月別アーカイブ: 2017年5月

5月の中級講座

今日は母の日、だったと気が付きました。
あ~あ、何にもしてないよ、不出来な娘を許して<(_ _)>

強引に、先週の金曜日の、おはなし中級講座の報告です(^^♪

レポート付きの語り
「がちょう番のむすめ」
このおはなしは、もう、テッパンですね。
ええはなしや~~、って思います。
よくぞこれを選んでくださったと、とてもうれしかったです。
この話は、むすめの成長の話ですが、成長を助けるのは最後に結婚相手となる王子ではなくて、その父王です。
王さまのほうが、がちょう番にされたお姫さまの上品さに気づき、事の真実を探偵のように調べて、最後に悪い腰元に罰を与えるのです。
王子さまは、まるで肉料理の皿についているパセリくらいの存在です。
王さまの存在に注目してみると、語るときに王さまのセリフが重要になります。
そこのところをヤンさんに指摘してもらって、とても参考になりました。
やっぱりおぼえたいなあ~(また、言ってるよ…)
そして、本日の教訓は、「語法を指摘できても、その箇所が大事という意味が分かっていないといけない。」です。
最後の、腰元が自分に罰を与える箇所です。
このエピソードの孤立は大事なところなので、自分の中で納得させておいたうえで、淡々と語る、のでございますよ!
(詳しくは、昔話の語法・エピソードの孤立性2をご覧ください → こちら

二つ目の語りは「はらぺこピエトリン」
楽しいお話です。
そして、語り手さんの「このお話楽しいわあ~」っていう思いが聞いていて伝わってきました。
まわり全体が、明る~くなる感じがしますね。

昼食後は、呪的逃走譚のお勉強です。
今まで日本のお話の呪的逃走譚をレポートで報告してもらいましたが、この日からはみんなで世界の話を見ていきます。
その第1回目はグリム童話の中の呪的逃走譚を読んでいきました。
時間の関係で残り半分は宿題。
次回までにデータでやり取りして完成する予定です。
そして、うれしいことに、またメンバーが増えました。
ご新規さん、いらっしゃいませ~(^◇^)
これからどうぞよろしく、そしてみんなでがんばりましょう(^^)/

5月 おはなし初級講座

もっちです。ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたか?
さて、ゴールデンウイークが明けて早速、初級講座がありました。

語りは
「おいしいおかゆ」『愛蔵版おはなしのろうそく1』(東京子ども図書館)
「六ぴきのうさぎ」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』(語りの森)
「なぞ問答」『日本の昔話1はなさかじい』(小澤俊夫再話、福音館書店)
「旅人馬」『子どもに語る日本の昔話2』(こぐま社)
「三枚のお札」『おはなしのろうそく5』(東京子ども図書館)

の5話でした。

「おいしいおかゆ」
グリムの昔話です。短いながらもしっかりとしたおはなしで、語られているのをよく聞きますし、大概の語り手さんはレパートリーとして持っているのではないでしょうか。

とうとうおかゆのながれこんでいない家は 町であと一軒、ということになったとき、女の子が帰ってきました。
そして、たった一言、

の後に子どもたちが一緒に「ちいさなおなべや やめとくれ」と言ってくれるのを期待する語り手さんも多いかなと思います。なにを隠そうもっちも期待してました。いままで連戦連敗ですけれども。
それよりも、どうやら今ドキの幼稚園児さんたちは「おかゆ」を知らない子もいるらしいという情報が出てきて、騒然となってしまいました。
もしかしたら「おかいさん」で通じるかも?なんて内心思っていました。(関西の一部で使われる方言です)
ポイントは緩急をつけて聴き手がイメージをする言葉は大事に伝える。
「ちいさなおなべや 煮ておくれ~」は呪文を唱えるように語る、でした。

「六ぴきのうさぎ」
語りの森昔話集1おんちょろちょろからの出典です。
湖のそばに住む六ぴきのうさぎがボトンという音を聴いて逃げ、森で会った動物たちに「どうしてそんなに慌てふためいて逃げているんだ?」と聞かれて、「ボトンって声がしたんだ」と答え、森じゅうの動物が逃げだす話です。
同じ言葉が続き、不確かな情報に踊らされる様が滑稽な面白いお話。累積譚のひとつです。
ラスト、ライオンに「誰から聞いたんだ?」と聞かれ、動物たちが口々に答える場面は、ちがう動物が答えているのを意識して語りましょうということでした。

