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第27回昔話の語法「ろばの子」

東京で大雪が降った翌日、オンラインで昔話の語法勉強会が行われました。
関東方面から参加されたかたに雪の様子をうかがうと、まれにみる大雪だったそうで、停電もして怖かったとおっしゃってました。
大変だったようですが、そんな中でも勉強会に参加してくださってありがとうございました。

今回とりあげていただいたのは「ろばの子」(『語るためのグリム童話7』小澤俊夫/監訳 小峰書店)です。
この話は、わたしがとても好きな話なんです。
取り上げてもらってうれしかったです。
いつものように、話の最初から順を追って語法を説明してもらうんですが、愛着があって、語っていて、子どもたちの反応も経験している話なので、講義内容がよくわかるというか「なんて楽しいんだ~!」と思いながらヤンさんの話を聞いていました。

その中で、ろばの子が王女と結婚することの大事さ・意味を説明してもらったんですが、これがわたしには新しい発見でした。
いや、よく考えると前にも聞いていたかもしれないけれども、今回2時間以上かけて「ろばの子」を勉強してやっとわたしが頭に入ったというべきでしょうか(笑)
ろばの子の本当の姿を認めてくれた(=たちまち王子を好きになる。一生この人を夫にすると王さまにいう。)その人と結婚するということは、昔話の幸せな結末の結婚の中でも、特に強い意味を持つ〝幸せな結婚〟であるということ。
このことは気づいていませんでした。
今までは、王さまがろばの子のありのままの姿を認めてくれたことには重きを置いて語っていました。
そこに、王女様もろばの子の本当の姿を愛してくれて結婚するという幸せがプラスされて、もう~幸せのてんこ盛りというか、幸せまみれでこんないいことはないという結末が、ほんとにうれしいです。
それと、「ろばの子」は、主人公をいろんなパターンの人物に設定できると思います。
わたしが練習の時や語るときにイメージする主人公は、学校や親に反抗している不良少年とか、過干渉に嫌気がさしている子とか、勉強勉強で抑圧されている子とか、友だちの中で自分を主張できなくて悩んでいる子とか、いろんなパターンを想像します
どんな子どもにも当てはめられるというところが、昔話の含世界性なのかとおもいますが、あってるのかどうかわかりません。
でも、どんな聞き手にも当てはまるというのは素晴らしいと思いますし、それは昔話の持つ力なんだろうと思います。
好きな話なんで、力んで書いてしまいましたが、みなさんは「ろばの子」をどう感じられたんでしょうか?
他の受講生のかたのご感想も、あとでヤンさんがあげてくださると思いますので、楽しみにしています~~(^O^)/

1月のプライベートレッスン

一月は行く、二月は逃げる
これは、かつて上司に言われたことばで、「だから時間がないからしっかり働け」と言われているようでよくない印象を持っているんですが、ほんとに驚くほど速く時は過ぎて今日からもう二月です!
節分の季節とはいっても特に何かするわけではないのですが、豆を投げられて逃げる鬼の気持ちがなんとなくわかるような(笑)
1月のプライベートレッスンの報告をします(^^♪

1日目
①テキストを日常語になおす
「腹を立てた貧乏神」 語りの森HP日本の昔話 → こちら
このところ、いろいろな貧乏神の話を勉強されていて、シリーズで覚えていかれています。
そういう、研究するみたいな話の取り上げ方はとても内容が濃くなって、知識がつくだろうと思います。
でも、なかなかできないことだし、すごいと思います!
この話もそうですが、貧乏神の話はいつもどこかユーモラスな部分があるので、面白くて好きです。
家をきれいに掃除されて怒るという、感情をむき出しにするところは、ギリシャ神話の恋愛ばっかりしてる神さまを連想しましたが、日本の神様は色恋ではなくて環境を自分好みから変えられたから怒るという、なんか駄々をこねている感じが面白いです。
貧乏神からしたら汚いところでないと生きていけないのだから必死なのかもしれませんが
②日常語の語り
「こおった声」『日本の昔話5』福音館書店
この話はわたしです。
落語にもこの話があるそうで、落語の枕に使うそうです。
ほんの短い話なのでなるほどと思いました。
さぁ~っと語ってしまってはいけない所を教えてもらったので、本番ではがんばってそのとおりに語りたいと思います。
あっという間に終わる話なので、ミスしても巻き返す暇はないから短い話も難しいですね。

