し違う
気がします。
以前に所謂ちょっとしんどいクラスで語った時のこと。お話の最後に継母がおじ
いさんに連れていかれてしまって、テピンギーがひとりっきりで家で暮 らすこ
とになり、最後の一文「テピンギーはしあわせだった」と言った途端、その時間
中、ずっと教室の後ろのロッカーの上で寝転んでた男の子が、 「良かったや
ん」と一言。私、嬉しくって。「そうやろ。そうやねん。おばちゃんもそう思う
ねん」と。
でも、今日のこの子達は、そんな感じじゃなかった。確かに何回も出てくる歌に
身体でリズムをとり、テピンギーの機転で、クラス全員の女の子が赤い 服を着
たり黒い服を着たりして、おじいさんをからかう場面ではにやりと笑い・・・そ
れはそれで十分楽しんではくれたんだけど、最後の最後の場面 で、ストンと納
得したような顔をしなかった。
うーーん、何故? 
私の語り方の問題?
聞き手の子達の育ってきた環境の違い?(実は、明らかに違うんです)
よく聞いてくれて、良いお話会でした、と報告書に書けるほど、本当によく聞い
てはくれたんですよ。楽しんでくれたんですよ。紹介した出典の『魔法 のオレ
ンジの木』を後で手に取って、残りの15分に読んでる子もいたし。でも・・・。
私としては、宿題をもらった気がします。
来週、同じ学校であと1クラス、このプログラムで語ります。
さあ、9月後半。
シルバーウイークもあって、お話会もちょっと少なめですが、頑張ります。
                  by ぽん