「なぞ問答」
この話型はあちこちにあるそうです。『子どもと家庭のための奈良の民話1』に載っている「おふじ井戸」も同じ話型です。
しかしこちらは衝撃のラスト!
ハッピーエンドではない終わり方で、ちょっと子どもには語れなさそうという意見多数。
しかしこういう謎かけものは一緒になって考えてしまうので楽しいですね。

「旅人馬」
前月語られた「旅人馬」とは出典が違います。モチーフも違っていて、別のお話のようです。
もうひとつ、語りの森HPの≪日本の昔話≫にも「旅人馬」がアップされています。
ぜひ解説も一緒に読み比べしてみてくださいね。
この話の中では、囲炉裏の灰にもみがらを蒔いて、一晩で芽が出て、稲穂が実って、石臼で粉に挽いてだんごにする場面や、援助者と碁を打つ場面が出てきます。今の子どもたちには稲、臼、碁が分かるかな~?という意見も出ました。
案外、昔の暮らしのことは意識して学習されられているように思いますが、もし子どもたちの表情に「?」が浮かんでいたら、一言で説明できるように用意をしておいたほうがいいかもしれませんね。

「三枚のおふだ」

これは小僧さんと鬼ばばの追いかけっこを楽しむおはなし。

雨だれ、会話、逃走、どの場面も楽しく、語り手も聞き手も気持ちが乗ってしまいます。が、叫ぶ場面は声が大きくならないように自分を抑えて語りたいですね。

と、勉強会の中で飛び出した話題を紹介したわけですが、語るシチュエーション、語る相手、語り手によって変化してしまうものですよね。誰かの語りが素晴らしく面白いからといって、同じようには語れません。だから、勉強会中に出たアドバイスが誰にでも通用するかというとそうは言えないのです。でもついメモしてしまうのですが(*´艸`*)

主役は聞き手の子どもたち。おはなしの中の登場人物の気持ちをイメージして受け止めるのもまた聞き手なのだと、そういう語りができるよう成長していきたいですね。

 

5月 日常語での語り勉強会

たいへん遅くなりました<(_ _)>

連休の谷間、5月2日に「日常語で語るための勉強会」がありましたのでご報告します。

 

語り

浦島太郎」『日本の昔話1』

 

だんだん飲み」『日本の昔話5』

 

夢の蜂」『日本の昔話1』

 

やまなしとり」『日本・中国・韓国の昔話集2』

日中韓子ども童話交流事業実行委員会企画

 

庄やん」『ナーミンのためのならのみんわ』

 

 

テキスト

かにかに、こそこそ」『日本の昔話2』

 

どろぼうがみたら、かえるになれ」『日本の昔話1』 村上郁 再話

 

とっつく、とっつく」『日本の昔話1』

 

十五夜の月」『子どもと家庭のための奈良の民話3』

 

※『日本の昔話1~5』は 福音館書店 小澤俊夫再話 です。

 

 
「浦島太郎」の亀、皆さんはどんな大きさだと思いますか?
浜で子どもたちにいじめられていた時のサイズは?

浦島太郎を乗せていく時は?

実は、実際の海亀の生態として、浜に海亀が近づくのは、

浜辺で卵からかえって、月の光がキラキラ反射する海を目がけて必死に這っていく時 → 約5センチ

約30年後、雌が浜辺に産卵に来る → 種類にもよりますが約140センチ   の2回のみ。

中くらいのサイズの時には浜に寄り付きません。

ですから、いじめられていた時は子亀(5センチ)で、

しばらくたったある日(数日後)に大きな亀が「助けてもらった亀です」ってきたら、

事実と違ってしまいます。

「大きな亀」になるためには30年の月日が必要です。数日間では無理なんですね。

子どもにウソを語りたくない・・・どうするか・・・?

「大きな」を取っちゃいましょう!!