2日目
①語り
「がちょうはくちょう」『おはなしのろうそく27』東京子ども図書館
ロシアの昔話で、ババ・ヤガーが子どもをさらうのにこの〝がちょうはくちょう〟という鳥をつかうんですね。
最初にこの言葉を聞いたときは、「がちょうとはくちょうが合体した鳥か?」と思ったものですが、ロシア語ではどんな意味がある言葉なんでしょうね。
おはなしを語るまえに、がちょうはくちょうの説明をしたらいいそうです。
そうしたら、聞き手が「がちょうはくちょうって何?」と思わなくてよくて、話に集中できます。
主人公のマーシャは、弟を連れて帰るときに追われているので一直線にだ~~っと帰るわけですが、「急いでいるところは急いでいるように聞こえないといけないが、急いで語ると聞き取れない。聞き取れる速さで語らないといけない」とヤンさんがアドヴァイスされていました。
聞き手が集中していて次の展開を早く聞きたいときは、やっぱり早く言わなくてはなりませんし、その時その時の聞き手の反応をよく見ないといけないということ。
緊迫感が大事なんですね。
というようなことは、練習ではわかりませんから経験を積み上げないといけないですね。
語り手の道は長いです。
②日常語の語り
「雪女」(原題:「雪おなご」)『日本の昔話5』福音館書店
これもわたしです。
お話会が近いので、間に合うように続けて入れてもらいました。
「雪女」は、わたしが思っていた以上に怖い話だったようで、そのことが分かってよかったです。
怪談話は、怖がらせないといけないから演じる話で、その意味では笑話とおなじカテゴリーになるそうです。
なるほどなと思いました。
ヤンさんが「雪女のセリフを言うとき気持ちよく語れる」とおっしゃったんですが、言われてみればほんとにそうで、「おまえ、今見たことだれにも言うなよ」とか、「あれほどしゃべるなと言うたのに、とうとうしゃべってしもたな」とか、とっても気持ちいいです。
山姥のセリフを言うときは楽しい、雪女のセリフは気持ちいい!
テキストも手直ししてもらったし、まだまだ練習しないといけません。

1月と2月は通常の勉強会はお休みなので、プライベートレッスンに参加させてもらってよかったです。
インフルエンザもコロナも両方流行っているそうでまだまだ気を抜けない日々ですが、みんな体に気を付けてがんばりましょうね。

こぉらまてぇ~~

暖冬だったから、年が明けてからの最高気温一桁がひどく寒く感じます。
でも、毎年最高気温はこんなものだったと思いますが、最低気温は例年より低いと思うんですが、どうでしょうか?
寒い寒いと思っていても、図書館は元気な子どもたちでいっぱい。
開始時間ギリギリにとびこんできて、「間に合った~!」といううれしい常連さんもいました。

手遊び おもち焼いて~ ひっくり返して焼いて~
おはなし 「馬方やまんば」『日本の昔話5』おざわとしお再話 福音館書店
絵本 『おばけのかわをむいたら』たなかひかる 文響社
絵本 『わるテリアとずるドッグ』あきやまただし ひかりのくに
絵本 『だんだんやまのそりすべり』あまんきみこ/作 西村繁男/絵 福音館書店
手遊び さよならあんころもち

