日別アーカイブ: 2018年3月5日

明治のイクメン👨

講談社学術文庫に『イザベラ・バードの日本紀行』ってのがあってね。けっこうおもしろくて好きなのです。
イザベラ・バードはイギリスの大旅行家。
体調がよくないから療養のつもりで日本を旅しようと思ったんだって。
1878年っていうから140年前のことです。徳川幕府がたおれてたった10年後。
なんて勇気のある女性なんでしょう。通訳はつけていますが、ほとんどひとり旅だよ。
結局、療養どころかたいへんな旅だったんだけど、見聞を書き残してくれています。

でね、この紀行文が当時の日本をすべて表しているとは限らないけどね、子どもや親についての観察が興味深い。
日光を旅したときのこんな記述があるの。
夕方ね、「男たちが帰ってくると、活気が少々増します。お風呂で威勢よくお湯を使うばしゃっという音が聞こえ、そのあと男たちは幼い子供たちの遊び相手をします。・・・子供たちは両親といっしょに遅くまで起きており、おとなの会話にもすべて加わります。」
ううむ。昔話も語られたのかなあ。
「これほど自分の子供たちをかわいがる人々を見たことはありません。だっこやおんぶをしたり、手をつないで歩いたり、ゲームをやっているのを眺めたり、いっしょにやったり、しょっちゅうおもちゃを与えたり、遠足やお祭りに連れていったり、子供たちがいなくては気がすまず、また他人の子供に対してもそれ相応にかわいがり、世話を焼きます。父親も母親も子供を自慢にしています。」
ふうん。当時のイギリスではそうではなかったんだ。あ、いや、世界を旅行した人だから、これって、日本独特の風景だったんだ。
このあたりの描写は、現代日本と似ているよね。ここまで濃くないかもしれないけど。でも、つぎの描写にはびっくりした。
「毎朝6時に12人から14人の男が低い塀に腰をかけ、2歳以下の子供を抱いてあやしたり遊んでやったりして、その子の発育のよさと利口さを見せびらかしているのを見るのはとても愉快です。・・・この朝の集いの主な話題は子供のことのようです。」
父親が出勤前に子守をしてる! イクメン!
男も女も子どもをかわいがったんやなあ。

そして、子どもについての観察です。
「とても素直で言うことをよく聞き、両親の手伝いをよくし、自分より年少の子供たちの面倒をみます。それに、わたしは遊んでいるときの子供たちをずいぶん見ましたが、怒っていることばを耳にしたことはおろか、不機嫌な顔をしているのを見たことすら、一度もありません。」
いいなあ、いいなあ。
いじめなんてありえない。
でね、これは、おとなが子どもをだいじにするからじゃないかなと思うの。

災害があったり、飢饉があったりしたら、こんな平和な光景ではないんだろうけど。
でも厳しい時代だからこそ、肉親の愛が必要だったんじゃないかなとか、いろいろ考えてしまいます。

『イザベラ・バードの日本紀行』いちど読んでみてください。