ーーー波のあいだから、亀が顔をだして「あなたに助けられた亀です」ーーー

子どもが頭の中で、想像の世界で、海亀を浦島太郎が乗れるサイズに変化させるのは自由です!

ウソを語らなくても済みます!!う~ん、解決!!

それにしても絵本の中には、中くらいの亀がいじめられている絵の描かれた、

間違った絵本がけっこうあります。

かぶは常々もやもやしていたので、今日、言えてスッキリしました(^.^)

 

●演劇風、楽器を用いて、などなど・・・世界中に語りのスタイルはいろいろあります。

ヤン総監督が、どんな語りも否定せず尊重し、

「おもしろい、楽しい、と思えるよう、自分の引き出しを増やしましょう」

と言われていたのが印象に残りました。

聞き上手のほめ上手!!生徒はぐんぐん育ちます(*^O^*)笑

 

●日常語にする時には、助詞を抜くことを意識してみると、普段の自分のしゃべりに近づくのがよく分かります。

普段、人に話している時、助詞ってほとんど入っていませんよね?

あ、でも抜いちゃあいけない助詞もありますね。

 

今回もいろんなおはなしが聞けて、ヤン総監督からいろんなアドバイスを受けて…

 

あ!! 今回は

「煮る」のか「炊く」のか、

「茹でる」のか「湯がく」のかというお料理バトルもありましたね~!!笑

 

楽しい、実のある勉強会でした~(^_-)!

「森」つながり

ゴールデンウィーク中のみどりの日
『街なかにも「」があった?!
の案内人  三浦豊さんのヴァーチャルツアー~』
というイベントに参加してきました。
講師は  の案内人であり庭師 の 三浦豊さんです。
ちなみにここは関西某地区の、
語りのの井戸端会議』(*^▽^*)
三浦さんは、街なかで「」を探そう、ですよ!
」つながりの不思議で、興味深~いイベント、うきうきしながら出かけました~(^o^)!

まずは、第1部のトークショーです。スライドを見ながら、「街なかでを探す」ってどういうこと?のおはなしです。
三浦さんが「ぼくはの案内人です」と言えば、たいていの人は山に分入って案内する人、のようなイメージを持たれるそうです。ところが、三浦さんは街なかでも案内します。
街なかに「」なんて無いよね?
そもそも「」と「山」のちがいは?、、、そんなお話から始まって…

スライドでたくさんの写真を見せてもらいながら、ぞれぞれのの性格(!)や考え方(!!)をお聞きしているうちに、私はだんだんが人間のような気がしてきました。

(三浦さの、植物に対する愛も感じました~^_^!)
そして、街なかで、切られても抜かれても、何度でも毎年たくましく芽吹く植物に、自然にしとけばどんどん成長してとなっていく未来を想像できるようになってきました。
おや?これはどこかで聞いたことがありますよ…
が切られても元の形になろうとするチカラ!
植物の形式意志」!
そして、昔話のそうなろうとするチカラ、そうです!
昔話の形式意志」!!
共通点見つけちゃった!た・の・し~い!!

第2部は「街なかでをさがそう」ということで、外に出てワークショップです。
「ほらほら、さっき話してたエノキがありますよ」
「このサクラの赤ちゃん見て下さい!サクラは根を浅く広げて、より環境の良い場所へと移動できるんですよ」
が移動する?!おもしろい~!!
モミジさんは木陰が好きなんですよ。このモミジさんは後ろの大きなエノキさんの木陰でとても気持ち良さそうにイキイキしていますね~」
…もはやエノキさんモミジさんも人間に見えてきた…

「このアカメガシワといってのトップバッターです。が出来る時には真っ先に生えてものすごいスピードで大きくなります」

…「」業界のボルト…

 
を見る時はそれが人が植えたものか、自然に出てきたものか、を見ると楽しいですよ~。あ、このシュロはあっちにあった大きなシュロの実を食べた鳥が、ここの電線に止まってフン(タネ)を落として、芽ぶいたヤツですね。あっちのシュロとこのシュロは親子です。たぶん(^o^)」
シュロさんの家族…

 
ね~~!楽しそうでしょ~!!
も~~、他にもい~っぱい色んなお話がありましたが、書ききれませ~ん!
詳しくは三浦豊さんの著書
のみかた~街を歩こう、へ行こう~』(ミシマ社)
を読んで見て下さい~(^o^)!