「馬方やまんば」を始める前に、ヤンさんが「今日のおはなしはちょっとむずかしいけど……」って子どもたちに言って、馬方というものを説明されていました。
子どもたちは、未就学児のほうが多かったです。
おはなしが始まって、確かに内容が分からないのか、立ったり座ったりする子どもがいるんですが、わからないなりにも耳では聞いている、聞こうとして耳を研ぎ澄ましている、そんなふうに後ろから見ていて思いました。
こどもの聞く力というのはやっぱりすごいですね。
体は動いていて何かほかのことをしていても、耳はちゃんと働いていて聞いている。
親は家でうかつにしゃべれないなと思うと、自分はうかつなことをやりまくっていたと今さらわかっても仕方がない(笑)
「馬方やまんば」で、わたしが一番好きなところは、ヤンさんが「こぉらまてぇ~、馬の脚一本おいてけぇ~」と山姥が叫ぶところ!
怖いというよりワクワクするのは、わたしが大人だからかもしれません。
小さい子どもは怖いだろうね。
ヤンさんは、怖くしないから、子どもたちも楽しんでるようです。
来週はどんなおはなしか、楽しみです~~(^O^)/

大人のためのお話会:テーマは〝夢〟

まずは、去年の11月17日の大人のためのお話会のプログラムを紹介しておきます。
参加してくださったのは10人、テーマは〝静かな夜に〟でした。
絵本『ねられんねられんかぼちゃのこ』やぎゅうげんいちろう 福音館書店
おはなし 「指輪」『おはなしのろうそく27』東京子ども図書館
絵本 『すてきな三にんぐみ』トミー・アンゲラー/作 今江 祥智/訳 偕成社
絵本 『しずかなおはなし』サムイル・マルシャーク/作 ウラジミル・レーベデフ/絵 内田 莉莎子/訳 福音館書店
おはなし 『ペドロのふしぎな話』語りの森HP外国の昔話 → こちら
絵本 『ねむれないひつじのよる かずのほん』きたむらさとし 小峰書店

続いて昨日行われた、1月の大人のためのお話会は、〝夢〟がテーマ(‘◇’)
お正月からの連想で、初夢→夢についてのおはなしと絵本でお話会をしました。
来てくださったのは5人。
すでに常連さん化したみなさまでした。

絵本 『ゆめゆめえほん』井上洋介 学習研究社
おはなし 「夢見小僧」『日本の昔話1』おざわとしお再話 福音館書店
手遊び なかなかホイ、そとそとホイ
おはなし 「スウォハムの行商人」『More English Fairy Tales』Joseph Jacobs より再話
おはなし 「クモとゆめ」『子どもと家庭のための奈良の民話一』村上郁再話 京阪奈情報教育出版
絵本 『キング牧師の力づよいことば』ドリーン・ラパポート/作 ブライアン・コリアー/絵 もりうち すみこ/訳 国土社
絵本 『ゆめみるどうぶつたち』イザベル・シムレール 石津 ちひろ/訳 岩波書店

『ゆめゆめえほん』は、起きたら夢に見た動物に変身しているというかわいい絵本。
「夢見小僧」は、まさにドンピシャ、初夢のおはなし。
初夢をだれに何と言われてもしゃべらない小僧さんの話です。
「スウォハムの行商人」は、日本の「みそ買い橋」の元になったおはなしです。