身近に生えているが友達のように思えてきます!

 

あれから私は、アスファルトの隙間のや、不自然な場所に生えてるを見ては、

おぉ~生えてる、生えてる!になろうとしてるな!

君はあのの子どもやな?この電線に鳥がとまって…(^~^)
…と1人ニヤニヤしています。

そして、今まで以上に
四季があって豊な国に生まれて幸せだなぁ~って思います。

人間も自然の中で共に生きてるんだなぁ~って感じます。

 

の日に参加した、とても楽しいイベントの報告でした(^_^)

 

高校生と絵本 📖

毎年この時期に、高校へ絵本読み聞かせの授業に行きます。
最近の高校は、カリキュラムがバラエティに富んでいて、普通科でも保育選択授業というのがあるのです。
保育園への実習も充実していて、専門的に学んでいます。

きょうは、全5コマのうちの最初の日。
事前アンケートで、子どものころどのくらい読み聞かせをしてもらったかを尋ねています。今年のクラスは、あまり記憶がない生徒が多かったですね。
そこでまずは読んでもらう体験をしてもらいます。私が読むのね。

『ぐりとぐら』なかがわりえこ・おおむらゆりこ/福音館書店

これは覚えている人が、まあありましたね。定番ですから。
でもほぼ全員が目を光らせて聴いていました。
「幼児は、「おしまい」って言ったら、「もっかい」っていうから、もう一回読みます。また「もっかい」って言ったら、また読む。子どもは、このお鍋のふたを開ける場面を待ちかまえてるのね。その期待にちゃんと応えてあげるの」
このコメントだけで、高校生は深い目をします。

『はらぺこあおむし』エリック・カール/偕成社

これは、かなり笑顔が出ましたね。
そう、高校生は初めてのおばちゃんにはなかなか心を開かないのです(笑)
「このあなのところ、たいていぼろぼろになるよ。食べるのって、子どもはとっても興味を持つ。生きるための本能ですね。
このさなぎからちょうちょになるところ、いいでしょ。子育て中のお母さんとかは、ここでほろっとしたりする。しんどいことが多いからね。で、自分はさなぎだって。わが子もさなぎだって。でも、こんなにきれいなチョウになる」
うなづく生徒もいます。
それから、「そのばんあおむしはおなかがいたくてなきました」のところ、本を近づけて、左下の青虫の顔を見せます。
「かわいい~」
やっと声が出ます(笑)

『よあけ』ユリ・シュルヴィッツ/福音館書店

このあたりでは、生徒たち、実習のことなんか忘れて聞き入ります。
「しぶいでしょ。で、きれいでしょ。こんな静けさを小さな子が体験するの。すごいでしょ。こうなったらもう、大人も子どももないですね。いいものはいい。だれにもつうじるのです。見開きから裏表紙まで、ぜんぶ見せてあげてね。これ全体が作品だからね」

後半は、赤ちゃん絵本。
『いないいないばあ』松谷みよ子/童心社
『ばいばい』まついのりこ/偕成社
『おにぎり』平山栄三/福音館書店

「子どもは何度も何度も読んでくれとせがみます。おとなはそれに応える。けどね、「ばいばい」「こんにちは」ばっかり、ほんとだったら読むの嫌になると思いませんか?でも、読むのです。それが、愛情。絵本は、子どもが読んでくれる人の愛情を確かめるためのものでもあるんです」

今年のクラスは、私のコメントを、どんどんノートに書き込んでいました。
かきかきしてる生徒たちを見て、心の中で「あんたら、ババ・ヤガーのおばちゃんか!?」って、ひとりで突っ込み入れてましたね(笑)
生徒が熱心だったら、教える方も熱が入る。
だから、50分の授業があっという間に終わりました。楽しかったですよ。

来週からの4コマは、いよいよ生徒が選んできた本を読んでの発表です。毎年、これが楽しみなのです。
どんな本が出てくるか!