イギリスの話が日本に伝わってきたら、元の内容は保っているけれど日本風になっているのが面白いですね。
このイギリスの元話では、ロンドン橋の端から端までお店が連なっていて、川には鮭が泳いでいて、昔はそうだったんだと知りました。
「クモとゆめ」は奈良の話で、寝ている男の鼻の穴にクモが入っていってお告げをするんです。
ハチが入っていく話もありますね。
クモとかハチを見たら警戒したくなりますが、金持ちになれるんだったらいいかな?
気持ち悪いのと、お金と、究極の選択(笑)
『キング牧師の力づよいことば』は、有名な「I have a dream」で始まる演説をしたキング牧師の生き方、反対運動を非暴力主義を貫いて行ったことがインパクトのある絵で描かれています。
当時の人種差別がどういうものであったか、反対運動がどういう風に始まったかが分かる、内容も、絵も、ほんとに力づよい一冊です。
プログラムの最後は、すべてをやさしく包み込むような絵本『ゆめみるどうぶつたち』
たくさんの寝ている動物たちが出てきます。
色鉛筆で細かく書いたような動物たちがとてもきれいでリアルです。
途中で数か所入る夜の風景の絵もとてもしっとりしていて美しく、見ていてほれぼれとします。
手に取ってみるのももちろんいいですが、こうやってお話会で読んでもらって、遠めに見ると美しさがよりはっきりする絵本だと思いました。

どうです? 「わたしも行きたかったぁ(´;ω;`)…」と思ったでしょう?
ほんとに楽しかったですよ。
出番ではなかったので、リラックスして40分お客さんとして聞かせてもらっていて、「ほんまにええプログラムやな~」と思いました。
小学校でお話会をするときとは全く違う大人のためのお話会のプログラムが、新鮮であり勉強になり、まとまりのすばらしさに、はあ、もうため息でございます。
プログラムを組むのはほんとに難しいのでまだまだ先は長いと落ち込みますが、いいプログラムのお話会を聞いたあとは心が浄化される気がします。
どんだけ普段けがれてるのかということではなくて…(笑)
来月の大人のためのお話会は2月2日、テーマは〝雪〟です。
来月は降ってるかな~~❄❄❄

12月のプライベートレッスン

ほんとに寒くなりましたね。
そして年末、その前にクリスマス🎄
毎年毎年、無駄になにかに追いかけられるような気分になる時期ですが、それとは関係なく今年最後のプライベートレッスンの報告をします。
今回は一日で2話でした。
2話とも、日常語にテキストをなおす作業をしました。

1話目
「夢見小僧」『日本の昔話1』福音館書店
2話目
「貧乏神」語りの森HP → こちら

「夢見小僧」はわたしなんですが、同じ週の中級クラスで他のメンバーさんが同じ話で講評を受けておられるので、それがとても参考になりました。
それでも、会話だけで話が進むようにしていいかどうか迷う箇所があり、それについてアドヴァイスしていただきました。
もちろん、気づいていないところもありましたし、アドヴァイスいただいたあとは、この話が笑い話寄りというか、「そんなあほな~!」という終わり方に持っていけるように語ればいいと分かってすっきりしました。
重婚の話ですし、不思議な話というエッセンスが入っているんだろうかと思っていたんです。
中級クラスでこの話を出した方がその時教えてくれたんですが、類話がコーカサス地方(黒海とカスピ海に挟まれた地方)とアルバニア(東南ヨーロッパ、ギリシャの上)にあるそうで、どちらも重婚で、朝日長者と夕日長者に当たる登場人物が月と太陽だそうです。
おんなじじゃん!
全然違う場所に同じような話があるんで面白いですよね~。

「貧乏神」は類話がたくさんありますが、この「貧乏神」は自分から進んで家を出て行ってくれるのが面白くていいですね。
貧乏神というのはどこかユーモラスなものですが、この話の貧乏神もわらじを編んだりするんで、神様というよりその辺のおっちゃんみたいで親近感をかんじる神様です。
お正月らしくて、楽しくて、ほんわかしている話を日常語で聞いているとほんとに幸せ~~な気分になりました。
語りを聞かせてもらえたらうれしいな~

今年ももうあと少し、とはいえ、特に大掃除をするでもなく普段とほぼ変わらない年末を過ごすのですが、なぜか急がなければいけないような気がしてそわそわしてしまう(笑)
落ち着いて、忘れ物や失敗をしないように、急がば回れで生きていきたいと思います。
では、みなさま、どうぞよいお年をお迎えくださいね。